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2016-04-26

伏見冲敬『草書をおぼえる本―草訣歌詳解』二玄社 1983.1→追記あり

中国学プロパーだと、
 書誌学は勢い版本学が中心
ということになる。そうすると
 普段見ている文字は、ほとんどが楷書
で、
 草書や篆書
が出てくると、大騒ぎをして
 『五體字類』
をひっくり返したりする。

ところで、
 筆の文字に慣れていない現代人
だけではなく
 清代の中国人

 草書
は、形や崩しを覚えないと使いこなせなかった。

そこで作られたのが
 草訣歌
だ。
 訣歌とか歌訣
というのは、いうなれば
 記憶のための語呂合わせの歌
で、いろいろな暗記物の訣歌があるのだけれども、
 草訣歌は草書の形を覚えるための語呂合わせ
である。これに、伏見冲敬さんが、日本語で解釈を加えたのが
 草書をおぼえる本―草訣歌詳解
というわけだ。

いや〜、これは、俗書であるだけに
 間違いやすい文字が集められて
いて、
 初学者向け
だ。たとえば、こんな風に、よく似た文字を並べて、口調よく説明している。Photo

草書を苦手とする人は、この書物で草書の稽古をすると、少しは
 草書が読みやすくなる
だろう。別に筆で書かなくても大丈夫。
 筆の運び
が分かればいいのだ。その点、上の図版のように
 手本の「手」は確か
だ。

活字・フォント世代にお勧め。

(追記 11:05)
同じ種類のものが
 iPad/iPhoneのアプリ
として無料で提供されている。
草訣百韻歌
画面が二分割されていて、
Img_0092
右頁にお手本、左頁に指でお習字できるようになっている。
(追記終わり)

なお、
 蔵書印などのハンコの字が読めない!
と泣いている人向けなのが、同じ著者による
 篆書が身につく本―篆書偏旁歌訣
だ。こちらは実際に篆書を交えて、字体を説明する。
Photo_2
 蔵書印が読めない
 落款が読めない
とお困りのご家庭には是非1冊。

あとは先に紹介した
 五體字類
があれば、なんとかなるかな。

蔵の中や天井裏から出てくるような、近世の文書を読む時はまた別で
 御家流
という書体対応の字書が必要になる。

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