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2012-10-20

iPS細胞心筋移植報道で読売 誤報を認めお詫び@10/13(その5)昨年7月、iPS細胞作成技術の特許をハーバード大学から森口氏とマサチューセッツ総合病院の医師連名で申請していたのを取り下げ

あれ〜?
ハーバード大学が
 森口氏と同大学マサチューセッツ総合病院の医師連名で提出したiPS細胞作成技術の特許申請を取り下げた
というニュースが。
共同より。


森口氏のiPS特許取り下げ 虚偽問題で、米病院

 【ワシントン共同】人工多能性幹細胞(iPS細胞)の臨床応用に関して元東京大病院特任研究員の森口尚史氏が虚偽の発表をした問題で、米マサチューセッツ総合病院は19日、森口氏と同病院のレイモンド・チャン医師を共同発明者とするiPS細胞作製技術の特許を米当局に出願、取り下げていたことを明らかにした。
 同病院によると、出願していたのは知的財産部門で、森口氏の虚偽問題を受けて取り下げた。広報担当者は「正式な出願は2011年7月7日で、森口氏が医師や知的財産部門に強く働き掛けたと聞いている。結果的に虚偽の研究に基づくものと判明したため取り下げた」と説明している。

2012/10/20 08:05

上記記事に依れば、ハーバード大学側は
 森口氏が医師や知的財産部門に強く働き掛けた
って、言ってるけど
 外部の人間が「天下のハーバード大学に強く働き掛ける」ことが可能
なのかどうなのか。てか
 森口氏一人でそんなことが出来たのか
てのが大変に疑問だ。
一体どうなってるの?

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2012-10-19

とってもわかりやすいアメリカ大統領選挙のきほん

オバマ vs. ロムニーで盛り上がる2012アメリカ大統領選挙だが、制度を知らないと今ひとつわかりにくい。
で、
 アメリカ大使館謹製の「2012アメリカ大統領選挙」
というページがとってもわかりやすい。こちら。
2012アメリカ大統領選挙
視覚的にも明快だし、情報量としても適切。

日本の在外公館も
 何かあったら、これくらいわかりやすい解説ページを立ち上げられるか
というと、全くの望み薄であるところが激しく情けない。ま
 プレゼンテーションの訓練
は学校教育に組み込まれてないからね、日本の場合。

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マクドナルドの150円ポテトと無料コーヒーコンボ作戦

何が起きるかよく分からないぞ!
今日から、全国のマクドナルドで
 10:30〜翌朝4:59はポテト全サイズ150円(10/19〜11/2)
マックフライポテトS M L 全サイズ150円
 6:00〜9:00は無料コーヒーサービス(10/19〜10/25 Sサイズ お一人様おひとつまで)
無料でお試し下さい。
という
 24時間中、5:00〜5:59と9:01〜10:29以外は何かがお得なキャンペーン
が始まった。

 朝の無料コーヒー
が、どうなるかちょっとわからんなあ。あまりにナイスすぎる時間帯設定だし。
150円のLサイズポテトを横に、水を飲みながら、マクドナルドの無料Wifi(要登録)でインターネットとかで、混むのだろうか。

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2012-10-18

嗚呼、冷蔵庫さん、ありがとう。

TL上で見かけたので貼っておく。


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2012-10-15

amazonの古本屋「マーケットプレイス」の仁義なき戦い

必要があって、ある作家の文庫本を揃えることになった。
単行本は家に全部ある筈なのだが、同時進行で3つくらい仕事を抱えていて、まとめておいた資料が見つからない。悩んでいてもしょうがないので、amazonで文庫本を頼むことにした。

当然
 どこかにあるのは分かっているが、出てこない書物のスペア
を買うわけだから
 新本じゃなくて古本
を探すことになる。

前々から
 amazon古本屋「マーケットプレイス」のチキンレース
が続いていて、
 どこかがうんと安い値段を付けると、どんどん値段が下方修正される
のが、amazonマーケットプレイスの値付けであり、
 岩波文庫や岩波新書の「品切れ本」の値崩れ
たるや、目を覆わんばかり。ま、
 絶版本だとか品切だとかの赤字の札
をつけて、岩波の文庫や新書を、色を付けて売っていた店売りの古本屋にしてみれば、amazonの古本屋である
 マーケットプレイスは敵
かも知れない。岩波だって、もとはと言えば古本屋から始めたのである。さっき、岩波新書(黄版)の
 脇村義太郎 『東西書肆街考』(1979)
を読んでいたら、
 岩波は古本の定価販売を始めた初めての店
と書いてあったが、
 「現金かけねなし」の正札商売越後屋(現・三越)
みたいなもので、その当時は画期的だっただろうけど、今となっては、
 歴史的事実
だってだけだもんなあ。

それはさておき。目当ての作家の文庫本が
 1円本
になっていたので、カートに放り込んでいくと
 amazonプライムの古本屋が300円未満で販売
しているのに気がつく。1円本は
 送料250円がかかる
上に
 amazonプライムと違って、即日配送にならない
のである。だったら
 急いでるんだから、50円余計に払った方がいいじゃん
ってことになる。

amazonマーケットプレイス畏るべし。

しかし1円本とはね。そんなに人気がなくなっちゃったか。最近ご本人を見かけないんだけど、大丈夫かな。

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2012-10-13

iPS細胞心筋移植報道で読売 誤報を認めお詫び@10/13(その4)"Nature"がこの問題を掲載→"Science"も掲載

今回の
 iPS細胞心筋移植問題
だが、とうとう
 Natureにニュースとして掲載される事態
に。
Stem-cell transplant claims debunked, Transplant of induced pluripotent stem cells to treat heart failure probably never happened.

詳細は上記リンク先の記事をお読み頂くとして、
 Natureに載っちゃう
って、本当だったら科学者としてはうれしいことなんだけど、これは違うな。

続き。(14:51)
Scienceにも載ってしまった。
Breakthrough Stem Cell Results Called Into Question

知人曰く
 凄いインパクトファクター
だって。あとは"Cell"か(違)。

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iPS細胞心筋移植報道で読売 誤報を認めお詫び@10/13(その3)プロが森口氏のこれまでの論文を検証し始めました@twitter

近年
 論文がwebで公開される
ので、
 捏造の疑いのある論文の検証
は、大変楽になってきた。

で。
 森口尚史氏のこれまでの論文の検証
がtwitter上で始められている。
 画像のプロ
が参入しているので、ほとんど時間をかけないで
 アウト判定
が次々と。
okamo41さんがまとめて下さった
 森口尚史氏の論文の同一画像ハイライト
はこちら。


okamo41さん、ありがとうございます。

さらなる詳細は
読売新聞のiPS細胞の誤報から論文の捏造疑惑が判明しました
をご覧下さい。
バイオサイエンスクラスタの研究者の皆さまの鑑識眼は凄い。

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iPS細胞心筋移植報道で読売 誤報を認めお詫び@10/13(その2)各紙対応に追われる→厚労省は森口氏が関わった厚労省科研等の調査へ

