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2016-01-31

溢れる才気と確かな演奏 ファミマのチャイムをクラシックの変奏曲にしてみたよ by Mega Ne Ensemble

いや、凄い。
Mega Ne Ensembleを名乗るクラシックの音楽家達が集まって
 ファミマに入ると流れるあのメロディ

 クラシックのさまざまな楽曲に嵌め込んだ変奏曲
に仕立て上げ、演奏している。変奏曲は21あって
 その演奏形式または作曲家の時代順
に並んでいる。
才気溢れる編曲と確かな演奏で、笑いの神が舞い降りる。全22分28秒の演奏。

特に笑っちゃったのが以下。


第五変奏曲 モーツァルト レクイエム 第八曲 涙の日 W. A. Mozart, Requiem K.626 - 8. Lacrimosa
第六変奏曲 ベートーヴェン 第九交響曲 第一楽章冒頭部分
第九変奏曲 ウェーバー クラリネット協奏曲第二番
第十変奏曲 シューベルト 鱒
第十一変奏曲 ショパン マズルカ 変ロ長調
第十二変奏曲 ドヴォルジャーク 交響曲第九番 新世界より 第二楽章(Cor anglaisが吹くはずのテーマが何故こうなる)
第十三変奏曲 ブラームス ワルツ Brahms Waltz Op39-15
第十四変奏曲 ムソルグスキー 展覧会の絵 プロムナード(無理くり嵌め込む)
第十五変奏曲 ドビュッシー 牧神の午後(冒頭部分)
第十六変奏曲 ラヴェル ボレロ(主題にファミマのテーマをぶち込む荒技炸裂)
第十七変奏曲 サティ ジムノペティ 第一番 Erik Satie - Gymnopedie No.1(これも主題にファミマのテーマをぶち込む)
第十八変奏曲 ラフマニノフ パガニーニの主題による狂詩曲 Rachmaninov Rapsodie sur un thème de Paganini pour Piano et Orchestre, Op.43
の中の突出して有名な第十八変奏 Andante cantabile 変ニ長調
第十九変奏曲 ストラヴィンスキー 春の祭典(これも冒頭部分の主題にファミマのテーマがぶち込まれる)

まあ、大変楽しいので、お時間のある時に是非。
ファミマ広報は、こんな素敵な編曲・演奏をしているMega Ne Ensembleに早急に接触するように。

おまけ。
第二弾は
  【山手線発車メロディ】山手線の主題による対位法的楽曲【木管四重奏】
で、首都圏在住者以外にはわかりにくいのが残念だが、山手線で耳にするあのメロディから5つを選んで、優雅なフーガ風に編曲している。こちらは3分30秒と短いが、元のメロディが分からないと、笑いのツボが分かりにくいというのが難点といえば難点かな。

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2016-01-30

アンチ・バリアフリー都市奈良 やすらぎの道の点字ブロック現況

奈良は、道が狭く、車がどこから飛び出してくるか分からないような街並みで、身体に何かトラブルのある人には優しくない。
Yas2
これは、やすらぎの道の馬場町交差点東側の歩道を少し北に上がった辺り。ローソンの近所だ。

完全に
 点字ブロックが剥落
している。

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2016-01-28

国立西洋美術館出版物リポジトリ公開

国立西洋美術館が、
 『国立西洋美術館研究紀要』および『国立西洋美術館報』(国立西洋美術館年報)の一部
を、リポジトリとして公開し始めた。
国立西洋美術館出版物リポジトリ
 『国立西洋美術館研究紀要』は1号(1997.3)から最新号(2015.3)まで、『国立西洋美術館報』は46〜48号(2011.4〜2014.3)までで、更にその一部のみを収録しているようである。
フリーワードによる簡易検索と、タイトル等によって絞り込める詳細検索が可能。

たとえば、有名なDürerのかわいそうな犀について、佐藤直樹氏の論文
 デューラーの《犀》--写実とエンブレムのあいだ
があったりする。画像はwikipediaより。
Drers_rhinoceros_1515

