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2023-05-29

第8期叡王戦 五番勝負 第4局 千日手2回、最後は藤井聡太六冠が瞬時に詰ませて叡王位を防衛

第8期叡王戦 五番勝負 第4局
 藤井聡太六冠 vs 菅井竜也八段
は、2回の千日手の末、二回目の指し直し局で、藤井聡太六冠が90手までで勝利し、叡王戦三連覇を成し遂げました。今年度初の防衛、おめでとうございます。
これで藤井聡太六冠は
 タイトル戦無傷の14期(連勝中)
という恐ろしい記録を黙々と積み重ねつつあります。まだ無冠の頃から
 藤井聡太七段には、番勝負で勝てる棋士はいない
と言われていましたが、その通りになっています。
二回目の指し直し局では、51〜52手目で互いに飛車交換。ここから徐々に形勢は後手の藤井聡太六冠に傾く展開に。54手目の
 △5六歩
が、
 5三・5七のと金に負け無し
の金言通りの手になっていきます。
67手目の
 ▲1五歩

 △1五角
と角のタダ捨てで歩を取ったのが本局一つ目の妙手。
 角を取られても、勝算があると見込んだ
手です。その後、この地点に後手は歩を打ち込み、敵陣へ進めていきます。菅井竜也八段にしてみれば、67手目の端攻めを完全に逆用された形です。
78手目
 △4八と
で、3七にあった先手の銀をおびき出し、本局二つ目の妙手80手目の
 △2九龍
で王手を掛けます。これが
 詰将棋には特化してない、いくつかの将棋AIが読み切れなかった手
で、Abemaの将棋AIの予想手にも上がっておらず、突然
 後手が不利
という数値を出しますが、だんだんと反省して藤井有利に。
先手は龍を穴熊で潜っていた玉で取りますが、ここで先ほどと金で銀をおびき出して空いたスペースに強烈な
 △3七桂
が飛び込んできます。
 △2九龍
が、龍のタダ捨てと見せて
 ここから23手詰の詰み発生
という、藤井聡太六冠お得意の
 実戦 タイトル戦盤上の詰将棋開始
だったのです。
 藤井聡太が飛車を切ったら終盤
と言われているのですが、まさに飛車が成った竜王が取られて、鮮やかな詰みが生じました。先手の王様は
 3七に逃げられればまだ大丈夫
でしたが、その場所には無情にも後手の桂馬が腰を据えて、王様をにらんでいます。
さすが
 12歲小学校6年生で、プロも参加する詰将棋解答選手権チャンピオン戦優勝
を果たした藤井聡太六冠、叡王戦防衛にふさわしい
 美しい詰み筋
で勝利を収めました。
さて、例によって
 深さ35(35手先まで読む)のAIによる逆順解析
です。いつものヒト、ありがとう。
第8期叡王戦 Part38より。
--
917 3 名前:名無し名人 (エムゾネ FFbf-R8se) Mail: 投稿日:2023/05/29(月) 09:28:20.56 ID:Ecl8mMUkF
第8期叡王戦五番勝負第4局2回目の指し直し局
☗菅井竜也八段vs☖藤井聡太叡王
Háo-YO763深さ35(1手最大100億ノード)での逆順棋譜解析結果
90手 三間飛車 後手勝ち
初手から
☗51%(23/45) 悪手2 疑問手1
☖73%(33/45) 悪手0 疑問手0
41手目以降
☗52%(13/25) 悪手2 疑問手1
☖84%(21/22) 悪手0 疑問手0
各ラスト20手
☗50%(10/20) 悪手2 疑問手1
☖95%(19/20) 悪手0 疑問手0
31~60手目
☗40%(6/15) 悪手1 疑問手0
☖53%(8/15) 悪手0 疑問手0
61~90手目
☗47%(7/15) 悪手1 疑問手1
☖100%(15/15) 悪手0 疑問手0
2回の千日手の末の3局目 藤井叡王が鋭い終盤を見せつけて快勝
評価値グラフ
https://i.imgur.com/fx11ZJ6.jpg

