ヒトラー『わが闘争』を教材に使っても良いという政府答弁書の件
よく分からないので、事実経過のみ、メモしておく。
発端。
4/6、民進党の宮崎岳志衆院議員が、
アドルフ・ヒトラーの著作「我が闘争」の一部を、学校教育における教材として用いることが否定されるかどうかに関する質問主意書
を提出。
4/10 内閣へ転送
4.14 答弁書受領。
宮崎議員の答弁書の内容。
アドルフ・ヒトラーの著作「我が闘争」の一部を、学校教育における教材として用いることが否定されるかどうかに関する質問主意書
政府は衆議院議員初鹿明博君提出「教育勅語の根本理念に関する質問主意書」に対する答弁書(第百九十三国会・答弁第一四四号)において、教育勅語の学校教材としての利用について、「学校において、教育に関する勅語を我が国の教育の唯一の根本とするような指導を行うことは不適切であると考えているが、憲法や教育基本法等に反しないような形で教育に関する勅語を教材として用いることまでは否定されることではないと考えている。」と答弁している。
以上を踏まえ、質問する。
アドルフ・ヒトラーの著作「我が闘争」について、これを批判的な視点や歴史的事実として紹介する場合以外でも、この書物の一部を抜粋して道徳や国語の教材として用いることは、否定されないのか。
右質問する。
普通は
ナチスドイツの政策を批判するための史料として用いられる『わが闘争』の一部引用
が
批判材料や史料としてでなく、道徳や国語の教科書の教材に用いることが可能か
という質問内容だ。
政府の答弁書。
アドルフ・ヒトラーの著作「我が闘争」の一部を、学校教育における教材として用いることが否定されるかどうかに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員宮崎岳志君提出アドルフ・ヒトラーの著作「我が闘争」の一部を、学校教育における教材として用いることが否定されるかどうかに関する質問に対する答弁書学校での国語科や道徳の時間を含む全ての教科等の指導における教科用図書以外の教材の使用については、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第三十四条第二項等の規定に基づき、教科用図書以外の教材で有益適切なものは使用することができることとされており、文部科学省が各都道府県教育委員会等宛てに発出した「学校における補助教材の適正な取扱いについて」(平成二十七年三月四日付け二十六文科初第千二百五十七号文部科学省初等中等教育局長通知)において示した教育基本法(平成十八年法律第百二十号)等の趣旨に従っていること等の留意事項を踏まえた有益適切なものである限り、校長や学校の設置者の責任と判断で使用できるものである。その上で、御指摘の「アドルフ・ヒトラーの著作「我が闘争」」については、同書の一部を引用した教材を使用して同書が執筆された当時の歴史的な背景について考察させるという授業が行われている例があると承知している。他方、仮に人種に基づく差別を助長させるといった形で同書を使用するのであれば、同法等の趣旨に合致せず不適切であることは明らかであり、万一このような指導がされた場合には、所轄庁や設置者において厳正に対処すべきものである。
この答弁書に関する、4/14付時事の記事。
「わが闘争」の教材使用可能=政府答弁書
政府は14日の持ち回り閣議で、ナチス・ドイツの独裁者ヒトラーの自伝的著書「わが闘争」の教材使用について、「教育基本法等の趣旨に従っていること等の留意事項を踏まえた有益適切なものである限り、校長や学校設置者の責任と判断で使用できる」とする答弁書を決定した。民進党の宮崎岳志氏の質問主意書に答えた。
答弁書では、「同書の一部を引用した教材を使用して、執筆当時の歴史的な背景を考察させる授業が行われている例がある」と紹介。その上で、「仮に人種に基づく差別を助長させる形で使用するならば、同法等の趣旨に合致せず、不適切であることは明らかだ」と指摘し、そうした指導があった場合は「所轄庁や設置者において厳正に対処すべきものだ」としている。(2017/04/14-20:03)
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