おまけ。
この犀にまつわる話は、NHKオンラインで公開されている。
モノが語る世界の歴史  22「デューラー作「犀」

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2016-01-23

孫猛『日本國見在書目録詳考』 上中下 上海古籍出版社 2015.9 2459頁

平安時代の漢学者、承和十四年(八四七)に生まれ、寛平九年(八九七)に亡くなった藤原佐世が編纂した漢籍目録が
 日本國見在書目録
だ。当時、中国や朝鮮半島から日本に伝わっていた漢籍や、日本で撰述された漢文による書物を目睹し、四十の項目に分類、書名と巻数を列挙している。現存する日本最古の漢籍目録である。
この『日本國見在書目録』だが、唯一の最善本が
 宮内庁書陵部所蔵の室生寺本
で、平安末期の古写本である。現在、一般に行われているのは
 江戸時代に室生寺本を転写したものが中心
だ。
早稲田大学法学部の孫猛教授は、書誌学を専門とされ、昨年9月2500頁になんなんとする
 日本國見在書目録詳考
を、上海古籍出版社より出版された。来日以来28年に渡る、日本における
 日本國見在書目録研究の成果
が、この大冊に収められている。
上巻には口絵があり
 室生寺本のカラー写真
が数葉、掲げられている。デジタル撮影じゃないかな。次に
 本文篇
として、書籍に番号を振った形で
 校訂された室生寺本の本文
があり、更に
 考証篇
として
 個々の書籍に関する詳細な考証
が続く。下巻の途中からが、
 研究篇
で、
 編者藤原佐世の生涯

 写本の伝写の過程と分類(この部分は中安真理氏による)
など、『日本國見在書目録』を扱う上で、当然浮かぶ疑問を取り上げ、論じている。
題識等を集めた資料篇が続き、付録として索引が付いている。中国の出版物なので、四角号嗎[口馬]・ピンインで引く形式だが、日本の読者の便を図って、音読みと四角号嗎[口馬]の対照索引も付されている。

内容は詳細であり、中国撰述の書物に関する論考は素晴らしいが、一部の
 書物の同定
の部分に、議論の余地がある。
ともかくも、本書が
 『日本國見在書目録』について議論する強固な土台
となったことは疑いない。これからは、本書を抜きに『日本國見在書目録』を取り上げることは出来ないだろう。

一つ、悲しく残念なことを言えば
 日本文化の宝物と言うべき『日本國見在書目録』研究書

 日本の出版社が手がけなかった点
だろう。たとえば
 岩波書店
が出してもおかしくないのだが、
 中国の出版社から中国語(といってもほとんど所謂「漢文」)で出る
ことになった。日本語で出版すれば、更に大部になったのは間違いないが、
 平安時代の学術状況を日本人が理解する手助け
にはなっただろう。特に、平安時代を研究する国文国史の内に少なからず存在する中国語に闇い学徒を裨益すること大であったと思うと、残念だ。

林望氏が常々慨嘆されているように
 日本では書誌学は「飯が食える学問ではない」
のである。出版しても、売れないから出版されない。それは、伝統的に書誌学を重んじる中国とは大きな隔たりがある。

なお、amazon.cnに注文すると、4日程で届く。
価格は、送料110元を加えて735.30元。
広州から送ってくるので速い。

国文・国史のみならず、中文・中哲・東洋史の研究室でも書架に必ず備えておくべき。
電子書籍にしてくれると、もっと使いやすくなるのだが、上海古籍にそれを言ってもしょうがないだろうな。

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2016-01-13

日刊スポーツ「SMAP 解散」を報じる@1/13(その2) NHKも昼のニュースでジャニーズ事務所の代理人を務める弁護士「一部メンバーが独立を検討」と認める

紅白歌合戦やら、大河ドラマやらで、
 ジャニーズ事務所とは強いつながり
を持つNHKが、
 ジャニーズ事務所の代理人を務める弁護士
から
 一部メンバーが独立を検討している
というコメントを引き出し、昼のニュースで次のように伝えた。


SMAPの一部メンバー ジャニーズから独立検討
1月13日 12時02分

国民的な人気を誇るアイドルグループ、SMAPの一部のメンバーが所属するジャニーズ事務所を辞め、独立を検討していることが事務所の代理人の話で明らかになりました。
これはSMAPが所属する芸能事務所、「ジャニーズ事務所」の代理人を務める弁護士が13日、NHKの取材に対し、明らかにしました。それによりますとSMAPのメンバー5人のうち一部のメンバージャニーズ事務所を辞めて独立することを検討していて現在、事務所側と協議を進めているということです。メンバーは現時点で事務所との契約期間が残っていて、代理人によりますと実際に独立するかどうか最終的な結論はまだ出ていないということです。
SMAPは国民的な人気を集める男性アイドルグループで、平成3年にCDデビューして以降、次々とヒット曲を出し、NHKの紅白歌合戦に通算で23回出場しています。親しみやすいキャラクターでテレビのバラエティー番組の出演も多く、メンバーそれぞれがドラマや映画などで俳優としても活躍しています。
ジャニーズ事務所の代理人を務める弁護士は「一部のメンバーの独立問題について交渉、協議中であることは事実です。協議中のため、これ以上のコメントは差し控えたい」とコメントしています。

