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2013-09-05

森千里『鴎外と脚気―曾祖父の足あとを訪ねて』NTT出版 2012.12

森鴎外の曽孫である森千里千葉大学医学部教授による
 鴎外と脚気
に関する「鴎外擁護論」が本書執筆の一番の目的である。
既知の事象の組み合わせで
 鴎外は「誤解されている」
と主張しているのだが、基本的には
 鴎外は「脚気の病因」について自らは断じなかった
辺りについては、結論を避けていて
 ビタミン欠乏説を導く「触媒」となった
ことを評価している。

かつ
 身内の身贔屓

 筆を鈍らせる箇所
がいくつもある。

たとえば
 於菟の母である赤松登志子との離婚の原因の一つ
と考えられており
 鴎外の本当の死因
であるところの
 肺結核との関わり
については、まったく述べられていない。

こうした問題点を抜きにして、読む価値があるのは
 於菟の子孫によって書かれた森家の記録
という点だろう。これまで、於菟を除けば、
 鴎外の妹弟である小金井喜美子と森潤三郎
か、
 後妻の荒木志げの生んだ森茉莉・小堀杏奴・森類
が鴎外にまつわるエッセイを書いてきた。
周知のように
 異腹の子於菟

 後妻荒木志げ子
の間には
 志げからの一方的とも言って良い確執
があり、鴎外は家庭経営に苦心した。従って
 志げに疎んじられた於菟の子孫による森家の記録

 志げの子どもによる森家の記録
とは、様々な事象に対する見方が異なる。そうした
 冷えた空気
が、時々に行間を吹き抜けていく。

なお、著者は
 1960年2月札幌生まれ
だそうで、
 札幌北高校から旭川医大へ進学
している。伯父にあたる森富東北大医学部名誉教授(解剖学)の口添えで、
 大学院は京大に進学
し、京大医学部解剖学教室の助教授を経て、現職に至っている。専門は
 環境生命医学、発生学、胎児学
である。祖父於菟も解剖学を専門とした。

まさか北海道に森鴎外の子孫が、それも於菟の子孫がいたとは知らなかったが、著者の父は
 森樊須北大農学部名誉教授
で、
 ダニ研究のエライ人
である。

2007年夏に、森富・樊須兄弟は相次いで亡くなっている。

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