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2013-03-17

2013フィギュア世界選手権 女子フィギュアはどこへ行くのか

キムヨナがSPとFSでノーミスで演技を終えれば、優勝が約束されていたとおぼしい大会で、キムヨナはその通りの演技で優勝した。
しかしながら、バンクーバー五輪の時の演技内容よりも技術的には難度が高いわけではない演技構成で優勝できるということが、女子フィギュアの迷走を示している。

バンクーバー五輪で、
 男子ではプルシェンコが4回転ジャンプを
 女子では浅田真央が3Aを
跳んで、それまでの
 男子では4回転ジャンプ回避
という風潮は改まった。バンクーバー五輪では
 4回転を跳ばなかったライザチェックが優勝
したが、いま現在男子フィギュアは、
 最低でもSPで1回、FSで2回の4回転ジャンプ
を入れないと、上位に食い込めない状況に変わった。
 フィギュアスケーターはアスリート
である、という原則は男子では守られている。

女子ではどうか。
 バンクーバー五輪と同じ演技構成以下でも優勝できる状況
が今尚続いている。
 難しいジャンプを沢山跳ぶ
のではなく
 いくつかの得意なジャンプを「規程通り跳ぶ」
方が得点が高くなる。もちろん
 技術的な基礎点は難しいジャンプの方が高い
のだが
 実施に関してもらえるボーナスのGOE(Grade of Execution)が変わる
のだ。
 GOEは-3から3までの7段階の点数
だが、採点基準がわかりにくく、いつ見ても、どうしてその加点もしくは減点がついているのか、分からないことがある。
結局のところ
 GOEはジャッジのさじ加減
だから、ジャッジが好きな点数を付けることが可能だ。そのため、どの大会でも
 どうしてこのジャンプの評価にばらばらなGOEが付くのか
といった現象は毎回のように起きる。現在のジャッジシステムでは
 誰がどの点数を付けたかわからないようになっている
ので、
 変に見える採点があってもその審判がわからない仕組み
になっている。匿名性に守られて、よく分からない得点がつく。そのたびに選手やコーチは振り回されることになってしまう。

審判というと、非常に訓練された人々のようだが、実は違う。
ダンスの審判については、タチアナ・タラソワがいつも怒っている。
こちらは今年の欧州選手権でのアイスダンスについてのコメント。ecoさんの「ロシア語自習室」の2/5付記事「<馬鹿はチャンピオンになれない(3)>タチヤナ・タラソワ」より。


― 今回の欧州選手権でいちばん気に入ったのは何でしたか。

 久々にロシアチーム全員の演技を気に入りました。ダンスカップルのトップ2組がそろってクリーンに滑ったのは良かったですね。ただ、いくつかのエレメンツのレベルには疑念を持っていました。試合のとき、私はテクニカルパネル席をちょうど見下ろす位置に座ることになりました。そしてその席から、テクニカル・コントローラーのガリーナ・ゴルドン-ポルトラク(※Halina GORDON POLTORAK)がコンピューター画面上でエレメンツを見逃すところが見えたのです。彼女は、私が注意を払ったまさにそのエレメンツを見逃しました。つまり、私の疑念は根拠の無いものではなかったわけです。

テクニカル・コーラーというのは、技の実施がどのように行われたかどうかを判断する審判で、採点には参加しないが、コーラーが
 技の種類や成否を判定
するので、非常に重要な役割である。コーラーが厳しい場合
 ジャンプの回転不足やエッジのエラーをばんばん取る
し、甘い場合はその逆になる。
 技の種類によって基礎点が決まっている
ので、コーラーの役割は大変重要なのだが、欧州選手権であっても、このような
 コーラーのミスが見られた
という辺り、頭が痛い。

今回の女子シングルの審判団を見てみよう。

今回の復帰前に、キムヨナはドイツで開かれたNRW杯に出場した。
こちらがNRW杯の公式サイト。
NRW TROPHY 2012

大会の公式スポンサーは言わずと知れたサムスン。
Nrw

NRW杯では、キムヨナの演技は精彩を欠き、転倒等もあったけれども、高得点がついたので話題となった。
昨年12/11付産経より。


“浅田超え”のキム・ヨナ「とても驚いた。来年戦うかもしれないが…」
2012.12.11 06:43

後半に転倒も200点超

 フィギュアスケート・NRW杯(9日、ドイツ・ドルトムント)女子フリーを行い、2010年バンクーバー五輪金メダリストのキム・ヨナ(22)=韓国=が、8日のGPファイナル(ロシア・ソチ)で浅田真央(22)=中京大=が出した196・80点の今季世界最高を上回る合計201・61点で、2季ぶりの復帰戦で圧勝した。フリーで129・34点、8日のショートプログラムは今季世界最高の72・27点だった。

 2位だった昨年4月の世界選手権以来の実戦はフリーで後半に転倒しながら200点超え。「とても驚いた。1年8カ月も休んでいたので200点以上取れるとは思っていなかった」とキム・ヨナは話した。“浅田超え”を果たし、「(浅田とは)来年(3月)の世界選手権で久しぶりに戦うかもしれないが、いつものようにお互いの演技に集中して頑張りたい」と話した。