誤報をやらかした読売と共同はともかく
 森口尚史氏が登場する記事

 読売以外の新聞も掲載
している。

朝日。


森口氏、iPS研究の詳細説明あいまい 朝日新聞も取材

2012年10月13日0時40分
(略)
 朝日新聞は1996、97年に医療経済研究機構調査部長だった森口氏による肝炎の治療効果分析の記事を2本、2002年には東京大先端科学技術研究センター特任助教授時代の森口氏の診療報酬改定のあり方に異論を唱える投稿を掲載している。

朝日は、2002年以降は取り上げてない模様。

毎日。


iPS臨床問題:「研究成果に疑義」読売新聞、調査へ
毎日新聞 2012年10月12日 22時30分(最終更新 10月13日 03時44分)
(略)
 毎日新聞は森口氏の研究に関する記事を09年の7月から12年8月の間に5本掲載した。09年7月9日朝刊「肝がん細胞からiPS細胞」▽09年9月2日朝刊「肝がん細胞大半を正常化」▽10年2月24日朝刊「薬品投与でiPS細胞」▽12年2月22日朝刊「肝臓がん薬に糖尿病薬」▽12年8月4日朝刊「卵巣凍結でがん治療後妊娠」で、2本は専門家による審査を経た学術誌に掲載されたほか、3本は国際会議で発表したか発表されることが確実だと判断し紹介した。毎日新聞は今後、記事について検証する。

まあ、毎日の場合は、
 検証が必要
ですな。

日経も
 森口氏の関する過去の記事を検証
すると昨日夜表明した。

一番、共同研究者が頭を抱えているだろう事態は
 厚労省が森口氏が関わった厚労省科研等の研究を検証する
と言ってることだろう。NHKより。


森口氏の研究 厚労省が調査へ
10月13日 4時6分

日本人研究者がiPS細胞の移植に世界で初めて成功したとする発表の信ぴょう性が疑われている問題で、厚生労働省は、厚生労働省の予算で行われた研究のうちこの研究者が関わっていた3件について、報告内容に問題がないか調べることを決めました。
この問題はニューヨークで開かれた国際学会で、日本人研究者、森口尚史氏が、iPS細胞から変化させた細胞を世界で初めてヒトに移植したと発表したことに対し、学会を主催した財団が疑義を示し、発表内容を示したポスターを撤去したものです。
厚生労働省によりますと森口氏は、平成10年から平成18年にかけて高血圧の治療を巡る研究や、自治体などが行った健康寿命を伸ばすための対策の効果を検証する研究など、厚生労働省の予算で行われた3つの研究に関わっていました。
いずれの研究も治療や実験を実際に行うものではなく評価や分析をしたもので、森口氏は主任研究者の下で分担研究者として関わっていたということです。
今回の問題を受けて厚生労働省は、この3件の報告書の内容に問題がないか調べることを決め、12日、主任研究者に研究内容を改めて確認し、報告するよう求めました

共同研究者からすると、悪夢以外の何物でもなかろう。


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iPS細胞心筋移植報道で読売 誤報を認めお詫び@10/13→過去記事検索で「森口氏専従記者候補」も判明

結果的に共著者多数を道連れにした
 iPS細胞心筋移植報道
について、読売新聞は
 iPS細胞心筋移植報道は誤報
と全面的に訂正し、お詫びを出した。


【おわび】iPS移植は虚偽…読売、誤報と判断

 iPS細胞から心筋細胞を作り、重症の心臓病患者に移植したという森口尚史氏(48)の研究成果に疑義が生じている問題で、同氏の論文の「共同執筆者」とされる大学講師が論文の執筆に全く関与していなかったことが12日、読売新聞の調べで明らかになった。
 同氏の研究成果については、米ハーバード大の当局者や複数の専門家も真実性を否定していることから、読売新聞は同日、同氏の説明は虚偽で、それに基づいた一連の記事は誤報と判断した。
 大学講師が共同執筆者であることを否定しているのは、森口氏が心筋細胞の移植の研究成果をまとめたとする論文。森口氏は本紙記者に対し、この論文は「ネイチャー・プロトコルズ」誌に掲載予定と話していた。
 同論文は森口氏を含む5人による共同執筆となっていたが、大学講師は同日、本紙の取材に対し、「森口氏とは約5年会っておらず、論文に名前が使われることは全く知らなかった」と語った。また、別の共同執筆者の大学教授は、ハーバード大の倫理審査について森口氏に尋ね、「クリアになった」と回答されたという。同大は倫理審査での了承を否定している。
 森口氏が先月、同誌に投稿した記事についても、共同執筆者の1人とされた大学助教が「知らなかった。私は研究に関与していない」と大学当局に話した。
 一方、森口氏は「東大医学部iPS細胞バンク研究室に所属している」と称していたが、東大によると、こうした研究室は実在しないという。同氏が「東京医科歯科大と行った」としていた共同研究については、同大が同日、「ここで行った事実はない」とのコメントを発表した。
 東大病院、東京医科歯科大は同日、森口氏が関係したとして発表された論文や研究の検証を始めることを明らかにした。
          ◇
 YOLに掲載されたiPS心筋移植に関連する記事に誤りがありました。おわびします。

(2012年10月13日07時01分 読売新聞)

というわけで、
 読売と追随した共同通信が誤報
ってことですね。問題は
 共同通信の場合は、地方紙等がそのまま配信を掲載
しちゃったってことで、産経も共同配信を掲載したので、誤報に荷担した。

読売が誤報を認め、削除する記事は以下だそうで。


11日朝刊などに記事掲載
 読売新聞の「iPS心筋移植」に関する記事の報道の経緯は以下の通り。

 まず、11日朝刊の1面及び3面「スキャナー」と同日夕刊の1、2面に、「iPS心筋を移植」「iPS実用化へ加速」などの見出しの記事を掲載した。いずれも、森口氏がiPS細胞から作った心筋細胞を重症の心不全患者に移植する治療を実施したという事実を前提としており、主要部分に誤りを含んだ記事だった。
 さらに、12日朝刊では、締め切り時間の早い12版全紙と首都圏近郊などに配られる一部の13版の1面に、「iPS 新手法で作製」「臨床応用へ開発広がる」という見出しの記事を掲載した。これも前提が誤った記事で、締め切り時間の最も遅い14版全紙と13版の残りの新聞からは削除した。
 このほか、同日朝刊では、12版全紙と13版の一部地域の社説や、13面「基礎からわかるiPS細胞の未来」の記事の中にも、「森口氏がiPS細胞から作った心筋細胞を心不全の治療に応用した」とする内容の記述があり、14版などでその部分を削除し書き直した

(2012年10月13日07時11分 読売新聞)

