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2014-03-08

厚労省の「産科破壊計画」発動(その2) 重度新生児仮死蘇生術や吸引分娩といった高度な医療技術で母子を救う技術も軒並み「ダンピング」赤ちゃんとその家族のその後の人生を左右する重度新生児仮死蘇生術のお値段はたったの「27000円(26年度以降)」年間100万件程度の出生数に対し産科の体力を更に削るつもりなのか

生まれて来た赤ちゃんが、産声を上げない。
脈拍がなく、顔色がチアノーゼで青い。
所謂
 新生児仮死
である。日本の診療報酬制度では新生児仮死には二つのランク分けをしていて
 第1度(軽度仮死)
 第2度(重度仮死)
があり
 第2度がより重く、赤ちゃんの命にもその後の人生にも関わることが多い
のである。新生児仮死は、
 APGAR Score(アプガー指数)
で判定される。
メルクマニュアル第18版より。


アプガースコア*
基準とスコア
色調 Appearance(外観)
 スコア0 全体に青色,蒼白
 スコア1 体幹が淡紅色,四肢が青色
 スコア2 全体に淡紅色
心拍数 Pulse(脈拍)
 スコア0 なし
 スコア1 <100/分
 スコア2 >100/分
鼻カテーテル/触覚刺激に対する反射反応 Grimace(顔の歪み)
 スコア0 なし
 スコア1 顔を歪める
 スコア2 くしゃみ,咳嗽
筋緊張 Activity(活動度)
 スコア0 だらりとしている
 スコア1 四肢がやや屈曲
 スコア2 活発
呼吸 Respiration(呼吸)
 スコア0 なし
 スコア1 不規則,緩徐
 スコア2 良好,啼泣

*5分後のスコアが
 7-10であれば正常
 4-6であれば中間
 0-3であれば低値
であるとする。

日本では
 アプガースコア 1分後
で仮死の程度を判断し、
 アプガースコア 5分後
を、
 新生児仮死の予後の目安
としている。5分後に循環が改善して7点以上になっていれば、赤ちゃんの予後は良好になることが多いのだが、5分を経過しても
 0-3のまま
であれば、予後は厳しいと予想される。
 最初の勝負は5分以内
だ。
アプガースコアでいえば、
 第1度新生児仮死=4-6点(1分後)
 第2度新生児仮死=0-3点(1分後)
となる。アプガースコアが低ければ低いほど
 赤ちゃんは危険な状態
と判断される。

赤ちゃんが新生児仮死で生まれたとき、産科では、全力を挙げて赤ちゃんを救おうとする。
 少しでも状態を良くしたい、生き延びて欲しい
 少しでも後遺症がないようにしたい、健やかに育って欲しい
そう考えて、様々な処置を行う。
 第1度の軽度仮死
であっても、
 多くは蘇生措置が必要
であり、
 吸引によって気道を確保し、酸素を投入
する。
 重度仮死
であれば、
 更にいくつもの措置を施して、赤ちゃんの命が救えるよう、少しでも後遺症が出ないよう
努力する。

ところで、今回の
 診療報酬改定
では、
 軽度仮死蘇生術の点数は変わってない
のだが、より赤ちゃんの人生を左右する
 重度仮死蘇生術の点数を下げている
のである。元々
 新生児仮死蘇生術の点数はかなり低い
のだが、
 更にそれを下げた
のだ。

お父さん、お母さん、
 新生児仮死蘇生術の点数
をご存知ですか。あなたのお子さんが、
 仮死状態で生まれて来たとき、医療スタッフが必死に蘇生を試みているその技術に支払われる点数
だけれども
 軽度新生児仮死蘇術では840点(点数は10倍かけると金額になるので)=8400円
 重度新生児仮死蘇生術では、25年度までは2890点=28900円
 26年度以降は2700点=27000円
だ。
 赤ちゃんのその後の人生を左右する新生児仮死蘇生術が軽度といっても、酸素吸入が必要な程度の「重い」仮死でたったの8400円(当然ながら、助産院では酸素吸入等の処置はムリなので、新生児仮死で生まれた赤ちゃんの予後は、救急搬送時間もあるから、設備の整った病院での出産より厳しくなる)
で、なおかつ
 赤ちゃんとその家族のその後の人生を変えるかもしれない
大切な技術である
 重度新生児仮死の蘇生は、たったの3万円未満
なのである。それも
 26年度からは1900円下げられる
のだ。
 赤ちゃんの一生を決める技術がこんなに安く買い叩かれている
って、知ってましたか? しかも
 診療報酬は、病院に支払われるもの
であって
 現場の医療スタッフの給料には反映されない
のである。

さらに、
 吸引分娩の手術料も値下げ
だ。帝王切開に至らずとも
 難産
で、赤ちゃんがなかなか出てこられないとき、吸引分娩を行う。これは
 一定程度の高い技術が必要な手技
であり、
 母子の負担を軽くする
ためにも、的確に行われなくてはいけない。
ところが、
 吸引分娩の手術料
を国は、26年度から
 2700点(27000円)から2550点(25500円)に値下げ
するのだ。
 高齢初産が増え、難産が増加している
というのに、
 難産にかかる費用をダンピングする
のだから
 現場の士気が下がる
のは間違いない。
お父さん、お母さん
 うちの子、吸引分娩だったから、頭に瘤が出来ちゃってみっともない
なんて思っていませんか。
 吸引分娩をしなくてはならない程度に「難産」だった
ということなんですよ。
 みっともない
のではなく
 吸引したおかげで無事に生まれて来た
のですから、むしろ喜んで下さい。

とまあ、
 命の生まれ出る値段をダンピングしている
のが
 少子高齢化に立ち向かっているはずの厚労省
というのが、ブラック過ぎる。

で、
 目立たない産科の点数を下げる理由

 有権者の多数を占める高齢者は「出産しない」から
だろうね。
 高齢者の介護に必要な人的パワー

 これから生まれてくる子ども達に掛かっている
というのに。
 目先のことしか考えてない
ってのが丸わかりだ。
 子どもを大切にしない社会
は滅びるだけじゃないのか。

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