梵巴蔵漢文大蔵経の平行句を探してくれるとんでもないデータベースで、日本語は参加できていない件
ちょっと必要があってPāli語の経典
Majjhima Nikāya(漢訳の中阿含に相当)
を調べていたら、行き当たったのが
梵巴蔵漢文大蔵経の平行句を吐き出してくれるデータベース
Buddha Nexus
https://buddhanexus.net
だ。巴(Pāli)梵(Sanskṛt)蔵(Tibetan)中(Chinese)の大蔵経の文章を適当に入れると、ニューロネットを利用して
梵巴蔵漢文大蔵経の平行句を即座に検索してくれる
のだ。便利すぎて、一瞬なにが起きたかと思った。その上
既存の現代語訳
も用意している。
このように仏教学でオンライン検索が可能になるまでは、
平行句探し
は、論文作成の作業ではかなりの時間を必要とするもので、梵巴蔵漢の四つの語学に堪能でないと難しかった。語学の実力が足りず、間違って、似ているけど違うフレーズを引用したりすると、学会やメールで、至極丁寧な言い方や書き方で、しかしながら中身は
おまえはアホか
という強烈なお叱りをいただいても致し方なかった。
コンピュータが探してくる平行句なので、当然ながら
結果をそのまま使うのではなく、一応、自力で吟味して使う
という昔と変わらない手順は必要だが
探し出すための、時間が読めない作業の負担
はぐんと減った。いや〜、
平行句があるなら、必ず提示せよ
ってのが、今の仏教学の水準ですね。
ところで
現代語訳の部分
なのだが、非常に残念ながら
日本語訳
は採用されていない。採用されていない理由は推測するしかないが
著作権等の関連でデータが提供されていない
のだろうと思う。
ああ、もったいない。
せめて
南伝大蔵経の日本語訳(初版は昭和10(1935)〜15(1940)年)
くらいは、提供できないのだろうか。日本の仏教学の成果がこうした世界的に利用されるだろうデータベースで何も貢献できないなんて、残念で仕方がない。