2009-10-06

本を発掘する

商売道具の本なのだけれども、たぶん家の中にあるだけで1万冊近くあると思う。こうなると、亡くなられた尾崎雄二郎先生が常に仰っていた
 ここにあるのは分かっているが、どこにあるかが分からない
状態になる。
ここ1年以上捜しているのが
 三家詩注
なのだが、全然出てこない。最後に見かけたのは、机の下でだった筈なのだが、どこに行ってしまったのか。捨てることはないから、なくなっていないことは確かだが、肝心の時に出てこない。

ぶつぶつ言いながら、足元の本の山を少し整理したら
 唐大詔令集補編下
が半年ぶりくらいに見つかった。更に中国リプリントの
 唐代の詩人
 李白歌詩索引
 唐代の散文作品
も発掘できた。

持っている本の数に比して、収納スペースが少なすぎるので、
 腐海に沈む
のだけど、これ以上、ここの家が広くなることはないからなあ。さらに
 広韻
も発掘。2部持っているんだけど、普段用の『広韻』である。『広韻』が埋もれている時点で
 最近韻文を読んでない
のが丸わかりである。

しかしわたしの『三家詩注』はどこへ行ったのやら。韓詩を見なくちゃいかんのだが。
ううむ、これは点校本なんかで楽をせず、
 皇清経解・続皇清経解
を、手抜きナシで自力で読め、という神のお告げか?

あきらめて、書庫から三家詩持ってこようっと。

書庫も腐海の親戚みたいなもので、『皇清経解』『続皇清経解』を探すには、本棚の前にある箱をいくつか除けないと出てこない。間抜けなことに、この『皇清経解』『続皇清経解』の付録だった、
 目録
がどこかへ行ってしまった。薄い目録なので、腐海に沈むとあっという間に行方不明になる。
手始めに『続皇清経解』の「詩」を三冊引っ張ってきた。必要なところに付箋を付けて読み進むと、最後のところで
 自分で点を切っている三家詩関係のテクスト
を発見。この点を打ったのは、学部生の頃だったか、院に上がったばかりの頃だったか。その頃は今と違って真面目だったのね。もっとも今でも、点を切るための赤青鉛筆は、ちゃんと筆立てに差してあるし、時々使う。赤で点を切り、青で左側に傍線というスタイルだ。
この景印本は、研究室の先輩から買った台湾リプリントの『皇清経解』『続皇清経解』で、確か15万とかそんな値段で買ったような気がする。

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2009-09-08

ある意味絶好調 東原亜希が推薦文→ゴマブックス民事再生法申請

ゴマブックスが民事再生法を申請した。
朝日より。


ゴマブックス、民事再生法を申請 小説「赤い糸」出版

2009年9月7日15時20分

 ミリオンセラーになったケータイ小説「赤い糸」などで知られる中堅出版社のゴマブックス(東京都港区、嬉野勝美社長)が7日、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。負債総額は約38億円で、近年適用申請をした出版社の中では最大級だ。複数の企業が支援を申し出ており、事業は継続するという。
 同社の弁護士によると、出版不況を受け減少していた売り上げを、新刊を増やすことで補ってきたが、返品が増加し資金繰りが悪化した。
 出版社の「ごま書房新社」は、ゴマブックスとは資本・提携関係のない別会社。

ゴマがダメか〜、いやはや、と思っていたら、こんなネタが。hayamiさん経由。
「ハムスター速報 2ろぐ」より
 8月生まれ終了のお知らせ
で、驚くべき事実が判明。
 東原亜希が、帯に推薦文を書いている『Zeusが読み解く 誕生日のヒミツ 2009年版』(1〜12月生まれ各月版あり)の出版社がゴマブックス
なのだった。

東原亜希、絶好調。

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2009-09-07

岩波新書・文庫の値崩れ@amazon

昔々、古本屋の商材の一つに
 絶版の岩波新書・文庫を高値で売る
というものがあった。
 あった
と書いても、今でも
 絶版
とか
 品切れ・再版未定
という白帯をつけて、店頭に並べている古色蒼然たる古本屋もあるのは確かだが、そうした古本屋はその内絶滅するだろう。

最近は
 安く、古い岩波新書・文庫を入手するにはamazon
である。amazonには、
 古本屋がたくさん出店している
のだが、
 1円で売る店
が出てくると、必ず追随する店が出てくる。特に
 昔は売れ筋だったけど、いまは不良在庫になっている岩波新書・文庫の古本
は、一度値段が下がり出すと、あっという間に、最安値帯に何点か、同じ本が並ぶことになる。古本屋にとってはある意味チキンレースだ。

家人の亡くなった父は、
 岩波ファン
という、古き良き教養人だった模様で、有隣堂のカバーの掛かった岩波新書・文庫が、まだ書架に並んでいる。
 岩波新書・文庫が出たら買う
という人達は、だいたい年齢層からすると75歳前後から上だろう。父も生きていたら89歳だ。研究者を志していた時期があったから、岩波の本には思い入れがあったようで、全集やシリーズもこまめに買っていた。
亡き父のような人達は、滅びつつある。

破格値で、岩波新書・文庫をamazonで買う度に、嬉しい反面、複雑な気分に陥る。
 版元品切れで古書価格をつり上げ、新版を出すときは、古書価格が暴落しない値付けで出すのが「岩波商法」
だったわけで、そうしたモデルが崩れた今も、
 同じシリーズや全集の二次・三次出版を繰り返す
昔と同じ商売をしているのを見ていると、
 岩波は、出版不況を乗り切れないのでは
と、危惧する。

岩波には、中学の同期生とか、大学の知人とか何人か就職したけど、彼女たちは一体どうしているだろう。まだ働いているんだろうか。

奈良女の近所に古本屋があるんだけど、ここも、
 昔と変わらない商売の仕方
をしてるので、その内、立ちゆかなくなるんじゃないかと心配している。
 岩波の古典大系・新古典大系の端本の値付けが高い
んだもん。1冊1000円前後で売っているところがある時代に、たぶんついて行ってない。ま、こうした古本屋を利用する人は
 ネットで本を買わない
ヒトなんだろうけど。

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2009-09-05

業務連絡 夏休み中の京大図書館関係

主に現在学外のOBおよび研究者向け。

附属図書館は9/30閉館。
利用申請書を書けば、誰でも利用できる。卒業生は、卒業証明を提出すると、閲覧証を数日後に交付して貰える。
平日 書庫利用は9:00〜21:00まで。開架は22時まで。ただし学外利用者は書庫内検索不可。
土日 書庫利用は10:00〜16:00まで。開架は17時まで。以下同じ。
複写 館内にセルフコピー用複写機設置。コピーカードは時計台下の生協で購入可能。ただし、領収書発行は月〜金のみ、カウンターで購入の時可能。店舗営業時間は月〜金 10:00〜18:00。それ以外は休業中。コイン式コピー機もあるので、カードがない場合は小銭を用意。

文学部図書館ではすべての雑誌を文学研究科学術雑誌センター(仮称)に移行するため、9/15以降9/30まで一切利用不可
文学研究科学術雑誌センター(仮称)は10/1に東館に開館予定。
そのため、9/25と9/26は臨時休館。したがって
 土日祝休日と合わせて9/19〜9/27の間は文学部図書館は使えない
ことになる。
9/15は休館日。閲覧室のみ13:00〜17:00利用可能。
書庫内図書閲覧は月〜金 9:00〜17:00
閲覧室利用は月〜金 9:00〜19:00
複写 閲覧室の横にセルフコピー機設置、生協のコピーカードでセルフコピー可能。事前にカードを購入しておくのが望ましい。
学外の非卒業生の場合は、事前に利用申請が必要。文学部OBは閲覧証を作って貰える。
OBなら、長年勤めていらっしゃる司書の方達が顔を覚えてるんじゃないかな。

中央食堂は平日10:00〜20:00まで。土日休業中。

東アジア人文情報学研究センター(北白川の人文研)は身分証で閲覧カード作成。附属図書館の閲覧証(卒業生)があれば、身分証代わりになる模様。
現在、人文研本館が牛ノ宮から吉田本部に移ったと同時に蔵書の一部が移動しているので注意。事前に、学内蔵書検索をして所蔵を確認すること。
開館日は月〜金 9:30〜16:30(昼休み12:00〜13:00は閉室)
閲覧受付は16:00まで。
9/30は閉館。
複写 1枚30円。委託複写になる。領収証は発行して貰える。複写申し込みに時間が掛かるので、余裕を見て申し込むこと。

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2009-09-03

野菜を「植竹式」でソテーする

関西は野菜が美味しい。全国的には
 京野菜
が一大ブランドになってるけど、大阪も奈良もそれぞれ固有種を持っていて、美味しい。

この
 野菜をイタリアンに
というか
 お精進をイタリアンに
という発想で編集されたのが、本願寺出版社が2冊出している
 イタリアン精進レシピ
で、(2)は、閉店してしまった「カノビアーノ京都」の植竹隆政シェフが担当、
 植竹式ソテー
で、京野菜を始めとする野菜をソテーして、美味しさを引き出している。

植竹式ソテーは、実に簡単で
 焼いたフライパンで野菜の両面をこんがり焼き、周囲にエクストラバージンオリーブオイルを垂らして、野菜に絡め、うま味を閉じこめる
という調理法だ。最後に塩振ってできあがりである。コツは
 オイルを直接野菜に掛けない
ってところ。あとは
 塩を吟味する
って辺りかな。

植竹シェフが、『イタリアン精進レシピ(2)』で「植竹式ソテー」をしてみせる野菜は
 茄子、トマト、長芋、小蕪、白菜、椎茸、オクラ
等等、多岐にわたる。

今は夏だから、茄子やピーマンを「植竹式ソテー」で焼き上げて、最近気に入っている
 焼き塩鯖載せ生薑ご飯
にあしらっている。こんな簡単な調理法なのに野菜の甘味が凝縮されて、実に美味しい。
ずぼらなやり方だが
 野菜をソテーし終わったテフロン加工のフライパンで半身の鯖をこんがり焼く
間に、冷凍してある生薑ご飯を解凍、鯖は身から焼いて、皮を後に。鯖から出る脂で、皮もこんがりかりかりに焼ける。うちでは、ドーム型の蓋を被せて焼いているから、煙は出ない。鯖は、千葉の鯖。
焼き上がった鯖をご飯に、身を下にして載せ、ワンプレートに盛りつけている。皮が嫌いな人は上下は好きに盛ればいいけど、わたしは魚の皮が好きなので、ご飯でせっかくかりかりに焼いた皮がしなしなになってしまわないように、身を下にする。ご飯の上で鯖をほぐして、適宜混ぜながら頂く。

しかし、よく考えたら、こんな小さな鯖を日本近海で捕ってるから、鯖が大きくならないんだよな。煙がひどくならないのも、まだ小さい鯖だからだ。

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『医方類聚』人民衛生出版社版の端本を手に入れる

李氏朝鮮の時代に編纂された東アジア最大の医学全書が勅撰『医方類聚』全二六六巻である。あまりに大部であるがために、朝鮮古活字本はたった30部しか作られなかった。時を経た現在、朝鮮古活字本は、
 天下の孤本(世界中にただ一部しか残ってない書物)
として
 宮内庁書陵部
に所蔵されている。『医方類聚』については、真柳誠さんの紹介が詳しい。
 目で見る漢方史料館(56) 現存唯一無二の『医方類聚』初版 宮内庁書陵部に蔵せられる朝鮮古活字本  解説  真柳 誠
 目で見る漢方史料館(58) 喜多村直寛による『医方類聚』の復刊  解説 真柳 誠

現在、わたしたちが利用できるのは、真柳さんが紹介されている
 喜多村直寛の復刊
を元にした景印版や排印版である。で、真柳さんが
 出来が悪い
と断じられている
 人民衛生出版社版(全12冊)の端本
が、東方書店のバーゲンに出ていたので、頼んでみた。頼んだ理由はその価格にある。
 端本が1冊630円
だったのだ。2006年に同じ人民衛生出版社から重刊されているのは、もうちょっと高い。どうせ出来が悪い本なのだから、安いのでいいし、悪い本でも、当たりをつけるのには使える。ま、『四部備用』を自分で直しながら使うのと似ている。
あまり期待しないで、オンラインで購入手続きを取った。

現物は、昨日の朝、届いた。文化大革命後の中国では、それまで押さえつけられていた学術出版が陸続と世に現れた。恐らく、この『医方類聚』もそうした一つだろうと思う。
1980年代初頭の中国の書籍の例に漏れず、粗悪な紙に印刷されていて、精装本でありながら至極軽い造本である。表紙は青灰色の、この時代の書物を知っている人にはおなじみの装幀である。ところどころ、ページを裁断し損なってるので、ペーパーナイフで開けながら読む。
索引は2006年版しかなかったので、それを頼んだ。索引1冊で、端本5冊が買える値段である。

家には80年代のこの手の
 学術出版が許された勢いに乗って世に出た古典医学書
が、他にも何冊かある。その多くは初めて中国に行った89年に、町中の本屋を徘徊して手に入れたモノだ。簡体字横組で、造本も、本文校訂も今ひとつだ。
だが、そうした不十分な書籍が出版されたのには、文化大革命の爪痕が学術界に色濃く残っていたという、血で購われた事情がある。一応
 科学出版なら許してやる
という建前を最大限に生かしつつ、古典を出版する場合には、当局に睨まれないように本文をいじったり、削除したりした営みの表れだろうと理解している。
89年に古典医学書を買い求めたときは、科学史は趣味の一環で、コレクションの一つとして入手しただけだったのだが、ページ数に比して、泣きたいほど軽い本には、当時の中国の研究者達の良心と葛藤とが詰まっている。

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2009-08-29

本棚を組み替える

勉強の都合で、使う本が違うから、本棚は時々組み替えないと、役に立たない。
久しぶりに、一段分だけ高さを高くした。これでA4版の書籍が入る棚が増えた。
結構な場所を取っていた二十四史から持ち出した分冊を、書庫の二十四史の棚に戻し、『国史大系』も廊下の本棚の元の場所に入れ直し、唐壁画墓関係の図録を書庫に追い出して、スペースを空けた。
座って目の高さに、『辞源』『説文解字』『爾雅・広雅・方言・釈名清疏四種合刊』が来たので、大分使いやすくなった。
棚一つ動かすのに結構グズグズしてたんだけど、やってみたら三時間くらいでなんとかなった。

