Daniil Trifonovの素晴らしい朝 3/1 @Fryderyk Chopin Birthday Concert 2013
本日帰国。
眼が覚めたのでMac Book Airをあけたら、ちょうどポーランドはワルシャワで開かれている
Fryderyk Chopin Birthday Concert 2013
のLive配信が始まっていた。
Fryderyk Chopin Birthday Concert 2013
Trifonovは
Chopin, Piano Concerto No.1, Op.11
で登場。第一楽章後半から聞いたのだが、すばらしい。このショパンのピアノ協奏曲第一番は、前回のチャイコフスキーコンクールでの例でも明らかなように、オケ側の演奏が難しい曲だが、今朝の演奏は
ショパンへの愛については追随を許さないWarsaw Philharmonic Symphonic Orchestra
である。スコアの隅々まで、各パートの一音一音、管楽器なら息継ぎのひとつひとつにまで、神経の行きとどいた演奏が、キレまくるTrifonovの演奏を盛り立てる。
今回、ピアノは何を使ったんだろうなあ。軽やかに指が鍵盤を踊る。美しいTrifonovの音色が、あのショパンコンクールの時よりも更に磨かれ、確かなタッチで展開されるのだ。
そしてTrifonovの真骨頂である緩徐楽章の演奏。美しさだけでなく、ゆったり目に溜めて演奏してみせた。
第三楽章は、オケとTrifonovのピアノが軽やかに自由に絡み合う。指揮者のJakub ChrenowiczとオケとTrifonovの息が合って、楽しい音楽の時間がやってきた。
Trifonovはチャイコフスキーコンクール優勝後の、驚くほど精力的なコンサートの旅で、更に腕を磨いてきた。圧倒的なピアノの力は、会場を覆い、文字通り
嵐のような喝采
が鳴り止まない。最後、Trifonovがいつものように暴走したのか、ちょっと合わないところはあったけれども
祝祭にふさわしい演奏
だったと思う。
Chopinの誕生日コンサートのアンコール曲にTrifonovが持って来たのは、
Stravinsky/Guido Agosti, The Firebird
である。息を呑む聴衆の前で、このところずっと弾き続けてきている火の鳥のピアノ版が、目眩くTrifonovの音の世界を余すところなく繰り広げる。時として、弾きこなすことだけが眼目になりそうな恐ろしい編曲なのだが、Trifonovはそれを自家薬籠中のものとして、タッチといい、音色といい、それこそどこをとっても、
これぞTrifonovの火の鳥
という演奏をして見せた。
またまた嵐のような喝采。
ショパンの誕生日、音楽の神に嘉されるTrifonovの演奏に、音楽を、ショパンを愛してやまないワルシャワ市民は、熱狂を以て応えた。
この瞬間を耳に出来て、実に幸せな一日が始まった。
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