ということで
 何人「独立希望」かは謎
だけど、
 近い内にSMAP解散はあり得る
って話ね。
 ジャニーズ事務所の代理人を務める弁護士
を引っ張ってこられるところは、さすが天下のNHKではある。

で、
 なおかつ昼のニュースで流しちゃう
ってところも、
 最近のNHKらしさ爆裂
で、
 超情けない
ことは間違いない。昼の全国ニュース枠は20分。他に取り上げるべきニュースがもっとあるだろっ、NHK。

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日刊スポーツ「SMAP 解散」を報じる@1/13 「キムタク以外はジャニーズ事務所から独立」

現段階(3:30)では、日刊スポーツ一紙のみの報道。


SMAP解散へ!木村拓哉以外ジャニーズから独立
[2016年1月13日3時0分]

 国民的人気グループSMAPの中居正広(43)稲垣吾郎(42)草なぎ剛(41)香取慎吾(38)が、ジャニーズ事務所から独立することが12日、分かった。木村拓哉(43)は事務所に残る方向だが、グループはこれで事実上の解散となる。
 SMAPは91年にCDデビュー。バラエティー番組で幅広い人気を得て大ブレークすると、木村が「ロングバケーション」などのドラマ主演で不動の人気を獲得。中居がバラエティーやスポーツ番組の司会やキャスターとして才能を発揮するなど、メンバー個々の活躍もあって、スーパーグループに成長した。その人気ぶりは、たびたび社会現象としても取り上げられた。
 グループとしては売り上げ250万枚の大ヒットを記録したシングル「世界に一つだけの花」をはじめ、「夜空ノムコウ」「らいおんハート」などヒット曲も多数ある。
 メンバー5人が勢ぞろいする人気番組「SMAP×SMAP」をはじめ、各メンバーはテレビ各局で多くのレギュラー番組を抱えている。グループとして契約中のCMもあり、解散の時期は未定だが、各方面に激震が走ることは確実だ。(以下略)

日刊スポーツの特ダネなのか、それとも飛ばしなのか、現時点では不明。

ただ、以前から解散説は根強くあるので、こうした報道が出たことで、実際に
 解散
または
 一部メンバーの独立
に拍車が掛かることは間違いないだろう。
穿った見方をすれば、
 独立のためのアドバルーンを上げる目的で、日刊スポーツを利用した
という線も考えられる。

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2016-01-12

札幌市交通局 市営地下鉄東豊線さっぽろ駅表示の怪

ああ、恥ずかしい。
小笠原淳さんのご指摘。twitterより。



ほんとに
 はんかくさい(馬鹿らしい)間違い
してさ。(この部分は北海道弁北海道アクセントで読まれるのが望ましい)

スマホに辞書でも何でも入れられる時代に
 スペルミスを2箇所も見逃す
って、どうなっているんだか。
 goverment
でも
 govermment
でもなく、
 government
だろっ、札幌市交通局。

受験生に笑われるぞ。

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美肌の矛盾 美白とアンチエイジングは両立しない?

文理連携「老化」関連研究会で、聴衆(特に女性)の度肝を抜いた
 美白とアンチエイジングは両立しない?
という発表について、鈴木晃仁さんがtweetされている。










ホンマか。

市場としては
 美白化粧品

 アンチエイジング化粧品
も、どちらも
 規模が大きい
と思うんだけど、
 美白はアンチ老化の敵
ってことですか。

まあ、不思議でもなんでもない話で
 メラニン色素によって、紫外線等の害を防いでいる
のだから、
 メラニン色素が発動しないようにする
ってことは
 メラニン色素による、身に備わった、自然の「バリア」を自ら無効化している
ってことだもんな。
 美白と併せて、新しい、「メラニン色素以外の皮膚を守るヨロイを作る」化粧品
って、聞いたことないじゃん。
先天的にメラニン色素を欠く、あるいは極端に少ない色素欠乏症の患者さんたちは、メラニン色素が少なかったり、なかったりするせいで、大変な思いをされている。そのことに思い至れば、どういう主体の研究会だったか分からないけれども
 参加した女性研究者がこれまでに聞いたことのないようなすごい悲鳴を上げる
ってのも、なんだかな、とは思う。
 高校程度のものでいいから生物で習った内容は覚えておこう
よ。そうすれば
 怪しいサプリメント
とか
 さまざまな効用を謳う化粧品の「真実」
に、あれこれ迷い、貴重な時間とお金を浪費することもないだろう。お金は、個々人の裁量できる範囲のものだからまだしも、
 時間は、すべての人に平等に流れているもの
だからな。