元はと言えば
 フランス語の論文を読むのに、勉強部屋に仏和辞典の場所がない
というところから始まったというのが、何ともだけど。フランス語読むために、一々書庫から仏和出すの面倒だし、というのが出発点。ついでに独和と和仏も出してきた。英語と中国語の辞書は電子辞書なのだが、5000円ちょっと払って、XD-SW7300に仏和のSDカード入れるかどうしようか、悩んでいるところ。いまのところ、フランス語を読む頻度はそれほどなさそうなので、手持ちの辞書で間に合うなら、買わなくてもいいかな、と思っている。

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2009-08-22

William ROSEN "Justinian's Flea: Plague, Empire, and the Birth of Europe" New York, Viking Penguin, 2007

西暦541年夏に流行が始まったユスティニアヌスのペストに関する一般書。
これから読む。

で、この本はアマゾンの中古業者から購入した。ハードカバーで支払ったのは1500円ほど。元の値段は$27.95なので。相当安く入手できた。
アメリカにしかなかった頃のamazon.comから、日本への送料が高いので、総額$100以上になった時点で注文していた時代がつい10年くらい前だ。

感染症に対する日本人の意識の低さは、ペストの蔓延の有無と関わっているという議論があるんだけど、どのくらいペストに対する恐怖が欧米人にあるのかを確認するために、この本を読む。

ところで、昨日、図書館に出かけている間に郵便局が届けに来たらしく、不在通知が入っていた。再配達の電話を掛けようと、不在通知を見ると
 差出人(外国から)
とマジで書いてあった。
で、奈良中央郵便局に電話して、今日の午前中に再配達を頼んだのだが、なんと夜10時前に
 奈良中央郵便局から問い合わせの電話
が掛かってきた。
 特定できなかったので、もう一度不在ハガキをみてくれませんか
というので
 差出人(外国から)
というのを復唱。受話器の向こうで郵便局のおにいさんが頭を抱えているのが見えるような対応だった。
先ほど無事に届いたから、なんとかトレースできたってことで
 日本の郵便局は優秀
と言っていいのかどうなのか微妙な出来事だった。届くという所期の目的は達したから優秀なんだけど
 差出人(外国から)
って何だろ、って話で。

うちには欧米や中国、香港、台湾の本屋から本が届くのだが、たいてい、不在通知は
 差出人欄は空白
になっていて
 外国からの郵便物です
とかメモしてある。たまに
 差出人(よめませんでした)
とか正直に書いたのもあったりする。

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2009-05-06

中井義幸『鴎外留学始末』岩波書店 1999

以前、鴎外のことを調べていた頃に購入、この休みに再読した。

鴎外の留学前後の書簡や日記、周囲の人々の書簡や日記などの一次資料を丹念に掘り起こし、
 当時の陸軍内部の「政争」のコマとして扱われた鴎外の姿
を活写する労作。もともと、
 鴎外の陸軍奉職は、津和野からの上京当時から遠縁の西周によって画策
されており、
 年齢を2歳以上偽って東大医学部に進んだ鴎外
が、
 青春の「悩み」で学内で教授に反抗し、成績を伸ばせず、やむなく陸軍を選ぶ
こととなり、更に
 西周の陸軍閨閥伸張プランと陸軍内の人事抗争とが複雑に絡み合って、鴎外の留学が実現
した上に、
 文学の人としての本性を棄てきれない鴎外
が、留学中に数々の「不始末」をしでかし、帰国直後にはそのために
 謹慎を申しつけられる
上に、
 ドイツからエリスが追って来日する
窮地に陥るも、無事エリスを追い返し、西周の閨閥である赤松家の令嬢との婚約を調え
 めでたく赤松登志子と結婚に至る
までを描く。

漢文資料と候文が多いから、この手の文献に馴染みがないと、ちょっと読みにくいが、内容は掛け値無しに面白い。

しかし、あの悪筆の私信類をよくも読みこなしていると感銘を覚える。当時の陸軍高官達の手跡の下手さ加減も凄いし、だいたい
 鴎外が能筆ではない
ので、一次資料を釈読するだけで大変なことである。鴎外のパパの御家流は普通だけど、高官達はいずれも医官なので、ペン書きの上に外国語も混じり、これは読みにくい。

再読して思うのは、鴎外の人物像って、
 養子のパパ
が鍵だな、ということだ。
なんで、鴎外の於菟以外の子ども達があんなになっちゃうのか、また、妹小金井喜美子の描く鴎外像がどうしてああなるのかは、本書を読むと、おぼろげに見えてくる。

鴎外が
 東洋医学に心を寄せて、卒業試験の成績が落ちる
というのは、なかなか面白い話で、そうなると
 晩年の史伝三部作になぜあんなに没頭したか
も、筋道が見えるよね。一般的な読者からすれば
 なんでこんな糞面白くもない小説に係りっきりになったか
と思うだろうけど、
 係りっきりにならざるを得ないのが鴎外の一面
でもある。そう言う意味では、いくら洋行帰りであっても
 幕藩体制の尻尾
みたいなものが、にょきにょきと生えているのが、鴎外である。

鴎外先生は、
 留学の資格が正規の学生ではなかった
ことを、後々まで気にしてたんだろうな。コッホが鴎外に与えた課題と、同じ頃コッホの元に留学して成果を挙げていく北里柴三郎とを比較すると、これは明らかに鴎外には辛い話になる。ドイツ語が出来、情報収集能力に長けていただけに、鴎外は、自分の留学の意味を問い返す時は、何かを犠牲にしなくてはならなかっただろう。
もっとも、そのことと日本国内での出世競争とは話は別、現今の海外留学始末でも同様なのは、日本のエリート達の「教育歴で得るキャリア」が明治も今も変わらないってことかしら。

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2009-04-30

湯浅邦弘『諸子百家 儒家・墨家・道家・法家・兵家』中公新書

戦国楚簡研究第一人者のお一人、湯浅邦弘教授の待望の一冊。
アマゾンで一時品切れだったけど、ようやく入手。もっともこれは初刷りなので、一部でバカ売れしているということのようだ。

戦国楚簡を文献学的にどう扱うかについては、さまざまな異論があり、何かとモメる部分でもあるのだが、湯浅教授は
 郭店楚簡・上博楚簡の双方を利用
して、新たな中国思想史の概観を示してみせる。

内容としては、高校〜大学初級くらい向けかな。
ただ、諸子百家という形で、なおかつ戦国楚簡との整合性を持たせながらの叙述になるので、扱われている思想家それぞれの思想の特徴が場合によっては薄くなる印象はぬぐえない。
大学教養程度の教科書に使えるかどうかというとちょっと微妙。メインのテクストではなく、参考文献として挙げるにはいいかも。

諸子百家のそれぞれのテクストの読みについては、これまた難しい問題があるので、一応、台湾中央研究院の 
十三經注疏
人文資料庫師生版1.1
などのデータベースで伝統的な読みを軽くチェックしつつ、繙くぐらいの注意深さは必要かと思う。

それと、ちょっと気になったのだが
 魯壁(p.5写真)
は保存されていたモノではなく
 中国的「復元」で再生されたもの
だ。あの魯壁を作っているときに孔府へ行って、工事現場を見てきてげんなりしていたある研究者から直接伺ったので、それは間違いないかと思う。

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2009-03-30

図書館資料整理日(休館日)メモ

国会図書館関西館 第三水曜日
京都大学附属図書館 月末
京都大学文学部図書館 15日(15日が土日祝の場合は後ろにずれる)
奈良県立図書情報館 月末
奈良市立図書館 月末

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2009-03-26

台北から日曜日未明にセブンイレブンから出したクロネコ国際宅急便が木曜日午前に届く

台湾で買った本が重い。
ところが
 台湾の郵便局は土曜日は早じまい、日曜は本局以外開いてない上にこれも早じまい
なのであった。気がついたのが土曜昼。
さて、どうしよう。

ホテルで相談すると
 隣のセブンイレブンで出せる
という。
ベルボーイのおにいちゃんに付いてきてもらって、セブンイレブンに行くと
 1780元
とかいう。ちょっと待て。うっかりして
 帰国直前だから、手持ちの台湾ドルが1400元しかない
のだ。しかも
 現金のみ
だという。恥ずかしいけど、もう一度ホテルに戻って、日本円を両替してもらう。
 1万円で3300元
だった。
もう一度、ベルボーイのおにいちゃんに本を運んでもらってセブンイレブンへ。
今度は無事梱包もできて、配送できそうだ。

フロントのおじさんとベルボーイのおにいちゃんにお礼を言った。
おじさんは
 明後日着く
と言ってたのだが、本日到着。
 消費税を別に取られる
のだな。最近、国際配送を自分で手配してなかったから忘れていた。帰国便では、
 別送品用に申告書を2枚
もらって、1枚は税関に提出した。

郵便局が開いている時間ならいいけど、もし
 帰国が土曜や日曜になって、郵便局が開いてない
場合は
 セブンイレブンからクロネコヤマトの国際宅急便
は、悪くない選択だと思う。

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2009-03-23

国立国家図書館善本室へ行く(その2)台湾の図書館のアクセシビリティはすばらしい

台湾の国立国家図書館善本室の凄いところは
 あっという間に請求した善本が出てくる
ところだ。真柳さんが
 5分で出てくる
と仰ってたけど、本当だった。
 外国人相手
でも5分で出てくるところが素晴らしい。というか
 世界中で善本の出てくるスピードが最速
ではないか、と思う。普通の図書でも5分で出てくる図書館は滅多にない。

さらに素晴らしいところは
 すべての善本が映像化されていて、コピー可能
ということだ。海外からも、図書館を通して1枚そんなに高くない値段で請求できる。もちろん、善本室内では
 コピーカードを買って、データベース上の画像を印刷
することが出来る。データベース上の画像にアクセスして、必要な頁を選び、印刷機の前にある端末にコピーカードを挿入すれば、印刷可能。コピーカードは3階で販売していて
 200元で220枚
 100元で110枚(だったかな、こっちは不確か)
コピー可能だ。善本室では画像印刷に使えるというわけだ。

帰国前の土曜日午前に、国立国家図書館善本室にまた足を運んだ。
国立国家図書館は、蒋介石を記念した中正紀念堂の真向かい。
Zyg

こちらが国立国家図書館。
Gtg

この日も、司書の方が親切に教えて下さり、
 明嘉靖本の初印本
の画像を一番に出してくれた。というか
 国立国家図書館善本室の端末のキーボードは注音字母表記
なのよ。うっかりして、注音字母を確認できるテーブルを持ってこなかったので、自分では入力がうまくいかない。

土曜日のせいか、何人かが端末で画像検索をして、印刷オーダーを掛けていたら
 突然レーザープリンタが不調に
なった。最初は紙切れした後に、印刷が出来なくなり、次に、急にすべての端末が落ちた。端末が落ちたとき、トイレに行ってたので、戻ってきたら画面が真っ暗。ちょうど昼時だったので、
 昼時は端末を使えないのかな
と、大陸ではよくあるパターンだと思い込んだら、本当に端末だけ電源が落ちたのだった。隣の親切な若者に
 あれ?停電?
と聞いたら、そうだという。しばらくして復活した。コピーカードが足りなくなりそうなので、3階に買い足しに行くと、今度は
 紙詰まりで印刷できない
ことに。
 十分以上修理に掛かるけど
と司書の方が仰り、やむなく時間切れ。
印刷した善本複写は、カウンターで数えて、
 個人利用以外は認めません
という赤いハンコを押してくれる。それでおしまい。全部を印刷できないのはもちろんなのだが、それ以外は、なにもうるさいことは言われない。
複写を数えて貰っている間に、修理のおにいさんがトナーを抱えて現れた。

あとで台湾在住の友人に紙詰まりで使えなくなったところまで話したら
 ああ、それ、トナー切れしてて、最初の段階でもう焼き付き始めてたんじゃないかな
と教えてくれた。ちなみに
 富士ゼロックスのレーザープリンタ
だった。

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2009-03-21

台北駅前の書店街を行く

海外に書籍の調査に出ると、夜は疲労困憊していて、なかなか本屋巡りもできない。

今回は台北駅前に宿泊しているので、歩いて15分くらいのところにある
 重慶南路の書店街
を、短い時間見てきた。

台湾書というと、まず思い起こすのが
 商務印書館
だろう。
行ってみると、店の品揃えはたいしたことはない。というか、たぶんネット書店の方に力を入れてるんだろうな。
2階に、
 半額本コーナー
がある。他の出版社の本なども置いてあるし
 大陸の簡体字本
を半額で置いてあった。上海人民出版社の
 専題史系列叢書
でめぼしいものを選び、あとは『楊寛古史論文選集』も入れた。商務印書館では、
 人民元=台湾ドル×5
くらいの値付けで、ほぼ大陸の値段と変わらないわけだけど、それの半額。
『国学基本叢書』なんかの端本も半額で、一番上の棚に並んでいた。残念ながら、あの薄い本の背見出しはなかなか見えなかった。

次は、ネットでお世話になっている
 三民書店
で、ここは何を買っても割引してくれる。レシートには
 いくら割り引きました
というのが、書かれていて、トクした気分になるシステム。その上、
 一回999元、一ヶ月1500元以上買うとVIP会員
になれる。中医書を買ったら余裕で越えたので、カードを作ってもらった。
いろんな出版社の本が置いてあるので、探すのは楽しいかも。
参考までに、買ったのはこんなの。
 華陀中蔵経・素問霊枢類簒約註合刊(道蔵精華第六集)【リプリント】
 古本十四経発揮・秘本十四経脈穴歌(道蔵精華第六集)【リプリント】
 儒門事親【リプリント】
 中国医古籍詞義 明文書局
 陳明 敦煌出土胡語医典《耆婆書》研究(香港敦煌吐魯蕃研究中心叢刊) 新文豊出版
 呉恵平 鍼灸銅人図譜 国立中国医薬研究所(1983年再刊本)
 中医学文献精華 香港商務印書館
 洪藝芳 敦煌社会経済文献中之量詞研究 文津出版
 簡正体字対照手冊修訂版
古典3冊は、めくって見る用。オンラインでテクストを拾えたりするけど、何かあったときは、手元でめくる方が便利。さすがに『道蔵』を買う余裕がないので、リプリントでしばらく凌ぐ予定。『中医学文献精華』はインデックス代わりに使える。『簡正体字対照手冊修訂版』は、
 台湾の人たちが、大陸の簡体字に悩む様子
がよくわかるハンドブック。80元。この値段で
 簡体字・繁体字・注音字母・ピンイン
が一目瞭然なのはお買い得。注音字母が不得意な北京語話者にも利用可能。
大陸からの観光客は
 陸客
と呼ばれていて、ニュースで取り上げられている。