とまあ
 世紀の大誤報クラスの誤報
なので、今後、読売と共同通信は幹部の更迭は必至じゃないかな。

畏友が調べてくれたので、記事検索を掛けると、森口氏と読売とのつきあいは
 2006年2月28日付のイレッサに関する記事
からである。
基本的に
 日本のメディアには一部を除いて、M持ちとかD持ちの科学記者はごく稀
である。従って
 専門のことはさっぱり分からないけど「記事にする」
ことになるわけだ。その時
 メディアが重宝する「学識経験者」
が存在する。こうした
 取材に応じてくれる「学識経験者」
というのは、大体それぞれの部署が管理していて、記者が異動しても、
 科学部なら科学部、文化部なら文化部で継承
していく。だから
 一度取材された研究者が何度も出てくる
ということになるわけだ。恐らく森口氏の場合も
 2006年以降、読売の「科学部用学識経験者リスト」に入っている
のだろう。


抗がん剤イレッサ 延命効果、遺伝子が決定 東大助教授「無駄な投与回避も」
2006.02.28 東京夕刊 22頁

 副作用が問題となっている肺がん治療薬「イレッサ」(一般名ゲフィチニブ)が効くかどうかを決める遺伝子の変異を森口尚史・東大先端科学技術研究センター助教授らがほぼ特定した。延命効果を期待できる患者は、この遺伝子変異がある人か、非喫煙者に絞られるという。無駄な投薬の回避につながる可能性がある。英医学誌「ランセット」に発表した。
 同センターとソウル大医学部、東京医科歯科大の共同研究で、対象患者は、韓国人、中国人、台湾人計135人。腺がんなどの非小細胞肺がんの進行期にあって、他の薬物療法で効果が得られずにイレッサを使った患者を抽出し、個々のデータを詳しく分析した。
 注目したのは、細胞の増殖などを制御するL858Rと呼ばれるたんぱく質の遺伝子の変異。この変異がある患者の平均生存期間は22か月で、変異がない患者の9・3か月と比べて1年以上の延命効果が確認された。非喫煙者の場合は平均生存期間は24・3か月で、喫煙者の7・4か月より3倍以上長かった。
 森口助教授によると、L858Rの変異は、喫煙者にはほとんどみられない。喫煙歴のある非小細胞肺がんの患者に過剰に現れるAKR1B10という分子が遺伝子変異を抑え、イレッサの効果を激減させている可能性もあるという。

この"Lancet"に発表したという論文がこちら。
Gefitinib for refractory advanced non-small-cell lung cancer

ハーバード大学と東大と東京医科歯科大学がこれから森口氏の関わった論文を精査するとのことなので、その内結果が出るだろう。

次に登場するのが、
 2009年9月2日付の肝臓のがん細胞9割が正常に戻る実験についての記事
である。


肝臓のがん細胞9割が正常に戻る マウス実験で成功/ハーバード大
2009.09.02 東京朝刊 2頁

 肝臓のがん細胞のほとんどを、正常な細胞に変化させることに、米ハーバード大の森口尚史研究員(肝臓医学)らが、マウスの実験で成功した。遺伝子と化学物質を使う手法をとった。新たながん治療につながる成果で、2日から米ボストンで開かれる幹細胞シンポジウムで発表する。
 研究チームは、がん細胞の7割近くを正常な細胞に変えられる2種類の化学物質を発見。がん細胞の一部を正常な細胞に変える能力を持つ遺伝子とともに、人のがん細胞を移植したマウスの肝臓に導入した。
 その結果、マウス8匹はすべて8週間生きており、がん細胞の85~90%は見た目も性質も正常な細胞となっていた。

これもどうなんだろう?
そして
 2009年11月8日付の「[iPSどこへ行く](下)研究体制の差 戦略無く周回遅れに」
では
 山中伸弥先生を批判する研究者
として、紹介されている。


[iPSどこへ行く](下)研究体制の差 戦略無く周回遅れに(連載)
2009.11.08 東京朝刊 17頁

 世界に先駆けて新型万能細胞(iPS細胞)を作製した京都大の山中伸弥教授は研究、講演、政府との折衝と、日々めまぐるしい忙しさだが、欠かさないことがある。毎月の渡米だ。
 行き先は米カリフォルニア大サンフランシスコ校内にあるグラッドストーン研究所。狙いは「研究の最新情報を仕入れること」。国内にいるだけでは激烈な研究競争に勝てないという危機感が後押しする。
 同研究所の研究スタッフは350人。最新の実験機器に加え、博士号を持つ技術員や知的財産権の専門家らをそろえた手厚い陣容が、世界各地から集まる研究者を支える。
 年間予算は60億円。連邦政府や州が拠出するほか、研究所の持つ基金や一般からの寄付で成り立っている。
 これに対し、山中教授が率いる研究室の昨年度の研究費は、文部科学省や科学技術振興機構などからの助成金をかき集めても約16億円。この中には他大学との共同研究費も含まれる。
 山中教授がトップを務め、山中研究室も入る京大iPS細胞研究センターも、学生や事務職員まで含めて140人余の陣容だ。海外からはドイツの研究員、韓国と台湾の留学生の3人だけ。山中教授は「知財や契約、患者への情報発信など専門性の高い人材を確保するのは大変」と語る。
 日本が再生医療分野に投入するのは年200億円ほど。米国では、国立衛生研究所だけで年940億円の予算を組み、複数の大学や研究機関に配分している。
 けた違いの投資をする米国に対抗し、内閣府は今年9月、最先端研究開発支援プログラムを発表した。山中教授のグループには研究費として手厚い予算が割り当てられる見通しだが、事はそう単純ではない。
 山中教授への一極集中投資を疑問視するのは、米ハーバード大研究員も務める東京大の森口尚史特任教授だ。「iPS研究には、化学や数学など幅広い分野の研究者の参画が欠かせない。限られた研究者に資金が集中すれば、研究の遅れを招く」
 もう一つの万能細胞である「胚(はい)性幹細胞(ES細胞)」を研究する中辻憲夫・京大教授も7月の講演会で訴えた。「ES細胞でも素晴らしい成果が出ているのに研究費がなく、来年からは続けられない」
 戦略の無さは結果に表れている。例えば今年7月にスペインで開かれた再生医療分野の国際学会。米国の発表件数は500件以上だったのに対し、日本からは100件余。先頭を走っていたつもりの日本が今、周回遅れのランナーになりつつある。(この連載は、今津博文、小日向邦夫、米山粛彦が担当しました)

この記事は署名記事なので
 森口氏を「知恵袋」としていた
のは
 今津博文記者、小日向邦夫記者、米山粛彦記者の内の何人か
であることが判明した。今回の
 誤報に荷担した張本人の記者
には
 この3人の内の何人かが含まれている
と思われる。新聞記事は、取材した記者以外にも、デスク等
 部署の上の職位の人達との共同作業で掲載される
わけで、関わっている記者は、今回読売が誤報とした記事に署名している記者以外にもいるわけが、名前は記事には直接表に出てこない。

