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2022-09-28

「観る将」必携 藤井聡太監修『藤井聡太の将棋入門』@日本将棋連盟/マイナビ出版

将棋界で、次々と最年少記録を塗り替える内に、気がついたら
 日本で一番将棋の強い人
になったのが
 藤井聡太五冠
だ。相変わらず若い。この7月にやっと二十歳になったばかり。
しかも強い。なんせ
 負けたら記事になる
のだ。今年度は、年度初めは対局が少なかったせいで勝負勘が戻らなかったとかで、最初負けが少し多かったが、最近
 勝率8割に戻した
ところだ。
 5回に1回しか負けない
のだ。それも
 タイトル防衛戦とA級順位戦を戦っている
という状況でだ。
 タイトル戦では、挑戦者は打倒藤井で綿密な研究と闘志で臨む
 A級順位戦は、名人に挑戦するためのトップ棋士によるリーグ戦
なわけで、
 対戦相手は渾身の研究と並々ならぬ闘志でぶつかる
のだけど、それで
 勝率8割
って、本当に
 いい意味で「おかしい」
のだ。
わたしたちはなんとなく
 藤井聡太五冠が勝つ
のに慣れているから、何とも感じなくなっているが
 6割勝てば強い、7割勝てばすごい
将棋の世界で
 デビュー以来勝率8割をキープしている
こと自体が
 異常事態
なのだ。慣れは怖い。勝率の話だけすれば、
 タイトルは防衛して一人前
とはいわれるものの、なかなか防衛に至らないというのが普通なのだが
 タイトル戦をいままで一度も落としたことがない
のが、藤井聡太五冠だ。タイトル戦は
 出場した10回の挑戦または防衛戦で、奪取または防衛に成功
している。細かく言うと
 35勝6敗 勝率8割5分4厘
だ。ちなみにこれまでの通算成績は
 281勝56敗 勝率8割3分4厘

 タイトル戦の勝率の方が、通算成績の勝率よりも高い
のである。こんな棋士は
 空前の存在
で、たぶん絶後であろう。

その藤井聡太五冠監修で
 藤井聡太の将棋入門
が発売された。
 監修って、名前貸しただけでしょ
と思うあなた、それは
 藤井聡太五冠を知らない
のだ。藤井聡太五冠といえば、将棋関連の編集者の間では
 あれだけ忙しいのに、綿密にゲラを直して戻す
ことで有名である。本当にマメで、読み手のことを考えて親切。普段、記者の質問や、感想戦、大盤解説等で
 早口で、棋譜を高速詠唱
してたりするから、気がつかれないかもしれないが、
 子ども相手の指導対局
でも、丁寧にお辞儀をし、温かい言葉を掛けている藤井聡太五冠を見たことがあれば、
 将棋の普及には強い意志を持っている
ことが見て取れる。

いや〜、これは
 入門クラスの子ども
だけでなく
 観る将必携
でしょう!!!!

全160頁に満たないコンパクトな内容で
 基本見開き2頁
の構成なのだが、入門用の解説書で
 序盤・中盤・終盤
まで、きちんと説明しているものは初めて見た。しかも
 とってもわかりやすい
のだ。
選ばれている
 用語の解説
も、明快で、
 用語選択のセンスが抜群
だ。観る将が大盤解説を見ていて
 え? それどういう意味?
と思うような言葉が、大体網羅されている。

なお、藤井聡太五冠ファンのためには
 p.60の「指すときの手つき」

 藤井聡太五冠の指し手を撮影
したものなので、これだけでも
 買い
でしょう。

p.62-67には
 棒銀の実際
が説明されている。
 幼稚園年長から研修会卒業の小学4年まで
の藤井聡太五冠は
 棒銀でばったばったと上位者をねじ伏せていた
そうだから、初心者のみなさん
 任天堂Switchのソフト『棋士・藤井聡太の将棋トレーニング』
をやりつつ、この本で勉強すれば、
 一段と将棋が楽しく
なるだろう。

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2022-09-22

「人前で泣いてはいけない」

エリザベス女王の国葬が終わった。
 ロンドン橋作戦
という名で、かなり以前から
 その日が来たときのため
に、綿密に計画が練られていたという。女王ご本人も、どうしてほしいのか、希望を述べられたそうだ。歌ってほしい賛美歌や聖書で読んでほしい箇所が、そのまま式次第に取り入れられた。

ウェストミンスター寺院で行われた国葬、参列した王室のメンバーで最年少は
 ウイリアム皇太子の娘、シャーロット王女
だった。いま七歳だ。母キャサリン皇太子妃とおそろいのような、黒い帽子に、喪服、襟元には、亡くなった"Gan Gan"(曾祖母であるエリザベス女王をひ孫達が呼ぶ時の愛称)から贈られた、小さな馬蹄型のブローチが輝いていた。

国葬が終わり、柩が海軍の砲台に載せられ、水兵たちに曳かれてウィンザー城を目指して進んでいく。ウェリントン・アーチにさしかかった辺りで、シャーロット王女が、急に涙を堪えきれなくなった。
わずか七歳の子どもだ。大好きな曾祖母との別れを思うと、胸に迫るものがあるのは当然、日本だったら、何の問題にもならない。
しかし、
 人前で泣いた
ことは、イギリスのタブロイド紙や、英連邦のいくつかの国の報道等が取り上げた。
 人前で感情を露わにしない
のは、英国貴族のたしなみとされている。たとえ七歳であっても、国葬に王室メンバーとして参列している以上、一人前のひととして振る舞うことが需められている。
 人前で泣いてはいけない
のだ。
シャーロット王女の涙はほどなく止まった。

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