ドイツのパンは美味しい(その1)
8月4日から、国際学会で北ドイツのキールに滞在した。その時の話を少しずつ。
キールはシュレースヴィヒ=ホルシュタイン州(Land Schleswig-Holstein)の州都、バルト海に面する海の都市であり、古くから海運で栄えた町だ。人口は24万人(2015年統計)ほどで、似たような日本の街、北海道の小樽の2倍であり、経済上の地歩を失った小樽とは異なり、今も豊かな街である。
ドイツに旅行したヒトはみんながみんな口を揃えて
ドイツのパンは旨い!
という。日本でドイツのパンというと
黒パン
だったり、
固いパン
だったり。ともかくも
重い、黒い、酸っぱい、固い
というイメージが強い。かてて加えて
黒パン
というと
ハイジの黒パンのイメージ
がこびりついていて
旨いもんじゃない
と思われている。
そんなドイツのパンが
旨い
というのだ。
今回宿泊したのは、ドイツ鉄道キール駅前の
InterCity Hotel Kiel
で、学会の宿泊ということを考慮して、朝食込みで申し込んだ。別に朝食を付けて貰うと14€(現在の円相場では1800円前後)だ。日本ではビジネスホテル相当のホテルである。
毎朝、Buffet形式で温かい朝食が提供される。
パンのコーナーは様々な種類のパンが盛られていて、薄切りになったものも供され、パンを切るボードとナイフも用意されている。
このパンが
美味しい
のだ。
自慢のBrötchenやBrötは勿論、隣国フランスのクロワッサンにも、手を抜かない。日本のビジネスホテルで、
クロワッサンがパリパリで中はふかふかで温かい
なんてところがあるだろうか? 中級ホテルでも、クロワッサンは冷たい場合がほとんどだろう。惜しみなくバターを使い(製パン用マーガリンとかいう紛い物でなく)、大きめに成形されて焼き上げられたクロワッサンは、それだけで美味しい。
日本のビジネスホテルだと、まずパンが出てくるとすれば食パンがあるかないか、なんて感じだけど、1コーナーまるまるパンに当ててるだけあって、ほんのり温かいパンはどれを取っても美味しい。
見ていると、宿泊者の白人のおばさまが、横に切り目の入った丸いSchnittbroetchenをあれこれ選んでいる。どうも、
発酵と焼け具合
が気に入らないらしく、籠のパンをひっくり返して、やっと1個を選び取った。わたしもおばさまの顰みに倣い、おいしく焼け上がっているパンを選んでみた。
北ドイツのこの地では、白い小麦パン、黒いライ麦パン、それらがいろんな比率で混合しているパン、パン生地にナッツやドライフルーツなどを混ぜたり、びっしり付けたものなど、多様なパンが朝のパンコーナに並ぶ。わたしも滞在中、罌粟の実が塗されたMohnbroetchenや、松の実を焼き込んだもの、向日葵の種を振りかけたもの等や、スライスされた各種黒パンやクロワッサンを食べたけれども、いずれもほんのり温かったり、水分は多めで、日本の
固い酸っぱい黒いパン
は1つとしてなかった。見たところ、ホテルにありがちな
トースター
がないので、不思議に思っていたのだが、あらかじめ温かいパンが供されるので、トースターは必要ないのだ。
Buffetには、特産のチーズがやはり何種類か皿に盛られている。牛乳から作られたチーズで、白カビチーズや、胡椒やハーブを塗したり、フルーツやナッツを混ぜ込んだ甘いものなどだ。毎朝、黒パンの薄切りやSchnittbroetchenにチーズを塗って食べていた。
この辺り、酪農が盛んだ。
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コメント
十うん年前にキール大で口頭発表したのを思い出しました。
日本人は少なかったですね。
当時ハンブルグに住んでましたが、ドイツのパンは酸っぱくて口に合わなくて苦労した覚えがあります。
キールではそんなパンは少ないのでしょうか?
それとも、時代に違いでしょうか?
投稿: ダイ | 2017-08-30 17:24
ダイさん、コメントありがとうございます。
今回はハンブルクは乗換だけでしたので、パンを味わう時間がなく残念です。
キールのパンはどこでも美味しかったですよ。もちろん、ライ麦の酸っぱいパンもありましたが、全体に酸味はそれほど感じませんでした。
投稿: iori3 | 2017-09-06 14:47