そして2010年にはこんな記事に登場。


肝臓がん細胞からiPS作製 米大の日本人研究員ら
2010.02.24 東京朝刊 2頁 

 肝臓がんの細胞に低分子化合物を加えるだけで、人間のiPS細胞(新型万能細胞)を作り出すことに成功したと、米ハーバード大の森口尚史研究員らが23日、東京で開かれた国際会議で発表した。遺伝子操作を伴わない安全なiPS細胞の作製につながる方法で、再生医療の実現に向けた一歩として注目されそうだ。
 山中伸弥・京都大教授が開発したiPS細胞の作製方法は、皮膚細胞などに3~4種類の遺伝子を導入する。この方法では細胞の染色体が傷ついたり、発がん性のある導入遺伝子が細胞内に残留したりし、がん化しやすいのが課題だった。
 森口さんらは、肝臓がんの細胞では元々、必要な遺伝子が過剰に働いていることに着目。化合物や抗がん剤で遺伝子の働きを10分の1~3分の1に抑えて正常な肝臓細胞に近い状態にした後、遺伝子の働きを少し元に戻すとiPS細胞ができた。がん細胞は染色体の数などに異常があるが、作られたiPS細胞は正常で、肝臓や腸管、筋肉などの細胞に変化させることができた。

さてね、読売はどうするんだか。
しかし
 2006年以降6年間「知恵袋として利用」
してたっぽいですな、読売。

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2012-10-12

iPS細胞心筋移植報道で読売 反省の弁@10/12→NHK 今夜の「ニュースウォッチ9」で事前に取材していた記者が解説の予定→追記と訂正あり

今回の
 iPS細胞心筋移植報道騒動

 科学関連取材に「弱い」読売が「トバした」
ってことのようで。
先ほど、読売が反省の弁をwebに掲載した。


「iPS心筋移植」報道、事実関係を調査します

 読売新聞は11日朝刊1面「iPS心筋を移植」の見出しで、森口尚史氏らが、あらゆる種類の細胞に変化できるiPS細胞から心筋の細胞を作り、重症の心不全患者に細胞移植する治療を6人の患者に実施したことが分かったと報じました。また、同日朝刊3面「スキャナー」でも「iPS実用化へ加速」の見出しで、iPS細胞の実用化に向けた手続きや倫理上の問題点を指摘しました。同日夕刊1面では、ニューヨーク市内で行った森口氏のインタビュー記事も掲載しました。
 ところが、この成果を口頭で発表するはずの日本時間11日、ニューヨーク幹細胞財団主催の国際会議の会場に森口氏が現れず、ハーバード大は同日深夜、「森口博士の研究に関連するいかなる臨床研究もハーバード大及びマサチューセッツ総合病院の倫理委員会によって承認されていない」との声明を発表しました。森口氏の成果に疑義が浮上したのです。
 本紙記者は、事前に森口氏から論文草稿や細胞移植手術の動画とされる資料などの提供を受け、数時間に及ぶ直接取材を行った上で記事にしました。
 森口氏は本紙記者のその後の取材に対し、「(取材に)話したことは真実だ」としていますが、報道した内容に間違いがあれば、正さなければなりません。
 現在、森口氏との取材経過を詳しく見直すとともに、関連する調査も実施しています。読者の皆様には、事実を正確に把握した上で、その結果をお知らせいたします。
(2012年10月12日15時32分 読売新聞)

この森口尚史氏のこれまでの「業績」はCiNiiで検索すると出てくる。


森口尚史

検索結果:  19件中 1-19 を表示

1 小児癌治療を支える磁場下過冷却凍結技術の開発 (解説特集 外科医を支援する生体医工学)
森口 尚史 , 三原 誠
生体医工学 49(5), 685-688, 2011-10
2 P2076 介護型老人福祉施設入所者における2年間の事故動向の分析 : ケアワーカーによるリスクマネジメント活動第一報
上村 隆元 , 森口 尚史 , 原 慶子 , 吉澤 潤子 , 角田 透
産業衛生学雑誌 47(臨時増刊号), 777, 2005-04
CiNii PDF - オープンアクセス 医中誌
3 時論 日本における先端医療方法の特許と先端医療政策
森口 尚史
日本医事新報 (4091), 59-61, 2002-09-21
医中誌
4 急性上気道感染症に対する抗菌薬の評価
森口 尚史 , 上村 隆元 , 佐藤 千史
日本医事新報 (4039), 26-29, 2001-09-22
医中誌 被引用文献3件
5 日本語版HUI3(Health Utilities Index 3) : 健常集団に対する測定特性の検討
上村 隆元 , 森口 尚史 , FEENY David , FURLONG William , 池田 俊也 , BOSCH Johanna L. , 白鞘 康嗣 , TORRANCE George W.
日本衞生學雜誌 56(1), 223, 2001-04-01
医中誌
6 座談会 医療経済効果からみた高脂血症治療の意義
五島 雄一郎 , 横山 信治 , 森口 尚史 [他]
日本医事新報 (4013), 37-45, 2001-03-24
7 HUI3(Health Utilities Index 3)を用いた職域における健康効用値測定の試み
上村 隆元 , 森口 尚史 , 白鞘 康嗣 , FEENY David , FURLONG William
産業衛生学雑誌 = Journal of occupational health 43, 249, 2001-03-10
医中誌
8 ひろば 医薬品承認審査に関する米国の動向
森口 尚史
週刊社会保障 53 (2045), 56-57, 1999-07-12
9 ひろば 医薬品承認審査官養成プログラムの必要性
森口 尚史
週刊社会保障 53 (2038), 56-57, 1999-05-24
10 看護婦が戦略的な病院経営に貢献
森口 尚史
週刊社会保障 53 (2032), 56-57, 1999-04-05
11「高血圧に対する減塩療法」の疑問
森口 尚史
週刊社会保障 52(2005), 56-57, 1998-09-21
12 ひろば FDA近代化法と臨床試験
森口 尚史
週刊社会保障 52(1997), 56-57, 1998-07-20
13 ひろば 米国における反マネ-ジドケアの動き
森口 尚史
週刊社会保障 52(1989), 56-57, 1998-05-25
14 日本と欧米で異なる胃癌診断基準
森口 尚史
週刊社会保障 52(1981), 64-65, 1998-03-23
15 慢性関節リウマチに対する臨床経済研究
森口 尚史
週刊社会保障 52(1973), 56-57, 1998-01-26
16 C型慢性肝炎に対するインタ-フェロン再投与の保険適用をめぐる諸問題に関する考察
森口 尚史
社会保険旬報 (1961), 20-27, 1997-10-01
17 脳死・臓器移植に関する新聞記事の調査
中山 栄純 , 林 由美子 , 森口 尚史 [他]
公衆衛生 61(4), 288-289, 1997-04
医中誌
18 医療経済研究の散歩道--C型慢性肝炎に対するインタ-フェロン療法の臨床経済研究
森口 尚史
総合社会保障 34(11), 48-52, 1996-11
19 平成の刑事政策に何を望むか〔刑事政策に関する懸賞論文優秀賞〕
森口 尚史
罪と罰 28(1), p47-54, 1990-10

ご覧頂くと分かるけれども
 iPS細胞に関する論文は1本もない最近の1本だけ
みたいなのである。
ま、iPS細胞の研究は2006年以降に始まるので、2006年以降の論文というとこれ1本だから、それしかない、ということになる。
それで臨床応用したというのだけど、とっても不思議。
さて、そのiPS細胞に関する論文がこちら。
小児癌治療を支える磁場下過冷却凍結技術の開発 (解説特集 外科医を支援する生体医工学)(PDF)
だ。
結論部分だけ、引用しておく。


