『周礼』医師を読む
必要があって
『周礼』医師
を読んでいるというか注を付けている。鄭玄注と賈公彦の疏でやってるんだけど、鄭注に
孟子曰
として引かれている「書曰」が気に入らないな〜。賈公彦が偽孔伝でやるのは構わないとしてだ。鄭玄に偽孔伝を使うわけにはいかない。
偽孔伝だと
説命
ですかそうですか。
この「書曰」の二文字が果たしていつ『孟子』本文に入ったのか、極めて気になる。(たぶん、どこかで議論があるだろうから、あとでゆっくり捜そう)もちろん、鄭玄が何を見たかが一番気になる。
で、薬の話が出てくるので、
現物通し
で、生薬の写真やら解説やらも付けているんだが、こんなものを発見。
正倉院
正倉院のホームページにいつの間にやら
宝物全検索機能
がついているではないか! 杉本さん、ありがとう!
当然ながら
種々薬帳
に見える薬物等のカラー写真が掲載されていて、エライのは
倉番とか寸法
も併記されていて、生薬なら
今の何に相当するか
も記述されているところ。
名前はこれだけど、同定できない
場合は、或案もついていてとてもエライ。
本当にこんな行き届いた制度が古代中国周の時代にあったかどうかは別として、少なくとも
『周礼』医師は、古代中国における「医療福祉」に関する記述
なわけで、中国医学の医師、中医師を目指す、中国・香港・台湾の中医学生諸君は、医古文の授業で必ずこの輝かしい父祖の
民に奉仕する医師について記述した『周礼』医師
を最初に読むことになっている。確かにこれを中医学を志す若者が読めば、奮起すること請合である。
日本では漢方医学だけでは医師免許が取れないので、
『周礼』医師
は忘れ去られているけど、江戸医学館の心ある医師達はこの
『周礼』医師
を、自らの医業の依って立つところとしてたみたいだよ。彼らの蔵書目録を繙くと
『周礼』医師
の部分だけ、単行本として持っているのを目にすることがあるから。
西洋から持ち込んだ「医療倫理」
もいいけど、たまにはアジアの「医療倫理」も勉強して欲しいものだが、残念ながら
大学で医学生相手に「医療倫理」を教えている人の99%は五経を読みこなせるほどは漢文が読めない
と推察されるから、ムリだろうけどね。
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