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2013-11-12

高みへ 浅田真央の第二章(その2)

浅田真央が今シーズンのSP・FSを披露した翌日、東京のメディア勤務の友人は昂奮を抑えきれず、勤務先で、
 今シーズンの浅田真央は凄い
と口にしたところ、同僚や部下達は
 ま、でもキムヨナには勝てないんですよね
と、軽くいなした。どうやら、
 在京メディアの「常識」
はこんなところらしい。

さて、JOが花相撲なら、
 浅田真央の今シーズンの初戦

 スケートアメリカ
である。
近年
 フィギュア人気が凋落
している北米では、大きな会場を取れなくなって
 デトロイトの会場は狭い
という。浅田真央を始めとして選手達が
 狭いリンクで果たして十分な演技が出来るかどうか
が一つのカギだった。

10/19、まず男子SPから競技が始まった。
ここで大きなサプライズがあった。
 町田樹の出来が素晴らしい
のだ。滑りが綺麗で、4回転ジャンプを軽々とこなした。
一方で、負傷明けの小塚崇彦は、4回転ジャンプをパンクしてしまった。高橋大輔は、精彩を欠いた。

10/20は女子SP。
これまで
 競技直前に現地入り
をしてきた浅田真央は、今回
 数日前に現地入りして調整
する日程に改めた。アメリカには10/14に出発、佐藤コーチ夫妻の娘で、元日本代表の有香コーチの所属リンクで調整をした。
真央「子どものような体じゃない」 GP開幕戦へ米国出発

注目されるのは
 浅田真央の3Aが認定されるか
どうかだ。果たして、これまで浅田真央に厳しかったISUのコーラーとジャッジはどう判定するか。

浅田真央は最終滑走だ。
今シーズンのSP「ショパンのノクターン」は7年前、浅田真央がシニアデビューした翌年、16歳で、やはり同じローリー・ニコルの振付でSPとした演目だ。同じ曲、同じ振付師で、23歳の大人の女性になった浅田真央が、新しい
 ノクターン
を演じる。そう
 演じる
のだ。
 ただ滑る
のではなくて。

直前に滑ったのは、アメリカのアシュリー・ワグナー。アシュリーがキス&クライで得点を待つ間、静かに浅田真央がリンクに登場した。佐藤信夫コーチの言葉に頷いて、リンクに滑り出す。場内割れんばかりの歓声が起きる。何度か軽くブレードを走らせ、位置を確認すると、演技開始の地点に立つ。ふうっと一息。
第一音のBが打鍵される。
浅田真央の表情は一変し、晴れやかな、ちょっとはにかんだ笑顔を浮かべる。
 初恋
それが、前回も今回も、このSPのテーマの一つだ。
最初の3Aに向かうまでも、美しい腕の表現を伴った滑らかなスケーティングが続く。跳んだ。僅かにブレードの先が氷をかすめる。でも、3Aの回転は足りている。成功だ。
降りた後は、流れのあるスケーティングが引き取る。コンビネーションジャンプの予定を単独の3Fにして、続く二つのスピンは、ポジションを次々に換え、きっちりとレベルを取る。演技後半、ジャンプが加点される時間帯になって、3Lo+2Loのコンビネーションジャンプを跳んだ。
ローリーの振り付けたステップは、のびやかで優雅だ。最後の2小節、Es-B-Gの三連符が4つ続くところから、レイバックスピン。浅田真央のもう一つのシンボルである
 ビールマンスピン
を見せる。ぐっと上に伸びた姿勢が美しい。終和音で腕を伸ばし、切ない表情でプログラムは終わる。
拍手。
浅田真央が笑顔になる。浅田真央のファンは思う。
 この笑顔が見たかった
のだ。
鳴り止まぬ拍手。そしてリンクに投げ込まれる花やプレゼント。
苦しかった2010-11年シーズンの始めから、やっと今、浅田真央は
 演技を終えて笑顔を見せる
ことができたのだ。
 充実
これまでの苦難は、決して無駄ではなかった。
キス&クライで浅田真央は、
 天才少女と呼ばれたバンクーバー五輪前と同じような屈託のない笑顔
を見せた。

