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2012-07-09

不妊治療は魔法の杖ではない

不妊治療をしている人達の掲示板がある。
情報交換をしてるのだけど、時々、これは困ったな、というヒトも現れる。
 40歳を超えていて未婚、早発閉経、だけど子どもが欲しい
なんてヒトが何人かいる。30代の患者さんは
 同じクリニックに50を超えても不妊治療を続けている人が来ているので、わたしもまだがんばらなきゃと思う
と書いてたりする。30代で不妊治療をするのは普通だけど
 50を超えても不妊治療を続けている
というのであれば、まずはその主治医の
 治療方針
を伺ってみたいモノである。

早発閉経は、一般的な閉経年齢である50歳前後より早く月経が終わってしまうことを指す。
日本で早発閉経を含む卵巣機能不全(POF)外来のある、聖マリアンナ医大生殖医療センターのサイトより。


POF(卵巣機能不全)外来
当院にはPOF(卵巣機能不全)外来があります。POF(卵巣機能不全)外来では、早発卵巣不全(早発閉経、POF:Premature Ovarian Failure)や卵巣機能不全と診断され、不妊治療を目的とした外来になります。

早発卵巣不全・卵巣機能不全とは
早発卵巣不全と診断された場合、どの病院を受診しても、赤ちゃんを授かることは難しいと医師から伝えられてしまいます。なぜかというと、どの国のガイドラインでも赤ちゃんを授かること自体が非常に困難であり、ほぼ不可能とされているからです。多くの場合、卵巣が委縮し女性ホルモンが分泌しません。つまり無月経となります。そのような場合は「ホルモン補充療法」(女性ホルモン投与を行うこと)で、健康を害さないように閉経年齢までコントロールするのが一般的です。しかし単に女性ホルモン投与といっても、健康維持はできるかもしれませんが、妊娠は難しいのです。海外では他人の卵子をもらい、体外受精にて妊娠出産したらいいと考える国もあります。
また、卵巣機能不全とは、早発卵巣不全までは至っていないけれど卵巣機能が衰えている人のことを指します。つまり早く妊娠しなければいけない人です。しかし、なかなか卵巣機能不全になると妊娠自体がかなり難しくなります。

生殖医療センターでの取り組み
当院では早発卵巣不全の方々の治療で数多く成功したやり方を卵巣機能不全の方に行うことで、少しでも早く妊娠して頂きたいと思っています。妊娠確立がゼロに等しいとしても、どうにかして、自分の卵で妊娠、出産をしてほしいと願い、日々研究をかさね、診察を行っています。最近では、卵が何年かぶりに出たり、卵が取れたり、受精したり、妊娠したりといった方々も多くいらっしゃいます。それは月経不順になる前の方々とは比べ物にならないくらい、卵胞形成すること自体が険しい道のりです。しかし今まで確率はゼロに等しいと言われていましたが、ゼロに等しくはないことが分かっています。つまり妊娠出産すること自体が非常に珍しいのですが、私達は委縮した卵巣から、卵子が取れることを確認し、妊娠出産する事を確認しています。
卵巣機能不全も早発卵巣不全も現状は異常です。自然に見ていたらいけません。今が異常なんですから、しっかりとお薬を使うことで、自然のホルモンバランスに戻すのです。それから治療を行っていきましょう。

というわけで、
 ラクダが針の穴を通るよりは高い確率かも知れないが、お金も時間もかかり、かつ「極めて珍しい」とされる妊娠に至るまでの治療
を行っているのが、このセンターである。それにしても
 妊娠確立
という誤字があるのは、大学のサイトとしても、医療機関のサイトとしても、かなり致命的だと思うんだけど、誰もチェックしてないのか。
聖マリアンナ医大では
 卵巣機能不全でも妊娠する可能性はゼロではないので、治療に努める方針
なのだが
 ここは大学病院だから
という性格を見誤ると、
 40歳を過ぎて、早発閉経でも、妊娠できるかも
という
 非常に不幸な誤解を招く恐れ
なしとしない。

上記の紹介文は、非常に読みにくいのだが、よく読むと
 早発卵巣不全で妊娠する可能性がある
とは書いていない。あくまでも
 早発卵巣不全に用いる治療法で、まだ早発卵巣不全に陥ってない段階、卵巣機能不全の状態の患者さんを治療する
と言っているのである。
そうした治療を受ければ、たしかに、卵巣機能不全でも、妊娠に成功する人もいるかも知れない。
出産までこぎ着ける人もいるかも知れない。
でも、それは
 多くの患者さんが妊娠も出産もできずにいる、その中から出てきたほんのわずかな「成功例」
である。
藁をもつかむ思いで、こうした専門外来に通う患者さんが増えてきているようで、聖マリアンナ医大では
 7/1から、医療機関の紹介状なしでは初診を取らない方針
に変わった。

でも、はっきりしているのは、
 早発卵巣不全・卵巣機能不全の疑い
があれば
 ともかく、できる限り早く、病院を受診する
ことだ。そして
 卵巣機能不全であれば、できる限り早く妊娠する
ことだ。そうでなくても、人間が生物である限り、生殖機能は年齢と共に衰える。卵巣機能不全は
 生殖年齢の時計が人より早く進む
のだから、のんびり構えていてはいけないのだ。
妊娠・出産を望んでいるのに、何もせずにいるのは
 自分で自分の「妊娠の可能性」を葬り去る
結果になってしまう。

不妊相談の掲示板を見ていると
 10代で生理が止まった
という方も見かける。両親に理解があって、高校生から治療を受けている、という方もいるのだが、中には
 親に言えなくて、ずっと黙っていた
という方もいる。
 親に言えなくて
が、治療の機会を逃がしてしまったのだと思うと、残念という言葉では表現しきれない。

若い娘の生理が止まる。
妊娠かも知れない。
あるいは早発閉経かも知れない。
どちらにしても、何か
 重大なことが起きている
筈なのだ。普通なら
 親がついて病院に連れて行く
だろう。
娘と一緒に暮らしていて、トイレの掃除をするなら、娘の生理の異常は、周囲がすぐに気がつくことなのだけど、それとも
 そこまで娘に関心は無い
ということなのだろうか。あるいは
 一人暮らし、もしくは母親が何らかの理由でいない家庭
だったのだろうか。

ともかくも、生理周期が安定するはずの
 20代で生理不順
であれば、できるだけ早く婦人科の受診を勧めたい。子どもが欲しいのであれば、早発閉経に至ってしまっては、打つ手はほとんどなくなってしまうのだ。

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