この中での変わったものは、
 国立中国医薬研究所
の本かも。
サイトはこちら。
 國立中國醫藥研究所
今回は行けなかったけど、標本館があって
 館長は日本で勉強された李宜融博士
だ。振り袖姿の館長の写真というのも珍しい。

『鍼灸銅人図譜』は、宋・天聖年間に作られた銅人に基づいている。

以上で、だいたい1時間半くらいの探書。

ところで、駅中(台湾でも"EKINAKA"という)の書店などにも置いてあるんだけど
 漫画黄帝内経
なんて一般書がある。めくってみたけど、漫画としての出来が今一だった。今回はパス。

おまけ。台湾の書店について。中央研究院に留学されていた佐野誠子さん作成の地図とリストはこちら。
 台湾:書店ガイド

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2009-03-16

故宮博物院図書文献館善本室が寒い件

今日から国家図書館に行こうと思ってたら、月曜は休み。
ということで、故宮博物院図書文献館善本室に先に行くことにする。

ホテルは台北駅からすぐのところ。MTR入り口近所にある7-11で
 悠游卡[カード]
を買う。香港だと八達、日本だとSuicaとかPasmoとかPitapaとかと同類。悠游卡[カード]の偉いところは
 自動的に運賃が割引になる点
だ。チャージは、あちこちで出来る。
MTR台北駅から故宮博物院の最寄り駅士林駅までは、そんなに掛からない。
もっとも、ここから先がちょっとボトルネックになっている。
 故宮博物院の真ん前につけるバス紅30
の乗り場案内が、手持ちのガイドで間違っていて、いくら待っても来なかったりするアクシデントにも見舞われる。停留所を逆方向(士林駅に戻ってくる方)に書いてあったんだもん。なおかつ
 故宮博物院最寄り駅
にも関わらず、士林駅での
 故宮博物院への案内
が、とっても控えめ。
紅30は、そんなに本数がないみたいなので、手前から出ている小公共汽車に乗った方が速かったかも。15分くらいロスしたので、諦めてタクシーに乗る。だいたい110元前後。300円ほどだから、値段を気にせず乗った方が精神衛生上いいかもしれない。言えば、領収書も発行してくれる。台北の運転手さん達は、いまのところ、大変礼儀正しい。中国で喧嘩腰でタクシーに乗ることを思えば、実に気楽に乗れる。中には、日本語を話せる運転手さんもいるようだ。
いつものように、海外に来て一回目の発票は忘れてしまう。帰りのタクシーの運転手さんが気を利かせて、
 領収書出しましょうか?
と言ってくれたので思い出した。次からは気をつけよう。
なお、
 空車
というランプをつけてうろうろしているタクシーは流しだから、手を挙げれば乗せてくれる。故宮博物院直近の帰りのバス乗り場前では、こうしたタクシーが時々通りかかるから、あまり本数がなさそうなバスを待つよりは、さっさとタクシーを捕まえて、士林駅まで行くことをオススメする。旅の時間は短い。

図書文献館は、故宮博物院の展示室からはちょっと離れたところにある。2回道を聞いて
 後ろにある
と言われた。思ったより、随分「後ろ」だった。

図書文献館を利用するには、
 パスポートと写真2枚
が必要になる。1枚は利用証に貼ってくれる。
また、善本室で善本を見るためには、事前に所属する機関の図書館から
 所蔵の問い合わせ
をしてもらい、許可を取らないとダメだ。これは真柳さんに教えて頂いた。

目の調子が悪い。目の調子が落ちると、目の代わりをしている耳もストレスのせいか、よく聞こえなくなる。そうなると、いよいよ中国語(台湾では國語)の聴力(聞き取り)が怪しくなる。情けないくらい、聞き取れない。言語回路が一部壊れてるのかも。で、たぶん帰る頃には、やっと少しまともになっているだろう。テレビなどは声調をはっきり言うので聞きやすいんだけど、普通の会話だと、ちょっと訛ったりする低く話される部分が特にダメだ。南方の訛りに慣れてないのがいけないのかも知れない。こっちはこっちで、若干パニくりながら話すから、余計へんな文章になる。
國語と北京語では言い回しが違ったりするところも、ちょこちょこあるように思う。
まだ、國語の声調に慣れてないのが大きいのかなあ。だといいんだけど。
ホントに耳が悪いのが実感されて、情けなくなってしまう。捲舌音が全然なくて、代置されている発音がわかんないことがある、というのがやっとわかった。それが人によって違うみたいなんだけど?

で、善本室では
 画像がある分は、善本室のパソコンから見せてくれるシステム
で、原本には触れないけど、オンラインの画像を
 一定量までなら、コピー(この場合印刷)可能
である。コピーは1枚3元。日本円で10円しない。大量に印刷している研究者がいらして、どなたかなと思ったら、東海大学の浅井紀先生のようだった。お顔を存じ上げないので、確認できないけど。

わたしの方は、古医書の日本鈔本の調査に来ているので、そんなにコピーは必要ない。中身は日本にある。必要なのは書誌情報を含む部分だから
 巻頭と巻首
があればいい。本当は封面もあるとなおよいのだが、今日は割愛した。
あとは、書き込みなどをチェック。書き込みがあれば、その部分もコピーして貰うつもりだ。今日は残念ながらなかった。
ただ、画像では不鮮明な部分もないことはないので、本当は原本が見られると一番有り難いのだが、それは欲張りというものだ。

画像が登録されてない善本については、
 実物を見る
ことになる。マスクと手袋を貸してくれるので、扱いに注意しながら善本を閲覧する。当然ながら
 インクの出る筆記具は使えない
ので、鉛筆を用意して行く。

閲覧時間は
 朝9:00-11:30
 午後14:00-16:30
で、閲覧受付は11:30-14:00の間も善本室のカウンターでしてくれる。今日は午後だけと時間が短かったので、2部2冊を片付けた。
しかし
 楊守敬は日本で一体何をやってたんだよ
という結果に。たった2冊を見ただけでも、楊守敬の日本での文献収集の変なところが見つかった。今度、幸田露伴の医学関係の文献を見なくてはいけないかもしれないので、楊守敬にはチェックを入れている。

以前、雲南大学の日本鈔本で見た蔵書印と同じと思われる物を、楊守敬の日本鈔本から見つけて、清末の日本鈔本の中国将来の過程に思いを致す。もちろん、楊守敬の蔵書印ではない。

ところで
 善本室は思いっきり寒い
のである。オーバーだけど、凍え死ぬかと思った。一応薄い上着を着て、他に2枚着ているんだけど、じわじわ冷えた。
台湾は暑い、と思っている、これから
 故宮博物院図書文献館善本室に訪書予定の研究者
に申し上げておきますが、
 善本室はとっても冷房が効いています
ので、午前と午後みっちり調査をすると、かなり身体が冷えると思われます。できれば、凍えないような工夫をして、おいで下さい。スーツなら、一番問題ないかも知れません。
善本室を利用されるなら、図書文献館で受付をして貰うときに、所属機関の学術刊行物を差し上げると、喜ばれるかも知れません。お試し下さい。

身体の芯まで冷えたので、帰ってきて、ちょっとボラれてるかな、と思いつつ、ホテルのレストランで、やや高い点心セットを頼んだら、
 小さい佛跳牆
Ftz
がコースに入っていた。「なんちゃって佛跳牆」だとは思うけど、冷え切った身体が温まり、人心地が付いた。

ところで、これが
 初めての故宮博物院
だというのに、善本室に籠もりきりで、全然本体の展示を見てないんですけど。帰るまでに、1回は展示が見られる時間が取れればいいなあ。もちろん
 まだ白菜も見てない
状態だ。

おまけ。点心コースの銀耳(白木耳)の甘煮。もとは清の宮廷料理。
Lz
きちんと蓮の実の芯が抜いてる。芯は苦いから銀の針で抜き取れ、とかいうのを、昔『隨園食単』で読んだような気がする。

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2009-02-24

本屋の魂 北京・珍本書店

古中先生のblog「古代中国箚記」の
 珍本書店
という記事で、北京で以前、機関服務の専門書店だった珍本書店が個人向けに書物の販売を始めたと教えられた。
 珍本書店(中国語簡体字)
機関服務の専門書店となると、入手しづらい書物を持っていたり、特別なルートで探求書を見つけてくれたりする特技をもっていたりする。
試しに、4冊ほど注文をしてみた。

すると、昨日


 ご注文の書籍の内、『新安医籍文献学研究』は当店の在庫にもなく、またあちこちに問い合わせてお探ししましたが、手に入りませんでした。
 他の3部の書籍については、すでにございますが、これだけ先に発送しましょうか、ご指示を願います。

というメールが来た。
ないのなら仕方がない。
 3部だけ送って下さい。お手数をおかけしました。
と返事を書いた。
すると、今朝


 著者の手持ちの分を入手できましたので、お送りします。
 他の3部の書籍は、先に発送するつもりでしたが、一緒に届くかと存じます。

という新しいメールが来た。
 著者の手持ち分を入手
って、凄いぜ、珍本書店。出版社が手持ちの分を売ってくれることはあっても
 一介の本屋が、著者手持ち分を分けて貰うことができる
というのは
 北京の書店文化のなせる技
かも知れない。日本では専門書を扱う本屋のオヤジは必ずしも教養人ではないが、
 北京の専門書を扱う本屋のオヤジは教養人
なのである。知り合いの本屋の会長が、以前、北京で本の買い付けに行って、その辺りで往生した、という話を聞いたことがある。
 筆で流麗な文字を書くのは当然
であり、
 古典の教養を始めとして、古籍・書画の鑑定や文房四宝や茶についても一家言あるのが「本屋のオヤジの教養の範囲」
なのだそうだ。

いや〜、何だかんだと批判の多い「拝金主義に堕した最近の中国」ではあるが、
 まだまだ愛すべき、読書人の伝統は根強く残っている
と見た。北京だからかも知れないが、敬服いたしました。
むしろ、こうした
 本屋の魂
ともいうべきものは、日本の本屋からの方が、失われつつあるのかも知れない。

おまけ。
戦前の中国語教科書である
 傅芸子『支那語會話篇』弘文堂書房 昭和13年
を、北京人が録音したテープを大学の先輩から贈られ、それを正月にデジタル化した。
ちょうど、第24課が本屋での会話だった。
内容はこちらに。
 2007-06-15 傅芸子(ふうんし)著倉石武四郎識『支那語会話篇』弘文堂1938
http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2007/06/1938_bc6b.html

テープをくださった先輩にデジタル化したデータを差し上げたいのだが、問題は、先輩は恐らくほとんどコンピュータを活用されてないということだ。さて、音声ファイルをどうしたものか。
それと、録音データは長いままの音声ファイルなので、各課ごとに区切って編集し直そうと思って、
 Audacity 1.3.7.1
をダウンロードしたのまではいいけど、使い方がよく分らず、各課ごとにファイルを分割できない。一番簡単な操作なんだろうけど。ビデオ編集は出来るのに、音声編集ができないのは相当間抜け。
 

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2009-02-16

台湾の三民書店から本が届く

速いな〜。
本代と送料が同じくらいで、総額1600台湾ドルあまり。日本円に直すと、4300円ちょっとか。
買ったのは三民書店のネット書店から。カードで支払った。
 三民網路書店
今回初めて注文したが、
 2/9 注文
 2/11 出荷前の確認→出荷
 2/15 到着
ということで、ほぼ1週間。

購入書目は以下の通り。
 林富士 漢代的巫者 稻郷出版社 再版二刷 2004/7
 林富士 孤魂與鬼雄的世界 北臺灣的レイ鬼信仰 台北縣立文化中心出版 1995/6
 林富士 疾病終結者 中國早期的道教醫學 三民書局 2001/11
 范家偉 大醫精誠 唐代國家・信仰與醫學 東大圖書公司 2007/11
いま、ぱらぱらとめくってみて
 李建民 死生之域 周秦漢脈學之源流 中央研究院歴史語言研究所 2000
を買わなければならなかったことに気づく。ま、次に買おうっと。

これだけ台湾書や香港署や中国書などが簡単にオンラインで買えるようになると、日本の中国本屋は大変ですね。

で、林富士『孤魂與鬼雄的世界』は、台湾の民俗宗教に関する書籍。
 植民地時代に日本が建てた神社
についても記述がある。
同じ著者の『疾病終結者』では、参考書目の筆頭が
 『医心方』
だったりする。

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2009-02-11

台湾から突然電話

突然、聞き慣れない電話番号から電話が掛かってきた。
いきなり國語でまくし立てられてびっくり。台湾の本屋からだった。
頭がぼーっとしていて聴力に問題があるので、FAXしてくれ、と言ったら、すぐにメールが来た。住所の一部が文字化けしてわからないから書き直してくれ、という。
ああ、繁体中国語のフォントにない文字だった。

代替できる漢字に直してメールを送ってみたけど、大丈夫かな。

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2009-01-10

パトリシア・コーンウェル『検屍官』シリーズ続編が出ないわけ

講談社の年末ドル箱のシリーズ翻訳小説だった
 パトリシア・コーンウェル『検屍官』シリーズ
なのだが、最近続編が出ていないようだ。

去年の11月頃から、突然FOX/FOX crime/AXNなどの
 アメリカの犯罪モノドラマ
に嵌ったのだが、よく見ていると
 かつてパトリシア・コーンウェルが『検屍官』シリーズで描写していた鑑識の手技
が、
 家庭で見られるドラマで再現されている
のである。それも、『検屍官』シリーズでは、
 あたかも大事のように描写されていた「鑑識の上級テクニック」
が、
 ドラマではごく普通の一こまとして流れている
のである。

