Apple Pagesに期待すること 日本の教育現場で使われるためには
Appleは
iOS 8/Yosemite(OS X 10.10)
で、iCloudと連携して、シームレスに使えるワープロとして
Pages
を配布している。
横書きの文書のみ
を作成するのであれば、悪くない選択だろう。
ところで、日本では
少数だけど、確実に複雑な縦書き文書を作成する現場
がある。
教育現場
だ。
小中高の教材や試験作成
だけでなく
大学以上の高等教育機関での日本語・古典中国語(漢文)文書の作成
には、扱う内容によって縦書き文書が必要になってくる。一番必要なのは
義務教育での教材や試験(特に低学年は縦書き必須)
漢文に訓点を付ける場合
古文
だ。
しかし、残念ながら
2005年に開発が始まって10年近く経ついまになってもPagesには縦書き機能がない
のである。
縦書き文書に関していうなら、Pages以外でも
Macの環境はイマイチ
だ。
ガラパゴス
と言われようが何しようが
美しい縦書き文書
というと
一太郎の独擅場
と長く考えられていた。JustSystemsは、以前は、
一太郎 for Mac
を開発していたのだが、売れなかったらしく、いまは存在しない。
WindowsでこれだけWordが普及しているのにも拘わらず、一太郎じゃなければダメという人がいる理由の一つは
縦書き文書
にあるといっていいだろうと思う。
Windowsより更に劣悪な環境なのが
Macでの縦書き文書作成
だ。Texで組むとか、そうした工夫はできるけれども、よほどの熱意がない限り
普通に使われているワープロソフト
を使いたい、というのが、多忙な教育現場の実情だろう。いくらAppleが
教育現場にMacを
と言ったところで、
標準添付のPagesが縦書き無視
では、
縦書き必須の日本の教育現場はマーケットとして認知されてはいない
ってことになる。一般的なMacユーザは
縦書き用のMacのデファクトスタンダードソフト
として
Microsoft Word
を選ぶしかないだろう。実を言うと
Wordの縦書きも美しくない
のである。
簡単にApple標準の「美しい文書」が縦書きでは作れない現状
では、
日本の教育現場でMacは普及しない
わけで、
Macが教材や試験の作成などの現場で使われる頻度は低くなる
のだ。
「美しい文書」を謳うMacでは「美しい縦書き文書」が作れない
のだから、皮肉な話だ。(ついでにいうとApple Keynoteでも、縦書きスライドは作れない。PowerPointで作った縦書きスライドは、強制的に横書きスライドに変換される。)
Appleは、初代Macを作った頃から
多言語対応
を考えていた。
1984年の初代Macの頃より、現在は技術の進歩でさまざまなことが容易になっている。しかし、
Pages
は、
欧文文書作成には適している
だろうけど、他の言語ではどうだろうか。
商売人のTim Cookには、
世界中の全ての言語に、全ての人に使えるコンピュータ
という
矜恃や美学
はあるだろうか。
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