ジカ熱 じわじわと感染地域を拡大(その3)厚労省の「水際作戦」はほぼ間違いなく失敗する 症状が出ない「不顕性感染」が8割 アメリカで性交渉による感染例がさらに増加 日本でも「コンドーム使用の強化」キャンペーンを
対応がいつも遅かった印象の強い厚労省の感染症対策なのだが、WHOから警告が出てからというもの、ジカ熱対策は速かった。
2016-02-03 ジカ熱 じわじわと感染地域を拡大 渡航歴のない患者は感染者の精液から感染した可能性が
http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2016/02/post-ce8d.html
で、お決まりの
水際作戦
が2/15から始まっている。つまり
ジカ熱は対岸の火事モード
ってことだ。
2/15付毎日より。
空港や港湾で水際対策 入国者の体温チェック
中南米などで流行しているジカ熱に感染した人の入国を防ぐため、全国の空港や港湾の110検疫所で15日、サーモグラフィーなどによる水際対策が始まった。
政府がジカ熱を検疫法の指定感染症に追加し、検疫所が感染の疑いがある人を検査できるようになったことを受けた措置。この日、成田空港第2旅客ターミナルビルでは、厚生労働省成田空港検疫所の職員がサーモグラフィーを使って入国者の体温を次々にチェックしていた。
異常者が見つかった場合は、渡航先で蚊に刺されたことがなかったかどうかなどを聞き取り、血液検査で感染の有無を診断する。同検疫所の高梨善雄空港検疫管理官は「ジカ熱は比較的熱が低く見つけにくい。気になる人は積極的に申告をしてほしい」と話した。
ジカ熱は、妊婦が感染すると脳の発育が不十分な「小頭症」の子が出生する可能性があると指摘され、厚労省や外務省が渡航者に注意を呼びかけている。今後は、ウイルス検査キットを地方衛生研究所などにも配布し、水際をすり抜けた感染の発見にも力を入れる。【渡辺暢】福岡空港でも
福岡空港(福岡市博多区)でもこの日、検疫が始まった。体温が高い入国者について、検疫官が発疹などジカ熱特有の症状がないかどうか調べるという。【尾垣和幸】
流行地である中南米への直行便がない関西国際空港でも、同様に、サーモグラフィーによるチェックが続いている。2/23付毎日放送より。
ジカ熱 水際対策強化 〜関西国際空港
更新:02/23 12:00
関西国際空港では、中南米で流行し、胎児への悪影響が懸念されているジカウイルス感染症、いわゆるジカ熱の国内流行を防ぐため、検査体制を整えるなど水際対策が行われています。
関空の入国審査場では、サーモグラフィーによる検査を強化したり、ポスターを掲示するなどして、ジカ熱への注意を促しています。
ジカ熱は妊婦が感染すると、脳の発育が不十分な「小頭症」の子どもが生まれる可能性があると指摘されていて、今回、中南米などでの流行を受け、国の指定感染症に追加されました。
これにより、検疫所が感染の疑いがある人を検査できるようになり、関空でも、異常が見つかった際は、血液検査などで感染の有無を診断することになっています。
関空には中南米との直行便はありませんが、検疫所は「水際対策を強化し、国内の流行を防ぎたい」としています。
最初の毎日の記事にあるように、
税金を投入して、水際作戦を進めて
も
ジカ熱は発熱自体が低いのでサーモグラフィーによるチェックに引っかかりにくい
という
難点
がある。
2/16付産経より。
日本も対策本格化 感染者どう把握 8割症状なし、病院行かぬ患者も?
中南米などで流行しているジカ熱を「4類感染症」とし、感染症法に基づき保健所への報告を義務付ける政令が15日、施行された。空港など検疫所でのウイルス検査も可能となり、国内対策が本格化する。小頭症との関連が指摘され、妊婦の感染が懸念される中、症状が軽いジカ熱の感染者を把握するには困難も伴いそうだ。専門家は、拡大防止には患者と医師の意識の徹底が不可欠と指摘する。水際
「どの感染症もそうだが、とりわけジカ熱は、すべての感染者を水際で把握するのは難しい」。
厚労省の担当者はこう指摘する。
ジカ熱は主にヒトスジシマカを媒介して感染し、2~12日の潜伏後、発熱や頭痛、関節痛、発疹、結膜炎などの症状が出る。発熱は38・5度以下で2~7日で治癒するとされる。
国内空港の検疫所では、ポスターでジカ熱の流行地域を周知。3月上旬までに全国の地方衛生研究所や検疫所にウイルス検査の試薬を配布して計約100カ所で検査できるようにし、水際対策を強化する。
ただ、一昨年に国内で流行したデング熱に比べても症状は軽いうえ、感染者の8割は症状が出ない「不顕性感染」とされる。流行地域で感染し、軽症や無症状のまま帰国した場合は、流入そのものは阻止できない可能性がある。
更に、
感染しても症状の出ない「不顕性感染」の患者が8割を占める
のだ。
ということは
対岸の火事
どころか
ジカウイルスは、すでに今年日本に入り込んでいる可能性がある
ということなのだ。
水際作戦
では、とっくに対応しきれない段階に来ている。
今後、もっとも
