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2016-08-22

赤ちゃんと妊婦を守れ 空気感染(飛沫核感染)等で感染する麻疹(はしか)に治療法はない 首都圏 麻疹流行前夜か 松戸で麻疹流行中@twitter 妊婦の家族、妊娠を希望している女性で麻疹・風疹の抗体のない人は早期にMR混合ワクチン接種を

麻疹(はしか)は
 根本的な治療法がない感染症
である。しかも
 重くなると、命に関わる病気
だ。小さい赤ちゃんと大人が麻疹に感染すると、概ね症状は重くなりがちだ。だから
 ワクチンが開発され、接種が推奨
されている。

昨年、WHOは
 日本には土着の麻疹ウイルスがいない「排除状態」になった
と発表した。日テレ24より。


WHO 日本の“はしか”排除状態を認定 2015年3月27日 12:43
 世界的に根絶の取り組みが進められている「はしか」について、WHO(=世界保健機関)は、日本は国内に土着のウイルスがいない排除状態になったと認定した。
 「はしか」は死亡することもある病気で、日本では2008年に1万人を超える患者が出る大きな流行になった。世界的に根絶に向けた取り組みが進められていたが、WHOが27日、日本は国内に土着のウイルスがいない排除状態になったと認定したという。
 厚生労働省は来年度までにはしかの排除を達成し、WHOに認定を受けることを目標に予防接種の実施など対策を進めてきた。

「排除状態」になったとしても
 海外からウイルスが持ち込まれる恐れ
は常にある。特に
 海外からの観光客が多く訪れる季節
には、その恐れは強まるだろう。

そして、麻疹が、現在、千葉県松戸市で流行しているとのこと。産婦人科医先生のtweetより。



松戸といえば
 江戸川を挟んで東京の対岸
である。矢切の渡しを渡れば、向こう岸は柴又の帝釈天だ。
20160822_102918
産婦人科医先生が引用されている、日本産婦人科医会からの
 妊産婦と麻疹の関係
についての記事。
 妊娠中に麻疹に罹ると、重症化しやすく、3割が流早産、その内の9割は発症後2週間で流早産
 麻疹の抗体がない母親から生まれた赤ちゃんが1-2歳までに麻疹に罹患すると重症化しやすい
という。
 たかが麻疹
ではないのだ。

平成13年9月10日 麻疹流行とその対策
 大阪府立母子保健総合医療センター産科部長 末原 則幸
(略)
妊婦が麻疹にかかると
 妊婦が麻疹にかかると非妊娠女性に比べて重症化しやすい。
 妊婦が麻疹にかかると流早産しやすい
3割が流早産し、しかも90%は母体発疹出現から2週以内に流早産になります
 妊娠中に麻疹に罹患した場合、風疹のように先天奇形を生じる率は低い
 抗体のない母親から生まれた新生児1・2歳までに罹患すると重症化することが多い。
 1978年前後にうまれた人のワクチン接種率が低いことがわかっています。
また 妊婦に対しては 次のようなことを指導しておくことが大切です。
 妊娠している人麻疹の流行に注意し、人混みに出るときにはマスクをするなどの注意を払う。
 麻疹が疑われる場合医療機関に受診し、アドバイスをうける。麻疹では最初は風邪症状に続いて発熱と発疹がみられたら放置しないで医療機関に受診する。
 未だ麻疹にかかっていない妊婦、すなわち麻疹の抗体を持っていない妊婦出産後、退院までにあるいは産後早期麻疹ワクチンの接種を受ける。
妊婦が麻疹にかかった場合には、単なる麻疹で済ませないで、慎重な対応が必要であります

というわけで
 妊婦や妊娠を望んでいる人は麻疹の抗体を持っていることが望ましい
のだが、
 妊婦には麻疹の予防接種は出来ない
ので注意。
 麻疹も風疹も感染力が強い
ので、
 妊娠を望む女性だけでなく、周囲の家族で麻疹・風疹の抗体をもってない人は予防接種推奨
である。妊婦が感染した場合
 麻疹は重症化しやすく、早流産の危険が高まる
 風疹は胎児に「先天性風疹症候群」により障碍が起きる危険がある
し、
 麻疹の予防接種を受けてないゼロ歳児では感染が避けられない
からだ。
産婦人科医先生は次のように
 38歳以上の男性に麻疹・風疹の混合ワクチン(MRワクチン)の接種を推奨
している。

