2012総選挙 民主党惨敗(その6)自公圧勝だが実際の「棄権も入れた全有権者数から見た支持率」は小選挙区で25%割れ(4人に1人) 比例代表では16%(6人に1人)を切る→多党乱立と低投票率が原因 この「選挙制度の不備」による大勝利で改憲議論が進む(追記あり)
今朝の東京新聞、エライ。
小選挙区24% 比例代表15% 自民 民意薄い圧勝
2012年12月18日 朝刊戦後最低の投票率となった十六日の衆院選は、自民党が定数(四八〇)の六割を超える二百九十四議席を確保する圧勝で終わった。しかし小選挙区で自民党候補の名を書いたのは全有権者の約四分の一、比例代表に至っては15・99%だった。自民党の勝利は、必ずしも民意を反映したものではない。多党乱立と低投票率が自民党を利した結果であるということが、はっきり分かる。
衆院選の投票率は小選挙区で59・32%。戦後最低を記録した。
一方、自民党の得票率は小選挙区が43・01%。比例代表は27・62%。ただし、これは投票した人の中での比率だ。
全有権に占める比率は24・67%、比例代表は15・99%となる。選挙区でも比例代表でも自民党候補や党名を書いた有権者は「少数派」だ。
ところが、自民党が獲得した議席は小選挙区で定数の79%にあたる二百三十七議席、比例代表は、同31・67%の五十七議席だった。
現在の衆院選挙制度は、小選挙区制と比例代表の並立制を採用している。民意を集約して二大政党制に導く小選挙区制で自民党は、有権者全体に占める得票率の三倍以上の議席を獲得。信じられないような世論との乖離(かいり)が生じた。
民主党は、小選挙区で自民党の約半分にあたる22・81%の得票だったが小選挙区での獲得議席は自民党の一割強の二十七にとどまった。ここで両党が明暗を分けた。
このようなずれは、十二党が乱立した今回の衆院選で、多くの候補が票を食い合ったことが最大の要因。特に、最大の争点の一つだった原発政策で「原発ゼロ」を公約する政党が小選挙区で競合し、結果として原発を容認する自民党を利した形だ。
というわけで
棄権した人たちは、自分たちが棄権することで何が起きるか
を今回で身に浸みた、と思う。まだ身に浸みてない人がいるなら
これから始まる「圧倒的支持を受けた自公の政策」による政治
で、たぶん
こんな筈じゃない!
と叫ぶことになるだろう。
棄権は最も「自分の望まない結果を生む」
ということは、小学校以来、学んできた筈じゃないか。
さて、東京新聞の記事の核心は
投票数を、全有権者数で数え直して割合を出した
ところにある。
つまりは、こうなる。
自民党の実際の支持率 獲得議席数 獲得議席の割合
小選挙区 24.67% 237議席 79%
比例代表 15.99% 57議席 31.67%
これを
獲得議席の割合/実際の支持率
で計算すると
79/24.67=3.2
31.6/15.99=1.97
となり
小選挙区では実際の支持率の3倍以上の議席
比例代表でもほぼ2倍の議席
を得たことになる。
今回は
投票率は59.32%
で
全有権者の4割以上が棄権
しているのである。
で。
今回
圧勝した自公+維新
は
改憲
を口にしている。つまりは
全国民の4割が関与せずに選出された議員で改憲賛成派が議院の2/3以上を占めている状況
で
改憲へ布石を打てる
ということだ。
え? そんなの賛成してない
なんて言わないでほしい。
棄権は白紙委任と同じ
だ。
自分は関与しなかった
ではなく、
そのための投票権を行使しなかった
ということを、もう一度、考えて欲しい。
時間はあまりない。
(追記 12/20 3:30)
YOZさん、ぴょんぴょんさん、コメントありがとうございます。
今回の東京新聞の記事には、ご指摘のように、もちろん不備があるのですが、一つの問題は
投票権を「人気投票だと勘違いしている」風潮
だと思います。
棄権4割
というのは、たとえ期日前投票が出来たとしても行かなかった結果です。年末の選挙という点を差し置いても、
当日の投票数だけでなく、期日前投票数も、前回の選挙と比べても低い
ので、やはり
最初から行く気がなかったか、選択できないから投票権の行使を止めたか
