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2017-03-18

和服は成長期にも、本来は「経済的」に着られる 最近の市販の七五三の着物に「揚げ」がついてないらしい 普段は日本の伝統とか言いまくる日テレ配信ニュースが「子どもの着物」に無知すぎる件

このニュースを見て
 変だ
と思った人は
 子どもの頃、揚げのついた着物を着ていた
筈だ。
NNNニュースより。


ナゼ?小学校卒業式で袴姿 禁止する学校も
日本テレビ系(NNN) 3/17(金) 21:38配信
 大学ではなく、小学校の卒業式に“はかま姿”で出席する子供が増えていると話題になっている。なぜ、小学校の卒業式ではかまが人気となっているのか取材した。
(略)
■理由は…親心と映画が影響
 いまでは定番となった大学の卒業式でのはかま姿。自分が体験したはかま姿を子供にもさせてあげたいと思う親も多いという。
 さらに“ちはやふる”みたいな着物はないですかという問い合わせが結構あったという。16年の春に上映された競技用カルタを題材にした映画「ちはやふる」。広瀬すずさんのはかま姿に憧れてはかまを選ぶ小学生も多いという。
 料金は着物のレンタルと着付けがセットになったもので3万円~6万円だということだ。晴れ舞台を前にはかま姿で写真撮影する子供も増えている。神奈川・横浜市にある撮影スタジオでは着物の貸し出しも行っていて小学校の卒業式シーズンは成人式よりも忙しいという。
(略)
■過剰になりすぎ?禁止する学校も
 一方では「ちょっとお金がかかりそうだと思った」「はかまを着るのはすごく良いと思うけど、過剰になりすぎて違う方向に行くのは残念かなと」いう声も聞かれた。
 実際に神奈川県や愛知県などの一部の公立学校では、経済的な理由で衣装にお金がかけられない子供もいることなどから“華美な衣装は控えるよう”にと呼びかけたり、“はかまを禁止にする”学校も出てきている。着付けを行っていた店でも派手になりすぎないように気をつけているということだ。
■工夫すれば費用を抑えられる
 こうしたブームでレンタル費用が大きな負担になることが心配されるが、工夫して費用を抑える人もいた。去年、小学校を卒業した藤田さんのはかまは、七五三の時の着物を再利用したという。
 手直ししたのは母親で子どもの身長は伸びているが、着物の裾の丈ははかまをはくため、手直しする必要はなかったという。肩の部分は、糸をほどいて生地を伸ばし、その糸をほどいて袖の長さを調整したということだ。

あのね
 工夫して費用を抑える
んじゃなくて
 本来、着物は、子どもの成長に合わせて、身丈や袖丈を変えられる仕組みとして「揚げ」がついてる
んですよ。
だから、記事の最後の
 肩の部分は、糸をほどいて生地を伸ばし、その糸をほどいて袖の長さを調整
というのは、取材した記者にも記事をチェックしたはずのデスクにも
 和服に関する基本的な知識も、家族に着物の手当をしてもらった経験もない
ってことだな。
言っておくが、こんな記事を配信しておいて、
 日本の伝統は素晴らしい
とか言うなよな、日テレ。日テレが大好きな
 「日本の伝統的な民族衣装」に関する無知
も甚だしい。

これは京都五花街の一つ、上七軒の梅乃さんの
 舞妓さんのお店出し
の時の一齣。



舞妓ちゃんの肩のところと振袖の中間に
 揚げがしてある
のが分かるだろうか。現在は舞妓になるには中学を卒業しなくてはならないが、戦前は小学校卒業位の12歳ほどでなっていた。当然
 舞妓ちゃんは子ども
なわけで、着物には揚げが必須だった。今でも、
 制度
として、舞妓ちゃんの着物は揚げをする。
家庭では、
 着物を着る機会
に、まずは着せてみて、丈がどのくら短くなっているかを確認して、
 揚げをほどいて、身丈や袖丈を調節
する。その際、
 年々、揚げが短くなる
のを見て
 子どもの成長を喜んだ
のであった。針仕事をする祖母に、
 わあ、こんなに揚げが短くなった! 大きくなったね!
と言われると、うれしかった。もっとも
 子どもの間は「揚げ」をする習慣
だから、
 どんなに短くても「揚げ」を残しておく
のが決まりであった。これが結構大変なのである。

ググってみたところ
 市販の七五三の着物は「揚げ」がないものがある
らしい。というか
 揚げという素晴らしい知恵が忘れられている
ようだ。
 七五三の着物の利点
は、
 成人式までは、揚げに手を入れて、最後は揚げを取ってしまって着る
というところにあったのだけど、忘れられているのかなあ。
 子どもの「制服」
とその辺りの扱いは似ているが、
 1着の着物を、長さを調節することで、大人になるまで着回せる点が極めて経済的
なのだ。そりゃ
 反物の長さは決まっている
から、
 大人と同じ長さの反物で子どもの着物を作る
のであれば
 何らかの工夫が必要
でしょう。その工夫の一つが「揚げ」である。

ま、忙しくて針を持つ時間が持てないおうちもあるだろうから、そういうときは、仕立屋さんに丸投げして下さい。
 一々、洋服のように「サイズ」を換えなくてイイ
ところが、和服の利点で、反物を選んで仕立てて貰うと、最初の投資はちょっと高いけど、長く着られるのだから、結局は経済的だ。
子どもの着物では、揚げをする他に、最初は
 長着+羽織のアンサンブル
に仕立てて
 あとから、一枚の長着に仕立て直す
というやり方もある。毎年、季節が終わると、糸をほどいて反物の形に戻し
 洗い張り
という洗濯方法が出来る着物ならではだ。

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