919 名前:名無し名人 (エムゾネ FFbf-R8se) Mail: 投稿日:2023/05/29(月) 09:30:28.21 ID:Ecl8mMUkF
>>917続き
ピックアップ
45手目☗5八飛 -113→-237 互角 最善☗5九角
3回目の千日手の打診を回避した 5筋から捌きに行く
推定選択率☗5八飛0%
48手目☖同飛 -202→-91 互角 最善☖4五歩
藤井叡王がよくやる抑え込みの方針なら☖4五歩で角道を通していたのでは あえて飛車交換の筋に進んだか
推定選択率☖同飛93.2% ☖4五歩1.0%
50手目☖同飛 -46→132 互角 最善☖4二角
Bestではなかったがここで飛車交換からの殴り合いに応じたのが勝着かもしれない
推定選択率☖同飛1.3%
53手目☗7一飛 137→-132 互角 最善☗5三歩
飛車を下ろす自然な手で評価値が逆転するとは ☗5三歩☖同金で後手陣を弱体化させる必要があった
推定選択率☗7一飛30.9% ☗5三歩19.6%
55手目☗5二歩 -118→-874 後手優勢 最善☗5八歩
悪手?判定 決断よく1分7秒で指されたこの手が敗着か ☖5六歩の厳しさを見落としていた ☗5八歩で受けるのがBestだったが5筋に歩が利かなくなるのを嫌ったか
推定選択率☗5八歩44.1% ☗5二歩10.0%
67手目☗1五歩 -1284→-2481 後手勝勢 最善☗6八銀
悪手?判定 勝負手 歩切れの先手は歩が欲しかった しかし完璧に逆用されてしまう
推定選択率☗2五桂35.1% ☗1五歩0%
68手目☖同角 -2481→-2198 後手勝勢 最善☖同角
角と歩を交換する一見常識外の手 歩切れの先手に負を渡さず☗2五桂で角を狙われる筋を消し1筋の歩を伸ばして逆襲する絶妙手 ☖同歩なら☗2五桂で角を狙われてあやしくなっていた
推定選択率☖4八と85.0% ☖同歩4.6% ☖同角0.8%
80手目☖2九龍 -詰23→-詰22 後手勝勢 最善☖2九龍
ABEMAのAIの候補手には入っていなかった 解説も検討陣も驚いた詰み
推定選択率☖3九金27.0% ☖2九龍3.5%

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2023-05-28

音楽を手放す

最近、視力の低下は甚だしいのだが、相変わらず、脳は
 見えているように見る
画像処理にいそしんでいる。脳が視覚に対してどのくらいの領域をどの程度使っているのか、それはよくわからないけれど
 過度の負荷が掛かっている
のは否めない。
わたしの生活史で顕著な視力低下は、何度も起きているのだが、その度に視覚情報処理のために過度の負荷が生じ、それを補うために
 何かを手放す
ことでつじつまを合わせてきた。
最近は、とうとう
 音楽を手放す
ことになった。
自覚して手放すわけではない。それと意識せずに
 本当に音楽を聴かなくなった
のだ。たぶん
 音楽を楽しむ
のは、今起きている脳内の画像処理の過負荷と
 バッティング
するところがあるのだろう。
ただ、
 外国語を聞き取る
領域は、がんばって死守している。目の調子が悪くなると
 外国語の聞き取りに難が生じる
のは、海外調査の時に、何度も経験している。調査で短期間に目を酷使すると、最後は
 音が聞き取りにくくなる
のだが、その中でも
 外国語を聞き取る能力
がダメになりやすいのだ。
これを守るためには、
 行動制限
が一番効くので、最近は外出は必要最小限にとどめるように心がけている。

