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2016-07-13

「海外の大学で教えているグローバルな日本文学」とは何か 楊暁捷カナダ・カルガリー大学(ドイツ・ロシア・東アジア研究学部)教授作の「仮名連綿解析動画」が凄い件 小テスト付の親切設計

(追記 5:30)
楊暁捷教授は、7/29に国文学研究資料館で開かれる国際シンポジウムで
 基調講演
を行う予定。


日本古典籍への挑戦 ―知の創造に向けて―
" Tackling Pre-modern Japanese Texts: New Horizons of Understanding"

日 時:平成28(2016)年
7月29日(金)~7月30日(土)(2日間)
場 所:国文学研究資料館 大会議室
(東京都立川市緑町10-3)
主 催:大学共同利用機関法人
人間文化研究機構国文学研究資料館

入場無料 聴講自由

-----H28.7.29-----
 基調講演 「デジタル時代と古典研究 ―画像資料のあり方を手がかりに― "Classical Studies in a Digital Age:A Look at the State of Visual Material"」 13:20~14:20
楊暁捷(カルガリー大学言語学・語学・文化学学科教授)
YANG Xiao Jie(University of Calgary)

 研究報告1 「オーロラと古典籍」 14:40~
 研究報告2 「書誌学から総合書物学へ」 15:30~
 研究報告3 「人情本コーパスの表記情報アノテーション」 16:00~
-----H28.7.30-----
 パネル1 「アジアのなかの日本古典籍」 10:00~
 パネル2 「日本漢文学研究を“つなぐ”―通史的な分析・国際発信・社会連携―」 12:10~
 パネル3 「中世の異界 ― 内と外 ―」 13:50~
 パネル4 「古典籍を活用する/情報を活用する」 15:30~


20160729_nijl_sympo2
(追記 ここまで)

楊暁捷教授は、カナダ・カルガリー大学 ドイツ・ロシア・東アジア研究学部で
 近代日本文学
 古典中国文学・日本文学
 あらゆるレベルの日本語(ここが重要。いま海外の日本文学・日本語学の教員は、ある時代専門という雇われ方をすることはほぼないのではないか)
を教えている。専門は
 絵巻物・軍記物
だ。北京大学を卒業の後、京大に留学して1989年、国文に学位論文
 源平盛衰記論考-中国文化の受容について-
を提出、博士(文学)を取得、その後カナダに移り、91年からカルガリー大学で教鞭を執っている。
 グローバルな日本文学研究
というのは、こういうことなのだ。日本語のblog
 絵巻三昧
もなかなか面白い。
今年の4月、これまでの海外での日本文学研究・教育普及の功績により、旭日小授章を受賞した。56歳での叙勲は、人文系の研究者としては異例に近い若さだ。

楊暁捷教授の研究の特徴は
 デジタル教材の開発
にある。
 誰でも簡単に日本文化や日本文学にアクセス出来る入口作り
に心を砕いている
 海外で活躍する外国人の日本文学・語学研究者の第一人者
と言ってもいいのではないか。
1988年にはすでに
 CD-ROM 『kanaCLASSIC TM ─電子版変体仮名の手引き』 カルガリー大学、
コロンビア大学出版社、 勉誠出版
を出している。88年といえば、まだパソコンが
 海のものとも山のものともつかぬ時期
で、日本では
 NECの98シリーズ
で、
 MS-DOS3.11(or 3.3)
が動いていた時期なのだが、早くも
 電子版の媒体で変体仮名のガイドを出す
ことに着目している。炯眼といえよう。

さて、楊暁捷教授は、これ以外にさまざまなデジタル教材を作っているのだけれども、6月22日に発表したのが
 動画・変体仮名百語 100 Classical Kana Words in Motion
である。
100w


 変体仮名を読み解こうと思えば、まず単体の字母とその変形を覚え、つぎのステップはかなの連綿である。デジタル環境において、切り取った実例とそれが置かれた作品との関連を簡単に提示することが出来るようになり、仮名の字形を動きをもって解説することも可能になった。ここに「e国宝」で公開されている平安や鎌倉時代の二十作品から百語を選び、動画解説を試みた。古典文字の美しさを堪能しつつ、変体仮名を身近に感じ取ることに役立てればと願う。
To understand classical kana, the first step is to memorize each single character and its origin, then move to multiple kana in a line. The digital technology provides a possibility to connect examples and its original work, and to explain the shape of kana through a motion. Here I selected 100 words from 20 titles available at e-Museum, created motion pictures to show the writing process. Please enjoy the beauty of the writing, and approach to classical kana at your own pace.

e国宝から、平安〜鎌倉時代の20作品を選び、そこから100語を抜き出し
 実際、どういう風に書くのか
を、アニメーションで示しているのである。選択された100語はこちら。

あきなひする/あすからは/あそびける/あたりなむと/あつめて/あなのふかきに/あらはして/ありしとき/あるいは/あるべきとて/あるまじくはとぞ/いきるもののししむらを/いだきたてまつり/いつらぬきて/いひければ/いふことなし/いまだおはらざる/いよゝゝならびなし/うたれにけり/うちたたくに/うつくしき/おはしまさず/おはしまさばなんぞ/おほしといへども/おぼつかなくおもふ/かぎりなしと/かくのごときのものに/かけたてまつり/かさねて/かたじけなくも/かなふべからず/かぶとばかりうちをとされ/ききてよろこびの/きせたりける/きたれり/くちのうち/こゝにてしなむ/こころすまし/こよひのなごり/これをあたふ/ころもやうすき/さざなみや/さしあらわれて/しかるべからざるよし/したのやうなるもの/しもやおくらん/すてゝたゝかふ/すといえども/するおりふし/せめたたかふといへども/そなたのそらを/そのかひなし/そのなかに/たからとらんとぞ/たちまちに/たとへむかたなし/たみをなやまし/つとめにとて/といふことしかり/とおもひて/とてゆゝしき/とりてすにさして/なかりけるに/にあたはず/にいたれり/にいられしは/にしたがひて/にたてまつり/のせたてまつる/のたまはく/のために/のほとりなる/はかられにけり/はしりあつまりて/はしりまわりて/はなつことに/ひさかたの/ひとつのうつわもの/ふるきみやこに/まいりたまふ/まことによろこばしき/まつといへども/まなこのなか/まぼらんといふ/みたてまつるに/みやづかへしける/むかへにまいりたり/めでたし/やまいおもくなり/ゆきむかひぬ/ゆへなきにあらず/よぢのぼりけるに/よやさむき/をあつめたり/をうしなふ/をかぶるもの/をきたるゝにゝたり/をしのぎて/をしるさい/をろかにして

いや、この発想は凄い。
 実際、どう書いてるの?
というのは、筆を持った経験があるならともかく、
 お習字なんてやったこともない、海外の人々には想像も付かない
だろう。それを
 ともかく見せてみる
わけで、
 百聞は一見にしかず
を地で行くようなデジタル教材である。

普通の日本人は
 仮名の連綿は読めない
人の方が圧倒的に多いので、悩める学部生や仮名で書かれた文書に興味のある方は
 楊暁捷教授のこの「動画・変体仮名百語」
で、是非学習を。
 小テスト
も付いているぞ。

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