松戸で流行していれば、産婦人科医先生が危惧されるとおり
 夏休みで人の行き来の多い首都圏で流行が始まる危険
は高い。
また
 松戸と同じ千葉県にはディズニーリゾートもある
訳で、
 今後、全国に麻疹が流行する恐れ
もある。
残念ながら麻疹・風疹の抗体のない妊婦の方は、
 いずれも空気感染する、感染力が強い病気
であり、
 流早産や、胎児の障碍の原因になる恐れ
があるので
 外出時はマスク着用するなどの注意を喚起
したい。

ゼロ歳児の麻疹感染については、国立感染症研究所感染症情報センターのIASRより


0歳児における麻疹の発生状況および免疫保有状況(Vol. 30 p. 31-32:2009年2月号)

(略)
麻疹の定期予防接種第1期の対象年齢は、1歳(生後12カ月~24カ月未満)であることから、0歳児のほとんどは予防接種を受けていない
(略)
0歳児の麻疹における合併症発生状況
麻疹発生届に合併症の記載があったのは109例(17.9%:0歳児麻疹患者610例中の割合、以下同じ)で、そのうち最も多かった合併症は肺炎の42例(6.9%)、次いで腸炎(下痢と記載された例も含む)の29例(4.8%)、中耳炎の24例(3.9%)であった。また、腸炎と中耳炎が6例(1.0%)、肺炎と中耳炎が5例(0.8%)と、複数の合併症が発生した例、およびクループの合併が3例(0.5%)あったが、脳炎の合併例はみられなかった。
(略)
移行抗体がすでに消失し、定期予防接種の対象年齢に満たない0歳児における麻疹の予防は、緊急避難的に実施される免疫グロブリン製剤の投与、あるいは生後6カ月齢以上でのワクチンの任意接種以外に有効な方法はない。しかし、いずれも確実とはいえず、家族が発症した場合、これらの緊急予防策も間に合わないことが多い。また、予防接種1回世代の母親から生まれた児の増加により、移行抗体の残存期間は図4に示すように年々短縮傾向にあり、0歳児の麻疹を予防するのは、流行を抑制する以外に不可能であると考えられる。
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0歳児の麻疹患者は流行による被害者であり、2008年には生後1カ月で麻疹に罹患した児が3歳で亜急性硬化性全脳炎を発症した例も報告されていることから(日暮憲道, 他,日本小児科学会雑誌 112: 1831-1835, 2008)、国内における早期の麻疹排除達成が望まれる。そのためには定期予防接種の対象者におけるワクチン接種はもちろんのこと、0歳児と接触する可能性があり、麻疹に対する免疫が不十分な者についても予防接種により発症予防レベルの免疫を獲得しておくことが必要である。(略)
国立感染症研究所感染症情報センター
佐藤 弘 島田智恵 多屋馨子 多田有希 岡部信彦

上記論文が発表された2009年の段階では、日本国内では
 麻疹排除
が求められていたが、現在は
 海外から持ち込まれた麻疹ウイルスからゼロ歳児を守る必要
がある。
上記論文で言及されている
 亜急性硬化性全脳炎
は、きわめて稀であるのだが、麻疹の合併症で最も恐ろしいものだ。国立感染症研究所の感染症情報麻疹とはより。


(6)亜急性硬化性全脳炎(subacutesclerosingpanencephalitis:SSPE):麻疹ウイルスに感染後、特に学童期に発症することのある中枢神経疾患である。知能障害、運動障害が徐々に進行し、ミオクローヌスなどの錐体・錐体外路症状を示す。発症から平均6〜9カ月で死の転帰をとる、進行性の予後不良疾患である。発生頻度は、麻疹罹患者10万例に1人、麻疹ワクチン接種者100万人に1人である。

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