嗚呼! 神戸製鋼
日本製品の信頼が、泥に塗れるような大きなスキャンダルが10/8発覚した。
神戸製鋼のアルミ・銅製品のデータ改竄問題
である。
産業の核となる、製品の原材料が要求を満たしていないまま出荷された
のだ。
事は、これだけに留まらず
日報神戸製鋼
と言った具合に
毎日のように新たなデータ改竄疑惑
が報道される。とうとう10/13には
主力の鉄鋼製品にもデータ改竄
があったことが神戸製鋼から発表された。
日本のものづくり、日本製品への信用は地に墜ちた
といえよう。
地元紙神戸新聞10/14付によると、不正は次の範囲に及ぶ。
アルミ・銅製品 取引先の要求を満たさない製品を性能のデータを改竄して出荷 自動車・新幹線・ロケット・航空機・防衛産業等海外含め約200社へ納入
鉄粉 取引先と決めた密度に関する仕様を製品が上回りデータ改竄 1社
液晶画面材料 必要な検査を怠り、基準を満たさない製品データを改竄 70社
銅合金管と型 検査データの改竄・検査を一部行わなかった 179社
銅管(細管) 検査と試験の未実施(マレーシア) 28社
銅管 試験を実施せず(タイ) 5社
アルミ合金線と合金棒 検査データの改竄・検査を一部行わなかった 2社
銅版条 検査データの改竄(中国) 2社
鋼線 検査を一部行わなかった 1社(製造会社と納入先が異なる)
鋼線 検査を一部行わなかった 1社(製造会社と納入先が異なる)
特殊鋼 試験結果の改竄 19社
ステンレス鋼線 試験結果の改竄 1社
主力である鉄鋼にアルミ、銅、鉄粉と
不正は広範囲に及ぶ
わけで、
不正品は500社に納入
されていた上、
この事実は役員に把握されていた
という。
目を覆う惨事だ。神戸新聞より。
神鋼、不正品500社に納入 役員把握後も非公表
2017/10/14 06:00
アルミニウム製品などのデータを改ざんしていた神戸製鋼所は13日、グループ会社9社が手掛ける特殊鋼など9製品で新たに不正を確認したと発表した。当初は約200社としていた問題製品の納入先は延べ約500社に増え、事態はさらに深刻化。9製品のうち4製品の不正は、過去に取締役会で把握しながら公表していなかった。情報開示姿勢に批判が出るのは必至だ。
9社のうち2社は過去にデータ改ざんなどをしており、再発防止が不十分だったことが鮮明になった。問題製品は既に判明しているアルミと銅、鉄粉、液晶画面材料から拡大し、強みを持つ鉄鋼事業の主力製品を含む計13製品となった。中国やタイなど海外拠点で生産した製品でも、検査データを改ざんしたり、必要な検査を実施していなかったりした。
川崎博也会長兼社長が東京都内で記者会見し「顧客と消費者の皆さまに多大なご迷惑をお掛けし、あらためておわび申し上げます」と謝罪した。まずは問題の原因究明と再発防止策の策定に力を入れるとした上で「その後、進退の議論はあるかもしれないが、慎重に考えたい」と述べた。
川崎氏は、問題製品の納入先がリコール(無料の回収・修理)を実施した場合の負担について「ユーザーが負担したコストは相談になるが、その腹づもりはある」と述べた。川崎氏が一連の不正発覚後に記者会見を開いたのは初めて。
新たに判明したのは、東京電力福島第2原発に神戸製鋼の子会社が納入した銅合金の配管や、アルミ合金線、特殊鋼など9製品で、取引先と決めた仕様を満たさないデータを書き換えるなどしていた。いずれも安全性への問題は現時点で確認されていないと説明した。特殊鋼は鉄にマンガンやニッケルを添加して強さや硬さを増した製品で、自動車や航空機のエンジン、スマートフォンなど幅広い用途で使われる。
データ偽装を再び行っていたのは日本高周波鋼業と神鋼鋼線ステンレスの2社で、顧客と取り決めた検査結果の改ざんをしていた。
川崎氏は12日、記者団の取材に新たな不正について「国内と海外で疑わしい事例が網にかかっている」と説明していたが「鉄は入っていない」と話していた。
神戸製鋼の
不正問題
は、上記記事にもあるように
今回が初めてではない
のだ。
twitterではこんなつぶやきが。「はたらく機械の会」さんのtweetより。
神鋼のクレーンマンをして
— はたらく機械の会 (@Green_Komatsu) 2017年10月13日
「ワイヤーは絶対に東京製綱だよ」
「え?自社製品??怖くて使えんわ」
と言っていた真意を悟る...
現場が一番よく知ってるんだよ。
ワイヤ交換を請け負う外注さんに指定で収めさせてるそうです
— はたらく機械の会 (@Green_Komatsu) 2017年10月14日
嗚呼、神戸製鋼。
おまけ。
アメリカは今回の神戸製鋼の失態を歓迎しているらしい。時事より。
米鉄鋼に二重の追い風=政権支援と「敵失」 【ニューヨーク時事】米国の鉄鋼業界に二重の追い風が吹いている。国内産業の保護を訴えるトランプ政権の支援に加え、神戸製鋼所の検査データ改ざん問題が突如浮上したからだ。同社が新たな不正を発表した13日の米株式市場では、「敵失」で米メーカーへの引き合いが増えるとの思惑から鉄鋼株が急伸。ユナイテッド・ステーツ・スチール(USスチール)は前日比7.0%高、AKスチール・ホールディングは5.6%高となった。 米鉄鋼業界は近年、過剰な生産設備を抱えた中国からの割安な輸入品に押されて業績が悪化。国内需要が堅調にもかかわらず、売り上げや市場シェアを落としてきた。しかし昨年の米大統領選で、鉄鋼など製造業の雇用回復を公約に掲げたトランプ氏が当選。就任後も「米国第一」を旗印に、公共事業で米国製品の調達を要請したり、輸入品への大幅な関税引き上げを検討したりと、鉄鋼業界保護の姿勢を鮮明にしている。 こうした中、神戸製鋼の問題は、ものづくりの品質の高さを武器としてきた「日本のイメージに打撃」(ニューヨーク・タイムズ紙)を与える一方、米メーカーには商機となる可能性がある。市場では「米政府の措置で低価格帯の中国製品の輸入が抑えられた上、日本勢が強い高付加価値品でもシェアを奪えれば、米メーカーの業績にはプラスだ」(日系証券)との声が出ている。 (2017/10/14-15:57)
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