関空、従業員間の麻疹集団感染を発表@8/30 8/17以降に関空を利用した人で麻疹に罹ったことがないor予防接種を済ませていない場合、感染の恐れあり(その4)関空外で二次感染始まる 救急隊員・医師や対岸のプレミアム・アウトレット利用者も感染@9/4(追記、訂正あり)
関空で起きている
麻疹の集団感染
だが、
潜伏期
を経て
関空外での二次感染
が明らかになった。
麻疹患者の搬送・治療に当たった医療関係者2人
と
関空の対岸にあるりんくうプレミアム・アウトレット利用者1人
である。
NHKより。
はしか 関西空港従業員以外にも感染
9月5日 0時09分先月以降、関西空港で働く従業員にはしかの感染が相次ぐ中、新たに医療関係者と空港の対岸にある商業施設を訪れた男性1人も感染が確認されました。一連の感染の拡大で、空港の従業員以外の感染が確認されたのは初めてで、大阪府は緊急の会議を開いて対策を検討することにしています。
関西空港では、先月以降、従業員31人がはしかと診断されていて、大阪府は4日、新たに4人の感染が確認されたと発表しました。
新たに感染が確認されたのは、関西空港で働く20代の女性従業員1人と、医療関係者2人、それに大阪府内に住む30歳代の男性1人です。
このうち医療関係者は医師と救急隊員で、はしかの感染が確認された従業員の診察や搬送をしたことがあり、30歳代の男性は先月28日に空港の対岸にある大阪・泉佐野市のショッピングセンター「りんくうプレミアム・アウトレット」を訪れたことがあるということです。
大阪府によりますと、先月以降、府内ではしかと診断された人はこれで35人となります。
一連の感染の拡大で、関西空港の従業員以外の感染が確認されたのは今回が初めてで、大阪府は詳しい感染ルートを調べるとともに、7日に大阪市や堺市、それに和歌山県の担当者などを集めた緊急の会議を開き、対策を検討することにしています。
う〜ん、
搬送・治療に当たった医療関係者の感染
は、
事前に予防接種を済ませていれば「防ぐことが出来た感染」
である。今後は
麻疹に罹患してない医療関係者は、麻疹の抗体価のチェックを行い、低ければ追加接種
をルーティーンにしなくてはなるまい。しかし、
今回感染した2人の男性
なのだが、
これまで全く予防接種をしてなかった
ということはあるまいな。
国立感染症研究所感染症情報センターが昨年3/8に発表した医療機関での麻疹対応ガイドライン(第四版)では
平常時の対応:最も重要である。
として
・職員・実習生は、麻疹罹患歴および記録に基づく麻疹含有ワクチン接種歴を確認する
・職員・実習生は、麻疹予防の観点から、必要回数である2回の麻疹含有ワクチン接種歴の記録を本人と医療機関の双方で保管することを原則とする
・麻疹罹患歴のある職員・実習生は、麻疹抗体価を測定し、罹患歴を検査により確認する
・必要回数である2回の予防接種歴が記録によって確認できない者、罹患歴を問わず抗体を保有していない者(記憶違いの可能性がある)には、麻疹含有ワクチンの接種を推奨する
と明記しており、大変遺憾ながら
今回感染した2人の医療関係者が上記ガイドラインを守
ことは明かだ。
医療関係者から更に麻疹感染が広がる事態は避けなくてはいけない
だろう。
(追記 13:40)
今回
感染した医療関係者
は、
予防接種をしたが、免疫がつかなかった
ということらしい。こうなると
麻疹を防ぎようがない
ことになる。
大変残念だが、ご回復をお祈りする。
もし、医療関係者でこうしたタイプの方が他にもいるのであれば、
麻疹流行時は労働管理面で配慮
が必要になるだろう。本人のためでもあるし、感染した状態で接する恐れがある麻疹罹患歴がないor予防接種を全くまたは1回しかしていない患者さんのためでもある。身体の弱っている人に接する機会が多い医療関係者が、麻疹を拡大することは避けたい。
(追記 終わり)
問題はもう一つ。
関空外の施設、対岸にあるりんくうプレミアム・アウトレットの利用者が感染
している点だ。
当日、りんくうプレミアム・アウトレットに麻疹に感染した人がいた
ということになるだろう。これまで呼びかけられていた
関空の利用者
のみならず、
8/28にりんくうプレミアム・アウトレットを利用した人
も、念のため、
麻疹罹患歴がない、ワクチン未接種または予防接種を1回しか受けてない人
は、
麻疹感染の恐れがある
ので、今後
38℃以上の発熱等、麻疹を疑われる症状
が出た場合は、まず、医療機関に連絡を入れて、指示に従うようにしてほしい。
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コメント
わたくしが勤務していた病院では、肝炎、麻疹、風疹の抗体は年1回職員検診のたびに検査されて、抗体が少ないと予防接種を打たれました。当たり前のことと思っていましたが。
投稿: suzan | 2016-09-05 12:18
suzan先生、コメントをありがとうございます。
漏れ聞こえてきたところでは、今回感染した医療関係者の方は、きわめて特殊な状況だとは思いますが、予防接種をしても免疫が付かなかった由。
ただ、すでに関東で麻疹流行が始まっていましたので、残念ながら労働管理に問題があったのでは、と思います。
投稿: iori3 | 2016-09-05 14:02
大阪の小児科医です。今週月曜日、いきなり麻疹風疹混合ワクチンが市場から消滅していました。
各製薬卸さんの倉庫の在庫がいきなりゼロになったんです。
先週頭はまだ頼めば、数の制限はあるものの入ってたんですけど、営業担当もびっくりしてました。
麻疹風疹混合ワクチンは、需給関係が結構タイトになっており、発注制限がかかっていたんですけど、それでもいきなり「消滅」と言っていいような状況になるのはおかしいです。
その一方で、関空会社が関空内の全企業職員に対して、麻疹の罹患・ワクチン歴を聴取して必要な場合ワクチンを接種するということが発表されました。おそらく、罹患歴なし(子供のころにかかったかもしれないけど、わからない、というのも含む)、ワクチン接種が0~1回のみ、という職員を対象にすると思いますが、対象職員数は1万5千人とのこと。となると、下手をすると1万人くらいが接種対象になる恐れがあり、そんなもの、個別に開業医や病院で対応するのは不可能だと思われますので、おそらく臨時集団接種を考えているのだと思います。
だとすると、一気にそのためのワクチン確保に走った可能性が考えられます。
でも、それで大阪からワクチンがなくなってしまったら、本来必要な小児の定期接種はどうすればいいのでしょう。
我々個人経営の小児科医は「ワクチン持ってきて」と発注しても「すいません、ありません」と言われればおしまいです。
薬品卸の営業さんにもどうしようもありません。
そして一番守らなければいけない子供たちがワクチンもなく麻疹罹患の可能性にさらされるのだとしたら、それでも関空の職員の予防接種が優先されるべきなのでしょうか。
おそらくひと月もすれば流通もまた安定を取り戻すとは思いますが、ワクチンがそれでなくても不足している現状で、今回のパニックのような麻疹対策が本当に正しいのか、疑問に感じてしまいます。
もちろん、関空会社などが買い占めをしたという具体的な証拠はなく、あくまでも推理でしかないことを明記させていただきます。
P.S.現在の麻疹患者発生数(全国)は昨年を超えてはいますが、2014年と比較すると、まだまだ非常に少ないのが現状です。
単に、関空という人の出入りの多いところ、コンサートという密集した空間内に患者がいたことが話題になっているというのが現実です。
投稿: Seisan | 2016-09-07 12:14