これじゃあ
 大量のリサーチャーを雇って『検屍官』シリーズを書き続けるメリットはない
よなあ。

なおかつ、テレビ局の方が、資金にモノを言わせて、
 より先端的な鑑識手法
を繰り出してきているし、『検屍官』シリーズでは
 スカーペッタがなんでも中心
だけど、TVのこの手の犯罪モノは
 チームによる解決がメイン
だ。

まさに、時流は
 パトリシア・コーンウェルの「経験」やリサーチを追い越してしまった
わけで、
 小説としてこれから何か新しいことが出来るか
というと、結構難しい。

だってさあ、"BONES"あたりだと
 腐乱死体の詳細な描写をビジュアルでやってしまう
わけで、パトリシア・コーンウェルが『検屍官』シリーズを書き始めた頃は
 さすがにTVじゃ放映できないだろう
というような場面が
 あっさりと、特殊技術などでTVドラマで再現されている
のである。最近見た
 "BONES"第三シリーズの第14話
なんて
 腐乱死体の頭蓋骨から溶け落ちる目玉に虫が群がっている
という極めてリアルなグロいシーンを流していた。『検屍官』シリーズがわりとよく取り上げた
 性犯罪の被害者
は、"LAW & ORDER SVU"とか"CSI"の各シリーズなんかに普通に出てくる。

そういう意味では
 検視と鑑識について、新たに文字で何かやろうとする
のは、難しい時代になっちゃってるわけで、そもそも最初の物語世界を破壊して続けようとした最近の『検屍官』シリーズは、
 歴史的役目は終わっちゃった
ってことなんだろうなあ。

突然若返ったケイ・スカーペッタよりも、テレビシリーズのBONES(テンペランス・ブレナン)の方が、よっぽど若々しくて、ある部分は欠落していて、共感が持ちやすいだろうしなあ。
ともかくも
 一人の主人公にあれこれ詰め込む『検屍官』シリーズの手法
は、
 優れた才能が結集して鑑識活動に当たるTVシリーズ
よりは、時代遅れになった、ってことだな。

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2008-11-22

高山緑茶と鳳梨酥(パイナップルケーキ)

西蔵とお茶の研究者だった友達が、仕事場のある台湾で
 近所のお茶屋が改装前の一掃セールでもの凄くお茶を安く売っている
というので、いくつか見繕って貰っていた。さすがにお茶の専門家なので、目が利く。そのお茶と一緒に
 もう使わないから

 『資治通鑑』(中華書局版)とその他の書籍
を送ってくれた。

高山茶を中心に数種類の茶葉、それと、
 これはおいしい
という、台中の
 鳳梨酥(パイナップルケーキ)
も入っていた。

Pc1

今日は、届いた茶葉から高山緑茶を選んだ。早速、錫の茶壺に入れ、残りは冷凍庫に。これで半年以上は、高山茶を楽しめそうだ。

書籍の方には
 『籌辧夷務始末(咸豐期)』全八冊(中華書局版)
も入っていた。他にもいろいろあるので、これからゆっくり確認する予定。いや楽しみ。

『資治通鑑』は1セット持っているけど、2セットあっても邪魔になる書籍ではない。
司馬光とは誕生日が一緒(といっても司馬光は旧暦だけど)なので、なんとなく親しみを持っている。司馬光の文章は面白みがあるわけではないけど、読んでいて疲れない。

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2008-10-04

犬も歩けば棒に当たる

朋友書店から、中華書局から出ている学術筆記叢刊の一冊
 清・鄒漢[員力]『読書偶識』
が届いた。コンタクト用の眼鏡を掛けてめくっていたら
 説文、嬰、頚飾。
という文章が目に入った。なるほどね。

首にできる腫れ物は「やまいだれに嬰」と書く。『日本霊異記』にも『医心方』にも、当然ながら先行する中国の種々の医学書にも記されている疾病である。
ズボラをしてきちんと文字を調べずにいたのだが、なるほど、『説文解字』の解釈に従えば、その通りだ。
「やまいだれに嬰」と書く腫れ物は、主に甲状腺腫だろうと考えられているのだが、
 嬰、首飾
というのであれば、喉の前面に大きな瘤を作るこの病を表す文字としてふさわしいわけだ。

せっかくなので、段玉裁『説文解字注』を繙いた。
 十二篇下 女部
の文字で『説文解字注』では
 嬰、繞也
と貝部の[貝貝]の説解によって本文を改めている、で、その後に
 从女[貝貝]、[貝貝]、貝連也、頚飾
と続く。ついでだから、六篇下貝部も開いてみると
 [貝貝]、頚飾也、从二貝
となっている。
「やまいだれの嬰」は、『説文解字』にも入っていて、これは七編下。説解は
 頚瘤也
だ。

中国人のこの手の筆記は、端から端まで熟読することは少ないのだけれども、たまにめくると、いろいろと教えられることがある。

これからは、病名を見たら、まず『説文解字』などの字書も調べないとな。

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2008-09-30

拝受 犬飼隆『木簡から探る和歌の起源』笠間書院

著者の犬飼隆先生から頂く。ありがとうございます。

いま、国語国文学と国史学のホットな話題
 歌木簡
について、最新の資料を駆使して書かれた「和歌誕生」を巡る論説。
先ほど届いたばかりなので、これからじっくり拝読いたします。

むむむ、やっぱり歌木簡の論文を書かないといけないな。
犬飼先生とは、徳島県の観音寺遺跡木簡を調査したときにご一緒した。
表記や音韻学、国語史の観点から、出土文物を扱われる国語学の専門家である。

出来たての書籍を送っていただいたようで、まだアマゾンには本書は掲載されていない(9/30 13:00現在)。
笠間書院のサイトから。


犬飼隆『木簡から探る和歌の起源 「難波津の歌」がうたわれ書かれた時代』(笠間書院)

Inukai

木簡から探る和歌の起源 
「難波津の歌」がうたわれ書かれた時代

犬飼隆著

ISBN978-4-305-70390-3 C0095
定価:本体1,900円(税別)
四六判・上製・カバー装・216頁

遙か古代、有名な「歌」だったにもかかわらず、歌集には縁がなく、それ以外のところで
盛んに出て来る「難波津の歌」。
この歌の出自を探ることで、和歌の起源が見えてくる。

文学の歴史を変える、スリリングな一冊!

2008.5.23に報道された、万葉歌と同じ歌を書いた木簡が発見されたことの、
本質的な意味もわかる本です。

【目次】
カラーグラビア●
滋賀県甲賀市史跡紫香楽宮跡(宮町遺跡)出土
「両面歌木簡」のカラー写真・赤外線写真・復元木簡(模型)の写真

プロローグ●
「うた」を素材にした「歌」が昇華して和歌となる

第一章●
難波宮跡から出土した「歌木簡」

第二章●
紫香楽宮跡から出土した「両面歌木簡」
 1.表裏に「難波津の歌」と「安積山の歌」が書かれた木簡
 2.「難波津の歌」と「安積山の歌」は「歌」の手本だった

第三章●
典礼の席でうたう「歌」  
 1.律令官人は職務として「歌」をつくり書いた
 2.中国の「楽府」と日本の「歌」

第四章●
出土物に書かれた「歌」たち
 1.出土した「難波津の歌」たち
 2.出土した「歌」たち「うた」たち

第五章●
観音寺遺跡から出土した「難波津の歌」木簡の価値

第六章●
「歌」の記録と和歌の表記
 1.「歌」をうたう場と記録
 2.漢字で「歌」を書くとき和歌を書くとき

第七章●
五重塔の天井に書かれた「難波津の歌」と和歌

第八章●
典礼の場から文学サロンへ、そして贈答歌へ

第九章●
「難波津の歌」の世界と『万葉集』の世界

後書

付録
・関連年表
・主な木簡出土地図
・著者名索引
・キーワード索引

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2008-09-23

佐々木俊尚『ブログ論壇の誕生』文春新書→商業出版や商用サイトが個人blogを引用しても連絡してこない件→追記あり

先日の『諸君!』の鼎談のときに
 『諸君!』の連載を纏めたものを文春新書で出す
と佐々木俊尚さんご本人から伺っていたのだが、発売されたので、珍しくbk1から買ってみた。(いつもはアマゾンか楽天)

内容は、ご本人の仰るとおり
 『諸君!』の「ネット論壇時評」のリライトが中心
だ。ただ、時系列に沿って並べてあるのではなく、章立てには工夫が見られる。
なかなか面白かった。
で、社会学なんかでネットを対象にしている研究で、佐々木さんより調べがたりなくて、更に何も知らない上のおじさん・おばさんをダマしている論文はあるな、と感じた。学生や院生に舐められてますな、文系大学人は。つか、今年のネット関連卒論・修論には、佐々木さんの著書の何冊かを下敷きにしてリライトした論文が多数出そうな悪寒。

問題は、「あとがき」にあるように
 本書ではさまざまなブログから、さまざまな文章を引用させていただいた。ひとつひとつのブログの書き手にご連絡を差し上げてないことについて、ご容赦いただければと思う。
という点だ。
佐々木さんは忙しいんだろうけど(凄い数の講演をこなしているらしい)、他人のblogをタダで見て原稿料を得ているんだから、最低でも、掲載月には、参照したblogにはメールで一言挨拶しておけばいいのに、と思う。
ちなみに拙blogが、なにかに引用されて挨拶が来たことは、ある美術雑誌から一度だけあるが、それ以外は、商業誌や商用サイトに引用されても、何も言ってよこしたことはない。ネットで飯を食ってる年月が長い日経BPやアスキーでもそうだ。
そういえば、昔日経BPが運営していた商用BBS「日経MIX」があった頃、『日経バイト』には日経MIXのログを紹介する頁が巻末の方にあって、そこに発言が掲載されると、些少な原稿料代わりのものが送られてきた(確か図書券だったかな)記憶がある。その頃に比べると、ネットは広大になり、発言は星の数ほど増えたが、ネット上の発言を引用して商用利用する側のモラルは地に墜ちた。せめて引用しましたくらいの連絡はよこせないのか、と、後から引用されていたことを人から教えてもらったり、飛んでくるサイトを逆引きして知って、いつも思う。メール一通書けば済む話だ。引用する手間を考えたら、メールを出すことくらい造作ないだろうに。

で、巻末に
 特別付録 佐々木俊尚が選んだ著名ブロガーリスト
というので200弱程のサイトがリストアップされてるんだけど、本来なら
 このリストに上がるブロガーに事前にまず断りを入れてから掲載するのがスジ
だと思うんだよね。拙blogもリスト上にあるが、佐々木さんからは何も聞いてない。今日、書物を開いて初めて知ったような次第だ。

というわけで、『諸君!』編集部、佐々木さんが自分で断りのメールを出せないくらい忙しいなら、担当編集者がちゃんと引用元の筆者に連絡をいれるクセを付けていただきたい。毎月、引用されるblogの量が100も200もあるわけではないんだから。
 タダだから、blogの文章はいくら使ってもイイ
と、天下の文藝春秋社が考えているんだったら、情けなさ過ぎますが。

続き。佐々木さんの連載とはちょっと違う話だが、blogを出版する場合、記事につけられたコメントをどうするのかという好例を「麻酔科医」先生からコメントで御教示いただいたので再掲する。


日々是よろずER診療—時間外診療に潜む「地雷」回避術   三輪書店 (2008/6/6)

ブログの内容を出版したものですが、
本が出版される前に、コメントを載せていいか、丁寧なお問い合わせを頂きました。
私のコメントはそれこそ、ほんの1行だったのですが。
膨大なコメント全てについて、同様に、コメントした方に問い合わせをされたようです。
ちゃんと医師のコメントであるか確認する意味もあったのかもしれませんが、ブログ同様、誠実な先生だなああと感じました。

「なんちゃって救急医」先生のblog「日々是よろずER診療」はわたしも愛読していて、
 いかに診断が難しいか
を具体的な症例に基づいて、最初は診断名を明かさずにコメント欄で医師の回答を求め、ある程度時間が経ってから、正解を出すというコンテンツが実に勉強になる。

「出典を明示する」そして「商業出版や商用利用の場合は、著作権者に連絡を取る」って普通のことだと思ってたんだけど、blogを利用した出版や商用サイトでは、どうもそうじゃないらしい。既存の出版メディアは、多分
 blogなんて「活字」より下の位
だと思ってるんじゃないかな。だから、商業出版や商用サイトでは、個人blogは勝手に引用してもいいし、引用しても連絡を寄越さないのが当たり前と考えているフシがあるのではないか。

この件については2004年くらいから何回も書いてる話だと思うけど、状況は変わりませんね。

(追記 9/24 16:39)(一部補正 9/30 13:50)
ところで、
 お前の所はヒトの記事や2ちゃんねるの引用や転載(9/30 13:50)ばっかりじゃん
という批判がくるのをある程度は予想した上で、上記の文章を書いたんだけど、ここで想定しているのは
 編集とそれによる感想の部分についてはどうなの
という話である。その辺りがグレーだといつも思っている。

編集作業のオリジナリティがコンテンツの主眼になるblog、たとえば、2ちゃんねるの「まとめサイト」というのはたくさんある。で、商用サイトと商業出版はそれすらパクっていたりする。「まとめサイト」には膨大なログの中から価値のあるスレッドを拾い集める「編集」という過程があるんだけど、そうした手間をそのまま頂いて、まるで自分がその記事を広大なネットの中から「発見」したような顔をしている商用サイトや商業出版があるわけだ。

わたしの本業は
 引用と編集のオリジナリティで成立する稼業
である。同じ書物をみんな引用するが、それをどう引用して組み合わせるかで、ご飯を食べていると言っても過言でない。
同じ引用まではみんな出来る。それをどう組み合わせて解釈するかが、わたしの業界でのオリジナリティだ。

これをblogの話に移すなら、その「組み合わせと解釈」が、ニュース系や掲示板まとめ系の非商用blogの生命線だろう。ただし、それらはその解釈に対価を求めているわけではない。
そうした資源をタダで使って、しかも自分が考えたような風に記事にしている商用サイトや商業出版がある。商用でない個人blogであれば、お互い様で済む話だが、
 情報は金で売る
のが原則の商用サイトや商業出版が同じことをするのは、どうなんだ、それは他人が「タダで提供」しているのをいいことに、自分が働いた振りをしてるだけではないのか、と思うのだ。
最近、
 コピペで卒論を書くのはけしからん
などと、マスコミは言うけど、じゃ、ネットの話を書くときに、果たして、マスコミはある事象に関する一々の発言を全部拾って、自分で編集し直した上で記事を書いてるんだろうか。まずそんなことは不可能に近いだろう。たぶん、そうした過程では、どこかの纏めサイトやblogを利用したりしてるはずだが、そのことに触れることはない。

「僻地の産科医」先生のblog「産科医療のこれから」は、毎日膨大な産婦人科周辺の情報をOCRなどを駆使して網羅しようとしている労作だ。医療記事を書こうとして、これを参照しているマスコミは結構あるんじゃないかと思うんだが、記事を書いた後に、ちゃんと「僻地の産科医」先生にお礼を言ってるのかな。
数多あるblogには、こうした労苦を無償で提供しているものがいくつもあるけれども、そうしたものであっても、「無償である」ことにいいことにして、単なる「踏み台」に使っている商用利用者があまりにも多いのではないか。
それで金を稼ぐつもりなら、タダで配布されているモノであればなおのこと、引用させてもらう時に一言断れよ。それは文筆で対価を得ている人間の最低限の礼儀じゃないの?