まあ、
 この視力で墨字が読める
こと自体、14歲の頃に
 眼科の常識ではほぼあり得ない
ことだと主治医や弱視学級の恩師が驚いていたので、文字を読み、外国語を聞く生活を続けるためには、健常者と同じことを同じようにするのは贅沢にも程があるというものだ。
そもそも
 文字を読む
ことが、
 最高の贅沢
である身体能力しかなかったのだから。健常者の研究者が、いきなり大学生の頃のわたしの視力になったら
 研究者の道を断念する
だろう。でも、それが始まりで、よく見えると言うことが理解出来なかったから、あまり深く考えずに、文字を読み、外国語を含む言葉を聞き、勉強を続けてきた。
他の人には
 目が悪いわたしが文字を読み続けるのは、まあ、喩えるなら、アルコール依存症になっても、酒を飲み続けるようなものですよ
と説明すると、なんとなくわかってもらえる。

今の状態は
 反射光は見にくいが、透過光ならOK
なので、パソコンやタブレット経由で拡大して文字を読むことが増えた。その点、現代の
 国会図書館デジタルコレクションの充実

 電子書籍出版
は、仕事の大きな助けとなっている。

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2023-05-27

「見えているよう」に脳は働く

最近、えらく疲れるな〜と思っていたのだが、
 視力が落ちているのに、脳が頑張りすぎている
のに気がついた。元々重度弱視なんだが、
 見えている状態

 脳が死守しようとしている
らしく、
 矛盾なく「見えている」ようにする
のが、大変みたいだ。

 

経年劣化による白内障なんだけど、ずいぶん前から主治医には
 かなり濁ってますね
とは言われてたのだが、全然感じていなかった。そもそもあんまり誤差がない程度の重度の弱視だ。
最近やっと
 あ、確かにこれは白内障かも
と光源とか明るい場所で気がつくようになった。
たぶん
 複視
があるせいだろう。一つの映像と「見えて」いるものが、
 複視による複数の映像を脳が編集
した結果らしく、あまり白内障による水晶体の濁りが気になってなかった模様。
複視自体は結構エグい。経過を考えると
 1. 外斜視手術1回目→術後、初めて眼帯を取ったら、エグい複視が生じていることが判明(5歲 札幌市立病院)
 2. その複視を「治療」するために2回の外斜視手術(5-6歲 札幌市立病院)
だったんだけど、今見えている複視の「角度」の1つは、最初の複視の
 廊下の平行する壁が2つではなく、4つで、廊下はV字に見える
が残っている模様。複視があると、自分の正確な位置がわからず危ないので、追加手術もしたし、脳は脳で5歲での手術失敗以降、なんとか複視を消そうと頑張ってきたのだが、ここ10年くらいは、見えている目(左)と見えてない目(右)の視力差がなくなってしまったので、複視大復活、という次第。
よく見える視力の人には邪魔でしかない複視だけど、重度の弱視だと
 白内障が気にならない
ことがあるのね、きっと。
症例研究はされてないと思われる。というか、わたしくらい重度の弱視で墨字(点字じゃない、ということですね)を普段大量に読む生活をしている視覚障碍者はほぼ皆無に近いので、1例報告になるかならないかだし、全然、ロービジョン研究に役立ちそうもないので、今後も
 複視のある重度視覚障碍者の白内障の進行
等という論文は出ないと思う。

 

ところで、わたしの外斜視手術前後のカルテがまだ残っていれば、だけど
 一時、視力がアップした
と記述されている筈。実は
 視力表を全部覚えてしまった
ため、視力表の文字は見えてないけど、指す場所で
 つ
とか
 に
とか言ってたわけですね。大体、小児眼科の斜視の子ども達は、毎回視力測定されるので、そんなもん、
 簡単に暗記
してしまうわけなんですよ。悪いおにいちゃんおねえちゃんが、後からささやいてくれたりもする。
というわけで
 プロの小児眼科の患児(学齢前で通院歴2年以上)
には
 ランドルト環のカードを使って視力測定
するのが最低でも必要。
小児眼科の待ち時間は、ほんと、今でも
 死ぬほど長い(病院に行くと1日まるまる潰れる)
ので、ヒマだから、視力表を暗記する時間なんてふんだんにあるのよね。

 

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