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2014-02-07

2013年度センター試験国語 平均点は5割未満 古文の出来が今一な理由は「文化読解力」低下

今年のセンター試験の国語の出来がよろしくなかった、という。
読売より。


「源氏物語」意表突く難題?センター試験国語

 大学入試センターは6日、先月18、19日に行われた大学入試センター試験の平均点や受験者数を発表した。科目別の平均点では、国語が98・67点(200点満点)で、過去最低だった昨年を2・37点下回り、初めて5割を切った。満点はいなかった。国語は低得点の傾向が続いており、今回は本試験で初出題となった「源氏物語」が難題だったとみられる。受験者数は53万2350人で昨年より1万921人減った。志願者全体に占める受験率は94・95%だった。
 源氏物語は「夕霧の巻」からの出題で、古典文の解釈や登場人物の心情などを問うもの。代々木ゼミナールの坂口幸世・入試情報センター本部長は、「複雑な恋愛関係などを描いた部分だったうえに登場人物が多く、読み取るのが難しかった」と分析した。
 「受験生の意表を突いた」との見方もある。源氏物語は、高校の古典教科書22点中19点で触れている。だが、センター試験では、著名な古典は、それが掲載された教科書で学ぶ生徒と、そうでない生徒間に差が出るとして出題しない傾向があった。文部科学省幹部は「いわば王道とも言えるが、随分と思い切ったなと驚いた」と明かす。宮川俊彦・国語作文教育研究所長は「出題内容は一般教養レベルで、古典に対する素養があれば解ける。古典の読解力が落ちており、非常に深刻だ」と述べ、古典への興味・関心を引き出す対策を求めた。

 ▼「源氏物語」の問題(一部略) 次の文章は『源氏物語』(夕霧の巻)の一節である。三条殿の夫である大将殿(通称夕霧)は妻子を愛する実直な人物で知られていたが、別の女性に心奪われ、その女性の意に反して、深い仲となってしまった。以下は、これまでにない夫の振る舞いに衝撃を受けた三条殿が、姫君たちと幼い弟妹たちを連れて、実家へ帰る場面から始まる。これを読んで、後の問いに答えよ。

(2014年2月7日09時08分 読売新聞)

え〜と、この問題文だとわかりにくいのだけど
 夕霧が、柏木未亡人(落葉の宮)に懸想したのに対し、雲居雁(三条殿)が嫉妬の余り、帰ってしまう
という、割合有名な場面だ。
てか、五島美術館が持っている
国宝 源氏物語絵巻 夕霧
を見たことがあれば
 文章が読めなくても、雰囲気は判断できる
はず。五島美術館所蔵の絵巻では
 柏木未亡人の母(一条御息所)から来た手紙を、雲居雁が、柏木未亡人からの手紙だと勘違いして、取り上げてしまうシーン
である。一度でも見たことがあれば
 雲居雁、こえー
と思うんじゃないかな。

なので、
 古文が出来ない
というよりも
 源氏物語そのものを知らない
というのが
 正解
だと思う。もちろん、
 古文の教科書に出てくる源氏物語だけではなく、作品としての源氏物語に対する興味がない
のである。
ともかくも
 文化読解力の目を覆う低下
があるのは、間違いなさそうだ。

ま〜、
 教養不要論=学校は「実践に役立つ知識だけ教えていればいい」
が、大手を振ってまかり通っている昨今、かつ
 ゆとり世代が小中高の先生となっていってる
なんだから
 源氏物語って何
だろうよ、教育現場からしてね。源氏物語という言葉に初めて教育で触れるとすれば
 小学6年の日本史
だろうけど、そこでスルーされるとか、十把一絡げにして扱われてるんだろうな。

自分が高校生だった頃を考えると
 源氏五十四帖は、全文読んでなくても、あらすじくらいは知っている
のが
 常識
だったと思うから
 日本の古典教育は荒廃の一途を辿っている
のは間違いない。てか
 気の利いた小学校高学年〜中学生なら、源氏の中身くらい知っている(現代訳源氏完読かつ原文で少しくらい読んでいる)
というのが普通にいたわけで。

現代の大学では
 国文科
というものが消滅している。「日本文学」等、名前はいろいろに変わっているのだが、それでも
 国文の王道は源氏
な訳で、学生が
 卒論で源氏やります
というと
 余程優秀か、身の程知らずかの両極端
だ。まともに論文を書こうと思ったら
 山のような先行研究と向き合う
必要があるからだ。故に、古典研究に定評のある大学の研究者が
 源氏やっています
というと、一応尊敬されることになっている。
 純哲でカント
とか、
 理学部で数学
とかと、似た位相ですね。
 凄いかダメかのどっちかしかない
という究極の専門分野である。
昔、同期に源氏専門の優秀な研究者がいて、論文を書くのが大変、という話をしていたのだが、その理由が
 どんな無名な媒体にでも論文が載っていれば「先行研究」
になるので、著名な学会誌に論文を発表して、見落としがあると
 (マイナーな雑誌に掲載されている)わたしの論文を読んでいないでしょう、という非難が来る
んだと聞いた。最近は、
 リポジトリ
で、これまで入手しがたかった小規模機関の紀要論文も、以前よりは手に入れやすくなったとは言え
 その紀要等を出していた、元の大学の学部等がすでに消滅している
こともあるからな。

まあ、そんなこんなで
 源氏物語は日常生活から遠くなって行っている
のね。
 あさきゆめみし(大和和紀 1993年完結)

 源氏物語を読んだつもりになった世代
も、もう受験生じゃないってことかな?
現代語訳だと
 瀬戸内源氏
 大塚ひかり源氏
 林望源氏
辺りが、割に最近の個人全訳ですかね。

あちこちで
 検定
が流行だったけど、そんな「試験」などやらなくても知っていて当たり前だったことを
 わざわざ「検定」する
のは、それだけ知識の豊かさがやせ細って行っているってことだからな。
世間一般で、
 日本文化についての一般常識の水準が落ちている
ということだから
 日本文化に対する敬意が薄れている
というのは間違いないところだ。ま
 検定

 滅び行く知識への最後の抵抗
だろうが
 検定によって、間違った知識が再生産される恐れ
も、もちろんあるわけよね。

1985年からNHKはラジオで
 古典講読 源氏物語(472回)
を放送していた。こういう音源は、
 教育用音源
として、いつでも聴けるようにすればいいのにね。

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