『月刊住職』編集長が転勤族や移住者に喧嘩を売っている件
今朝の朝日新聞より。
(専門誌に聞け)寺と高齢化:4 「月刊住職」矢澤澄道編集長
墓を守る人がいなくなったなどを理由に、先祖代々の墓から遺骨を移す「墓じまい」をする人が増えています。でも故人は生前、そこに埋められることを望んでいたはずです。その遺志を無視する権利が誰にあるのでしょうか。安らかに眠っている先祖を動かすのは、極端な言い方をすれば「墓あばき」です。
えええええええええ!!!!!
ていうか
先祖代々、同じ土地に縛られて生きている人って日本にどれだけいるの
って話。
地方から都市へ、都市から地方へ、人々が仕事を求めて、あるいは理想の生活を求めて、移動することで、それぞれの地域は活性化する。
実家の高祖父は、明治8年、岩手県黒沢尻から、北海道に移住した。移住前は檀那寺の檀家総代の一人で、弟が檀那寺まで行って聞いてきたところでは、経済的に逼迫して移住したわけではないそうだ。新天地を求めて北海道に渡ったようだ。
その時、札幌に岩手から伏見稲荷を勧請し、婿養子の曾祖父は札幌神社(現北海道神宮)の創立に関係、円山公園の石碑には名前が刻まれている。今の檀那寺では、総代の一人となり、当時の橘の御前様と上海に渡り、新たに作った地下式の納骨堂の上に立つ観音さまを将来してきた。(今はその上に祖母が寄進した覆い堂が建っている)
地下式の納骨堂は、個々のお骨を納める形式ではなく、納骨堂の上に開いた口に、骨壺からお骨を入れる形式で、イメージとしては散骨に近い。この納骨堂は、札幌は道外から来た人が亡くなる場所でもあるし、仏様の無縁有縁を問わず、希望する人が納骨できる場所として作ったものだ。実家では、亡くなった人はみな四十九日にこの納骨堂にお骨を納める決まりだ。家では、お骨は長い年月の後に融けて水になる、と伝えられている。曾祖父は、自分が東京から札幌に来たように、子孫が札幌から別な土地に行っても、先祖供養等で煩いの起きないようにと、この形式を取ったようだ。
納骨堂とは別に、お骨の入らないお墓は市営墓地にあって、こちらは近年、札幌に若い世代がいないので整理して市に返した。檀那寺には、位牌堂があり、そちらでもお祀りしているので、お墓がなくなっても特に問題ない。
従兄は、同じ檀那寺に位牌堂を持っていたのだが、八王子に家を建てたので、八王子の同じ宗派のお寺に移った。寺格からいうと札幌のお寺の方が上なので、八王子のお寺のご住職に
え、あのお寺さんからうちに移されるんですか!?
といたく驚かれたと聞く。
いくらお寺の格が高かろうとも、普段お参りできないのでは意味は無い。
というわけで、『月刊住職』の編集長は
出身地のお寺にお墓がある檀家という形態が「デフォルト」
という、大変狭い範囲の話を
一般的な話に拡大して、今生きていて、自分がし得る供養を果たしたい人達が「引き墓」をするのを非難
しているわけだ。
ま〜、お寺の数も、ご住職の数も、平成が終わろうとしている今、減っているから、
ご住職相手に雑誌を売る商売が立ちゆかなくなる
という「危機感」で、こんな暴言を平気で文字にしてるんだろうけど、
モラハラだわ、一種のヘイトだわ
で、サイテーですね。
おまけ。吉田兼好『徒然草』第三十段末。
はては、嵐にむせびし松も千年をまたで薪にくだかれ、古き墳はすかれて田となりぬ。そのかただになくなりぬるぞ悲しき。
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コメント
ふらふらと住所不定のようなのって、逆におかしいんじゃないのっておもいますがねぇ。
北海道って、アイヌの人じゃなければ明治以降移住してきた人が大半だから、そういう考え方になるんでしょうね。
関西ならその土地に数百年とかザラだから、ごく当たり前の感覚なんだけどなぁ。
投稿: hisa | 2019-04-26 11:04
hisaさん、コメントありがとうございます。
いま関西の進学校の問題の一つは、灘などの難関校から東大へ行ってしまうと、関西に戻ってこない、優秀な人材を育てても、関西で生かせないことです。
東北以北でも同じような問題はあり、故郷に戻っても、キャリアに相応する仕事が見つからないので、結局、別な地域の都会で仕事を続け、お墓だけでなく、先祖代々の実家を処分する人達の話は時々耳にします。
故郷と檀那寺を離れる理由は人それぞれ、そのお家それぞれでしょうけれども。
いまの地方に、一度地元を離れた優秀な人材を受け入れる力と度量があればいいのですが。
投稿: izanro shujin | 2019-04-26 12:14