子どもに豆類を与えるな 吸い込むと命取りになることも クリスマスイブの搬送例
クリスマスイブの夜、異物を吸い込んで、子どもが搬送されてきた。
異物の正体は豆。MuraC先生が
2時間半かかって、ようやく取り除いた
という。twitterから。
クリスマスイブに気管支異物が来ました。2時間半かかって、やっと終わったところです。
保護者の方々、くれぐれもお子さんに豆類を与えないように気をつけてください。
気管に入ったら死にますよ(3割)!?
これがほんとのクリスマス異物 pic.twitter.com/Jr4QYfgrBw
— MuraC(o・`ω・)キリッ (@MuraC) 2014, 12月 24
豆のような異物を吸い込んで、取れないと3割が窒息死ですか。恐ろしい。
素人には、上の写真の怖さがわかりにくい。KGN_works先生が、写真に解説を付け加えて下さった。
MuraC先生のこのtwで提示された写真に、蛇足ながら説明付けて見ました。
https://t.co/DVpbxpClRD
くれぐれも、豆等の小さいものにもお気を付けて! pic.twitter.com/78Hym3RZXM
— KGN (@KGN_works) 2014, 12月 24
(追記 10:00)
誤りがありましたので(チェックバルブ)、画像修整しました。
@KGN_works MuraC先生のこのtwで提示された写真に、蛇足ながら説明付けて見ました。
https://t.co/DVpbxpClRD pic.twitter.com/z7yagn7wPT
— KGN (@KGN_works) 2014, 12月 25
豆が左肺に通じる気管支を塞いでいることが分かる。
これから、年末年始で家に人が集まったり、昼間からのんびりしたりする際に、豆類のような
吸い込むと気管支を塞ぐ危険性のあるもの
が、食卓やリビングのテーブルに、並ぶ機会が増えるだろう。年末年始は、
病院も休み
だ。救急車を呼んでも、搬送先がなかなか決まらないこともある。まずは子どものいる家庭では、
豆類のような小さなモノで子どもが窒息する危険性がある
ことを留意し、
子どもの口に入らないように
対応して欲しい。
楽しいはずの年末年始が悲しい時期にならないように。
更に続き。(12/26 9:10)
tabitora1013先生からの指摘。
子どもが気管につまらせやすいものに、豆のほか甘栗という事例もあって、要するにああいうかんじの大きさと硬さのものが要注意なんだけど、銀杏もつまりやすい以外に幼児だと5個くらいから中毒の報告があるので気をつけた方がいいと思う
— タビトラ (@tabitora1013) 2014, 12月 25
なるほど。
豆のような大きさと硬さのものが要注意
というわけですね。しかも
銀杏も詰まりやすいが、それだけでなく5個以上子どもが食べると中毒する恐れがある
とのこと。確かに、子どもが銀杏を食べたがると、大人がおもしろがって与えることがあるので、
銀杏の食べさせすぎに要注意
だ。日本中毒情報センターのデータベースによると、
・ギンナンの中毒症状は接種後1-12時間で発症、90時間(約半数は24時間以内)に回復するが、死亡例も報告されている。
・症状は主に嘔吐と痙攣で、痙攣が繰り返されることが多い
・家庭での処置は痙攣を誘発するので、吐かせてはいけない。
・症状がある場合、症状がなくても大量摂取の場合は病院へ
とのことだ。
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コメント
蛇足とは思いますが、さらに付け加えますと、
通常は気管に入り込んだ異物は右の気管支に落ちていきます。
図のCTでも「道なり」に行くと、右に行きやすいことはおわかりいただけると思います。
通常、右肺・左肺を比較すると、どちらかというと右肺の方がメインです。左には心臓があり、左肺の体積の方が小さいです。ちなみに右肺は上・中・下の3つの部分に分かれますが、左肺は上・下の2つの部分に分かれます。
今回のケースでは、左に落ちていて、機能が損なわれたのが左肺であったのが、不幸中の幸いだったのだと思います。
それでもチェックバルブ(息を吐き出す時には豆が太い側に動くので吐き出せるけれど、息を吸い込むことが出来ない)になっており、かなり危ない症例だったと思います。
投稿: 非小児科医 | 2014-12-26 08:57
非小児科医先生、今回の症例について、詳しく、わかりやすくご教示頂き、ありがとうございます。
命に関わりかねない事態だったこと、そしてこうしたことが、いつでもどこでも起きることを、小さいお子さんの周りの大人たちには、是非強く意識してほしいと思いました。
投稿: iori3 | 2014-12-26 09:42
http://www.hoku-iryo-u.ac.jp/~wadakg/keyword/ginkgofoodp.html
銀杏中毒の原因物質を発見された先生のサイト
今のように作用時間の短い静脈麻酔のない時代、ハロセンをかぎまくりながら、硬性気管支鏡で耳鼻科の先生と異物をとった記憶が恐ろしすぎて、子供には生まれてから一度もピーナッツを食べさせたことがありません。節分の豆もまく前に数を数え、まいたあとには1粒残らず拾い集めています。豆の恐ろしいのは、丸くてつるつるして鉗子で取りにくい上に、古くなるとぼろぼろくずれて、小さい破片がどんどん末梢におちていくことです。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/shonijibi/31/3/31_307/_pdf
実際の手術の様子
「気管支鏡をいれて取る」と日本語で書くと、簡単そうに見えますが、実際は恐ろしい手術です。
硬性気管支鏡なんて、あんなまっすぐなものを気管にいれるんですから。
投稿: 麻酔科医 | 2014-12-30 08:13