医療崩壊 なぜ心臓マッサージをするのか@twitter→命を助ける心臓マッサージは30分でわずか2500円の診療報酬
先ほど投稿されたtweetから。
心臓マッサージをする目的を心臓を再拍動させることと思っている方も多いですが、もちろんそうなればベストですが、一番の目的は脳を酸欠による壊死から守ること。うまく心マをした場合に得られる血圧は70前後、それくらいあれば最低限の酸素を脳に送ることができます。救急隊が来るまで続けましょう
— 知念実希人(小説家・医師)さん (@MIKITO_777) 12月 23, 2012
心臓マッサージ、つまり、胸骨圧迫では、つい
心臓をもう一度動かす
というところが力点だと思ってしまうけど、一番大事なのは
脳を保護すること
で、
脳に酸素を送らなければ、脳がどんどん壊れていく
のである。血流が止まってしまえば、酸素は脳まで運ばれない。
動かなくなった心臓のポンプ機能を補助するために人間が代わって行うのが心臓マッサージすなわち胸骨圧迫である。医療施設外でのCPA(心肺停止)では
救急現場に居合わせた人=バイスタンダー
が重要で、
バイスタンダーが応急処置を行うかどうかでその後の蘇生率・社会復帰率が異なる
ことがはっきりしている。
こちらは東京消防庁が公表している
バイスタンダーの処置のおかげで、命が助かった人たち
の例である。
バイスタンダー応急手当救命実例
心肺蘇生(胸骨圧迫+人工呼吸)ができなくても、救急隊が来るまで、胸骨圧迫を続けて、助かった例は次の通りだ。
★事例10
意識不明となった妻に夫が応急手当を行い救命した事例です。
自宅で寝ていた妻が突然唸り声を上げた後、呼吸と脈がなくなりました。現場に向かう途中の救急隊はPHSを使って夫と連絡をとり、心肺蘇生を実施するように伝えました。夫は胸骨圧迫を救急隊到着まで続けました。到着した救急隊が除細動を実施したところ、その場で呼吸と脈が回復しました。★事例12
意識不明となった父親に息子が応急手当を行い救命した事例です。
父親が夜中に胸の苦しさを訴えた後、意識を失いました。まもなく呼吸と脈がなくなり、様子を見に駆けつけた息子が、救急隊到着までTVで見たことがある胸骨圧迫を続けました。到着した救急隊が除細動を実施したところ、その場で呼吸と脈が回復しました。
で。
ことほどさように重要な「心臓マッサージ(胸骨圧迫)」
だが、所謂
救急医療の「点数」
では
250点
である。しろぼんねっとより。
医科 第2章 特掲診療料 第9部 処置 第1節 処置料 (救急処置)
J046 非開胸的心マッサージ
TOP > 平成24年診療報酬点数表 > 医科 > 第2章 特掲診療料 > 第9部 処置 > 第1節 処置料 > (救急処置) > J046 非開胸的心マッサージ
J046 非開胸的心マッサージ
1 30分までの場合250点
2 30分を超えた場合
250点に30分又はその端数を増すごとに40点を加算して得た点数
どういうことか。
点数1点=10円
だから、
30分間、患者さんの救命のために胸骨圧迫を続けた場合の診療報酬はたったの2500円、30分を超えるごとに400円追加
ということなのだ。
命を助けるのに、国から認められた「救命料」は基本として2500円
なのである。
心臓マッサージ(胸骨圧迫)は、実際にやってみると、十分な血圧を得られる程度に胸骨を圧迫するのが大変難しい。
もし
30分2500円
がどれだけのものであるか、知りたい方は、とりあえずは
消防署等国内各所で開かれている救命講習に参加
して、是非体験して頂きたい。最初は2分と保たない。
診療報酬の意味するところは
院内で訓練を重ねたプロが渾身の力を込めて胸骨圧迫した場合で30分2500円
ですからね。
病院で、残念ながら蘇生の見込のない患者さんに長時間の胸骨圧迫を要求する患者関係者というのが時々問題になる。医療ドラマでも目にすることがある。たぶん、そういう人たちは、
30分2500円 それ以上は30分ごとに400円で胸骨圧迫を施して貰っている
ということは知らないだろうな。きっと
命を助けるんだから、それなりの高価な医療費は払っている
位に考えているに違いない。だから
(金は払ってるんだから)医者ならなんとかしろ
などという言葉が出てくるのだろう。
そして
その間、最低でも2人以上は(1人で長時間の施術は難しい)は他の患者さんの治療に当たれない
ということは、全く忘れ去られている。
献身的にサポートしても、蘇生の見込はなく、患者さんの関係者から罵倒され、その間他の患者さんのフォローは出来ず、しかも病院に支払われる(施術した医師に支払われるわけじゃないことは無視されている)診療報酬は30分で2500円だ。診療報酬のシステムって、時々こういうおかしなことがある。
そりゃ、誰だって、患者さんの命は助かって欲しい。
けれども、もう残念ながら蘇生の見込がないのに、医療資源を投入し続けるのは、慢性的な人手不足で現場がパンクしそうになっている状況では、まだ助かるかも知れない、別な患者さんを見殺しにする危険を常にはらんでいる。
首都圏はそろそろパンクしそうだ。
急速な高齢化が進んでいる日本では、つまりは
医師の世話にならなければならない患者さんが恐ろしい勢いで増加している
のである。このままで行くと、現在なら日本の多くの病院で可能な医療行為も5年後には
とんでもない贅沢
に変わっている恐れはなきにしもあらずだ。
| 固定リンク
コメント