 本論文では、まず、小児癌患者に対する核心的な治療法の開発基盤となりうる磁場下過冷却凍結法に関する最新の基礎的検討を紹介した。特に変動磁場が過冷却現象の促進と安定化に寄与することが証明されつつある点は特筆事項であると思われる。また、ラットの卵巣やラットの各種組織あるいはヒトiPS細胞の磁場下過冷却凍結実験から、変動磁場の過冷却に対する有効性が示唆された。

ところで、ハーバード大学は今回名前を使われたことに激怒しているようだ。読売より。


ハーバード大、「iPS細胞移植例ない」と説明

 iPS細胞(新型万能細胞)の心筋移植をめぐる森口尚史氏(48)の研究成果に疑義が生じている問題で、米ハーバード大学当局者は日本時間の12日朝、読売新聞の取材に対し、「iPS細胞移植に関する森口氏の話はうそだと確信している」と語り、今後、同氏の全研究成果を調査する方針を明らかにした。
 森口氏はハーバード大の「客員講師」を名乗っていたが、同当局者によると、同氏がハーバード大に属していたのは、1999年11月から2000年1月初旬までの1か月余りだけ。それ以降は、同大及び同大傘下のマサチューセッツ総合病院とは何の関係もなくなっているという。 また、同当局者によると、森口氏が行ったとする心筋細胞の移植のためには、同大の倫理審査委員会の同意が必要だが、それを示す記録は一切なかった。森口氏は読売新聞などの取材に対し、「同大傘下のマサチューセッツ総合病院の複数の患者に細胞移植を行った」とも話したが、同当局者は「マサチューセッツ総合病院では、だれ一人として、そんな移植は受けていない」と強調した。
 さらに、森口氏が「少なくとも2本の論文について、同大倫理審査委の承認を得た」と主張していることについて、同大当局者は「大学の調査の結果、そうした事実がなかったことが確認された」と語った。同大は森口氏が発表した過去の論文すべてを調査する方針で、結果次第で森口氏のすべての論文の信頼性がなくなることもありうるという。

(2012年10月12日15時32分 読売新聞)

ということで
 今後、同氏の全研究成果を調査する方針
である。ということは上記iPS細胞の論文も、ハーバード大学の厳正な調査の俎上にのせられることになるわけね。
実は森口氏とは無関係であるとされる
 マサチューセッツ総合病院
と、実際に関係しているのは、上記論文「小児癌治療を支える磁場下過冷却凍結技術の開発 (解説特集 外科医を支援する生体医工学)」の共著者の三原誠氏なんだが、その辺り、共同研究者にも事情を伺ってみたいところである。一体どうなっているんだろう?
三原氏の経歴を見る限り、三原氏と心筋研究は直接結びつかないのだが。。。もし、今回の件が何かのとばっちりで、単にダシに使われただけなのだとしたら、三原氏には大変お気の毒だ。

読売の失態に、現在朝日がガンガン追い込みを掛けてるところ。


「初のiPS臨床応用」 読売新聞報道、大学は関与否定
2012年10月12日13時40分

 iPS細胞(人工多能性幹細胞)を使った臨床応用を、米ハーバード大の日本人研究者らが世界で初めて行ったと、読売新聞が11日付朝刊で報じた。ハーバード大学や関連病院の4施設は11日夜、この人物とは現在、関係はなく、「彼に関係するいかなる研究も承認していない」とする声明を発表した。
 読売新聞の11日付朝刊1面によると、東京大学客員研究員の森口尚史・米ハーバード大客員講師らが今年2月、iPS細胞から心筋細胞を作って、重症の心不全患者6人に移植する世界初の臨床応用を行ったとしていた。この臨床応用は、ハーバード大の倫理委員会から「暫定承認」を得たもので、米国の国際会議で発表するほか、英科学誌ネイチャー・プロトコルズ電子版で近く論文発表するとしていた。
 これに対し、ハーバード大は11日の声明で「森口氏は1999年から2000年まで(1カ月間)は研究員だったが、それ以降、関係していない。大学や病院の倫理委員会は、彼に関係するいかなる臨床研究も承認していない」と説明した。大学の関連病院のマサチューセッツ総合病院の広報担当者も朝日新聞の取材に「ニューヨークの国際会議で報告したとされる彼の研究は当病院でなされたものではない。彼の仕事について話せることは何もない」と話した。
 また、森口氏がこの臨床応用を発表するとしていた国際会議の会場に、森口氏は研究成果のポスターを掲示していたが、国際会議を主催する「ニューヨーク幹細胞財団」の広報担当者は11日、「ポスターは取り外した。森口氏はここにはいない」と朝日新聞の取材に語った。
 理由について同財団は「森口氏のポスター掲示にハーバード大学から合理的な疑義が寄せられたため」としている。広報担当者によると、ウェブで参加登録をした研究者は誰でも、ポスターを示して研究成果を説明することができるといい、審査などはないという。
 森口氏は11日、朝日新聞の取材に応じ「マサチューセッツ総合病院で、iPS細胞を使った臨床応用に世界で初めて成功したのは事実」としながら、心筋細胞の移植はだれが行ったのかなど、具体的な説明は一切しなかった。
 また、森口氏が「論文を投稿する」と説明したネイチャー・プロトコルズの編集部は「該当する論文は受理されていない」としている。
 森口氏は現在、東京大学病院の特任研究員。厚生労働省によると、医師の資格はなく、看護師の資格をもっているという。

■読売新聞、事実を確認中
 読売新聞は12日付朝刊1面(一部地域)で「iPS移植 発表中止」の見出しで、森口氏が発表する予定だった学会会場に現れなかったことや、ハーバード大が森口氏と協力関係にないと表明したことを報じた。
 読売新聞広報部は朝日新聞の取材に対し、関係者に事実関係を確認中としている。
 11日に「iPS細胞を使った移植手術を実施」などとする記事を配信した共同通信は「森口氏の学会でのポスター発表について本人に取材したうえで出稿した。国内研究者から疑義が出ていることや検証が必要であることなどをあわせて報道している」(総務局)と取材にコメントした。

■田中文科相「影響大きい」
 田中真紀子文部科学相は12日の閣議後会見で、読売新聞などが報道した森口氏の「臨床応用」について、「誤報であればいいが、犯罪性というか、そういうことがあったとすれば、由々しき問題だ。まじめに研究している他の分野の方に与える影響も大きいと思うし、残念」と語った。

真紀ちゃんにまで
 突っ込まれている状態
で、森口尚史氏、無事に帰国できるのかどうか、そっちが心配。
それにしても
 ポスターセッションは、web登録すれば誰でも参加できて、審査はない
って、
 どんなトンデモ理論でも参加料さえ払えば発表できるってこと
なのか???
いろんな意味で恐ろしい国際会議だな。

