3/5成田空港へAI306便でインドから帰国した30代女性が麻疹に感染 すべての経路で接触した麻疹に免疫のない人(未罹患もしくはワクチン未接種or1回のみ接種)に感染の恐れ@山梨県甲府市
ワクチンが設定されている病気というのは
根本的な治療法がない病気
だ。もし、ワクチンを接種せずに罹ってしまったら、場合によっては死を覚悟しなくてはならない。そうならないよう、
転ばぬ先の杖としてワクチンを接種して免疫を作る
のだ。もし、ワクチン接種後に、不幸にしてその病気に罹ったとしても
軽く済ますことができる
のが、ワクチンの利点である。
もちろん
ワクチンは弱い毒
である。
弱い毒を用いて、強い毒の害を軽減する
のが、ワクチンという「智慧」である。
日本が
麻疹輸入国
になって久しいが、
3/5にインドの長期滞在から帰国した30代女性が麻疹に感染
していることが明らかになった。麻疹ウイルスは大変感染力が強い。その上、空気(飛沫核)感染、飛沫感染、接触感染などさまざまな経路で感染する。従って、密閉された空間に長時間閉じ込められる場合、たとえば
同じ飛行機に乗っていた
となると、これは感染する危険が高くなる。
患者は、症状が出る1日前(発疹が出る3-5日前)からウイルスをばらまく
と考えられているが、
インドからの経路が長く、すでにウイルスを排出している段階(発疹が出る直前)で飛行機に乗って帰国した
ため、
インドの滞在先から始まり、インディラ・ガンディー空港から自宅に到着するまでの間
に
長時間、広範囲にわたって麻疹ウイルスをばらまいている可能性
がある。山梨県は
途中で接触した可能性のある、麻疹に免疫がない、すなわち麻疹に罹ったことがないもしくはワクチンを接種したことのないか1回しか接種していない人へ注意を呼びかけている
ところだ。この中には
一般には麻疹ワクチンが接種できない0歳の乳児
も含まれるので、是非ご注意を。
山梨県のサイトより。
【報道提供資料】平成30年3月9日 公表 海外から帰国した麻しん(はしか)患者の発生について平成30年3月8日、甲府市内の医療機関から中北保健所に麻しん発生(臨床診断 例)の届出があり、行政検査の結果、麻しんウイルスが検出されました。
管轄保健所の調査によると、当該患者は、平成30年3月4日までインドに滞在し3月5日(月)に日本に帰国し、その後高速バスを利用しており、飛行機、空港ロビ ー、高速バス等において当該患者と接触した方は、麻しんに感染する可能性がありますので、広く情報提供するものです。■利用便
インディラ・ガンディー国際空港→成田国際空港 3月4日 21:15デリー発 3月5日 8:00成田着
■空港滞在時間
3月5日 午前8時~午前8時50分
■高速バス
3月5日 8:50成田空港発 12:25甲府駅着1 利用便同乗者、空港利用者の皆様へ(注意喚起)
○ 麻しん患者と接触(同一空間を共有)した場合は、潜伏期間(発病までの期間 を考慮し、接触後14日間(最長21日間)の健康観察が必要です。
○ 上記の利用便や空港をご利用された方で、発熱、発疹等の症状が現れた場合は 必ず事前に医療機関に「麻しんかもしれない」ことを連絡のうえ、医療機関の指示に従い受診してください。
○ また、受診の際は、周囲の方に感染させないよう公共交通機関等の利用を避けてください。<麻しん(はしか)について>
原因: 麻しんウイルスの感染
症状: 典型例では、感染の約10日後に発熱や風邪症状、2~3日発熱が続いた後、39℃以上の高熱とともに発疹、咳が出現します。
予防: 予防接種がとても有効です。予防接種を2回された方や過去に麻しんにかかったことがある方は免疫があるとされますので、麻しんにかかったことがない方は予防接種歴を確認いただき、必要に応じて医療機関にご相談ください。
(略)
3 参考情報
ア 患者の概要
甲府市在住 30代 女性(麻しん予防接種歴不明)
発症日 平成30年2月27日(発熱)
確定日 平成30年3月9日
症 状 発熱、咳、鼻汁、結膜充血、発疹
海外渡航歴 有(平成29年8月~平成30年3月4日 インド)
イ 患者確認までの経緯
