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2014-12-25

子どもに豆類を与えるな 吸い込むと命取りになることも クリスマスイブの搬送例

クリスマスイブの夜、異物を吸い込んで、子どもが搬送されてきた。
異物の正体は豆。MuraC先生が
 2時間半かかって、ようやく取り除いた
という。twitterから。


豆のような異物を吸い込んで、取れないと3割が窒息死ですか。恐ろしい。

素人には、上の写真の怖さがわかりにくい。KGN_works先生が、写真に解説を付け加えて下さった。



(追記 10:00)


豆が左肺に通じる気管支を塞いでいることが分かる。

これから、年末年始で家に人が集まったり、昼間からのんびりしたりする際に、豆類のような
 吸い込むと気管支を塞ぐ危険性のあるもの
が、食卓やリビングのテーブルに、並ぶ機会が増えるだろう。年末年始は、
 病院も休み
だ。救急車を呼んでも、搬送先がなかなか決まらないこともある。まずは子どものいる家庭では、
 豆類のような小さなモノで子どもが窒息する危険性がある
ことを留意し、
 子どもの口に入らないように
対応して欲しい。
楽しいはずの年末年始が悲しい時期にならないように。

更に続き。(12/26 9:10)
tabitora1013先生からの指摘。



なるほど。
 豆のような大きさと硬さのものが要注意
というわけですね。しかも
 銀杏も詰まりやすいが、それだけでなく5個以上子どもが食べると中毒する恐れがある
とのこと。確かに、子どもが銀杏を食べたがると、大人がおもしろがって与えることがあるので、
 銀杏の食べさせすぎに要注意
だ。日本中毒情報センターのデータベースによると、
・ギンナンの中毒症状は接種後1-12時間で発症、90時間(約半数は24時間以内)に回復するが、死亡例も報告されている。
・症状は主に嘔吐と痙攣で、痙攣が繰り返されることが多い
・家庭での処置は痙攣を誘発するので、吐かせてはいけない
・症状がある場合、症状がなくても大量摂取の場合は病院へ
とのことだ。

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コメント

蛇足とは思いますが、さらに付け加えますと、

通常は気管に入り込んだ異物は右の気管支に落ちていきます。
図のCTでも「道なり」に行くと、右に行きやすいことはおわかりいただけると思います。

通常、右肺・左肺を比較すると、どちらかというと右肺の方がメインです。左には心臓があり、左肺の体積の方が小さいです。ちなみに右肺は上・中・下の3つの部分に分かれますが、左肺は上・下の2つの部分に分かれます。

今回のケースでは、左に落ちていて、機能が損なわれたのが左肺であったのが、不幸中の幸いだったのだと思います。
それでもチェックバルブ(息を吐き出す時には豆が太い側に動くので吐き出せるけれど、息を吸い込むことが出来ない)になっており、かなり危ない症例だったと思います。

投稿: 非小児科医 | 2014-12-26 08:57

非小児科医先生、今回の症例について、詳しく、わかりやすくご教示頂き、ありがとうございます。
命に関わりかねない事態だったこと、そしてこうしたことが、いつでもどこでも起きることを、小さいお子さんの周りの大人たちには、是非強く意識してほしいと思いました。

投稿: iori3 | 2014-12-26 09:42

http://www.hoku-iryo-u.ac.jp/~wadakg/keyword/ginkgofoodp.html
銀杏中毒の原因物質を発見された先生のサイト

今のように作用時間の短い静脈麻酔のない時代、ハロセンをかぎまくりながら、硬性気管支鏡で耳鼻科の先生と異物をとった記憶が恐ろしすぎて、子供には生まれてから一度もピーナッツを食べさせたことがありません。節分の豆もまく前に数を数え、まいたあとには1粒残らず拾い集めています。豆の恐ろしいのは、丸くてつるつるして鉗子で取りにくい上に、古くなるとぼろぼろくずれて、小さい破片がどんどん末梢におちていくことです。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/shonijibi/31/3/31_307/_pdf
実際の手術の様子

「気管支鏡をいれて取る」と日本語で書くと、簡単そうに見えますが、実際は恐ろしい手術です。

硬性気管支鏡なんて、あんなまっすぐなものを気管にいれるんですから。


投稿: 麻酔科医 | 2014-12-30 08:13

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