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2014-05-26

デザイナーが「違和感」を感じるとき

1980年代からの一時期
 CI(コーポレート・アイデンティティ)
というのが流行し
 猫も杓子も、企業ロゴを新しいデザインに変えた
のであった。
 CI
によって
 企業内のロゴ入りのもの(看板とか広告とか便箋とかカタログとか名刺とか)はすべて切り替わる
わけで、
 企業の負担は大きい
のだが、
 刷新したイメージを簡単にアピールできる
せいなのか、やらなくていいと思われるところまでやっていた。中には
 老舗の伝統的で優れたロゴを、デザイナーが「今風」と思ったらしい無惨な新しいロゴに変えた例
もある。日本の伝統的ロゴデザインは、結構coolなのがあるんだけど、
 日本語ダサイ
と思ったらしく、
 説明されてもよくわからないロゴ
に変わってしまった。
この流れの中で
 新しいロゴデザインを世界中から公募したけど、結局採用しなかった企業
があった。
 SONY
だ。今のSONYは大変悲しい状況だが、まだその当時は
 見識
があった。新聞紙上に発表された
 新しいロゴ候補
は、確かに
 今風
なのかも知れなかったが
 SONYがそれまで築いてきた信用を新たに担うデザインではない
と、経営側が判断できたのだ。

で。
 乗る飛行機をロゴや広告で変えた
という話を、元デザイナーで、現在は経営ストラテジスト/作家の坂之上洋子さんがご自身のblog「犬も歩けば どこかにあたる」の5/25付記事
 ANAをやめてJALにしたわけ
で次のように書いておられる。


一般論ですが、デザインが相当に違和感ある仕上がりになる場合、だいたい大きくわけで以下のような問題があることが多いです。
経営側が、素人であるに関わらず、色々勝手なことを言って変えさせる。
そして、プロであるディレクターやデザイナーが不本意にも、言う事を聞かなければならなかった。
OR
ヘンなのに、皆違うとわかっていても、途中で止めることができる人がいない。

一般的に、そのあたりが主な原因です。

つまり、そういうことが起きる時には
1.専門職(プロ)からの助言に耳をかたむけない雰囲気
2.ヘンだとわかっても、言える人がいない組織の雰囲気
がある場合が多いのです。
それは、もちろんロゴだけでなく、*全ての社内の他の決定も似たようなことになります。
(*上記はあくまでもわたしの一個人が考える一般論です)

坂之上洋子さんは、JASと経営統合したときに作られたJALのロゴを見て
 それまでJALに乗っていたのをANAに切替
たら、その内、JALが経営破綻した経験を持つ。
で、最近は
 ANAの「金髪・鼻高CM」の件
がきっかけで
 ANAからJALに乗り換えた
そうだ。

たしかに
 誰か止めてやれよ
と思うようなデザインやCMが堂々と外に出てくる時点で
 その企業に何か問題が起きている可能性がある
と、考えるのは、妥当だろうな。
 CMなら、旬ではないと思われるタレントのごり押しと感じられる企画
 ロゴなら、前より「カッコ悪い」ロゴ
こうしたものを前面に押し立てて
 〜は変わりました
と喧伝するなら、たぶん、何か、あまりよからぬことが起きているかも知れない。

長い伝統があるわけでもない私立の学校で
 学校指定の服装(制服とか体操着とか)がアレ
な場合は、往々にして
 決定権を持っているヒトを誰も黙らせることが出来ない状況
だったりする。伝統校の場合は
 OBやOGの声で変えられない
ことが多いだろう。

世の中には、
 名前を変えたり、ロゴを変えたりして「新規まき直し」を印象づけようとする企業や機関
がある。そういうとき
 デザインやCMセンスが「前よりイケてる」か否か
をきっちり見ていきたい。

最近、デザインがらみでガッカリしたことはって?
 ジョブズ亡き後、最初のAppleのキャンペーンサイト
ですよ。ジョブズが生きてるときなら、多分ダメ出しされただろうと思われるサイトの今一なデザインを見て
 ああ、Appleは普通の企業になっちゃったんだなあ
としみじみ感じた。

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