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2012-10-13

iPS細胞心筋移植報道で読売 誤報を認めお詫び@10/13→過去記事検索で「森口氏専従記者候補」も判明

結果的に共著者多数を道連れにした
 iPS細胞心筋移植報道
について、読売新聞は
 iPS細胞心筋移植報道は誤報
と全面的に訂正し、お詫びを出した。


【おわび】iPS移植は虚偽…読売、誤報と判断

 iPS細胞から心筋細胞を作り、重症の心臓病患者に移植したという森口尚史氏(48)の研究成果に疑義が生じている問題で、同氏の論文の「共同執筆者」とされる大学講師が論文の執筆に全く関与していなかったことが12日、読売新聞の調べで明らかになった。
 同氏の研究成果については、米ハーバード大の当局者や複数の専門家も真実性を否定していることから、読売新聞は同日、同氏の説明は虚偽で、それに基づいた一連の記事は誤報と判断した。
 大学講師が共同執筆者であることを否定しているのは、森口氏が心筋細胞の移植の研究成果をまとめたとする論文。森口氏は本紙記者に対し、この論文は「ネイチャー・プロトコルズ」誌に掲載予定と話していた。
 同論文は森口氏を含む5人による共同執筆となっていたが、大学講師は同日、本紙の取材に対し、「森口氏とは約5年会っておらず、論文に名前が使われることは全く知らなかった」と語った。また、別の共同執筆者の大学教授は、ハーバード大の倫理審査について森口氏に尋ね、「クリアになった」と回答されたという。同大は倫理審査での了承を否定している。
 森口氏が先月、同誌に投稿した記事についても、共同執筆者の1人とされた大学助教が「知らなかった。私は研究に関与していない」と大学当局に話した。
 一方、森口氏は「東大医学部iPS細胞バンク研究室に所属している」と称していたが、東大によると、こうした研究室は実在しないという。同氏が「東京医科歯科大と行った」としていた共同研究については、同大が同日、「ここで行った事実はない」とのコメントを発表した。
 東大病院、東京医科歯科大は同日、森口氏が関係したとして発表された論文や研究の検証を始めることを明らかにした。
          ◇
 YOLに掲載されたiPS心筋移植に関連する記事に誤りがありました。おわびします。

(2012年10月13日07時01分 読売新聞)

というわけで、
 読売と追随した共同通信が誤報
ってことですね。問題は
 共同通信の場合は、地方紙等がそのまま配信を掲載
しちゃったってことで、産経も共同配信を掲載したので、誤報に荷担した。

読売が誤報を認め、削除する記事は以下だそうで。


11日朝刊などに記事掲載
 読売新聞の「iPS心筋移植」に関する記事の報道の経緯は以下の通り。

 まず、11日朝刊の1面及び3面「スキャナー」と同日夕刊の1、2面に、「iPS心筋を移植」「iPS実用化へ加速」などの見出しの記事を掲載した。いずれも、森口氏がiPS細胞から作った心筋細胞を重症の心不全患者に移植する治療を実施したという事実を前提としており、主要部分に誤りを含んだ記事だった。
 さらに、12日朝刊では、締め切り時間の早い12版全紙と首都圏近郊などに配られる一部の13版の1面に、「iPS 新手法で作製」「臨床応用へ開発広がる」という見出しの記事を掲載した。これも前提が誤った記事で、締め切り時間の最も遅い14版全紙と13版の残りの新聞からは削除した。
 このほか、同日朝刊では、12版全紙と13版の一部地域の社説や、13面「基礎からわかるiPS細胞の未来」の記事の中にも、「森口氏がiPS細胞から作った心筋細胞を心不全の治療に応用した」とする内容の記述があり、14版などでその部分を削除し書き直した

(2012年10月13日07時11分 読売新聞)