のどちらかの態度の有権者が少なくなかったことになります。
浮動票が出にくくなり、民主党が不利になるのがほぼはっきりしている年末を選んで、野田首相がわざわざ解散した理由は今の所不明なのですが、その内明らかになるかも知れません。
ところで、
若い人たちの投票が生かされるのにはどうしたらよいか
というのを計算して下さった方がいますので、もう御存じかとは思いますが、ご紹介しておきます。青木文鷹さんのblog「情報分析局」の12/16付の記事
【案外少人数】『若い人が投票に行けば世の中変る』と言われるけど、本当に変るのか計算してみた【友達一人でおk】
です。青木さんは
20代投票率が3~4割程度、30代が5~6割ですから、いつも投票に行ってる20代の人が投票に行かない友人を一人連れて行って、いつも投票に行っている30代人の2人に1人が投票に行かない友人を一人を投票に連れて行けば、世の中が変るという事です。
という結論を出しています。
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コメント
いつも拝見しております。
>自民党の実際の支持率 獲得議席数 獲得議席の割合
>小選挙区 24.67% 237議席 79%
>比例代表 15.99% 57議席 31.67%
投票しなかった人は皆自民党非支持と取れるようなミスリードはいかがなものかと思います。
>棄権した人たちは、自分たちが棄権することで何が起きるか
>を今回で身に浸みた、と思う。
興味がないから投票していない訳で、一日二日で身にしみるような方はいないでしょう。
あと、元記事に民意薄いとか見出しついてますが、このような選挙権があるのに参加しない方
の声を「民意」として聞くべきなのかは甚だ疑問ですな。
投稿: YOZ | 2012-12-19 01:48
いつも楽しく読ませていただいています
ただ、今回のエントリはさすがにどうかと思いました
小沢一郎氏が中心になって導入された小選挙区制では
死に票が多くなるデメリットがあることは昔から知られ
ていましたが、二大政党制実現の御旗のもとに
その問題点を無視してきたのはどちらかと言えば
民主党寄りのメディアである中日新聞や東京新聞
だったのではないですか
3年前の民主圧勝時にこの記事が掲載されていれば
なるほどと思いましたが
それと、投票率の低さは年末の忙しい時期に投票日が
設定されたことも無関係ではないと思います
私も、年越しの準備の合間に障害のある両親を
連れて投票所に行きましたが大変苦労しました
報道では野田総理は年明けからはさらに支持率が
落ちると読んで年内解散に踏み切ったそうですが
もう少し時期を考えて欲しかったです
(政治家なので勝ち負けが全てでしょうが)
もちろん投票率の低下は由々しき問題ですが、
国民の意識の低さのみを嘆き、マスメディア
の側に免罪符を与えてしまっては今後も
同じ事を繰り返すことになってしまいます
投稿: ぴょんぴょん | 2012-12-20 02:14
補足説明ありがとうございます
投票率が少しでも上がって欲しい(特に若い世代で)気持ちでは私も全く同じです
この記事を読んで、投票率低下の根本的な原因は何か?日本が豊かになったから?
と私なりに足りない頭でしばらく悩んでいたのですが、
以下の小田嶋隆さんのコラムを読んで疑問のかなりの部分が氷解しました
日経ビジネスオンライン
小田嶋隆のア・ピース・オブ・警句 2012年12月21日(金)
“懲罰”できるほど、われわれは偉いのか?
http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20121220/241351/
このコラムで小田嶋氏は自身も含めた投票する側の心理を分析し
(若干茶化しながらも)有権者のモチベーションを上げる為の
対策を提示してくれています
全文表示には会員登録が必要ですので、ぜひにとは言いませんが
機会がありましたら一度ご覧ください
乱文失礼致しました
投稿: ぴょんぴょん | 2013-01-03 01:23