心停止から生還の記録「死んで生き返りましたれぽ その1〜その16」@pixiv
昨年暮、「竹尾」さんがpixivにアップを始めた
死んで生き返りましたれぽ その1〜16
という
心停止から、ICU〜個室〜一般病棟の治療を経て、無事退院までの日々
を綴ったマンガが7/16に完結した。
すでに、pixivでは多くの読者を得ているのだが、今日、たまたまtwitterでタビトラ先生(@tabitora1013)に教えて頂いたので、まだご覧になってない方の為に紹介する。
この作品の恐ろしいところは
いったんICUから個室に移ったところで、脳浮腫が起き、「不穏」な状態が続いた
ことだ。
治り始めた
と思った患者さんが、
極度に不穏な状態
となるのは、周りの家族や友人達には、耐えられない不安と絶望を与える。ところが、この「竹尾」さんの家族は実に強い。弟妹は、「竹尾」さんが無茶な生活の末に倒れたことを責めなかった(その5)。すばらしいのは、社会福祉士かつ精神保健福祉士をされている妹さんが、脳浮腫が原因で暴れている兄に
これから、たっちゃんが回復しなかった時のことを考えよう
と声を掛けるところだ(その4)。妹さんは次のように言う。
大丈夫だよ。どんな人にも生きる道はあるのだから。
と。
脳浮腫で意識が混濁している状態でも
悪意の言葉は突き刺さる
という(その5)。脳浮腫がひどかった時に聞いた言葉は、その時は意味が分からず、回復してから、意味が分かった、とも「竹尾」さんは記している。意識不明の患者さんの横で、
聞こえてないから大丈夫
と、心無いことをいう見舞客がいるけれども、実は聞こえているかも知れないね。
しかし
脳浮腫の混濁状態から、覚醒、覚醒後の回復過程
については、実にリアルだ。
覚醒したから、普通と同じように「脳が動く」わけではない
ことがわかる。。脳浮腫でダメージを受けた後は、
脳が誤動作する
のだ。最初は
見えないものが見える
のだった(その8、9)。そして
いままで出来たこと、絵を描いたり、計算したり、漢字を書いたりができなくなる
のである。(その10)それでも、家族や友人達は、すっかり自信を失っている「竹尾」さんが生きていること、何か一つでも成し遂げることに
よかったなあ
と声を掛けるのだ。その声が、「竹尾」さんを勇気づけて行く。
長期間、寝たきりになっていたことで、「竹尾」さんの身体は異変を起こしていた。リハビリの第一歩として
座る
ことに挑戦しようとすると、いきなり気絶する(その11)。寝たきり生活で位置が変わっていた内臓が、座ることで、元の位置に戻ろうとして、血圧が下がったのだという。ようやく「竹尾」さんは、自分が何の病気だったかを主治医に聞き出すのだが
糖尿病
糖尿病性ケトアシドーシス
横紋筋融解症
急性腎不全(横紋筋融解症の結果、引き起こされる)
栄養失調(倒れる直前は、固形物が食べられなくなり、ポカリスエットだけを一日3l飲んでいた)
肺炎
敗血症
脳浮腫
と、
全部死ぬ病気です
という結果に。でも主治医は
あなたは若く、未来がある。絶対に助けようと思っていました。
と告げるのだ。
リハビリの先生は、リハビリの基本を口にして、「竹尾」さんを励ます(その13)。
自分はひとりしかいませんから、あなたのためにがんばれるのは、あなただけです
至言だ。
ようやく少しずつ抜管すると、「絵を描きたい」という「竹尾」さんに、主治医は次のように言う。
ぼくは君や患者さんたちに何もあきらめさせたくありません。人生は楽しいということを忘れないでいてほしいです
と。死の淵から生の世界に戻ってきた「竹尾」さんの心に響くエールだ。
病状を克明に記した診断書が(その15)に出てくるのだが、
心肺停止(CPA)
と明記されている。院内CPAでも生存率は15%程度と言われている。更にその内、歩いて退院できる患者さんは極少ない。「竹尾」さんは、奇蹟に近い回復をされている、といえるだろう。
退院直前、すべての管が抜かれた「竹尾」さんが
なんか…人間に戻った気分です
というのに、看護師さんが、
いいえ! ずっと人間でしたよ。
と答えるシーンがすばらしい(その16)。
医療スタッフや友人、家族との会話に関西弁が混じる。関西弁が
この闘病マンガを明るくし、ユーモアを添えている
といえる。
一度、是非ご覧頂きたい作品だ。
そして、病後の「竹尾」さん、どうかお大事に。
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コメント
>脳浮腫が原因で暴れている兄に
竹尾さんは女性かと思ってました
投稿: もも | 2014-07-20 12:03