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2008-09-09

祝復刊!『雪の下の炎』パルデン・ギャツォ 著/檜垣嗣子 訳

復刊ドットコムから、
 『雪の下の炎』
の復刊が決まったというメールが来た。
こんな本です。


書名 雪の下の炎
著者名 パルデン・ギャツォ 著 / 檜垣嗣子 訳
発売 ブッキング
判型 四六判
頁数 272 頁
配送時期 10月下旬
在庫数 在庫あり
ご注文のタイミングにより品切れの場合がございますのでご了承ください
税込価格 2,625円[予価](本体2,500円+税)※予価の為、価格が変更する場合がございます。
関連リクエスト 雪の下の炎 (171票)

内容 "祈りと怒り、衝撃の自伝。

28歳のチベット僧はある日、身に覚えのない容疑で中国政府に逮捕、投獄される。それは、強制労働や飢餓そして残忍な拷問など、いつ終わるとも知れぬ、想像を絶するおぞましい日々の始まりであった……。

30年以上もの長きにわたる苛酷な獄中生活にもかかわらず、強靭な精神力により決して屈することのなかった著者の、苦難と忍耐の物語。

※本書は1998年に新潮社から刊行され、その後絶版となっていた同名作品の復刊です
※復刊にあたり、仕様が並製(ソフトカバー)に変更となります
※内容については変更ございません。


(著者紹介)
パルデンギャツォ
1933年生まれ。28歳のときに中国政府により逮捕。1992年、じつに31年間にもおよぶ獄中生活の後に釈放。同年、中国占領下のチベットより脱出。チベット亡命政権のあるインド北部ダラムサラを拠点に各国を訪問。国連人権委員会で証言を行うなど、チベットと世界の平和のために精力的な活動を続けている。

というわけで、一冊発注。

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来月号の"CREA"の特集は「30代で母になる!」

いや〜、とうとう"CREA"で
 30代で母になる!
ですよ。凄い世の中だ。
 30代出産の新常識
と銘打って、
 母子共に健康
であることしか考えてない感じの見出しが並ぶ。
30代といっても、人それぞれ。"CREA"がフィーチャーする
 モデルや女子アナの"アラサー出産"
は、
 おなじ30代ならわたしも大丈夫!
と、30代妊婦を錯覚させる「夢のお産&子育て」って感じだけど、ホントか。
ま、"CREA"を読んでいる層は、ある程度可処分所得も多く、教育程度も高い、という想定なんだろうけどな。
"CREA"らしいのは
 生んでも、産休明けには働く
という視点で編集されていることだが、気になるのは、こんな見出し。
 子連れで行ける三ツ星レストラン&旅行
ここに掲載された店やホテルは、その内、"CREA"系子連れが押し寄せそうな悪寒。そうなっちゃったら、
 オトナの休日派
は、敬遠するようになるだろうなあ。
高そうなレストランに行くつもりなら、雰囲気は大事だろう。
 子連れで行くより、ベビーシッターを頼んで夫婦で出かける
という方向に編集者の頭が行かないのが不思議。ワイン1本分あきらめれば、食事の間のベビーシッター代は出るんじゃないかと思うんだけど。ベビーシッター代も出ないくらい財政が逼迫してるんだったら、三つ星レストランなんて行かなきゃいいのに。どっちにしても、貧乏くさいよね。
大体、幾つの子どもを連れて行くつもりか知らないが、もし赤子を連れて行くという話なら、母親は、子どもの相手をしつつ豪華なお食事を取るという、まさに地獄のような状況になる。無理です。食べ物は食べた気にならないだろうし、子どもは泣いたりぐずったりするだろうし。
 連れていかない選択
を第一に考えないのは、編集者の「甘え」だろう。自分の子はなにをしてもカワイイのかも知れないけど、見知らぬよその子が、公共の場で泣き叫んでいても、カワイイか? それをまず考えないとね。このままだとたぶん単なる「迷惑な親」煽動記事になる。
"CREA"は、1着数十万のコートとかバッグとか載せてる雑誌なんだから、子どもの安楽さを第一にするなら
 安心して預けられるベビーシッター一覧(都内&名古屋とか大阪)
をつけた方が遙かにマシ。あと
 子連れで行ってもいい時期と場所と場合(大人としてのマナー)
をちゃんと教えるべきだろう。今見出しを見る限りでは
 子どもは親のアクセサリー
としか考えてないのじゃないのか。ということは
 病弱だったり障碍を持つ子どもは「いらない」
という考えと結びつかないのか。30代の妊娠では、そうしたことも考え合わせないといけない。
 お産が元で、自分の身体がトラブルを起こしたり、子どもの成長に問題があったときに、きちんと向き合える大人の女性
は、"CREA"の対象とする読者ではない、ということか? ファッションにうつつを抜かす30代が、そのまま「休みにはカワイイ子どもというアクセサリーを連れ歩く、働く格好いいママ」になることを推奨するような記事になるんじゃないかと、ドキドキしている。

どんな、ある意味「間違い」方をするのか、今から来月号が楽しみだ。

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2008-09-04

今月売りの『諸君!』10月号(文藝春秋社)の小特集「気分は共産主義」に佐々木俊尚さん、essaさんとの鼎談が掲載されました

先月、佐々木俊尚さんからメールを頂いて、佐々木さんと「アンカテ」のessaさんの3人で、blogについて鼎談をしました。今月売りの『諸君!』10月号の小特集
 気分は共産主義
に掲載されています。
本当はもっといろいろな話をしたのですが、紙幅の関係で、割愛された議論があります。
また、読者がネットに普段親しんでない層であることから、注釈的な内容が発言に多く含まれています。

佐々木さんは『諸君!』誌上で、「ネット論壇時評」を毎月連載しています。
最初、メールを頂いたときは
 なんでわたしに?
と不思議でしたが、右派論壇誌の呼び声高い『諸君!』に呼ばれるのも、ネタとしては面白いと思って、紀尾井町まで行ってきました。関テレ「あるある」問題ですっかり有名になった
 民放連
が入っているのと同じビルで、鼎談をしたのも何かの縁でしょう。

編集長によると、『諸君!』の読者層は
 ご高齢のおじさまが中心
だそうで、たぶん、それに近い年齢の両親や伯父叔母に読後感想を聞いたら
 難しい!
そうです。ネットをリアルにやってない人たちには、年齢を問わず、難しい話だったかも知れません。

ところで、『諸君!』編集部は
 電子入稿できない
という、今時珍しいところでした。なんでも
 手書きの原稿
が、いまでも幅を利かせているとか。91年に最初の入稿をしたときから電子入稿以外は経験のないわたしにとっては、驚きでした。
そういや、『諸君!』には何回か寄稿している師匠も今なお手書き原稿派だったなあ。

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2008-08-02

毎日コミュニケーションズが今回解散するAV出版子会社MCプレスの仕事を受けていたライターの悩み

今回の不祥事を受けて
 毎コミがエロDVD雑誌を出していた子会社「MCプレス」を解散
するのだが、困ったのは
 MCプレスの仕事を受けて、まだ原稿料その他が支払われていないライター
である。
【毎日コミ】子会社発行「エロ雑誌」で不適切な場所での撮影あった→廃刊と子会社の解散、関係者処分を発表スレッドより。


26 : 都楽(神奈川県):2008/08/01(金) 09:49:20.96 ID:KEQQhI5h0
俺フリーなんだけどさMCプレスの仕事して来月振込みがある予定なんだよ
それってどうなんの?

27 : 古馳(長屋):2008/08/01(金) 09:54:24.32 ID:adXSoecr0
>>26
おれはMC本体から仕事もらってる。
これ以上叩かれると困る。

35 : 共同通信(長屋):2008/08/01(金) 10:19:00.14 ID:3vM2KlZa0
>>26
こういう業界って圧力に弱いから、
振り込まれなかったら本社に電話してゴネろ
担当の行方を捜し出せ
心配なら今すぐ電話して振り込まれるかどうか確認しとけ
確認するだけで振り込まれない物が振り込まれるようになったりするからな
フリーで振り込みという言葉から推察するに、契約書なんてまず存在してないだろうから、
とにかく蛇のようにしつこく食らいつくしかない
完全弱小出版なら逃げ切られる可能性もあるが、
一応本体はデカイから何とかなる可能性99%
フリーはゴネなきゃ給料上がらないどころが代金すっぽかしすらされるからな

28 : 都楽(神奈川県):2008/08/01(金) 10:00:33.91 ID:KEQQhI5h0
つか解散って言ってるじゃん
叩かれるどころか、もうなくなるんだろ
ちゃんと金払われるのかな?
ここっていろいろ怪しいうわさがあったけど毎日新聞社内にオフィスがあるし、まあ平気かななんて思って仕事うけたらこのざま

34 : 都楽(神奈川県):2008/08/01(金) 10:18:05.41 ID:KEQQhI5h0
ここってそもそもトカゲのしっぽ的ポジションだったみたいだよな
毎日新聞社内に会社があっても形式的には名前が違う子会社だから、
金になるけど汚い仕事を全部ここに押し付けて、やばくなったら切り捨てるみたいな
それで毎日新聞社本体は汚れないっつーかなんつーか

まあいいやもう毎日系の仕事は絶対にやらない
やっぱカスっすねここ

36 : 共同通信(長屋):2008/08/01(金) 10:20:43.22 ID:3vM2KlZa0
>>34
毎日系の仕事をもうやらないならゴネてなんとかなる確率99.9%だな

38 : 都楽(神奈川県):2008/08/01(金) 10:26:12.03 ID:KEQQhI5h0
>>35-36
そうするわ
しばらくそれだけにかかりきりになった仕事で金額もデカいし、
ハイソウデスカで諦められないから
しかも言われたとおり契約書なんてない
この業界って口約束があたりまえだから怖いわ
ああああああーーーーーーくそ、むかつくーーーーーーーー!

41 : 古馳(長屋):2008/08/01(金) 10:30:03.19 ID:adXSoecr0
契約書無いってマジか?
MC本体はちゃんと契約書作ってやってくれるぞ。
ちゃんと支払い通知書も郵便で来る。

44 : 都楽(神奈川県):2008/08/01(金) 10:36:55.46 ID:KEQQhI5h0
>>41
契約書つくった?
俺口約束だけだったよ
ほかの出版社も本が完成したくらいのタイミングで後付けで契約かわす感じだし、仕事の種類で違うのか?
ギャラも最初に言ってくれるところはめったにないし

52 : 共同通信(長屋):2008/08/01(金) 10:44:38.17 ID:3vM2KlZa0
>>44
ギャラってのは大体同じくらいだから、言わなくてもいいだろって向こうは思ってんだよ
こっちはそんな事情なんか知らないから、
ギャラっていうのは最初に聞かないとダメよ

53 : 都楽(神奈川県):2008/08/01(金) 10:53:48.23 ID:KEQQhI5h0
仕事うけるときいろいろ調べたのに俺バカだまじで
新聞社内にオフィスがなければこんなとこハネたのに
ここの金が入らないと俺生活できないw

>>52
なるほどね、これからはそうするわ
馴れ合いで仕事依頼が来ることが多くて聞きにくいんだよな

なんか落ち込んだからナンパでもしてくるわ

55 : 力保美達(東京都):2008/08/01(金) 16:35:30.09 ID:u17SZVLB0
>>53
ナンパする前に早く電話しろって。
ここで文句ばっかり言う割には
自分で何とかしようとしてないじゃん。

59 : 七星(東京都):2008/08/01(金) 19:37:19.49 ID:M9KeBdcN0
>>55
ID:KEQQhI5h0だけど、担当者から連絡あった
なんていうか、企業様はそうやって不祥事を乗り切るんだなって解決方法
とりあえず金は払われるみたいだし、
これ以上叩かれてまた支払いの危機になると困るからあんま語らないけどw

というわけで、
 会社は解散するけど、ギャラは払ってくれる
そうだな、MCプレス。

で、MCプレスの「偽装解散」説はここでも話題に。


19 : 可尓必思(東京都):2008/08/01(金) 06:39:35.69 ID:J1oAS3do0
潰しても同じような子会社沢山つくってますから^^
従業員がアルバイトとかw

20 : 蘭博吉尼(北海道):2008/08/01(金) 06:49:19.89 ID:GV4cnyc00
社員は別の子会社に移動するだけです。

37 : 三得利公司(関東地方):2008/08/01(金) 10:23:22.72 ID:+RQIS1BH0
>代表取締役社長  中川 信行 報酬月額100% 3ヵ月(無報酬)
>常務取締役     奥野 一丸 報酬月額100% 1ヵ月(無報酬)

報酬10%カットとか聞くと生ぬるいと思うけど
100%カットは引くわ、しかも3ヶ月とか

40 : 希爾頓(東京都):2008/08/01(金) 10:28:30.30 ID:kTZpwW1j0
>>37
4ヵ月後に臨時ボーナスで3か月分振り込まれるんじゃね?
社長に昇進する奴も居る位斜め上な人事だし

56 : 尼康(アラバマ州):2008/08/01(金) 18:46:22.27 ID:E1BU7i6g0
>>40
その通りだよ。行き先も決まってるし。
誰が喋ったの?それともあんた関係者?

