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2018-01-09

高齢研究者の「デジタルデバイド」問題

師匠と電話でお話しした。
最近は、加齢のため
 活字を読むのが面倒になる
とのこと。
こんな時は
 電子書籍で自由にフォントを拡大
すれば楽なのだが、恐らく、
 自宅にインターネット環境すらない
と思われる。
 ダウンロードして電子書籍・電子化された論文を読む
とか
 書籍や論文の必要な部分をスキャンして取り込む
とか
 21世紀の研究生活では普通になっている研究環境

 そもそも存在していない
ということになる。

この頃は、人文系の後任不補充が影響して、大学を退休されても
 第二のお勤めをしない
先生方が増えている。問題は
 こうした高齢の先生
には
 デジタルデバイドの状態に置かれていることがある
ことだ。

本務校に在勤中は、誰かが肩代わりしてやってくれていたのだろうが、退休後は自分でやらなくてはいけない。
孫でもいれば、手伝ってくれるかも知れないが、そうそう都合良く行くわけもない。

今、日本では
 モノになるのに、時間が掛かる教育
というのを
 ムダとして切り捨てる
ことが進んでいる。
 漢文の読解
なんて、その好例だ。
 日本語とはSyntaxの異なる言語である中国語を、日本語のSyntaxに乗せて「読む」システム

 漢文
である。何だか、
 中国語をやれば良さそう
に聞こえるのだが、
 現代中国語と「漢文」とされる文語文には懸隔がある
のは、
 現代日本人がいきなり『源氏物語』の原文を読めと言われてもムリ
なのを考えれば、理解出来るだろう。
 中国語文語文には文語文独自の文法・システムが存在
する。

高齢研究者の中には、漢文読解を始めとした
 長期間の鍛錬と習熟を必要とする専門分野の先生方
がいらっしゃる。その知識・経験は
 貴重なリソース
なのだが、そうした先生方は、概ね
 デジタルデバイドの状態
にあるので、退休後は
 社会にその知識・経験が還元されにくい
ことになってしまっている。

後任不補充で
 日本中の人文系講座が閉鎖
されていく中、インターネットやITを活用して
 高齢研究者の「叡智」を利用
する方法はないものか。
もちろん
 高齢研究者のComputer Literacy再教育
は必要だろうが、それよりは
 誰でもITやインターネットを使えるようにする補助システムの整備
の方が汎用性があるし、今後も役に立つ。

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