日本語能力試験一級の実力
日本語能力試験は、最近、N1(もとの一級)とかN2(もとの二級)とかいうランク付けになったのだけど、世間的な尺度としての扱いはそう変わっていない。
ビジネスの視点から
日本語能力試験一級というヒトが即戦力になるか
を分析しているのが、井上一幸さんのコラム
日本語能力試験1級のホントの実力とは
である。この中で
では、1級に合格する日本語レベルとはどれくらいか。私の感覚になるが、もし英語のTOEICへ換算可能だとすると、1級はTOEIC600点くらいなものだ。つまり、ストレートに言うとたいしたレベルではない。
英語の求人であれば、日本人向けに「バイリンガルのお仕事」として紹介されるものはだいたいTOEIC750以上を要求している。社内の基準でも社員に海外(英語圏)赴任させるときの基準としても同程度だ。現にそうして赴任した人々ならわかると思うが、750では赴任してから苦労する。そもそも試験の点数と実用は別、と実感する人も多いはずだ。たとえ800、900とっていたにしても、実地で使えるかどうかなんて度胸次第である。
TOEICで600程度でしかない日本語能力試験一級にスレスレで合格した人の日本語は問題大ありで、決して誇張しているのではなく、ビジネスレベルにはほど遠い。(誤解のないよう添えておくが、1級合格者がすべてTOEICの600点レベルと言っているのではない。合格レベルが600点相当だという意味である。合格者の中には、日本語を母国語と同じように使いこなせる人も大勢いる。)
日本人の中には、履歴書に日本語能力試験1級となっているだけで、「さすが優秀だ」とか「日本語、問題ないね、この人」と判断してしまう人も少なからずいるが、その思い込みは捨てた方がいい。ビジネスレベルかどうかは全くの別問題だ。
と、判定されているのだが、おおむねその通りだと思う。
漢字圏の留学生受け入れについていうなら、人文系の場合は、本人のバックグランド(大学を卒業して来日しているのかどうか、など)によって違いはあるのだけど、標準的な学生像は
日本語一級 教養の授業についていけるかどうか
日本語二級 教養の授業の半分は理解出来ない ビデオ教材だと更に理解出来てない
って感じかな。
日本語能力試験の成績を鵜呑みにして、日本語ができると思って日本語でレポートを書かせると、お互いにたいへんなことになるので、一応、日本語・英語・中国語いずれかで書いて良い、という条件でレポート提出を認めていた。
日本語二級で大学教養レベルの日本語のレポートを書くのはまず無理だと思って間違いない。
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