続き。
NHKが今夜の「ニュースウォッチ9」で今回の件について解説するとか。



NHKも、事前に森口氏と接触していたようだけど、読売のように飛びつかなかった。
 何故NHKは昨日報道しなかったか
という話になるんじゃないのかな。

更に続き。
森口尚史氏が「成功した」と公表していた
 iPS細胞を利用したC型肝炎治療
について、東京医科歯科大学が正式に否定した。朝日より。


読売新聞のiPS報道、東京医科歯科大が否定
2012年10月12日18時2分

 東京医科歯科大は12日記者会見を開き、日本人研究者が同大と、iPS細胞(人工多能性幹細胞)を使ってC型肝炎の新しい治療法を開発したとする読売新聞の2010年の報道について、「同大で研究実験を行った事実はない」と発表した。
 この研究者は、東京大病院の森口尚史特任研究員。11日付読売新聞は森口氏が、iPS細胞を重い心臓病の患者に移植する治療に成功したと報じたが、森口氏が客員講師を務めていると自称する米ハーバード大などは11日、「彼に関するいかなる研究も承認していない」との声明を発表している。

問題の読売の記事は、2010年5月1日付の記事。


iPS細胞を使って C型肝炎治療法発見
2010.05.01 東京朝刊 2頁 (全119字) 

 ヒトのiPS細胞(新型万能細胞)などを使って、C型肝炎を治療する効果的で副作用も少ない薬の組み合わせを見つけ出すことに森口尚史・米ハーバード大学研究員らと東京医科歯科大学のグループが成功した。ヒトiPS細胞を創薬研究に活用した初のケース。

えええっ?
2年前から何やってたんだ?

その後、時事が少し詳しい記事を出している。


記事の研究「事実ない」=iPS問題で東京医科歯科大
 人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使って米国で移植治療を行ったとされる日本人研究者の発表内容に疑義が生じている問題で、東京医科歯科大学は12日、研究者の森口尚史氏がiPS細胞を利用してC型肝炎の薬の効果的な組み合わせを発見したとする2010年5月の読売新聞の報道について、同大で研究を行った事実はないと発表した。
 同大によると、森口氏は1995年、同大大学院を修了。97年から09年にかけ、同大医学部保健衛生学科で非常勤講師を務めたが、iPS細胞を用いた実験や研究は全く行っていなかったという。
 一方、森口氏の今回の発表や、読売新聞が報じた10年のiPS細胞に関する発表では、恩師だった同大の佐藤千史教授が共同研究者として名を連ねていた。
 ただ、佐藤教授はiPS細胞の研究をしたことはなく、森口氏から送られてきたデータの結果と考察に矛盾がないかチェックする作業にとどまっていた。
 読売新聞は10年5月1日付朝刊で、「iPS活用、初の創薬」の見出しで報じていた。
 読売新聞グループ本社広報部の話 現在、事実関係を調査中です。(2012/10/12-20:28)

てことは
 2010年から読売と森口氏の関係
が出来上がっていて、今回の報道になったってことか。こういう場合
 ある特定の記者との関係
で記事になることが多いんだが、読売の医学・科学担当の取材体制とか裏取りとかどうなっているのやら。
共同研究者に名を連ねた恩師もとんだとばっちりだ。こうした
 共同研究者として連名してほしい
と言われた場合、相手を信用しているから、普通は割にチェックは厳しくなかったりするわけで、今回のような
 まさか、そんな
というような事が起きた時に、共同研究者は災難である。

実は、森口氏の博論は、C型肝炎に関するもので、東大がリポジトリで全文公開している。
ファーマコゲノミクス利用の難治性C型慢性肝炎治療の最適化(PDF)
2007年9月13日に東大工学系研究科先端学際工学専攻から博士(学術)の学位を受けた論文である。
最後に謝辞があって、ハーバード大学マサチューセッツ総合病院の教員にも感謝を捧げているのだが、この辺りから、今回の
 マサチューセッツ総合病院での治療
って話に繋がって行くのだろうか? 森口氏はアメリカの医師免許も日本の医師免許も持ってない。当然ながら直接iPS細胞を使った先進的な治療行為に関わることは出来ない筈だ。

皆目分かりませんなあ。

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祝! 山中伸弥先生 ノーベル生理学・医学賞受賞!!!(その3)京大の学術情報リポジトリでノーベル賞受賞関連論文を公開→山中先生最初の学術論文はスポーツ医学関連(1989)

京大の学術情報リポジトリ「KURENAI」が昨日から
 ノーベル生理学・医学賞受賞のもととなった論文を公開
している。
Induction of pluripotent stem cells from mouse embryonic and adult fibroblast cultures by defined factors.(PDF)
こちらはマウスからiPS細胞を作ったときの論文。
翌2007年のヒトからiPS細胞を作ったときの論文はこちらからダウンロードできる。
Induction of Pluripotent Stem Cells from Adult Human Fibroblasts by Defined Factors

その他の関連論文も、図書館機構に専用ページを設け、いくつかがリポジトリからダウンロードできる。
図書館機構 : 山中伸弥教授のノーベル賞受賞関連論文が図書館ホームページからご覧いただけます!

是非、ご覧下さい。

ところで、上記に列挙されている内、1989年の
 山中伸弥、 尾原善和「Short type のトライアスロンにおけるスポーツ外傷・障害の実態調査」臨床スポーツ医学 6(別冊), 417-420, 1989
が山中先生の最初の学術論文なのかな。この研究から今回ノーベル生理学・医学賞を受賞したiPS細胞に至るというのは、なかなか壮大なドラマではないか。しかも、最初の論文からまったく研究分野の違う今回のノーベル賞受賞までに
 たった23年の時間しか経ってない
のだ。iPS細胞の研究を始めてからなら、もっと時間は短い。

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2012-10-08

祝! 山中伸弥先生 ノーベル生理学・医学賞受賞!!!(その2)記者会見(途中まで)

先ほどまで日テレニュース24で
 京都大学での山中伸弥教授会見
を生中継してたので、聞き取れた分だけ、とりあえずアップ。一回聞いただけで、全部文字起こしができてるわけじゃないので、その点はご容赦を。