とまあ
 世紀の大誤報クラスの誤報
なので、今後、読売と共同通信は幹部の更迭は必至じゃないかな。

畏友が調べてくれたので、記事検索を掛けると、森口氏と読売とのつきあいは
 2006年2月28日付のイレッサに関する記事
からである。
基本的に
 日本のメディアには一部を除いて、M持ちとかD持ちの科学記者はごく稀
である。従って
 専門のことはさっぱり分からないけど「記事にする」
ことになるわけだ。その時
 メディアが重宝する「学識経験者」
が存在する。こうした
 取材に応じてくれる「学識経験者」
というのは、大体それぞれの部署が管理していて、記者が異動しても、
 科学部なら科学部、文化部なら文化部で継承
していく。だから
 一度取材された研究者が何度も出てくる
ということになるわけだ。恐らく森口氏の場合も
 2006年以降、読売の「科学部用学識経験者リスト」に入っている
のだろう。


抗がん剤イレッサ 延命効果、遺伝子が決定 東大助教授「無駄な投与回避も」
2006.02.28 東京夕刊 22頁

 副作用が問題となっている肺がん治療薬「イレッサ」(一般名ゲフィチニブ)が効くかどうかを決める遺伝子の変異を森口尚史・東大先端科学技術研究センター助教授らがほぼ特定した。延命効果を期待できる患者は、この遺伝子変異がある人か、非喫煙者に絞られるという。無駄な投薬の回避につながる可能性がある。英医学誌「ランセット」に発表した。
 同センターとソウル大医学部、東京医科歯科大の共同研究で、対象患者は、韓国人、中国人、台湾人計135人。腺がんなどの非小細胞肺がんの進行期にあって、他の薬物療法で効果が得られずにイレッサを使った患者を抽出し、個々のデータを詳しく分析した。
 注目したのは、細胞の増殖などを制御するL858Rと呼ばれるたんぱく質の遺伝子の変異。この変異がある患者の平均生存期間は22か月で、変異がない患者の9・3か月と比べて1年以上の延命効果が確認された。非喫煙者の場合は平均生存期間は24・3か月で、喫煙者の7・4か月より3倍以上長かった。
 森口助教授によると、L858Rの変異は、喫煙者にはほとんどみられない。喫煙歴のある非小細胞肺がんの患者に過剰に現れるAKR1B10という分子が遺伝子変異を抑え、イレッサの効果を激減させている可能性もあるという。

この"Lancet"に発表したという論文がこちら。
Gefitinib for refractory advanced non-small-cell lung cancer

ハーバード大学と東大と東京医科歯科大学がこれから森口氏の関わった論文を精査するとのことなので、その内結果が出るだろう。

次に登場するのが、
 2009年9月2日付の肝臓のがん細胞9割が正常に戻る実験についての記事
である。


肝臓のがん細胞9割が正常に戻る マウス実験で成功/ハーバード大
2009.09.02 東京朝刊 2頁

 肝臓のがん細胞のほとんどを、正常な細胞に変化させることに、米ハーバード大の森口尚史研究員(肝臓医学)らが、マウスの実験で成功した。遺伝子と化学物質を使う手法をとった。新たながん治療につながる成果で、2日から米ボストンで開かれる幹細胞シンポジウムで発表する。
 研究チームは、がん細胞の7割近くを正常な細胞に変えられる2種類の化学物質を発見。がん細胞の一部を正常な細胞に変える能力を持つ遺伝子とともに、人のがん細胞を移植したマウスの肝臓に導入した。
 その結果、マウス8匹はすべて8週間生きており、がん細胞の85~90%は見た目も性質も正常な細胞となっていた。

これもどうなんだろう?
そして
 2009年11月8日付の「[iPSどこへ行く](下)研究体制の差 戦略無く周回遅れに」
では
 山中伸弥先生を批判する研究者
として、紹介されている。