2月27日 発熱(38℃)
3月5日 早朝に帰国(飛行機を利用)
高速バスにより甲府市内到着
3月5日 発疹
3月6日 甲府市内のA医療機関を受診、院外のB薬局で医薬品受取
3月8日 甲府市内のC医療機関の紹介によりD医療機関を受診
D医療機関において麻しん患者と臨床診断
3月9日 行政検査(ウイルス検査)で麻しんウイルスを検出
現在は自宅療養中
※ 県内の医療機関等における接触者については、保健所の調査により健康観察対象者を特定して対応しています。
(以下略)
げ〜、
38℃の発熱があって1週間ほど経過があった後、そのまま飛行機に乗っちゃった
のか。それじゃ
インド国内から日本に帰る間で麻疹ウイルスをばらまく結果
に。
山梨県の公表したフライトプランに該当するのは
3/4発エア・インディアAI306便
である。
機上では逃げ場がない。
該当する便に搭乗されていた方で、麻疹の免疫がないor不確実な方、麻疹ワクチンを接種していない赤ちゃんの保護者の方は特にご注意を。
なお
修飾麻疹
といって、
不完全な免疫がある人が、麻疹に感染すると本人の症状は軽い
が
弱いながらも、麻疹ウイルスをばらまく
ので、今回もし感染して修飾麻疹の状態になると
自覚しないまま、三次感染を引き起こす
こともある。
麻疹は
子どもの病気
だと、
軽視されがち
だが、国立感染症研究所が発表している
麻疹とは
によれば
ヒトの体内に入った麻疹ウイルスは、免疫を担う全身のリンパ組織を中心に増殖し、一過性に強い免疫機能抑制状態を生じるため、麻疹ウイルスそのものによるものだけでなく、合併した別の細菌やウイルス等による感染症が重症化する可能性もある。麻疹肺炎は比較的多い合併症で麻疹脳炎とともに二大死亡原因といわれている。さらに罹患後平均7年の期間を経て発症する亜急性硬化性全脳炎(subacute sclerosing panencephalitis: SSPE)などの重篤な合併症もある。先進国であっても麻疹患者約1,000人に1人の割合で死亡する可能性がある。わが国においても2000年前後の流行では年間約20~30人が死亡していた。世界での2015年の5歳以下の小児の死亡数推計によれば、麻疹による死亡は全体の1.2%を占めている。
と、重症になると
合併症である麻疹肺炎・麻疹脳炎で死亡することがある
重い感染症である。また
罹患後平均7年の期間を経て発症する亜急性硬化性全脳炎(subacute sclerosing panencephalitis: SSPE)
は、 極めて稀な合併症だが、大変に重く、
1歳未満や免疫機能が低下した場合に感染した麻疹ウイルスがゆっくりと数年〜十数年かけて脳を冒す致死的な病
で、
元気だった子どもが突然運動や知的活動に支障を生じ、やがて寝たきりになって、最後は死亡する
という悲惨な経過を辿る。現在は
難病に指定
されている。
残念ながら、新しい治療法が試みられてはいるものの、現在までに治療法は確立されていない。
難病情報センターの上記リンク先記事によれば、この病気は4つの段階があり、
第1期は先にあげたような軽度の知的障害、性格変化、脱力発作、歩行異常などの症状が見られます。
第2期はこれらの症状が更に強くなります。そして体がビクッと動く不随意運動(ミオクローヌス)が周期的に見られるようになります。
第3期では、知能、運動の障害はさらに進行して、歩行は不可能となり、食事の摂取も次第にできなくなってきます。この時期には体温の上昇、唾液、発汗異常などの自律神経の症状が見られるようになります。
第4期では意識は消失し、全身の筋肉の緊張も強く、自発運動もなくなります。
と
子どもの様子が突然変わる
ところから
意識がなく、自発運動もなく、寝たきりになる
という経過を辿る。
亜急性硬化性全脳炎では
0歳で麻疹に罹患している場合、その麻疹の症状は軽い
のが特徴の1つだ。
麻疹は赤ちゃんのときに軽く済んだ
と喜んでいると、大変稀ではあるのだが、後にこうした悲惨な病気になることがあるという点でも、麻疹は恐ろしい病だ。
| 固定リンク
| コメント (1)
| トラックバック (0)