お酒に弱い女性、閉経後の過度の飲酒は骨折リスクを高める アセトアルデヒドは骨芽細胞の働きを弱める ビタミンE補助が有効@日本の研究
人間の骨は、日々、破骨細胞が古い組織を壊し、骨芽細胞が新しい組織を作ることで維持されている。このバランスが崩れるのが、閉経後の女性だ。閉経で、卵胞ホルモン、エストロゲンの分泌が減少すると、破骨細胞の働きが強まる。そのため、作られるよりも壊される方が多くなり、骨がスポンジのようにすかすかになってしまう骨粗鬆症の危険が高まるのだ。
ところで、日本人の44%ほどは、
酒に弱い体質
の持ち主で
アルコールの代謝の過程で作られるアルデヒド
を分解するための
代謝酵素アルデヒド脱水素酵素(ALDH)
の
働きが弱いか、酵素を全く持ってないか
だ。ALDHが働けば
アルデヒド→酢酸
となって、人体には無害だが、アルデヒドは毒物だ。
ALDHには
アルデヒドの濃度
によって、
高い時に働くALDH
と
低い時に働くALDH2
とがあるが、日本人を含む
モンゴロイド
には
ALDH2の活性が弱いか、全く欠いている人がいる
という特性がある。アルデヒドの濃度が低いのは
アルコール摂取量が少ない
ということだから、ALDH2に問題があると
ちょっと飲んだだけでも酔っ払う=お酒に弱い
ことになる。
このアルデヒドは、
悪酔い
させるだけでなく
骨芽細胞の働きを弱める
という悪さをする。
だから
お酒に弱い体質の女性
が
閉経後に過度に飲酒
をすると、アルコール代謝で作られるアルデヒドが分解されないで骨芽細胞の働きを弱めてしまい、
破骨が進む
ことになるのだ。そうすると
骨はいよいよ弱く
なって
骨折リスクが高まる
ことになる。
朝日新聞より。
お酒が弱い女性、年を取ると骨折リスク 慶応大など調査
お酒が弱い女性は、年を取ると骨が折れやすくなることが、慶応大などの研究チームの調査でわかった。女性は閉経後に骨粗鬆(そしょう)症になりやすいが、アルコールの分解にかかわる遺伝子の働きが弱いとさらにもろくなる可能性があるという。27日付の英科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」で発表した。
同大医学部の宮本健史・特任准教授(整形外科)らは、アルコールを分解する時に働く酵素をつくる遺伝子「ALDH2」に着目。この遺伝子の働きが生まれつき弱い人は悪酔いの原因となるアセトアルデヒドをうまく分解できず、酒に弱くなる。
中高年の女性で大腿(だいたい)骨骨折した92人と骨折していない48人の遺伝子を調べて比較した。骨折した人の中で、この遺伝子の働きが弱い人は58%だったが、骨折していない人では35%だった。年齢などの影響を除いて比べると、遺伝子の働きが弱い人の骨折リスクは、ない人の2・3倍高かった。
チームはマウスの細胞でも実験した。骨を作る骨芽細胞にアセトアルデヒドを加えると働きが弱まったが、ビタミンEを補うと機能が回復した。酒に弱い体質の人が過剰な飲酒をすると、アセトアルデヒドがうまく分解できずに骨がもろくなる可能性があるとみられる。
宮本さんは「お酒に強いか弱いかは生まれつきで変えられない。だが、骨折のリスクをあらかじめ自覚し、ビタミンEの適度な摂取で予防できる可能性がある」と話している。(川村剛志)
閉経後は、更年期障害や家族関係の変化等で気分が落ち込んで
キッチンドリンカー
になってしまう女性もいるのだが、もし、ALDH2が少なかったり、欠いている
お酒に弱い体質
だと
骨折の危険性を自ら高めている
ことになる。
この研究が検討した
大腿骨骨折
は、
生活の質を大きく損なう
もので、高齢者では
寝たきりに移行する契機となる危険因子
だ。
高齢者が大腿骨骨折で入院
と聞くと、まずはその先が心配になる。
お酒に弱い、閉経後の女性がアルコールを飲む時は、まずは
骨芽細胞の働きを助けるビタミンE摂取
が検討されるべきだろう。
ただ、ビタミンEは脂溶性ビタミンだ。水溶性ビタミンと異なり、過剰な分が尿として排出されることはないので、取りすぎると却って良くない。
今後必要なのは
こうした体質の女性が取るべき適切な量や摂取の仕方の指針
だ。
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