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2014-02-10

ソチ五輪 フィギュア団体 女子フリーを終えて早々とロシアが金メダル リプニツカヤの鮮烈な五輪デビューの舞台となった団体戦

ソチ五輪のフィギュア団体戦は、最後の競技アイスダンスFDを前に、
 ロシアが金メダル
を決めた。
 男子FSではプルシェンコが会場を「支配」
し、
 女子FSでは15歳のリプニツカヤがSPと同様、隙の無いすばらしい演技
を見せ、共に1位となり、五輪で初めて開催された団体戦での優勝を決めた。

今回のフィギュア団体戦は
 昨シーズンにジュニアから上がってきた15歳のユリア・リプニツカヤの鮮烈な五輪デビューの場
となった。ロシアにとっては
 望外の演出
である。

以前から、というか
 バンクーバー五輪が終わった時点

 ソチ五輪ではロシアのジュニアから凄い選手が上がってくる
とは予想されていた。その候補となる選手の名前は、これまでにもいくつか挙げられてきたのだが、残念ながら
 体形変化後に精彩を欠く
選手が多く、国際大会を席巻するには至らず、
 ソチに間に合うのか
と言われてきた。ところが、
 今シーズン、15歳となって五輪出場資格を得たユリア・リプニツカヤの「伸び」がすさまじい
のである。
リプニツカヤのSPもFSもどちらも
 極めてドラマティックな演出
で、明確なストーリーを持ち、
 容貌でも秀でているリプニツカヤは、情感の表現にも優れて
おり、かつ
 体形変化前の少女が得意とする、ジャンプや柔軟性を生かした技術の高さ
で抜きんでている。体形変化前の少女が、難しいジャンプを軽々と跳ぶ姿は、浅田真央の15歳の頃を思い出してもらえればよいだろう。
リプニツカヤはちょうど
 体形変化前
という有利な時期に、
 五輪出場資格を得た
上に、採点競技の運命として、地元有利であるフィギュアで、
 地元ロシアで開催される五輪を迎え

 三重の意味で強運の持ち主
である。そして
 団体戦ではSP・FSの両方に出場
し、
 ジャッジに強烈な印象
を与えた。リプニツカヤの完璧な演技は
 国際大会での評価を、個人戦前に高める効果
があった。今回の団体戦出場によって、リプニツカヤは
 SPでもFSでも自己最高点を更新
している。もちろん
 技術点も高い
のだが、それより以上に
 PCSがぐんぐん伸びている
のである。ジュニアからシニアに上がったばかりの選手が最初にぶつかる壁が
 シニアでのPCSの積み上げ
だ。リプニツカヤは、先シーズンからシニアに上がってきた。昨年11月の
 GPF福岡大会
では、
 浅田真央に次ぐ2位
となったが、
 まだジュニアっぽさが抜けきらない演技内容
と見なされ、PCSは
 SPで29.78
 FSで60.52
だった。
今回
 団体戦へ出場
したことで評価が上がり、
 難なく、金メダルを狙えるPCSを得る
ことができたのだ。
たとえば、浅田真央より上位に付けたSPでは
 PCSは33.51(浅田真央は33.81)
今夜のFSでは(まだLive resultだけど)、


Program components Scores of Panel
Skating skills 8.64
Transition 8.43
Execution 8.86
Choreography 8.82
Interpretation timing 8.89
Factored program components 69.82


 70点近いPCS
を得ている。いずれも8点台と、世界最高レベルのPCSだ。GPFから比べると、
 9点以上のアップ
である。ちなみに
 バンクーバー五輪
では
 金メダルを取ったキムヨナのFSのPCSは71.76
 銀メダルの浅田真央のFSのPCSは67.04
だった。いかに
 団体戦でリプニツカヤが新たに得たPCSが高い
か、わかるだろう。

長野五輪で若くして金メダリストとなったタラ・リピンスキーがそうだったように、
 五輪出場資格を得たばかりのリプニツカヤが、女子シングルの金メダルを獲得する
可能性はかなり高くなった。
 今回のソチ五輪はロシアのプーチン大統領にとってはまたとない国威発揚の機会
であり
 金メダルの大量獲得は至上命題
である。もちろん
 バンクーバー五輪では、フィギュアで一つも「金」がなかった屈辱
は、ソチ五輪で晴らされなければいけない。

問題は
 団体戦で2戦しているリプニツカヤが個人戦までに体力を回復できるか
に掛かっているとみてよい。実を言えば、
 ロシア選手権大会で優勝したのはリプニツカヤではなく、ソトニコワ
なのである。

会場では、ロシアの選手が氷に降りると
 ロシア、ロシアの大歓声
で、恐ろしい位のプレッシャーが掛かっているのだが、
 旧ソ連時代の「国家公務員」アスリート達と同様

 男子シングルのプルシェンコも、女子シングルのリプニツカヤもプレッシャーをモノともせず

 自分の演技をやり遂げた
のだった。

この流れは、個人戦でも続くだろう。
 採点競技では地元が有利
なのはいつの時代も変わらない。しかも、リプニツカヤは典型的と言ってもよい
 15歳のロシアの美少女
なのである。

ISUとしては
 ヨーロッパ開催の五輪

 3大会続けてアジア系の金メダリストを出すつもりはない
かもしれないからな。

ともかく
 今回の団体戦
で、はっきりしたことは
 技の実施精度よりも「ミスしないこと」が大事
だという
 判定基準
だ。
 転倒
すれば、確実にメダルは遠のく。

リプニツカヤは度胸がある。
熱狂する観衆の前に立ってもたじろがない。自分の演技を着実に決める。
団体戦SPの6分間練習の最後の方で
 浅田真央が3Aを跳ぼうとした
時、
 進路上にいたのはリプニツカヤ
だった。3Aを跳ぼうとした浅田真央を見ても、リプニツカヤは動じず、浅田真央は最後の3Aの練習をうまく終えられなかった。そして、SPでは3Aを転倒、回転も不足してDGされ、60点台の低い得点に抑えられてしまった。
浅田真央は
 思っていた以上に緊張していた
と、競技後のインタビューで語っていたが、熱狂する会場で完璧な演技を見せ、さらに観客を興奮の渦に巻き込んだリプニツカヤの次に演技したのが、浅田真央だった。
わたしは、3Aを跳ぼうとした浅田真央の進路上に立っていて、こちらを向いたリプニツカヤの眼差しを忘れることが出来ない。
 何かを見抜いたような冷たい厳しい眼差し
だった。

浅田真央が悲願の金メダルを手に入れるためには、心を落ち着けて、新たに立ちはだかるリプニツカヤ、そして多分ソトニコワとロシアの観衆に、精神的に打ち克たねばなるまい。
 浅田真央の敵は浅田真央自身
であることに、変わりはない。

こちらは2010年に書いたソチ五輪の予想。
2010-03-07 ソチ五輪 ロシアが本気でやってくる
http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2010/03/post-7e84.html

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