71 : 米楽(ネブラスカ州):2008/08/02(土) 00:20:38.71 ID:4Cji1FwiO
毎日「廃刊・解散するけど名前変わるだけで人も内容も同じだからw」

さて、どこまで本当なんだか。

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2008-07-30

国立国会図書館関西館へ行く(その3)研究室で資料を見、北里研究所図書室の書目をコピーする

国立国会図書館関西館は、奈良から実はそれほどアクセスが悪くないことが分かってきた。
 JR奈良からみやこ路快速で木津→木津から学研都市線で祝園→祝園からバス
 近鉄奈良の京都市営地下鉄乗り入れ電車で新祝園まで直通→祝園からバス
のいずれのルートでも、駅前であまりバスを待たなくていいみたいだ。ちなみに、1時間に2本ある京都市営地下鉄乗り入れ電車は、竹田から先が各駅停車になるけど、急行なので、大和西大寺から新祝園の間で止まるのは高の原だけ。

さて、今日は急遽
 北里研究所の図書室の書目
を見るために行った。昨日、思い立って、北里研究所附属東洋医学総合研究所医史学研究部に電話を掛けたら、小曽戸洋先生ご本人がおいでになり、恐縮しながら、資料閲覧を願い出た。で、その時、書目についてお尋ねしたら
 一部が科研の報告書で出ています
とのことだった。
むむむ、科研の報告書だと、出回らないのも道理だ。大阪・十三にある武田製薬の杏雨書屋にあるのは確実なのだが、奈良から十三というのが、これまた行きにくいのだ。阪急との接続が悪い。
ふと思い立って、国立国会図書館関西館の蔵書検索を掛けたら、おお、関西館にあるじゃん!
これは助かった。
で、いくつか目星をつけて、閉架から出して貰ったら、次の三つの科研の報告書に、北里研究所図書室の書目があった。
 江戸時代医学・本草学資料の整理と研究
 江戸時代医学・本草学資料の整理と研究2
 21世紀の東洋医学教育の基盤整備
前二者が文庫に収められた和漢籍中心、一番最後のものの第三分冊の前半が
 洋装本の一部の目録
である。今日は取りあえず、洋装本の書目の2/3だけコピーしてきた。国立国会図書館関西館のセルフコピーはA3が一枚29円だったかな。しかし、いずれの科研報告書も、題名だけだと書目が含まれているかどうかわかんないもんなあ。三つめの報告書の分冊の題名なんて
 第3部 文献目録編
だもん。ここから
 北里研究所の書目が入っている
というのは、全く分からない。

今日はA4の分厚い科研報告書を山と積んで調べなくてはいけなかったので、
 研究室
を借りた。ここは、部屋が空いていて、国会図書館の蔵書を使って研究するなら、いつでも誰でも使える。国会図書館蔵書をより深く研究するための部屋なのである。
研究室だと電源もあるので、マシンも使えるし、蔵書検索用の端末も置いてある。端末はDELLだった。
 小さい研究室でいいですか
と聞かれて、どんなところかな、と思ったら、5-6人でゼミとかできそうな位広い部屋だった。ついでに言うと、設計した建築家の趣味で、無駄なくらいお洒落。ただし、室内では飮食禁止である。1回の申込で5回分まで予約できるが、今日は様子見ついでだったので、次回予約はせずに帰ってきた。
東京の国立国会図書館は忙しそうだけど、関西館はいつ行っても割と静かである。大量の資料を閲覧するときには、ブックトラックを貸してくれるので、ごろごろ押しながら、研究室まで運び、大きな机に資料を拡げ、横にMacBookを置いて、閲覧したい書目をチェックした。
大部の書籍を一気に閲覧するのには、研究室は実に都合がいい。
利用時間は閉館時間の18:00までだが、5分前までに退室する決まりだ。
電話予約はできない。
 

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2008-07-29

除籍本

古本屋で本を買うと、時々
 図書館の除籍本
を手に入れることがある。除籍本というのは、もう蔵書として置いておく価値がないと、図書館に判断されて、売り払われてしまった書籍のことである。元図書館の蔵書であった印があちこちについている。
今までで一番悲しかったのは、関東の公立図書館の除籍本で
 ジョセフ・ニーダムの『中国の科学と文明』の和訳の揃い
を入手したときだった。この話を科学史関係者にしたら、みんな一様にショックを受けていた。更に悲しかったのは、その除籍本は、たぶん、結構な年月その公立図書館の蔵書だった筈なのに、ほとんど開かれた形跡がなかったことだ。要するに
 定評のある「いい本」だから購入したが、利用者がいなかった
から、除籍されちゃったってことなのだ。世界で認められている名著でも、こんな悲しい運命をたどるのだ。

最近は知らないけど、昔は北京工人体育館前で、よく図書館の除籍本を格安で売っていた。わたしたちのような、古典研究者には有り難い話で、中華書局の『二十四史』とか、一冊1元しない定価のついた、古い縦組繁体字の古典の排印本とかが並べられていた。当然ながら、汚い本ばかりなのだが、用があるのは中身だから、外側の汚れは気にしない。印刷がちゃんとしていて、ページが飛んでなければ、それでいいのである。

この頃は、中国の除籍本も海を渡る。昨日届いたのがまさにそれで、
 除籍本の『建康実録』
である。
 日本では、古典は高く売れる
と聞きつけた、耳ざとい誰かが、日本に売りに出したのか、それとも、中国の街中で日本人が見つけた除籍本が、国内を転々としているのか、それは分からない。

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古本屋のフリーメールアドレス

「日本の古本屋」で注文を出した古本屋から、返事が来ない。
実はその古本屋はフリーメールアドレスを連絡用に使っている。商売にフリーメールアドレスを使う時点で、かなりやる気のない古本屋なのだが、もう10日くらい過ぎているから、ひょっとしたら、メーラにspam扱いされて、落とされたのかも知れない。
あとでgmailで確認するしかないな〜。

しかし、商売の連絡にフリーメールアドレスを使う店って、それだけで信用がかなり落ちるような気がする。

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2008-07-28

『医心方』を読む 『黄帝内経太素』を眺める

OCRに読ませている『医心方』に出てくる、『黄帝内経太素』の変な文章。『黄帝内経太素』といっても、今本では『黄帝内経素問』異法方宜論篇第十二に入っている部分。若干異同がある。


太素經云、黄帝問於岐伯曰、醫之治病也、一病而治各不同。皆愈何也。
岐伯曰、地勢使然。故東方之域、天地之法始生也。魚鹽之地、濱海傍水。其民食魚而嗜鹹。魚者使人熱中。鹽者勝血。故其民皆黒色疎理。故其病爲癰瘍。其治宜砭石。砭石者亦出東方來。

こんな調子で、東西南北中央の地域の特性と罹りやすい病気の種類、有効な治療法が上げられている。
『黄帝内經素問集注』とか『素問直解』『素問呉注評釈』などを読んでみたんだけど、あんまり釈然としない。何でこの配当じゃないといけないのか、というのがどうもわからない。
東の地域は海沿いで、魚を食べて塩辛い味を好むから、みんな色が黒くて、肌のきめが粗くて、よくできものに悩まされる。できものには石の針が効く、なんてことが上には書いてある。東が海、というのは中国の話だからだ。

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2008-07-25

WinReaderPro 9.0に『医心方』活字本(訓点入り)を読ませてみる

うちにある日本語OCRシステムは
 Panasonic CF-W2+WinReaderPro v.9.0
という、今となってはちょっと古めかしいシステムだ。『医心方』の日本医学叢書活字本(訓点入り)の影印本が手に入ったので、どの程度、WinReaderPro 9.0が頑張ってくれるか、試してみた。
解像度はモノクロ 200dpiで読み取り。プレスキャンして原稿位置を直し、読み込ませてみる。
解析はあっという間に終わる。本当は、画像を見ながら、辞書を鍛えていくといいのだが、実はこの活字本の影印版は、元の活字本があまり綺麗に印刷できてなくて、文字が欠けてたりするので、辞書機能を使わずにそのままテキスト化して、手で直すことにした。1頁二段組みの3/4ほどを校正するのに、だいたい1時間半掛かった。というか
 訓点入りの漢文が初回なのに1時間半で校正できてしまう
のである。これは極めて優秀だ。日本医学叢書本は、所謂
 旧漢字のテクスト
だから、若干の読み取り間違いはしょうがないのだが、結構きちんと読んでいる。訓点もばっちり読み込んでいるから、それは削る。
多分、作業量としては200頁くらいを突っ込む予定なので(本当は全文行きたいところだが、取りあえず3月までの予定)一日1頁くらいのペースを守ることができれば、なんとかなりそうだ。ま、来年の6月くらいまで200頁が全部入っていればいいくらいの日程なので、できるところをちょっとずつやっていく、という感じですかね。
日本医学叢書活字本でたたき台用の底本を作って、あとは写本の影印版を見ながら、文字を直していく作業が続く。

対校用に『諸病源候論』も読み込んでみた。昼に、古本屋から届いたばかりの臺灣の国立中国医薬研究所出版のものである。これもちゃんと読めたから、とりあえずは何とかなりそう。こっちはまだ校正を掛けてないので
 読み込めた
というだけの話だけど。

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2008-07-23

中村璋八『日本陰陽道書の研究』(平成5年版)汲古書院

苦節3年、やっと入手。
中村璋八先生の『日本陰陽道書の研究』は、日本における陰陽五行説受容を考えるための基礎文献なのだが、なんせ、すでに古書扱いになっていて、見たら買わないといけない。
しかも、中村先生は律儀でいらっしゃるので、新しい版が出る度に、少しずつ手を入れていらっしゃると聞く。したがって、古書市場には、出版年の違う『日本陰陽道書の研究』が流通しているのだが、購入するのは一番新しい平成5年版でないといけない、というわけだ。平成5年版の前の版は、割と見かけるのだが、平成5年版はなかなか見なかった。見つけても、すでに売約済みだったりして、この3年間買えずにいた。
入手した本は、かなり開き癖がついていて、所々文字の誤りを直している。箱付きでほぼ原価で買ったから、よしとしよう。確かに、文字の誤りは散見するから、先人が直してくれているのはありがたい。それ以外は、綺麗に読まれている。

次は
 岡西為人『宋以前医籍考』
だな。臺灣リプリントが欲しいのだけど、これは流通が少ない上に、持ち主が亡くなりでもしない限り市場に出回らないので、更に厳しい話になりそうだ。
目が悪いので、古本屋巡りができない。勢い、カタログ勝負となるんだけど、どうも『宋以前医籍考』は欲しい人がたくさんいるらしくて、まず見かけない。
どっかでまたリプリントしないかな〜。
10年待った(といってもオンライン『四庫全書』には原文は入っているのだが)『建康実録』は最近入手した。
古書の入手は、それこそ出会いなので、のんびり待つしかないだろうな。

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2008-07-08

拝受 渡辺晃宏(代表)『推論機能を有する木簡など出土文字資料の文字自動認識システムの開発』(平成15-19年度科研費基盤(S)成果報告書・『奈良文化財研究所紀要2008』・市大樹「慶州月城垓字出土の四面墨書木簡」

著者の市大樹さんから頂く。ありがとうございました。
 ・渡辺晃宏(代表)『推論機能を有する木簡など出土文字資料の文字自動認識システムの開発』(平成15-19年度科研費基盤(S)成果報告書
は、奈文研が中心となって取り組んでいた、木簡釈読のためのデータベース解析研究についての分厚い報告書。全部で300ページを越える。
 ・『奈良文化財研究所紀要2008』
は、6月に出たばかりの奈文研紀要の新刊。冒頭にカラー口絵、前半が研究報告、後半が発掘報告。発掘報告の地図や測量図は二色刷りで見やすい。
・市大樹「慶州月城垓字出土の四面墨書木簡」(奈良文化財研究所・大韓民国国立文化財研究所『日韓文化財論集I』奈良文化財研究所学報77所収)
は、慶州の四面墨書木簡(149号木簡)を、日中の資料を援用して読みを確定し、木簡の性格を明らかにした論考。とても面白い。

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2008-06-25

本を入れ替える

極めてばかばかしい理由から、これまで書庫へのアクセスが悪く、本の入れ替えがスムーズに行ってなかった。
さすがに少し考えた。
論文が上がったところなので、校正が終わるまでは、資料は手元に置いておきたい。
ただ、次の論文がすぐ控えているので、そっちの準備もしなくてはならない。
ともかくも、隙間をやりくりして、必要な書物を手元に置き、しばらく見ないだろうものは書庫の奧に入れるという作業に手をつけた。

本棚が使いづらいと、勉強もはかどらない。いくらオンラインでいろんな資料が引けたり、PCに『四庫全書』を入れられる世の中だと言っても、当たりをつけるのと、そこから先を調べるのでは、ちょっとした懸隔がある。検索で同じ文字列が引っかかったからと言って、同じ意味とは限らない。

今の悩みは、辞書をどうするかだ。
書庫には大漢和・漢語大詞典・漢語大字典・望月佛教大辞典・仏書解説大辞典などがあって、こっちの部屋には日国もあるのだけれど、辞書を置いて引くスペースが足りない。漢語大詞典のCD-ROMはは、最近日本語Windowsでも動くようになったみたいで、その内、買わないと、なんだけど、今のところは手で引いている。もっともいま扱ってる文献は唐代以前のものが殆どで、分野も偏っているから、辞書が役に立たないことの方が多かったりもする。
書庫には辞書引き用テーブルがあったのだが、だいたいそういうものの上には、入る場所のない本が積み上がっていたりする。やっぱり、辞書引きテーブルの周囲を片付けるところから始めないとダメかな。
空の機嫌を伺いつつ、本の移動をしないとな。

