「人前で泣いてはいけない」
エリザベス女王の国葬が終わった。
ロンドン橋作戦
という名で、かなり以前から
その日が来たときのため
に、綿密に計画が練られていたという。女王ご本人も、どうしてほしいのか、希望を述べられたそうだ。歌ってほしい賛美歌や聖書で読んでほしい箇所が、そのまま式次第に取り入れられた。
ウェストミンスター寺院で行われた国葬、参列した王室のメンバーで最年少は
ウイリアム皇太子の娘、シャーロット王女
だった。いま七歳だ。母キャサリン皇太子妃とおそろいのような、黒い帽子に、喪服、襟元には、亡くなった"Gan Gan"(曾祖母であるエリザベス女王をひ孫達が呼ぶ時の愛称)から贈られた、小さな馬蹄型のブローチが輝いていた。
国葬が終わり、柩が海軍の砲台に載せられ、水兵たちに曳かれてウィンザー城を目指して進んでいく。ウェリントン・アーチにさしかかった辺りで、シャーロット王女が、急に涙を堪えきれなくなった。
わずか七歳の子どもだ。大好きな曾祖母との別れを思うと、胸に迫るものがあるのは当然、日本だったら、何の問題にもならない。
しかし、
人前で泣いた
ことは、イギリスのタブロイド紙や、英連邦のいくつかの国の報道等が取り上げた。
人前で感情を露わにしない
のは、英国貴族のたしなみとされている。たとえ七歳であっても、国葬に王室メンバーとして参列している以上、一人前のひととして振る舞うことが需められている。
人前で泣いてはいけない
のだ。
シャーロット王女の涙はほどなく止まった。
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