この時のレフェリー、テクニカルコーラー、テクニカルスペシャリスト、アシスタントテクニカルスペシャリストは次の4人である。


Referee Ms. Ingrid-Charlotte WOLTER GER
Technical Controller Ms. Leena LAAKSONEN FIN
Technical Specialist Mr. Sandor GALAMBOS SUI
Assistant Technical Specialist Ms. Ingrida SNIESKIENE LTU

つまりこの4人が
 キムヨナの実施した技に「お墨付き」を与えた審判
ということになる。参考までに、キムヨナのFSの構成。


3Lz+3T
3F
FCCoSp4
3S
StSq4
1A+1T+1Lo
3S+2T(転倒)
Lsp3
2A
CCoSp1

実は、今日のキムヨナのフリーは、上記の内
 1A+1T+1Loが2A+2T+2Lo
になっただけで、ほぼ内容に変わりは無い。最後のスピンは、今日はレベル4が取れている。
こちらがバンクーバー五輪の時のFSの構成。


3Lz+3T
3F
2A+2T+2Lo
FCoSp4
SpSq4
2A+3T
3S
3Lz
SlSt3
2A
FSSp4
CCoSp4

バンクーバー五輪の時もそうだったが、
 現在もキムヨナの3回転ジャンプは3S/3Lz/3T/3Fの4種類

 3Lo
は入らず、
 3Aは跳べない
のである。この点は2年余り経っても変わっていない。

ちなみに、NRW杯はISU公式の国際試合ではないが
 ISU公認試合

 ポイントもつく大会
である。

で、SPの審判団。
◎はキムヨナの復帰戦NRW杯の審判も務めた人物。
*はFSの審判も引き続き担当した人物。


Referee Ms. Susan HEFFERNAN Canada *
Technical Controller Ms. Leena LAAKSONEN Finland *◎
Technical Specialist Mr. Sandor GALAMBOS Switzerland *◎
Assistant Technical Specialist Ms. Lisa ERVIN USA *
Judge No.1 Mr. Neil GARRARD South Africa *
Judge No.2 Mr. Osman SIRVAN Turkey
Judge No.3 Mr. Pekka LESKINEN FInland
Judge No.4 Ms. Dagmar LURZ-PROTT Germany *
Judge No.5 Ms. Salome CHIGOGIDZE Georgia *
Judge No.6 Mr. Gavril VELCHEV Bulgaria *
Judge No.7 Ms. Marta OLOZAGARRE Spain *
Judge No.8 Ms. Tomiko YAMADA(山田登美子)Japan ◎
Judge No.9 Mr. Nikolai SALNIKOV Estonia *

FSでは、審判から、日本の山田登美子、トルコのOsman SIRVAN、フィンランドのPekka LESKINENの3人が交代した。


Referee Ms. Susan HEFFERNAN Canada *
Technical Controller Ms. Leena LAAKSONEN Finland *◎
Technical Specialist Mr. Sandor GALAMBOS Switzerland *◎
Assistant Technical Specialist Ms. Lisa ERVIN USA *
No.1 Mr. Gavril VELCHEV Bulgaria *
Judge No.2 Mr. Nikolai SALNIKOV Estonia *
Judge No.3 Ms. Helle LYNGBERG Denmark
Judge No.4 Ms. Marta OLOZAGARRE Spain *
Judge No.5 Ms. Dagmar LURZ-PROTT Germany *
Judge No.6 Mr. Neil GARRARD South Africa *
Judge No.7 Ms. Patricia HOUGHTON Canada
Judge No.8 Ms. Christine BLANC Switzerland
Judge No.9 Ms. Salome CHIGOGIDZE Georgia *

というわけで、世界選手権女子フィギュアの
 テクニカルコーラーとテクニカルスペシャリストの2人はNRW杯でキムヨナ復帰のお膳立てをした審判
でもあったわけだ。ま
 3回転ジャンプが全種類跳べなくても、実施が美しければOK
というのが
 現在の女子フィギュアの置かれた状況
だ。
これをスポーツと呼んでいいのか、甚だ憚るところがある。

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コメント

ジャッジのデータありがとうございました。結果を速報で見てしまって演技を
見る気力をなくしました…

ヨナ選手のSPの演技を見て、2年プランクを経て(OP後はかなりぽっちゃり
していたのに)3Lz-3Tを跳んだのは大したものだと思いましたが、今では
ロシアの若手が3Lz-3T、3Lz-3Loをばんばん跳んでいますし、スピンの
ポジションもどんどん難易度を増したバリエーションが増えているのに、
相も変わらず膝が曲がったアップライトスピンに高い加点がついているの
にはゲンナリしました。

男子のチャン選手もですが、転倒があったエレメンツに対しても加点とか、
ディダクションを調整するかのような演技構成点とか、プロトコルの支離
滅裂さが半端ではありません。

しかし大部分の日本人は、「やっぱりキム・ヨナはごいねぇ~」「真央ちゃん
とは段違いだね~」と感じてしまうのが現実です。
野球やサッカーのルールを知らなくても、得点の多いほうが勝ち、の延長線
でファギュアを見ては面白さもおかしさも分からないと思います。。。

投稿: 七実 | 2013-03-18 17:19

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