さっきは、『黄氏逸書考』と『玉函山房輯佚書』を漁っていたのだが、久しぶりに開くものだから、かなり埃だらけになった。その下の棚にあった『大広益会玉篇』も抜き出してきた。残念ながら『原本玉篇残卷』には該当個所がない。
あとは『讀書雜志』『經傳釋詞』辺りも拾ってこないとなんだけど、厚くて大きい書物を置いておくのが難しい。昔の『読書雜志』だから、厚いくせに、電話帳同様の平装本なのだ。変な置き方をしておくと、本を毀すので、スペースを確保しないとな。
ちなみにこれは日本史の論文の準備のためである。何を書いてるかは内緒。

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2008-06-24

国立国会図書館にない本

理論上、日本の出版物は全部押さえている筈の国立国会図書館にない書物は、結構あると言われている。
一つ見つけた。
 月輪賢隆『仏典の批判的研究』百華苑 1971
京大文学部図書館に2冊もある書物がなぜか国立国会図書館のオンライン目録には載ってない。

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2008-06-16

古書を購う

古中先生からご教示いただいた。多謝。
兵庫県の「えちぜん書房」さんが現在2割引セール中。中国関係の古書を中心に扱っている本屋さんだ。
生野高原 えちぜん書房
セールは6月一杯。

注文したものメモ。まだ届いてないのもある。
書誌学関係。
 類書簡説
 類書流別(修訂本)
この辺りは「見たら買う」タイトル。書誌学の書物は、小さいスチールの本棚半分くらいはある。
 漢書芸文志序訳注
小さい本なので、便利。

出土文物関係。
 湖北地区楚墓分区研究
湖北の楚墓といえば「郭店楚簡」。本書は、郭店楚簡についてはほとんど記述がないが、湖北省の楚墓の分布と特徴、時代区分が簡潔にまとまっていた。
 漢帛書老子乙本
図版が欲しかったので。

これは名著。
 唐代進士行巻与文学
日本語訳もある。原著を買い漏らしていたので。

ひょっとしたら、どっかに同じ本が埋もれてるかも、だけど。
 王充年譜
年譜類は、関係するものは、できるだけ入手。

地方志類。
 西京雑記 −長安史蹟叢刊
 類編長安志
どちらも、地元での刊行だったと思う(未着)。地方志は地元編集のものだと、現在の状況などがわかって面白い。今でも、伝承が残ってたりする。

時々、眺めるのに便利かな。(未着)
 西域地名(増訂本)

中国医学関係。
 傷寒論
 注釈傷寒論

値付けは実に良心的。かつ
 送料込み
なので、注文するときにドキドキしなくていい。
メール便で届く。第一便は、丁寧に梱包されて届いた。状態も悪くなかったので満足。

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2008-05-26

新着『東洋學報』89-4/2008年3月

今日届いたところ。
興味がある論文が一篇あった。
・鈴木直美 里耶秦簡にみる秦の戸口把握ー同居・室人再考ー
これから読む。

鈴木氏の論文は、東洋史の王道、秦漢の簡牘から見る
 戸籍と法律論
だ。秦が中国を統一した後の、かつての楚の地から出土した秦簡に記された戸籍を読んで、戸籍がどのように編成され、連座がどの範囲まで及ぶかに着目して
 室人・同居
という法律中の家族の範囲を解析している。
いや〜、最近の出土文物に基づく、秦漢史の再検討って、凄いですね。鈴木氏の論文が扱っている
 里耶秦簡の報告書の出版は2007年
なのだ。出版された写真や釈文を元に、今から2200年以上前の中国の制度を読み解いていく。これが、日中で競争で行われているのだ。
面白かったのは
 五段に分けて記す戸籍の形式
で、これによって、「室人・同居」の区別が一目瞭然、という辺り。
また、天下を統一した秦が、東方六国の制度をどのように包摂していったか、という議論にも興味を引かれた。

思想史や文学で秦漢を扱う身としては、実に勉強になった。

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拝受 宇佐美文理(代表)『中国思想における美・氣・忌・死』平成17-19年度科研費基盤(A)研究成果報告書附篇 課題番号17202004

研究代表者の宇佐美さんから頂く。ありがとうございました。
・金志[玉玄] 氣の感染ー道教禁忌における排除の原理について
・閻淑珍 禁灸穴についてー六朝から唐代の醫學文獻を考察の對象として
・木島史雄 『世説新語』弔問逸話の精神史的文脈ー六朝時代における禮と樂ー
・加藤千惠 内景圖覺書
・宮崎順子 龍脈ー風水思想の大地觀ー
・村田みお 庭園の造營とそのテキスト化ー王世貞「弇山園記」をめぐって
・石立善 慶元黨禁と初期朱子學派の形声
・宇佐美文理 中國藝術における「精」

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2008-04-05

ネットで『源氏物語』現代語訳を読む

『源氏物語』の現代語訳といえば
 与謝野晶子
 谷崎潤一郎
 円地文子
 田辺聖子
 橋本治
 瀬戸内寂聴
といったラインナップが、作家の手によるものだ。この内、与謝野晶子のものは著作権が切れているので
 青空文庫
で全文を読むことができる。
ただ、与謝野晶子訳は、国文学の専門家の訳ではないし、ふるいものなので、間違いはある。

国文学者がwebで公開している『源氏物語』の本文・注釈・現代語訳としては、高千穂大学の渋谷栄一教授の研究がある。
 源氏物語の世界
手軽に『源氏物語』の現代語訳を読むには、与謝野晶子訳に加えて、まずは渋谷教授の研究をガイドとして、一通り読んでから、余力があれば、原文を丹念に読むのがいいかも。最近の高校はどの程度まで古文をやってるのか知らないけど、渋谷教授の注釈は丁寧なので、古語辞典を片手に、意味の通りにくいところを考えていくならば、素人が『源氏物語』を読む分には問題ないだろう。
もっとちゃんと読むつもりなら、それなりに準備して読まないといけないけど、国文学者じゃないんだから、気楽に読んでいいんじゃないのかな。だいたい本文校訂だって、まだ検討の余地ありまくりみたいだし。

他にもそうした動きはあるだろうが、渋谷教授のサイトによると、國學院大學が中心になって『源氏物語』のテクストクリティックをやっているそうだ。
源氏物語の本文資料の再検討と新提言のための共同研究「源氏物語の研究支援体制の組織化と本文関係資料の再検討及び新提言のための共同研究」平成19年度(2007年度) 基盤研究(A) 課題番号:19202009
昨年度から始まったばかりの研究なのだが、成果を期待したい。

わたしが国文に進まなかった理由は、先行論文が多すぎるからで、実際、同期で国文に進み、しかも『源氏物語』を専門にしていた人は、1本論文を発表する前に、先行論文調べに1ヶ月以上掛けていた。それでも見落としがあって、
 わたしの説を読んでないのか
というお叱りの手紙が来る、とかで、
 短大の紀要論文レベルになると、もう集めきれないから、その時はごめんなさいと謝る
んだと聞いた。それはまだCOEなどという
 大量の論文作成システム
がない頃だったから、今はもっと「先行論文」チェックは大変じゃないのかな、と同情している。

子どもの頃、雑誌『太陽』で連載していた舟橋聖一の『源氏物語』の現代語訳は、大量の注釈を入れつつ、解釈していく方式で、難しかったが面白かった。残念ながら完成を見ぬままに、舟橋聖一は亡くなってしまった。守屋多々志の挿絵と相まって、美しい『源氏物語』現代語訳だっただけに、残念だった。

昔から
 『源氏物語』全文読破
を目指す人はたくさんいるのだが、
 須磨帰り
という言葉があるそうで、だいたい第十二帖「須磨」で挫折するんだとか。その点、現代語訳なら、宇治十帖など、光源氏の死後の話は別としても、名前だけあって中味のない「雲隠」までは一気に読めるだろうから、「須磨帰り」の心配はない。

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2008-02-28

小村雪岱『日本橋檜物町』平凡社ライブラリー

版心が印刷されているこの書物は、元本は木版摺だったらしい。印刷に移すときに、平凡社がその体裁を残した。罫線にゆったりと活字が組んである。
挿絵と装幀で名を成し、舞台美術でも活躍した小村雪岱の絵を初めて見たのはいつだったろうか。わたしが記憶しているのは、たぶん、泉鏡花の書物の挿絵と装幀でだと思う。平凡社ライブラリーに収められた本書では、口絵に16ページを割き、小村雪岱の生涯の仕事が、一目で分かる構成になっている。
題名になった日本橋檜物町は、雪岱が暮らした町の名である。

泉鏡花の幻想の世界が、小村雪岱という才能を得て、書物の形に美しく花開いたのは、まさに奇蹟であったと言ってもいいだろう。口絵の8ページ目には、小村雪岱が手がけた泉鏡花の作品の単行本が、並んでいる。見返し、表紙の今はやや色褪せた様子からでも、当時の美しさが忍ばれる。実に手の込んだ、趣向を凝らした造本で、こんな書物を作る技術は、もはや日本からは滅びた。丸背の本をきちんと作れる安い工賃の職人がいないからだ。

鏡花も雪岱も生粋の江戸っ子ではないのだが、他国の人故に、却って、厳しく選び取られた江戸趣味の最上の部分が、そこに残っている。江戸好みの着物の粹は、はんなりとした色気を好む京好みの着物とは、まったく別物だ。関西の着物は「いつも春みたい」などと称されるが、お江戸の水に磨かれた粋は、背筋をぴんと伸ばして、きりっと着こなさないと、「なんて野暮ったい」と不平が聞こえそうな、切れ味の鋭い、凜とした勁さがある。
小村雪岱は、舞台美術家として、装置だけではなく、衣裳のデザインも手がけた総合舞台芸術家である。今では細分化されている舞台美術の職掌の、ほとんどの部分のデザインを考案し、指示を出した。その舞台装置も、芝居小屋によって舞台の大きさが違うのに、脚本のト書きには、四軒、軒を連ねてなんて無茶なことが書いてあるのを、その通りに再現するのである。現代ほど情報化されてない戦前の舞台で、作者のわがままを出来るだけ通して、その通りに建て込んで舞台を作る苦労を、小村雪岱は本書の中で語っているが、舞台は生き物、雪岱苦心の舞台装置も、資料としてはあまり残っていないのではないか。そして、その舞台を実際に見た人たちも、ほとんど死んでしまい、雪岱の舞台美術は、本書の随筆の中にしか残っていないものが多いのではないか。
近代日本の舞台美術家としては、伊藤熹朔がその最初の専門家だが、小村雪岱はそれに続く。本書に収められた戸板康二の文章によれば、小村雪岱が初めて舞台装置の図面を書いたのが大正十三年、それから徐々に舞台美術の仕事を担当するようになった。大正十五年新橋演舞場での「安土の春」の装置が評判となり、歌舞伎座の舞台装置を任されるようになる。戸板康二は小村雪岱の舞台装置の三絶(ベストスリー)を「春日局」「桐一葉」「一本刀土俵入り」としている。実際に舞台を見た戸板康二の文章からしか、その小村雪岱の舞台装置を想像するしかない。舞台装置は、役者が映えてこそのもので、演技を際だたせるための「装置」なのだから、残された図面だけでは、その装置の効果は決して分からないのだ。

小村雪岱の描く女達は、ちょっと春信めいた嫋々とした風情の女達だが、やはり近代の水を潜っている。それでも、まだ、着物が身近にあった時代の女達なのだ。
明治の末に生まれた祖母から、いろんな昔話を聞かされたわたしは、見たことはないが明治の中頃の様子を思い浮かべることができた。小村雪岱は祖母より20年年長で、本人も見てはいないのだが、幕末の江戸周辺のことを聞かされて育っただろう。小村雪岱にとって、絵や舞台の上に描く江戸は、わたしにとっての明治の如く、まだしも、地続きの近しい過去であっただろう。それは、当時の役者も、舞台を見る人たちも同様だったと思う。そうしたある意味幸福な「時代劇」「歌舞伎」の時代は、もはや残っていない。六代目歌右衛門の死とともに、往時の美しい舞台も見物も、記憶の彼方に消えていった。六代目歌右衛門は、大正6年生まれだが、『歌右衛門の六十年―ひとつの昭和歌舞伎史』で伝え聞いた舞台の話を生き生きと語っている。

昭和十五年、小村雪岱は浴室で倒れ、帰らぬ人となった。その後、東京は空襲で焼け果て、関東大震災にも耐えて残っていた江戸の名残は息絶えた。
その意味で、小村雪岱は、江戸を昭和に伝える幸せな人生を全うできたと思う。

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2008-02-20

教科書見本を発注する

漢文の授業は、自作プリントで行っているのだが、歴史好きの学生が、必ず読みたがる
 『三国志』
の漢文講読テクストが白帝社から出ることを關尾史郎先生のblogで知った。
拝受(08/02/19)三国志学会(監修)『漢文講読テキスト 三国志』,白帝社,2008年1月,4-89174-891-3

早速、白帝社のサイトを覗いてみた。


漢文講読テキスト 三国志

■ 『三国志』は、諸葛亮の「出師表」など日本人が最も好んで読んできた歴史書である。
■ 本書は、『三国志』を漢文訓読という伝統的な翻訳方法で読みながら、三国時代の歴史も分かるよう構成されている。
■ さらに、漢文を初めて学ぶ人のために、漢文訓読の語法解説も充実。
■ 学生が高い興味を示す『三国志』は、漢文講読テキストとして最適といえよう。
        ※解答例はご採用の先生にお渡しします。
◆編者:三国志学会 監修  石井仁・渡邉義浩・津田資久・伊藤晋太郎・田中靖彦 

◆ISBNコード : 978-4-89174-891-3
◆サイズ: A5判 200p.
◆本体価格:1700円

う〜ん、とりあえず見本を取り寄せてみるのが吉だな。
中国語の教科書は見本を請求していたけど、大学向け漢文の教科書って、あまりいいのがないので、見本を請求することすら思い浮かばなかった。
出来が良さそうだったら、後期のテクストに使うか。

