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2012-03-19

喪われる「旧制高校の記憶」

昨日、日文研の鈴木貞美教授の研究班二日目があったのだが、徳島大学の依岡先生のご発表
 「旧制高校はなぜ「アルト・ハイデルベルク」になったのか~「青春」と「郷愁」の概念をめぐって~」
を伺っていろいろ考えた。

京都大学教養部は、平成四年に総合人間学部に改組されて、大学院をもつようになり、大学院は人間・環境学研究科となっているのだが、改組前は少なくとも
 旧制第三高等学校の遺風
が、残っていた。
教養課程は
 語学によるクラス制
で、わたしのクラスは
 L4
すなわち
 文学部フランス語第一外国語クラス
だった。Lは文学部のことで、学部は一文字の略語で表される。たとえば、法学部はJ、経済学部はE、理学部はS、農学部はA、工学部はT、医学部はMで教育学部はPなので薬学部はΦだった。
で、L4なのだが、これは旧制高校の
 文丙
に当たる。他にも
 L3
は文学部ドイツ語第一外国語クラスで、これは旧制高校の
 文乙
ということになる。L1は英語第一ドイツ語第二、L2は英語第一フランス語第二だった。もちろん
 第二外国語に中国語
という場合もあるので、そういう学生は適宜クラスに編入された。
第二外国語でドイツ語・フランス語をやる場合と比べて、L3とL4は第一外国語でコマ数が多い。しかも
 L4はフランス語が週4コマ
と、他の第一外国語より1コマ多かった。初級の初めから
 仏作文がある
というとんでもないカリキュラムで、
 文法ゼロでも仏作文がある
のだった。
 文法・講読・作文・外人実習
という四本立てなのだ。

クラス担任は、フランス語の山田稔先生で、2年間お世話になった。みんな蔭では
 稔ちゃん
と呼んでいた。

L4とかL3というと
 教えて下さる先生方の気合が違った
のは間違いない。文乙・文丙ほどの授業数ではないけれども
 フランス語やドイツ語をたたき込む
という姿勢ははっきりしていた。それに比べると、L1L2の第二外国語は
 お客さん向け
だった。

その当時は、大学に入ると、コンパ解禁という時代だったので、クラスコンパやゼミコンパがよく開かれた。で、
 教養のコンパ
では
 歌う歌
が決まっていた、というか
 学部に上がると歌わない歌
があった。それが
 三高寮歌の「紅萌ゆる」
である。
 教養のコンパの締めは、教官も学生も肩を組んで「紅萌ゆる」を斉唱する
のが、作法であった。最近は
 未成年に飮酒はさせない
のが徹底されてるので、この
 教養のコンパ風景は絶滅
していると思う。

旧制高校の記憶の喪失は、旧制高校出身の教官の退官ももちろんその原因だけれども、
 大学の大綱化

 教養のコンパ絶滅
で、継承の場を喪い、消えて行った。

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