1000年掛けて間延びしちゃった雅楽を元のテンポで演奏してみたよ@京都市立芸術大学日本伝統音楽研究センター
奈良には、春日大社がある。春日大社には
南都楽所(なんとがくそ、と読む)
があり、日々、雅楽が伝承されている。南都楽所が置かれたのは、一条天皇の長保3年(1001)で、以後受け継がれ、明治維新後、一時廃絶するものの、紆余曲折を経て、現在の形で継承されることとなる。この辺りは
南都楽所 プロフィール
を是非ご一覧下さい。なんせ
雅楽といえば大仏開眼(天平勝宝4年(752))の時に演奏されたアジア各国の音楽
なわけで、そこから数えてもすでに1262年経つ。
ま、そんなこんなで、他の地域よりは
雅楽に触れやすい環境
ではあるのだが、実際に雅楽を聞いたことがあれば誰しも思うのは
何を聞いても同じように聞こえる
のと
ともかくテンポが遅い
ことだろう。
ところが
雅楽のテンポは、元はちゃんと今の音楽のように速く、旋律もはっきりと理解出来るものだった
のが
1000年掛けて「超間延び」して現在の演奏スタイルになった
という
音楽学者ローレンス・ピッケン(Laurence Picken,1909〜2007)の唱えた説
がある。その説を踏まえて
1000年掛けて「間延びした」雅楽を元のテンポに戻して演奏する企画
が
2012年度から2013年度にかけて京都市立芸術大学日本伝統音楽研究センター
で行われた。
その記録がこちら。
平家物語の音楽その1─平安・鎌倉時代の雅楽はこんな曲!? ─
平家物語の音楽その2─平安・鎌倉時代の雅楽はこんな曲!? ─
源氏物語の音楽─平安・鎌倉時代の雅楽はこんな曲!?─
上記企画では
現行の「眠くなる、止まりそうな」演奏法での演奏
と
平安・鎌倉時代の「旋律がはっきり聞こえる、速い」演奏法での演奏
との両方が映像としてアップされている。
たとえば、有名な
蘭陵王
だけど、天平8年(736)に南天竺婆羅門僧の菩提僊那と共に日本にやって来た、林邑(現・ヴェトナム)の僧仏哲により伝えられた「林邑八楽」の1つといわれる。京都市立芸術大学日本伝統音楽研究センターの復元演奏では、現在では演奏しないけど、平安・鎌倉時代には演奏されていた
蘭陵王 荒序
同じく
蘭陵王から、入破
どうです? なるほど、これなら
勇壮な蘭陵王
と言われても、まだ納得するよね。
いずれも
残っている古楽譜から奏法を復元したり推定したり
して
A Tempoした雅楽のメロディー
だ。
| 固定リンク
« 鳥インフルエンザ 熊本で高病原性のH5型鳥インフルエンザウイルスが検出される(その3)鳥インフルエンザは渡り鳥と共に外からやってくる可能性があるが折しも渡りの季節 | トップページ | 「美を探る医術」 共同研究班A「東アジア伝統医療文化の多角的研究」第1回討論集会@5/10 京都大学人文科学研究所本館4階大会議室 »
コメント