ジャッジは
 73.8点という高得点
を浅田真央のSPの演技に与えた。3Aは
 UR(Under-roatatede jump 回転数不足が1/4回転を超え1/2回転に満たない)
という判定ではあったけれども。

男子FSでは
 町田樹の快進撃
が続いた。冒頭、2回の4回転ジャンプを決め、2位のアダム・リッポンに20点以上の大差を付けて優勝した。

そして女子FS。
アシュリー・ワグナーが193.8点を出した後、青い衣装に身を包んで、浅田真央はリンクに立った。
リンク中央から真っ直ぐ後ろに下がる振付は、バンクーバー五輪の
 鐘
を思い出させる。最初のジャンプは3A。
失敗。
大きく転倒する。
ここまでは、昨シーズンにも見た光景だ。

ところが、今年の浅田真央は勁い。
転倒で腰を強打したにもかかわらず、すぐに立ち上がり、音楽に乗って演技を再開した。
これまでの浅田真央は
 3Aが失敗すると演技のスケールが急に小さくなる傾向
があった。しかし、3Aを封印して続けた
 基礎の積み直し
によって、
 ジャンプを失敗しても点の取れる演技者
に変わったのだ。
ラフマニノフのピアノ協奏曲2番に乗り、浅田真央は、続く
 3F+2Lo
のコンビネーションジャンプを決めた。これまでにない、力強い浅田真央を見た。

佐藤信夫コーチは
 2回ジャンプを失敗しても勝てるようにする
と明言していた。その言葉どおり、浅田真央は、ジャンプ以外のところでちゃんと点数を取ってきた。取り分け
 最後のステップシークエンスとコレオグラフィックシークエンスは圧巻
で、背筋がぞくぞくする凄さだった。
転倒による減点1があったものの、FSでは131.37点を獲得、トータル
 204.55点
と、
 銀河点の出やすい五輪シーズン
とはいえ、
 ただ一人200点越え
の得点を叩き出し、あっさり優勝した。
3A等の失敗があったので、FS終了直後の浅田真央には笑顔はなかった。
 見据えているのは「最高の演技」
である。スケートアメリカの演技は、まだそこには達していない。

スケートアメリカ終了後、浅田真央は、ローリー・ニコルの元に赴き、
 SPの振付の更なる手直し
をした。

スケートアメリカで浅田真央が高得点で優勝した翌日から
 在京マスコミの「掌返し」
が始まった。それまで、どちらかといえば
 浅田真央を軽く扱おう
としていた各メディアが、急に
 ソチ五輪メダル有力選手
として浅田真央を持ち上げ始めたのだ。どうやら
 在京スポーツマスコミのニュース・中継担当のほとんど

 フィギュアスケートの演技の質を自分では見分けられない
らしいのだ。とすれば、当然ながら
 ワイドショーのコメンテーターの大部分は「採点の基準もよく分かってない」
のだろう。
 ソチ五輪感動の物語
を求めて、
 各メディアが浅田真央取材に血道を上げ始めた
様子だ。恐らく
 幾つものカメラクルーが、一挙手一投足を見逃さないように張り付いている
に違いない。
 NHK・テレ朝・フジ辺りは確実に浅田真央を追いかけ回している
と思われる。
バンクーバー五輪でそうだったように
 Nスペの取材
も始まっているに決まっている。

だが、わたしは今年の浅田真央はこれまでと違う、と感じている。
 底知れぬ勁さ
が、加わっている。浅田真央が見つめているのは
 その時々の世間の評判の善し悪し
ではない。
 自らが競技者として持つ厳しい目に自分の演技が叶うかどうか
だ。そこには、
 理解も勉強も足りない
くせに、
 「報道」の力だけを誇示するマスコミ

 くだらない質問
が入る余地はない。

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コメント

昨日に続き感動しました。真央ちゃん、心より 応援したいです。

投稿: おでっさ | 2013-11-12 20:25

おでっささん、本当に真央ちゃんは素晴らしいアスリートだと思います。

投稿: iori3 | 2013-11-12 22:21

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