最近、CSで流れているアンチエイジング化粧品のCMには、
 見た目が若い女性の実例
として
 70代の女性がフィーチャーされる
ところまで来ている。まあ、本当にCMのテロップ通り
 73歳
なのか、知らないけれども、額に前髪が掛かっているせいか、ちょっと幼い印象さえ受ける、見た目の若い女性が出てくる。
これは常識だとは思うが
 どうメイクして、どういう髪形にして、どうライトを当てるか
で、
 見た目年齢
なんていくらでも変わる。そうでなければ、俳優さんは仕事が出来ない。
通販化粧品のCMの方も、視聴者の錯覚を狙っているので、
 化粧品の効用を謳うCMに出てくるのだから、きっと素人に違いない
という思い込みで見ているから
 あんなに若いのか、すごいな
と驚くのだけれど、開発費を掛けて、テレビで通信販売しているような化粧品会社が
 ただの素人を「加工」せずに
CMに使うわけないじゃん。

で、残念な話をすると
 美肌には体質や体調も影響
する。
 色白なのも、肌の経年劣化がゆっくりなのも
これまた
 万人が同じ条件
ではない。

できることは、
 自分に与えられた皮膚に最も合う、無理のない手入れを続ける
って辺りじゃないのかな。

これまでに一番吃驚したのは、
 『栄養と料理』に掲載された鈴木その子の50代の頃の写真
で、これは本当に20代のように見えた。鈴木その子がメディアに露出し始めた頃だったんじゃないかな。

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2016-01-10

朝日OBへの「献紙」廃止だそうで

「みなさまの受信料」で好き放題しているNHKだが、
 NHK職員からは、きっちり受信料を徴収する
のが基本だ。以前は、就職試験を受けるまで
 受信料を払ったことはない学生
もいたのだけど、この頃はさすがに、内定すれば見逃されないと聞く。

ところで
 NHKとは犬猿の仲のメディア
といえば
 朝日新聞がその筆頭
なのだが、こちらは
 大朝日
と称された時代が長く、かなり
 太っ腹
な経営を続けていた。その大朝日も、とうとう
 昨今の減紙
に耐えかねて、
 OBへの優遇措置を打ち切る
という。

朝日新聞OB烏賀陽弘道さんのtweetより。


おお、さすが大朝日、これまでも様々な
 経営危機
を噂されてはいたけれども、それでも尚
 正規の定年退職者にはタダで朝日新聞が配達
されていたとは。

これで
 有料購読はお断りのOBが続出
するとすれば、
 大朝日の誇りも、所詮はその程度の物
である。

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2016-01-09

あ・かるく、「いつか見た風景」 パトリシア・コーンウェル『標的』上下 講談社文庫

なんとなく、惰性で買っている年末恒例の
 パトリシア・コーンウェル 検屍官シリーズ
の第22作
 標的 (上・下)
だが、最初の印象といえば
 え? こんなに薄くなっちゃったの
というところだろう。
 前作『儀式』上下は総ページ数 768ページ
だったのに対し、
 今作『標的』上下は総ページ数 656ページ
と、
 なんともおとなしい長さ
に落ち着いている。
内容も、検屍官ファンなら
 次の展開が読めてしまう、ライトな筋立て
だ。翻訳の力か
 明るい印象の文体
なのも与って、
 すいすいあっという間に読める作品
になっている。

そうそう。今作では、ずっとパトリシア・コーンウェルが拘ってきた
 LGBTへの賛意、賛美
が、ずるっと抜けている。寧ろ、これまでとは趣向を変え、
 異性愛の描写に傾斜
していると言っても良いだろう。

で、長年のファンにちょっとネタバレすれば
 「登場人物一覧」を見ただけで犯人の一人が誰かすぐ分かる
だろう。上巻の一覧を見て
 こいつだろ
と思ったら、その通りで、拍子抜けした。ちなみに
 他の犯人は、登場人物一覧には出ていない
という
 これって、アリなの?
なルール違反が見られる。まあ、名前を出しちゃうと
 こいつが犯人に決まってる
ってすぐ分かるからね。もっとも、名前はないけど、上巻の段階で
 ああ、たぶんこれはアレで、その内姿を現すだろうな
と思った謎の人物が出てくる。というわけで
 あまりにも与し易すぎてガッカリ
というか
 看板は『検屍官』だけど、中身は別物
というか
 『検屍官』の「薄い本」
だと思って貰っても構わないかも。ともかく
 中身が薄い
んだもん。ま、その分
 読みやすい
けどね。