山中教授会見 日本の後押しがなければ、こんな賞はもらえなかった。まさに日本国、日本の国が受賞したものだ。
奈良先端科学技術大学院大学で初めて研究室を与えて貰った。独立したポストをもらって、国から支援を頂いて、研究を続けられた。
(そこで得た成果をもとに)京都大学に移って、・・・さらに大きな成果を得られた。
非常に大きな国からのご支援を頂いた。そうしたご支援がなければ、今日のストックホルムからの電話というのはかかってこなかった。
感想を一言で言えば、感謝という言葉しかありません。
感謝する対象は、日本のみなさん、京都大学の総長をはじめとするみなさん、研究を支えてくれている高橋和則くんを始めとする若いみなさん、支援してくれる友人、また家族に心から感謝の意を表したいと思います。
母が八〇を超えておりまして、母に報告できたのが、うれしいです。
義理の父は医師でしたが、今年初めに亡くなり、報告できなかったのが残念です。でも天国でわたしの本当の父とよろこんでくれているのではないかと思います。
喜びと同時に、大きな責任も感じています。・・・まだ医学や薬の開発に役立ったというところまで来ていません。代表して受賞したということは、光栄でありますが、さらにこれから研究を続けて、本当の社会貢献を実現させたい、という気持でいっぱいであります。
この何日間か、いつも支えていただいている国民のみなさまに、できるだけ自分の言葉に伝えたいと思っていますが、その後は速やかにわたしの仕事の場に戻って、来週からは研究室に戻って、論文も早く出さないと、学生さんも待っていますので、これがわたしの仕事ですから。
過去の成果に対する評価はこれからの発展への期待も大きいので、これからも現役の研究者として仕事を続けていきたいと思います。
今回J.ガードン先生と一緒に受賞できたのが一番うれしいです。カエルの細胞で、核移植といういまわたしたちのやっている研究のもとになったものです。その研究が出来たのが、わたしの生まれた年でした。ガードン先生はいまでも現役の研究者として活躍されていますので、わたしもそのように研究を続けていきたいと思います。
アメリカのグラッドストーン研究所からも推薦を受けての受賞と聞いています。わたしが研究者としてのトレーニングを受けた研究所です。毎月、渡米しては、最新の研究情報を得ているところです。グラッドストーン研究所からのサポートがなければ今回の受賞はありませんでしたので、そのことにも感謝の意を表したいと思います。

NHK記者からの質問。「どんな感想をもったか」
「どこが評価されたか」
受賞をどうやって知ったか。家におりまして、洗濯機ががたがた音をするので、洗濯機を直そうとしてたら、携帯電話が鳴りまして、それが英語でありまして、それで知りました。
感想はさきほども少し述べましたが、やはり、なんというか、日米をずっと往復しております。特にアメリカにノーベル賞に適する研究電話が掛かってきたというのが、本当に何か、電話でいっておられるのが本当かどうか信じられない、という気持でした。わたしも多少なりともノーベル賞の受賞の仕組みを知っていますので、今回の受賞は日本の国としての支援のたまものである、と思いました。
J.ガードン先生は、核の初期化を最初に示された先生です。まちがいなく、J.ガードン先生のお仕事がなければ、わたしたちの仕事もありませんでした。この50年間にいくつかのキーとなる成果がありましたので、先人、いまも活躍されている先生もいらっしゃいますので、そういった先生方のおかげである、と思いました。
10年くらいまえに、奈良先端にいたころですが、新聞にコラムを書いたことがあります。研究者の仕事は真理を明らかにすることだ。真理というのは何枚ものベールに覆われていて見えないものだ。何十枚ものベールに覆われている。真理を追い求めることが仕事だ。殆どの場合は、一枚だけベールをめくるだけなのだけど、ラッキーな研究者はたまたま一枚めくったら真理が見えることがある。どの一枚も大事なんだ。
J.ガードン先生が最初の一枚をめくられて、その後たまたま一枚めくったらiPS細胞が見えたのがわたしたちだ。
昔のその一枚一枚が大切だと言う気持は忘れていませんし、一緒に仕事をしている若い研究者の人たちにもそれを忘れて欲しくないです。
毎日新聞 総理からはどんな声を掛けられましたか。
総理大臣と直接話をするのは生まれて初めてで、緊張してましたので、覚えているわけではないのですが、野田総理の方から「おめでとうございます。日本国全員を元気づける受賞で、おめでとうございます」
毎年20億円以上いただいています。一つの成果として今回の受賞がありましたが、わたしたちの仕事はiPS細胞の医療応用だと思いますので、そちらの仕事を進めていきたいです。
(総理からは)「おめでとうございます。」と何度も。
自分は言えたかどうかわからないのですが、国からの支援をいただいたからこそ受賞できた、と。最初のiPSも国からの支援でできたことですし、その後も国からの支援できた仕事です。
毎日新聞 別な記者 (聞き取りにくい)
受賞の知らせを受けたときは、家族の何人かは家におりましたが、このような知らせは伝えてもぴんとこない。茫然としているというのが、私自身もそうでしたが。母親にもすぐ電話で伝えまして、母親もなにかきょとんとしていたようで。そういう印象を受けました。
(母親はなんと?) よかったなあ、と言ったような気がします。
J.ガードン先生とは最初にお会いしたのはまだiPSを作るのに成功する大分前、2002とか2003、日本に学会でこられて初めてお会いして。印象は、正直な印象は、J.ガードン先生はとっても美しい髪の毛をされておりまして、うらやましいな、と。第二印象はいまでも現役で、自分で実験をされていると聞いて驚きました。
常に論文を読んで居られて、常にディスカッションをするのですが、學者というのはこうじゃなくてダメだなあと教えられる方です。

ここで(20:29頃)真紀ちゃんから電話。中継はここでお仕舞いだった。

おまけ。
ここから、140字以内で
 山中先生とガードン先生に祝福の言葉
が送れます。
Greetings to the 2012 Nobel Laureates in Physiology or Medicine

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祝! 山中伸弥先生 ノーベル生理学・医学賞受賞!!!

いま、ノーベル賞の公式サイトが配信したLive webcastで
 ノーベル生理学・医学賞
が発表されたところ。
 Sir John B. Gordon

 山中伸弥京大教授
が受賞した。
山中伸弥先生、おめでとうございます。
そして、厳しい実験を支えた奈良先端科学技術大学院大学の当時の助手の高橋和利さん(現在は京大講師)を始めとするラボの皆様、おめでとうございます。

こちらは京大の発表。
山中伸弥 iPS細胞研究所長・教授がノーベル生理学・医学賞を受賞 (2012年10月8日)

NHKニュースが簡にして要を得ている。


ノーベル医学・生理学賞に山中伸弥さん
10月8日 18時39分

ことしのノーベル医学・生理学賞の受賞者に、体のさまざまな組織や臓器になるとされる「iPS細胞」を作り出すことに成功した京都大学教授の山中伸弥さんが選ばれました。
日本人のノーベル賞受賞は19人目で、医学・生理学賞は昭和62年以来2人目です。

山中さんは大阪市生まれで50歳。
神戸大学医学部を卒業し、大阪市立大学の大学院で薬理学を学びました。
平成5年にアメリカに渡り、遺伝子の働きに関する研究に取り組みました。
その後、奈良先端科学技術大学院大学の教授を経て、平成16年に京都大学の教授になり、現在は、京都大学の「iPS細胞研究所」の所長を務めています。
山中さんは、特定の4つの遺伝子を皮膚の細胞に組み込んで心臓の筋肉や神経などさまざまな細胞に変化するまったく新しい「iPS細胞」を作り出すことに世界で初めて成功しました。
病変が生じた細胞と同じものを体の外で再現し、培養出来るようになったことから難病の治療法や新たな薬の開発に結びつく可能性があるとして研究競争が世界的に激化しています。
山中さんの成果はきわめて高い評価を受け、アメリカの「ラスカー賞」やカナダの「ガードナー国際賞」など国内外の著名な賞を次々と受賞し、おととし、文化功労者にも選ばれています。
iPS細胞の製造技術は医薬品の市場が大きいアメリカやヨーロッパで相次いで京都大学の特許として認められ、京都大学では、再生医療への応用に向けた研究を後押しするものとして評価しています。
国内では、神戸市の理化学研究所の研究グループが、視界がゆがんだり視力が低下する網膜の病気に対してiPS細胞を使った臨床研究の準備を進めています。
この臨床研究は来年にも始まる見通しです。
日本人がノーベル賞を受賞するのは、アメリカ国籍の南部陽一郎さんを含め19人目で、医学・生理学賞の受賞は昭和62年の利根川進さんに続いて2人目です。


