ソチ五輪 浅田真央 8回 6種類の3回転ジャンプを決める(速報)
6分間練習で、ジャッジ席がざわめいていた。ざわめきの渦の中心は、
浅田真央がジャッジの前で決めて見せた3A
だ。昨日のSPで、最初の3Aを失敗、転倒した後、信じられないほど演技に精彩を欠き、
16位 55.51
というシニアに上がってきてから、ほとんどないような、振るわない結果となった。SPの点数がここまで低く抑えられたのは、
3Aの転倒がDGとなった
のがきっかけで、
すべてのジャンプの実施が厳しく判定
され、点数を引かれてしまったからだ。まるで、いつも試合前に開かれる
ジャッジミーティング
で
3Aをミスした浅田真央を叩けるだけ叩く
という合意があったのではないか、と疑ってしまうくらいの凄まじい判定だった。
普通の選手なら、ここでくじけてしまってもおかしくない。
これまでの辛い、厳しい自己改造の歩みを知っていれば、なおのこと、浅田真央がSPで16位に沈んだ直後から、twitterでは
真央ちゃん、明日は思いっきり滑って
応援しているよ
という温かい声が溢れた。これまでも使われていた
#GoMao
というハッシュタグに加えて
#MaoFight
というタグも現れ、世界中から、現役の選手も過去の名選手も、浅田真央の応援tweetをした。
そして今日。
第二グループ
という
浅田真央の滑走順とは思えない早い順番
に、演技が割り振られた。
12番滑走 第二グループの最終滑走
だ。
しかし、第二グループの6分間練習で、ちらりとテレビ画面に映ったあるジャッジの顔は、明らかに動揺していた。
ラフマニノフのピアノ協奏曲第二番。
苦悩と喜びの曲に、浅田真央は自分のこれまでの歩みを乗せた。
その上、今回のFPの課題は
6種類の3回転ジャンプすべてを決め、8回跳ぶ
というもの。現役女子選手で
3A 3S 3T 3Lo 3Lz 3F
という6種類のジャンプを跳べるのは浅田真央一人だ。しかも、このところ、試合で決めていない
3-3(3F-3Lo)
を入れるのだ。
最初のジャンプは3A。
すっと軌道に入り、跳んだ。決まった。
3Aの次は3F-3Lo。これも決まった。
3Aを決めた後の浅田真央は、一つ一つ確認するように、全ての要素を決めていく。いつもより慎重な滑りに見える。
確実に6種類8回の3回転ジャンプを決める
という
自分に課した挑戦
を、鮮やかにクリアしていくのだ。3-3が決まった辺りから、鳥肌が立った。
昨日とは打って変わって、演技の切れ味が素晴らしい。すっかり見ほれてしまった。
たった1日足らずで、ここまで立ち直れる勁さ。その勁さは人々を揺さぶった。
割れんばかりの賞賛の拍手。演技を終えたばかりの浅田真央は、堪えきれず、顔を歪め、涙を流した。長かった四年間の集大成の滑り。それを五輪のFPでやり遂げたのだ。
浅田真央を迎えて抱きしめる佐藤信夫コーチの目にも、光るものがあった。ザンナコーチもそうだったろう。
果たしてジャッジはどう判定するのか。
思ったより、浅田真央の点数は早く出てきた。
142.71点
PB更新である。点数を見つめる浅田真央の顔には、まず驚きが広がった。
ライブリザルトを見る限り、若干刺さってはいるものの
6種類の3回転、8回のジャンプは認定
された。PCSの評価も高い。
まだ、女子フィギュアフリーの演技は続いている。
しかし、今日、浅田真央が世界中の観客に与えた感動は、この五輪が終わった後も、長く揺らぐことはないだろう。(2:45)
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