日本でありそうな最初の感染発覚
は、
流行地で「不顕性感染」して帰国
パートナーとの性行為でパートナーが感染して発覚
だろう。
アメリカでは、性交渉による感染と考えられる症例が更に発見されている。CNN.JPより。
性交渉によるジカ熱感染の疑い、新たに14件 米
2016.02.24 Wed posted at 11:25 JST(CNN) 米疾病対策センター(CDC)は24日までに、主に蚊を媒介とする感染症「ジカ熱」が性交渉でうつったと考えられる例が、新たに14件報告されていることを明らかにした。
CDCによると、患者の中には複数の妊婦がいる。ジカ熱は中南米を中心に流行していて、妊婦の感染と新生児の小頭症の関連が指摘されてきた。
CDCは新たな報告についての声明で、「性交渉による感染の可能性は従来の推定より高いかもしれない」と述べた。
14人のうち2人の女性は、ジカ熱の流行地域から帰国した後で発症した男性との性交渉以外、感染経路が考えられないという。このほか4人の女性については、感染を確認する検査の結果待ち。さらに8人の疑い例が調査対象となっている。
CDCは一部の州の保健当局と協力して調査を進めていると述べたが、協力先や患者らが住む州は公表せず、「リスクは全米の女性たちに当てはまる」と強調した。
今月初めにはテキサス州で、ジカ熱が性的接触で人から人へ直接感染した例が報告された。今回の流行でジカ熱と性交渉の関連が確認されたのはこれが初めてだったが、08年にはコロラド州の微生物学者が渡航先の西アフリカ・セネガルで感染し、同行しなかった妻もその後米国で発症した。
懸念されるのは
ジカ熱と小頭症の関連が疑われている
状況で
性行為による新たな感染者に妊婦が2人含まれている
点だ。
精液に含まれるジカウイルスにパートナーの女性が感染
したと考えられているので、
コンドームを使用していれば、少なくとも感染を防げていた可能性が高い
と思われる。
しかしながら、おかあさんの感染が確認された今は、生まれてくる赤ちゃんに、ジカウイルスの影響が及ばないことを祈るしかない。
CDCのいう
リスクは全米の女性たちに当てはまる
という言葉は、そのまま
リスクは日本の女性達に当てはまる
と言い換えても良い。
今のところ、2016年現在、
日本には新たなジカ熱の患者も、最近感染したことのある人もいない
ことになっているのだが、これから
「不顕性感染」のパートナーとの性行為によって成人が感染
するか
妊娠中に「不顕性感染」のパートナーとの性行為によって感染し、ジカウイルスの影響を受けた疑いのある赤ちゃんが生まれる
か、どちらかの形で
初のジカウイルス感染が確認される
ことになるのではないか。どちらの場合も
水際作戦では到底把握できない
のだ。
今、ジカウイルスが深刻な打撃を与えると考えられる、妊婦への感染を防ぐもっとも確実なキャンペーンは、妊娠可能な年齢の女性はすべて
妊婦に準ずる
と考えて、
セックスの時は必ずコンドームを使おう
という呼びかけだ。
一般的には産児制限を認めない、ローマ=カトリックのフランシスコ法王ですら、明らかに小頭症の赤ちゃんの誕生が増加していることを憂慮し、
ジカ熱流行に伴う避妊具の使用を事実上容認
している。2/19付朝日より。
ローマ法王「避妊は絶対悪ではない」 ジカ熱予防で見解
ローマ=山尾有紀恵ローマ・カトリック教会のフランシスコ法王は18日、メキシコ訪問からの帰路の機中で会見し、中南米を中心に流行するジカウイルス感染症(ジカ熱)の感染予防のための避妊について問われ、「特定の場合には、避妊は絶対悪ではない」と許容されるケースもありうると示唆した。
バチカンは避妊や中絶を認めていない。前法王のベネディクト16世はエイズ対策のコンドームについても「配布は問題を悪化させる」と述べたことがある。
フランシスコ法王はこの日、法王パウロ6世(在位1963~78)がアフリカで活動する修道女らに対して、レイプの危険がある場合の避妊薬使用を許可した例を挙げた。ただ、ジカ熱がその特例にあたるかについては明言を避け、医師らがワクチン発見に全力を尽くすよう呼びかけた。
一方、ジカ熱に感染した妊婦の妊娠中絶については、「中絶は罪であり、絶対悪だ」と強く否定した。
蚊が媒介するジカ熱は、妊娠時の感染後に小頭症の新生児が生まれるケースがブラジルで相次ぎ、関連が疑われている。感染者との性交渉でも感染する可能性があるとして、米疾病対策センター(CDC)はコンドームの使用などを呼びかけている。(ローマ=山尾有紀恵)
性に関しては、こと保守的であることで名高いローマ=カトリックが、その教義を
拡大解釈
してでも、
コンドームの使用を容認せざるを得ない
ほど、ジカ熱の妊婦や赤ちゃんへの影響は深刻だ。
日本でも
コンドームの使用を広く呼びかけるキャンペーン
を始めないと、
知らない間に、ジカウイルスに感染する妊婦さんが増える
だろう。
その時、厚労省は、どう責任を取るのか。
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