こちらはノーベル賞の公式サイトのプレスリリース。


Press Release
2012-10-08

The Nobel Assembly at Karolinska Institutet has today decided to award

The Nobel Prize in Physiology or Medicine 2012

jointly to

John B. Gurdon and Shinya Yamanaka

for the discovery that mature cells can be reprogrammed
to become pluripotent

Summary
The Nobel Prize recognizes two scientists who discovered that mature, specialised cells can be reprogrammed to become immature cells capable of developing into all tissues of the body. Their findings have revolutionised our understanding of how cells and organisms develop.

John B. Gurdon discovered in 1962 that the specialisation of cells is reversible. In a classic experiment, he replaced the immature cell nucleus in an egg cell of a frog with the nucleus from a mature intestinal cell. This modified egg cell developed into a normal tadpole. The DNA of the mature cell still had all the information needed to develop all cells in the frog.

Shinya Yamanaka discovered more than 40 years later, in 2006, how intact mature cells in mice could be reprogrammed to become immature stem cells. Surprisingly, by introducing only a few genes, he could reprogram mature cells to become pluripotent stem cells, i.e. immature cells that are able to develop into all types of cells in the body.

These groundbreaking discoveries have completely changed our view of the development and cellular specialisation. We now understand that the mature cell does not have to be confined forever to its specialised state. Textbooks have been rewritten and new research fields have been established. By reprogramming human cells, scientists have created new opportunities to study diseases and develop methods for diagnosis and therapy.

Life – a journey towards increasing specialisation
All of us developed from fertilized egg cells. During the first days after conception, the embryo consists of immature cells, each of which is capable of developing into all the cell types that form the adult organism. Such cells are called pluripotent stem cells. With further development of the embryo, these cells give rise to nerve cells, muscle cells, liver cells and all other cell types - each of them specialised to carry out a specific task in the adult body. This journey from immature to specialised cell was previously considered to be unidirectional. It was thought that the cell changes in such a way during maturation that it would no longer be possible for it to return to an immature, pluripotent stage.

Frogs jump backwards in development
John B. Gurdon challenged the dogma that the specialised cell is irreversibly committed to its fate. He hypothesised that its genome might still contain all the information needed to drive its development into all the different cell types of an organism. In 1962, he tested this hypothesis by replacing the cell nucleus of a frog's egg cell with a nucleus from a mature, specialised cell derived from the intestine of a tadpole. The egg developed into a fully functional, cloned tadpole and subsequent repeats of the experiment yielded adult frogs. The nucleus of the mature cell had not lost its capacity to drive development to a fully functional organism.

Gurdon's landmark discovery was initially met with scepticism but became accepted when it had been confirmed by other scientists. It initiated intense research and the technique was further developed, leading eventually to the cloning of mammals. Gurdon's research taught us that the nucleus of a mature, specialized cell can be returned to an immature, pluripotent state. But his experiment involved the removal of cell nuclei with pipettes followed by their introduction into other cells. Would it ever be possible to turn an intact cell back into a pluripotent stem cell?

A roundtrip journey – mature cells return to a stem cell state
Shinya Yamanaka was able to answer this question in a scientific breakthrough more than 40 years after Gurdon´s discovery. His research concerned embryonal stem cells, i.e. pluripotent stem cells that are isolated from the embryo and cultured in the laboratory. Such stem cells were initially isolated from mice by Martin Evans (Nobel Prize 2007) and Yamanaka tried to find the genes that kept them immature. When several of these genes had been identified, he tested whether any of them could reprogram mature cells to become pluripotent stem cells.

Yamanaka and his co-workers introduced these genes, in different combinations, into mature cells from connective tissue, fibroblasts, and examined the results under the microscope. They finally found a combination that worked, and the recipe was surprisingly simple. By introducing four genes together, they could reprogram their fibroblasts into immature stem cells!

The resulting induced pluripotent stem cells (iPS cells) could develop into mature cell types such as fibroblasts, nerve cells and gut cells. The discovery that intact, mature cells could be reprogrammed into pluripotent stem cells was published in 2006 and was immediately considered a major breakthrough.

From surprising discovery to medical use
The discoveries of Gurdon and Yamanaka have shown that specialised cells can turn back the developmental clock under certain circumstances. Although their genome undergoes modifications during development, these modifications are not irreversible. We have obtained a new view of the development of cells and organisms.

Research during recent years has shown that iPS cells can give rise to all the different cell types of the body. These discoveries have also provided new tools for scientists around the world and led to remarkable progress in many areas of medicine. iPS cells can also be prepared from human cells.

For instance, skin cells can be obtained from patients with various diseases, reprogrammed, and examined in the laboratory to determine how they differ from cells of healthy individuals. Such cells constitute invaluable tools for understanding disease mechanisms and so provide new opportunities to develop medical therapies.


Sir John B. Gurdon was born in 1933 in Dippenhall, UK. He received his Doctorate from the University of Oxford in 1960 and was a postdoctoral fellow at California Institute of Technology. He joined Cambridge University, UK, in 1972 and has served as Professor of Cell Biology and Master of Magdalene College. Gurdon is currently at the Gurdon Institute in Cambridge.

Shinya Yamanaka was born in Osaka, Japan in 1962. He obtained his MD in 1987 at Kobe University and trained as an orthopaedic surgeon before switching to basic research. Yamanaka received his PhD at Osaka University in 1993, after which he worked at the Gladstone Institute in San Francisco and Nara Institute of Science and Technology in Japan. Yamanaka is currently Professor at Kyoto University and also affiliated with the Gladstone Institute.

Key publications:
Gurdon, J.B. (1962). The developmental capacity of nuclei taken from intestinal epithelium cells of feeding tadpoles. Journal of Embryology and Experimental Morphology 10:622-640.

Takahashi, K., Yamanaka, S. (2006). Induction of pluripotent stem cells from mouse embryonic and adult fibroblast cultures by defined factors. Cell 126:663-676.

受賞理由図解(PDF, 英文)


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2012-10-05

Steve Jobsが逝って1年

今日でSteve Jobsが逝って1年になる。
Apple.comにアクセスすると、Jobsを追悼する1分余りのビデオと現CEO Tim Cookのメッセージが見られる。
Apple
Apple121005
(追記 21:02)
今確認したら、日本のアップルのサイトでも同じだった。
(追記終わり)

NHKも深夜に、昨年放映したNスペ
世界を変えた男 スティーブ・ジョブズ
を再放送する。再放送の時間は
 10月6日(土) 午前1時55分~2時44分(5日深夜)
とのこと。

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