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2025-07-09

女性の閉経を遅らせる/閉経をなくす研究が進行中 だれのための研究か

25/07/07付ナショナルジオグラフィックの記事。
「閉経は運命ではない」、閉経なくしたり遅らせたりする治験続々 女性の寿命や妊娠期間を延ばせる可能性、常識の見直し迫られるとき

 

動物の中で「閉経」する動物は少ない。ヒトはその1つ。
しかし、その「閉経年齢」は、人類が長生きできなかった時代の設定で、大体50歲前後に訪れる「閉経」の後、更に50年生きることもあるのが現代だ。
だったら、閉経を遅らせたり、閉経そのものをなくしちゃえばいい。
……という発想の元に始まった「閉経を遅らせる」「閉経をなくす」医学的な研究。

 

女性の閉経を遅らせる、あるいは閉経しなくなる可能性を示唆する内容だけど、基本的には
 富んだ人々への医療/選択的な「卵子工場」が生まれる可能性がある
のではないのかな。また
 閉経しないことで獲得できる「若さ」
のためだけに、「閉経を遅らせる/閉経しない」人生を選ぶ人も出てくるだろう。

 

閉経しなければ妊娠可能な時期を延長することになるのだが、排卵するからといって、自分が妊娠し、生む、という話にはならないだろう。
1.延長される「排卵のある生活」が齎す身体への負担に耐えられるのか
2. 「自分の卵子」を獲得できる期間が延長されて利益を得るのは誰か
3. たとえば50、60歲を超えて「自然妊娠」するようになったら、妊娠・出産の医学的管理はどうなるのか(妊娠できるからといって、身体の他の機能が老化しないわけではない)。また誰が育てるのか(50、60歲を超えて、妊娠・出産・育児を自力で乗り切ることは可能なのか)
4. 「卵子の質」の選択を行うことで、母方の遺伝子に関係なく/自分が持たない遺伝特性を持つ子どもがほしい人々のための「卵子工場」が生まれる可能性があるのではないか
5. 「卵子」「妊娠」がより女性個人と切り離されて、卵子マーケットや子宮マーケット(卵子の売買や代理出産はすでにある)が更に産業化するのではないか
等等、考えてしまう。

 

医学が進歩するのは結構なんだけど、この研究には倫理的側面で大きな問題がある。

 

 

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