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2016-09-19

赤ちゃんと妊婦を守れ 空気感染(飛沫核感染)等で感染する麻疹(はしか)に治療法はない(その14)すべての教職員に麻疹・風疹等の抗体を 横浜国立大学 教員1名が麻疹に感染と発表@9/18

首都圏の大学生の間で
 麻疹が流行
したのは、
 2007年
のことだった。その時の話は以下に。
2007-05-12 大人の麻疹で創価・上智が大学休講 明星大でも4人感染で75人出席停止
http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2007/05/475_e272.html
ほぼ同時に大阪でも、専門学校で
 麻疹の集団発生
が確認された。
2007-05-13 成人の麻疹、大阪でも30人の集団発生 大阪狭山市の専門学校休校
http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2007/05/30_0eed.html
この年の麻疹流行の概報、麻疹 2006~2007年(IASR Vol.28 p 239-240:2007年9月号)では、
平成19年7月27日 厚生労働省健康局結核感染症課 麻しん及び成人麻しん施設別発生状況(最終報 全施設合計)に基づいて


2007年には全国各地の学校で、麻疹による休校、学年閉鎖、学級閉鎖が相次いだ。2007年4月1日~7月21日までに厚生労働省に報告された麻疹による休校数は全国で263あり、特に、高校、大学がそれぞれ73、83と多かった。

と述べている。この他に、
 短大8、高等専門学校4
が、麻疹による休校に追い込まれた。この流行の中心となったのは、2006年度麻疹血清疫学調査ならびにワクチン接種率調査-2006年度感染症流行予測調査より(IASR Vol.28 p 241-244:2007年9月号)によれば、

2006年度調査結果の特徴は、2001年の全国流行以降実施された「麻疹ワクチンを1歳のお誕生日プレゼントにしましょう」キャンペーンにより、1歳以上就学前世代の麻疹を含むワクチンの接種率が上昇し、この世代の抗体保有率が2001年度と比較して飛躍的に上昇したことである。
しかし、既に定期予防接種対象年齢を過ぎていた世代では、約10%のワクチン未接種者が存在するとともに、ワクチン1回接種後のprimary vaccine failureが2.3%存在し、ワクチン1回接種者の9.2%は発症予防に十分な抗体を保有していなかったと考えられる。特に、1歳児と10~19歳群ではその割合が高かった。2006年春の茨城県南部、千葉県での地域流行、2007年の全国流行では、これらの世代が流行の中心になったと考えられた。

とある、2007年当時の
 10〜19歳群
である。現在は、
 19〜28歳
になっている世代だ。上記論文では

今回の流行の中心であった2008年度小学校3年生から高校3年生の世代への2回目のワクチン接種の実施

とあるのだが、相変わらず
 2回接種から漏れている年代から、感染者が出る状況
に変わりはない。この年代は
 免疫が不十分
であるため、
 もう1回麻疹(風疹の抗体がなければ、麻疹・風疹混合のMRワクチン)の予防接種が必要
である。

さて、2007年の成人麻疹大流行から9年を経ているところへ
 今回の成人麻疹の流行
である。9/15には
 横浜国立大学で教員の感染が確認
された。幸い、夏休み中なので、学内で感染を広げる事態に至っていない。横浜国立大学の9/18付発表より。


麻しん(はしか)感染者の発生について(PDF)
平成28年9月18日 横浜国立大学

国内で麻しん(はしか)の患者や集団感染が発生し、感染の拡大が危惧されています。
本学においても、今月15日になって教員1名が麻しん(はしか)を発症したことが わかりました。すでに当該教員と接触した可能性のある教職員に連絡を取り、健康状態 などを確認しましたが、これまでのところ感染は確認されておりません。なお、学生は 夏期休業中のため当該教員とは接触しておりません。
本学としては、今月16日付けで保健管理センター所長より教職員及び学生に対して、 麻しん(はしか)の病態、初発症状の対応、予防接種について周知し、麻しん(はしか) 対策を図っております。

感染した教員の年齢と感染経路が不明だが、
 抗体価が低かった
のは間違いない。

2007年の成人麻疹大流行時には
 60歳男性の「麻疹再罹患」とみられる症例
が報告されている。


麻疹の再罹患と考えられた1例(IASR Vol.28 p 258-258:2007年9月号)
麻疹ワクチン接種後の麻疹の罹患は修飾麻疹として知られているが、一般に、麻疹に罹患した後の再罹患はないと考えられている。しかし、麻疹の罹患後にも麻疹ウイルスの感染が起こり、発症しなくても抗体価の上昇を来すことは知られている。今回、我々は麻疹の再罹患と考えられる1例を経験したので報告する。
症例は60歳男性で職業は医師、母親の弁では3カ月の時に麻疹に罹患している。麻疹ワクチンの接種歴はなし。(略)
本症例では典型的な麻疹と異なり、発熱、発疹が軽度であったが、IgM抗体価およびその変動からみて麻疹と考えられた。生後3カ月における麻疹の既往歴は間違いである可能性もあるが、本症例では既に発病6日後のIgG抗体価が高値であり、発病前に麻疹に対する不十分な抗体を有していて再罹患した可能性が高い。(略)
麻疹に自然罹患することで生ずる免疫は強固なものであり、一生涯続くと考えられている。しかし、罹患後に麻疹ウイルスに曝露されないと、防御免疫は消退していくことも考えられる。また、本症例のように生後間もなく麻疹に罹患した場合には、母親からの移行抗体の影響で不完全な感染となり、通常のように強固な免疫を生じない可能性がある。本症例では臨床像が非典型的であり、通常では麻疹の診断がなされなかった可能性があるが、このように非流行期でも麻疹と認識されずに、麻疹ウイルスが人から人へと感染循環していることも考えられる。今後、今回のような症例を集積・解析することで、麻疹ウイルスの伝播様式の詳細が解明されることが期待される。

(財)結核予防会新山手病院内科 木村幹男
    同 麻酔科/東洋医学科 千坂正毅

こうした症例をも鑑みると、やはり
 20歳で麻疹ワクチンの追加接種
は、成人麻疹の流行を防ぐ上でも有効ではないだろうか。
また、
 2回接種から漏れている世代がすでに教員になっている
わけだが、
 1人でも感染者がいれば、感染が拡大する麻疹の特性
を考えると、
 高等教育機関を含むすべての教職員
では
 麻疹・風疹等重要な感染症に対し十分な抗体価がある
ことを
 就職・転職時の条件
にする必要があるだろう。抗体価が低ければ
 追加接種
を行う。

「麻疹排除」の状況では
 自然に麻疹に曝露する
ことはほとんどなくなる。すると、当然ながら
 麻疹に曝露することで得られていた、ブースター(追加免疫)効果
は望めなくなる。

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