[iPSどこへ行く](下)研究体制の差 戦略無く周回遅れに(連載)
2009.11.08 東京朝刊 17頁

 世界に先駆けて新型万能細胞(iPS細胞)を作製した京都大の山中伸弥教授は研究、講演、政府との折衝と、日々めまぐるしい忙しさだが、欠かさないことがある。毎月の渡米だ。
 行き先は米カリフォルニア大サンフランシスコ校内にあるグラッドストーン研究所。狙いは「研究の最新情報を仕入れること」。国内にいるだけでは激烈な研究競争に勝てないという危機感が後押しする。
 同研究所の研究スタッフは350人。最新の実験機器に加え、博士号を持つ技術員や知的財産権の専門家らをそろえた手厚い陣容が、世界各地から集まる研究者を支える。
 年間予算は60億円。連邦政府や州が拠出するほか、研究所の持つ基金や一般からの寄付で成り立っている。
 これに対し、山中教授が率いる研究室の昨年度の研究費は、文部科学省や科学技術振興機構などからの助成金をかき集めても約16億円。この中には他大学との共同研究費も含まれる。
 山中教授がトップを務め、山中研究室も入る京大iPS細胞研究センターも、学生や事務職員まで含めて140人余の陣容だ。海外からはドイツの研究員、韓国と台湾の留学生の3人だけ。山中教授は「知財や契約、患者への情報発信など専門性の高い人材を確保するのは大変」と語る。
 日本が再生医療分野に投入するのは年200億円ほど。米国では、国立衛生研究所だけで年940億円の予算を組み、複数の大学や研究機関に配分している。
 けた違いの投資をする米国に対抗し、内閣府は今年9月、最先端研究開発支援プログラムを発表した。山中教授のグループには研究費として手厚い予算が割り当てられる見通しだが、事はそう単純ではない。
 山中教授への一極集中投資を疑問視するのは、米ハーバード大研究員も務める東京大の森口尚史特任教授だ。「iPS研究には、化学や数学など幅広い分野の研究者の参画が欠かせない。限られた研究者に資金が集中すれば、研究の遅れを招く」
 もう一つの万能細胞である「胚(はい)性幹細胞(ES細胞)」を研究する中辻憲夫・京大教授も7月の講演会で訴えた。「ES細胞でも素晴らしい成果が出ているのに研究費がなく、来年からは続けられない」
 戦略の無さは結果に表れている。例えば今年7月にスペインで開かれた再生医療分野の国際学会。米国の発表件数は500件以上だったのに対し、日本からは100件余。先頭を走っていたつもりの日本が今、周回遅れのランナーになりつつある。(この連載は、今津博文、小日向邦夫、米山粛彦が担当しました)

この記事は署名記事なので
 森口氏を「知恵袋」としていた
のは
 今津博文記者、小日向邦夫記者、米山粛彦記者の内の何人か
であることが判明した。今回の
 誤報に荷担した張本人の記者
には
 この3人の内の何人かが含まれている
と思われる。新聞記事は、取材した記者以外にも、デスク等
 部署の上の職位の人達との共同作業で掲載される
わけで、関わっている記者は、今回読売が誤報とした記事に署名している記者以外にもいるわけが、名前は記事には直接表に出てこない。

そして2010年にはこんな記事に登場。


肝臓がん細胞からiPS作製 米大の日本人研究員ら
2010.02.24 東京朝刊 2頁 

 肝臓がんの細胞に低分子化合物を加えるだけで、人間のiPS細胞(新型万能細胞)を作り出すことに成功したと、米ハーバード大の森口尚史研究員らが23日、東京で開かれた国際会議で発表した。遺伝子操作を伴わない安全なiPS細胞の作製につながる方法で、再生医療の実現に向けた一歩として注目されそうだ。
 山中伸弥・京都大教授が開発したiPS細胞の作製方法は、皮膚細胞などに3~4種類の遺伝子を導入する。この方法では細胞の染色体が傷ついたり、発がん性のある導入遺伝子が細胞内に残留したりし、がん化しやすいのが課題だった。
 森口さんらは、肝臓がんの細胞では元々、必要な遺伝子が過剰に働いていることに着目。化合物や抗がん剤で遺伝子の働きを10分の1~3分の1に抑えて正常な肝臓細胞に近い状態にした後、遺伝子の働きを少し元に戻すとiPS細胞ができた。がん細胞は染色体の数などに異常があるが、作られたiPS細胞は正常で、肝臓や腸管、筋肉などの細胞に変化させることができた。

さてね、読売はどうするんだか。
しかし
 2006年以降6年間「知恵袋として利用」
してたっぽいですな、読売。

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