2017フィギュアスケート世界選手権 男子FS いまの採点基準は変わるのか
今年のフィギュアスケート世界選手権を放映したのは、例年通りフジテレビだが、現在
世界フィギュアスケート選手権2017
のサイトで
男子・女子のSP/FSをノーカット無料配信中
だ。
見逃した人は是非アクセスを。
男子フリー最終グループの映像は
3時間7分過ぎ
から6分間練習が始まる。滑走順は
1. 羽生結弦(日本)
2. Nathan Chen(USA)
3. 金博洋(中国)
4. Patrick Chan(CANADA)
5. 宇野昌磨(日本)
6. Javier Fernandez(SPAIN)
だ。
2017年3月、フィギュアスケート世界選手権で
男子のFS
は
恐るべき領域に突入
した。
300点を超えても、表彰台に乗れない。
290点を超えても、5、6位入賞止まり。
最終グループは、第一滑走の羽生結弦が、SPの不調をカバーして余りある素晴らしい、たぶん歴史に残る名演技で、223.2点という世界最高得点をたたき出し、場内は熱狂の渦。TES(技術点)は、126.12と正直、今後この点が出るかどうかという、ほぼ満点に近い出来。PCS(演技構成点)も9点台後半を揃える。
細かく見ると、技の出来栄えを見る
GOE
では、今回跳んだ
4LO、4S、4S+3T、4T
の4本の4回転ジャンプに
2点台の高い評価
が付いている。ステップシークエンスやスピンはいずれもレベル4で、取りこぼしはない。
このまま、最終グループは、羽生結弦のとんでもない出来の演技に気圧されるかと思えば、さにあらず。
3番滑走の中国の金博洋は、場の空気をものともせず、確実に自分の演技をする。
3度世界選手権を制したカナダのP.チャンは、技術はすばらしいものの、ジャンプの取りこぼしが響き、TESは100点に届かない。
5番滑走の宇野昌磨は、演技に入った途端に、すっとプログラムに「没入」、これまた、ほとんどミスのない演技。羽生結弦に迫る214.45という高得点をたたき出す。取りこぼしは、FCSp(フライングキャメルスピン)がレベル3だったのと、3Lzの踏切が怪しかったのと、
4LO、4F、4T、4T+2L
と跳んだ4つの4回転ジャンプの内、4Tが減点されている。それでもTESは120点を超え、PCSも9点台を揃える。羽生結弦には及ばないものの、SPと合計すると、自己ベストで、初めて300点を超えた。
最終滑走で、3連覇が掛かったフェルナンデスは、途中で緊張の糸が切れて、得意のジャンプを纏めきれず、総得点は301.19と300点を超えたものの、4位に沈む。
P.チャン5位、ケビン・レイノルズ9位のカナダは、まさかの五輪2枠に。
4回転を跳びまくる若いネイサン・チェンと、4回転は最小限で、滑りの美しさを追求するジェイソン・ブラウンが6位7位につけ、アメリカは3枠確保。
日本は、1-2フィニッシュで、もちろん3枠。
表彰台は、日本・日本・中国と東アジア勢が独占、6位までを見ても、白人は4位のフェルナンデスだけで、あとは北米の中国系選手。
個人的には、
またやっちゃったよ、コフトゥン
で、メンタルの弱さが克服されず、11位に沈む。
来年の五輪は、宇野昌磨が更に伸びるのか、それとも羽生結弦がまだ伸びるのか、五輪シーズンに必ず出てくる「ラッキーな新星」が現れるのか、男子フィギュアからは目が離せそうにない。今回、羽生と宇野の得点差は2.28と実は僅差。五輪のプレシーズンにここまで実力を伸ばしてくるとはうれしいよ、昌磨くん。楽しみな19歳だ。
それにしても300点を突破しても
表彰台に上がれない
のでは、
採点基準に問題がある
と言わざるを得ない。
五輪シーズンには、大規模なルールの改定は好まれないが、
インフレ気味の評価基準
は好ましくない。
また
FSに4回の4回転ジャンプ
は、
選手生命を縮める元
ではないか。4回転ジャンプは、身体に大きな力が掛かる。
SPで2回、FSで4回の4回転ジャンプ
というプログラム構成が大手を振っているが、怪我に結びつきやすい4回転ジャンプの数が多すぎるように感じる。
選手を守り、競技に精彩を添えるためにも
4回転ジャンプの数の制限とそれに変わる構成要素を付け加える
のが必要ではないか。
トップ選手でいられる時間は、人生にとっては、ほんの短いものでしかない。スケートを離れた後の人生のほうが長い。重すぎる負荷がかかるのは、できる限り避けた方が良い。
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