で、これは翻訳者の技倆の問題なのか、原作の問題なのか、原書を読んでないので分かりかねるが
 技術的な部分の説明が、いつになくわかりにくい
という、困った特徴もある。

で、ネタバレはしないけど
 今後、これでまた引っ張るんだ〜
というのが丸わかりな結末になっている。それがどう展開するかも、割と想像しやすい。そういう意味で
 CSI:マイアミ
が好きだった人には超お勧め。様式美って奴ですな。

ううん、どうした、パトリシア・コーンウェル。登場人物の年齢構成を『黒蠅』でむちゃくちゃにしたけど、『標的』の登場人物も、年齢に沿ってない、変な行動をしてるぞ。また、年齢の付け替えをする気か?
パトリシア・コーンウェルご本人は、今年で60歳になる。

ところで、今作が従来のパトリシア・コーンウェルの検屍官シリーズでもより 
    薄味
になったことを指摘したが、(下)では、より「わかりやすい描写やプロット」が増えてくる。長年のファンなら、これまでの作品の傾向から、この後どう展開するかをほぼ予想できるだろうし、残念なことだが、それは多分間違っていない。
これまでにも検屍官シリーズでは、アメリカのTV局CBSが制作しているクライムサスペンス「CSI:」Seriesを意識した描写が時々見られた。ご存知のように、検屍官シリーズがその制作のヒントの1つになったと思われる、科学捜査を主題とする「CSI:」Seriesは、本家「CSI:(ラスベガス)」スピンオフの「CSI: Miami」「CSI: NY」の3作品ともに終了してしまった。本家は昨年Series15を、2012年にMiamiはSeries10を、2013年にNYはSeries9を以て終わった。(現在は、全く別作品といってもいい「CSI: Cyber」だけが続いている。もうね、主人公のパトリシア・アークエットが出てくる度に「わたしは、アリソン・デュボワ」という「ミディアム」の台詞が頭に浮かぶ。)
で、『標的』上下を通読すると、ともかくも「わかりやすさ」が目に付く。パトリシア・コーンウェルの文体の特徴は、情報がびっしり描き込まれている割には、全体像がつかみにくいところだったのだが、今作では、そうした冗長さがなるべく排除されているようで、あたかも、「映像作品原作」のような「見通しのよさ」を感じる。そう、間に「原作をシナリオ化するための通訳」を挟まなくても、そのまま映像化しても、困らないような。
その代わり、パトリシア・コーンウェルが「大事」にしてきたはずの登場人物達は、まるで書割のような、薄っぺらい人物へと後退している。いつもだと、ケイが、「絶え間ないしつこい頭痛」等に悩まされ、鎮痛剤をしこたま呑む様子等が繰り返されるのだが、今回は、この辺りの「ケイの肉体的苦痛の描写」も超あっさり。ま、読んでいて楽しい部分じゃないから、この「削減」は歓迎したい。
プロットといえば、従来の作品で使われてきた手法を自ら「コピペ」したような、意外性のなさに溢れている。検屍官シリーズの醍醐味は
 読者を裏切る展開
だった筈なんだけど、裏切るどころか、予想通りに話が進む。
「薄い本」と先に言ったけれども、まさに
 パトリシア・コーンウェル本人による「二次創作」のような印象
を受けるのだ。
LGBTへの賛意・賛美を捨てているのも
 あるいは映像化して世界中に売るため

 「主張を薄め」て、「一般受けしやすくした」のか?
と勘ぐることも出来るだろう。映像作品を売る相手は、必ずしもLGBTに寛容な国や地域ばかりではないからな。アメリカ国内だけならともかく、本家「CSI:」が世界150か国に配信されたことを考えれば、
 パイは大きい方がいい
と思ったとしてもおかしくはないだろうね。

パトリシア・コーンウェルは、自らの「現在」を作品に投影する作家として有名だ。今の作者は、自分が作り上げてきた「作品世界への愛」よりも、「映像化の魅力」の方が勝っているのではないか、そんな疑念を抱いた。

おまけ。
役に立つ、検屍官シリーズの年表。『審問』までの間に、登場人物がどうなっていたかを、これで検証できる。
検屍官シリーズ 年表

更におまけ。
これまでの検屍官シリーズの感想。
2006-06-12 違うシリーズになって三作目 パトリシア・コーンウェル『神の手』上下 講談社文庫
http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2006/06/post_aa09.html
2009-01-10 パトリシア・コーンウェル『検屍官』シリーズ続編が出ないわけ
http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2009/01/post-0824.html

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