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2008-02-17

トーマス・M・ディッシュ/朝倉久志訳『いさましいちびのトースター』『いさましいちびのトースター 火星へ行く』早川SF文庫

先週の日曜の朝、BBSの友達が、青くなっていた。
 オーブントースターのスイッチを入れたとたん、家中のブレーカーが落ちた
というのだ。しかも
 これからUPSをつなぐつもりだったサーバのディスクが飛んだ
上に
 つなぎ替えるために設定ファイルだけ書き換えてあった
という悲劇。おもわず
 いさましいちびのオーブントースター
と返事をしたら
 勇ましすぎる
と泣かれた。まさかオーブントースターで飛ぶとは、普段は考えないからなあ。

さて、『いさましいちびのトースター』シリーズの2作は、SFファンにはおなじみの、子どもが読んでおもしろく、大人が読んで考えさせられる作品である。いつ注文を掛けても、品切れで手元になかったのだけれども、上記のやりとりをした後に、アマゾンを覗いたら、2作ともあったので、早速入手した。
朝倉久志さんの訳は、こなれていて読みやすい。
『いさましいちびのトースター』は、森のそばの別荘にうち捨てられてしまったトースター・電気毛布・電気スタンド・掃除機・AMラジオが力を合わせて、だんなさまの都会のマンションに行き着く冒険を描いたファンタジーだ。「人間のために働くのが幸せ」な5つの電気製品は、最後に新しい女主人のもとに落ち着くことになる。
『いさましいちびのトースター 火星へ行く』では、アインシュタインが話の核を作る。アインシュタインが作った補聴器が、相対性理論や、アインシュタインが明らかにしなかった理論を駆使して、トースター達と火星旅行に出かけるのだ。補聴器のおかげで、人間達を皆殺しにしようと企てていた火星の電気製品の企みを知った電気製品達は、アインシュタインの理論を元に、火星へ飛び立つ。そして、殺人のために作られた電気製品達を説得して、平和をもたらし、地球に戻ってくるのである。
電気製品達は、人間の前では動いたり、しゃべったりしないので、こうした苦労や冒険は、ご主人には知られないまま、ひっそりと終わる。
冒険の後も、電気製品達は、「人間のために働く幸せ」な生活を続けるのである。

表紙見返しには、
 ディッシュ本人と愛用しているクロームメッキのトースター
の写真が載っている。アメリカの家庭で今も愛され、日本では60年代のたいていの家庭にあった、ポップアップトースターである。好みの加減に焼き上がると、ぽんとパンが飛び出す、あのトースターだ。
メカニズムが単純で、頑丈で、壊れにくいのが、ポップアップトースターの取り柄だ。
日本だと
 電気炊飯器
がポップアップトースターの位置に来るのだろうけれども、電気炊飯器はしょっちゅう新型が出るし、ポップアップトースターよりは壊れやすいから、ここまで愛着をもたれることもないだろう。
ディッシュの作品は80年と88年に書かれたものだが、その当時の日本は、トースターと言えば、オーブントースターが幅を利かせ、薄いかりかりのトーストが好きなヒトでもなければ、ポップアップトースターをわざわざ使うこともなかった。なにしろ、ディッシュの作品では
 マフィンを焼くのが苦手なトースター
という設定なのだが、日本では
 ポップアップトースターでは餅が焼けない
という欠点が問題になる。それに
 日本では厚切りふわふわのトースト
が好まれるから、普通のポップアップトースターでは焼けなかったりするのだ。
その点、オーブントースターは、小さいオーブンとして、いろんな調理ができるから、便利に使われている。ほとんどの厚さのトーストだけでなく、餅もグラタンもピザも、オーブントースターがあれば何とかなるからな。
『いさましいちびのトースター』は、毎朝かりかりに焼いた薄いトーストを食べる習慣と、クロームメッキでぴかぴか輝く
 アメリカの家電製品の黄金時代
があって、成立する物語だ。
『いさましいちびのトースター 火星へ行く』では
 ポピュラックス
というブランド名の家電製品が
 人間を敵と見なす
のだが、このPopuluxeという言葉は1987年に出版された
 Thomas Hine : Populuxe/the Look and Life of America in the '50s and '60S, from Tailfins and TV Dinners to Barbie Dolls and Fallout Shelters
から取られている。未読だが、ディッシュは序文で、トマス・ハインの同著を上げて、
 1954年から1964年までの美しい一時期、家庭電気器具の黄金時代をさした言葉
だと言及している。
このポピュラックス製品たちが人間を敵視するに至った理由は、
 計画的旧式化
だった。その部分を引用する。


ポピュラックス・ブランドの電気器具は、デザインがウルトラモダンな上に、他社の同じクラスの製品の半値で売り出される予定なのです。しかし、(ここからがずるがしこい広告代理店重役のアイデアですが)この電気製品は二年ほど使うとこわれてしまうので、新品に買いかえなくてはなりません。買いかえた新品も、また二年でこわれます。広告代理店の重役は、わざと普通よりも早くこわれるように設計することを〈計画的旧式化〉と呼んで、アメリカではすでに大成功しているが、ポピュラックス製品の場合は、二倍も早くこわれるから、二倍の利益が上がるはずだ、と説明しました。(p.115)

ソニータイマーですか、ディッシュ。
アメリカの家電製品って、コストコに並んでいるオスターのミキサーとか、ちょっとやそっとでは壊れそうもないようにみえるもんなあ。

ところで、先週の日曜日、オーブントースターに「つうこんのいちげき」を見舞われた友人は、無事システムが立ち上がり、最悪の事態は免れたようだった。

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2008-02-07

『佛教藝術』296/2008-1 毎日新聞社

定期購読している『佛藝』が朋友書店から届いた。
今号は、どれもちょっとずつ専門と引っかかる論文。
題目と斜め読みだけ記しておく。
・菩薩立像の身体比率からみた法隆寺金堂壁画 松原智美
法隆寺金堂壁画には藍本(手本)があったことは確かだが、その藍本が唐のいつの時代のものであったかを、頭部とそれ以外の部分の身体比率を画像から測定して、比較検討した労作。CGの援用が、藍本の年代比定に「印象批評」ではなく、数値的に使えるということを示したことでも画期的だ。
松原氏は、写真による身体比率測定が、あくまで歪みなどがあると断った上で
1. 金堂大壁の菩薩立像は唐・高宗期の藍本による
2. 3号壁の藍本は、大壁の藍本から菩薩像を抜き出して利用している
3. 3/4/7号壁の身体比率は、高宗初期のものではなく、高宗後期から末期の可能性
4. 大壁の藍本は遅くとも天智朝には将来された
5. 法隆寺金堂再建時に、大壁の藍本が利用されると共に、当時の趨勢であった高宗後期から末期の身体比率が3号壁などに援用されて菩薩像が描かれた
と推定している。なお、初唐のインド風の画像は、貞観年間末に玄奘や王玄策がもたらした大量のインドの文物の影響によるとする。
・鶴林寺太子堂内陣荘厳の意想 林温
鶴林寺太子堂内陣の絵画の意匠を細かく分析し、荘厳の意図と現在は失われている普賢菩薩像が本尊ではなかったかと述べる。
・院政期 興福寺にかかわる大仏師 根立研介
麻木脩平氏の根立論文への反論に対する再論。
・快慶及びその周辺作品にみる来迎形阿弥陀三尊像の成立と展開 大澤慶子
初期快慶の作を細部にわたって検証し、来迎三尊像の造形の新たな展開の背景を探る。

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2008-01-20

一次資料の魅力を引き出す難しさ 深沢秋男『旗本夫人が見た江戸のたそがれ 井関隆子のエスプリ日記』文春新書

一次資料に基づいて書かれた歴史書は、これまでにも数多ある。これまでわたしが読んだものは、読んだ後に
 一次資料そのものを読みたい
と痛切な飢餓感を感じるものが多かった。

深沢秋男『旗本夫人が見た江戸のたそがれ』はどうか。
残念ながら、一次資料の持つ魅力を存分に引き出せたと言えない。

原因はいくつかある。
一つは、
 時代背景を説明するために、一次資料の紹介部分を削った
ことだ。井関隆子の日記が書かれた天保11(1840)年1月1日から天保15年10月11日までの5年間が激動の時代であったことを説明するのに、かなりの紙幅を割いている。
二つは
 一次資料の現代語訳がぞんざい
という点だ。井関隆子の日記は文字も文章も流麗である。その
 一次資料のよさ
を現代語訳が生かし切っていない。
 文は人なり
という。井関隆子の魅力を伝えるためには、もっと現代語訳の部分に心を砕くべきであろう。

これは編集者の問題でもあるのだが、
 日記の体裁を破らず、時代背景を入れ込んで編集する
という手もあったはずだ。日記本文の分量が少なく、時代の流れが読めない編集になっており、短い本文に同じ資料が重複したりする不備のために、非常に浅薄な印象を受けるのは、『井関隆子日記』の資料としての価値を考えるならば、実に惜しい。

新書が矢継ぎ早に出ていて、編集者の力量が追いついてないというのを痛感させる出来である。

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点と線の奈良 万城目学『鹿男あをによし』幻冬舎(ネタバレ注意)

夏目漱石『坊ちゃん』の2007年版パロディ。
それが、万城目学の『鹿男あをによし』の骨格となっている。
文体もわざと似せてある。
『坊ちゃん』のパロディだと分かれば、だいたいの登場人物の行く末も最初の段階で見えてくる。もっとも、古賀君に相当する気の毒なキャラクターはおらず、美術教師は野だいこのような悪役にはならず、マドンナに愛されるなど、違いはある。山嵐と野だいこをブレンドしたような立場なのが、主人公の下宿先の孫で、同僚の美術教師「重さん」だ。

何より大きい違いは
 舞台が男子しかいない松山の中学から、奈良の女子高へ変わっている
ことだ。思春期まっさかりの女子高生という、若い男性にはいちばん得体の知れない、扱いの難しい生徒達をいきなり担任することになった主人公「おれ」の困惑がよく描かれている。あの年代の少女達は、残酷で、美しく、のびやかで、傷つきやすい。

そうした道具立てで語られるのは
 60年ごとの「目」の移動の「使い番」に「おれ」が指名される
という、古代史に素材を取ったファンタジーだ。八月に研究室を追われることとなった主人公が、九月十月と女子高で理科の教師として短期間務める。
最初のミッションに失敗し、鹿に「印」を付けられた「おれ」は、日に日に鹿に変貌していく。鹿に変わりつつ、
 定められた期日までに、鼠の使い番からだまし取られた「目」を奪い返し、60年に一度の儀式を滞りなく済ませるよう計らう
のである。

「目」を奪った鼠の使い番が誰で、どうして「目」に執着したかの筋立ては、歴史の話としては底は浅いけれども、ディープじゃない読者には受け入れられるだろう。
わたしは盛大に突っ込んで読んでいたけれども。

気になるのは
 舞台となる奈良が点と線
でしかない点だ。都となった地には、広がりがある。その広がりがまったく見えてこない。ポインティングされた地名だけが浮かび上がる。起伏に富み、歴史を蔵する奈良の魅力はあまり感じない。
そう言う意味では
 一種のトラベルファンタジー
であり、地名は、ドラマの背景以外の意味は持たない。奈良には地霊が騒ぐ場所があちこちにあるのだが、作者の耳には、その声は聞こえていないようだ。

だからこそ、テレビドラマの原作としては、実に扱いいいと言えるだろう。
地霊を描くためならば、映画の方がふさわしい。

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2008-01-18

『唐研究12』の悲劇

あまりにも悲しすぎる。
午後6時過ぎ、京都の朋友書店から電話が来た。
 あの〜、定期購読されている『唐研究』の12号についてなのですが
天聖令特集号となり、一昨年から、朋友書店に
 入荷したら、すぐ届けてね
と頼んであった『唐研究』だというのに。
 実は、人気があって品薄となり、版切れ、「複製本」販売という形になりますが、よろしいでしょうか
だって。
 価格は普通の『唐研究』と同じで、印刷は悪くなります
という情けない話。こんなことなら朋友の入荷を待たないで、さっさとどこかで入手しておけば良かった。写真は諦めるとして、論文は読みたいから、複製本で購入する、と返事をした。

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2007-11-28

湯浅邦弘『戦いの神』研文出版

なぜかamazonに在庫がない模様。
阪大中哲の湯浅邦弘先生の新刊。後書きを読むと
 博論出版時に割愛した部分に加筆したもの
ということだ。ジュンク堂の内容紹介から。


第1部は、中国古代の戦争神「蚩尤」像の変容を追いながら、古代中国における戦争観・平和観の特質について考究する。神話伝説資料を網羅的に検討するほか、新出資料の馬王堆漢墓帛書『十六経』も取り上げる。第2部では中国的文武観について、第3部は唐宋時代の主要兵書について考察。

ちょうど楽天のポイントが1000ポイントくらいあったので、楽天から購入。
まだ全部には目を通してないのだが
1. 蚩尤の形成と変容
2. 兵書の内容
に興味があったので、入手した。そもそも
 陰陽五行思想と兵書は切っても切れない関係
がある。『五行大義』を読んでいる以上、兵書にも目配りしておかないとね。あと
 蚩尤の形成と変容
は、文献学的に跡づけると、結構大変。そもそも、依拠すべき文献の出自(原撰は古い時代のモノでも、中国の書物故、いつの時代から改変されているかとか、気をつけないといけないことは多い)を睨みつつ、画像資料もある蚩尤をどう定義づけるかっていうのは、力業が必要。
卒論・修論でも、蚩尤のことは調べた(というか前漢の辞賦を読んでいれば、蚩尤は当然出てくる)けれども、諸説紛々として、定めがたいという印象がある。(その頃はインターネットだの電子化された『四庫全書』だのという便利なツールはなかったから、ひたすら本をめくって調べた)だいたい、
 各論併記
だもんな。
湯浅先生が、それらの資料をどう収束させて蚩尤像をまとめられたか、それをこれから拝読する予定。

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2007-11-19

古本争奪戦

郵便を取りに行ったら
 通志堂書店

 古書目録35号
が来ていたので、メールで注文。6冊の在庫の有無を尋ねたが、3冊はすでに売れた後。
今回敗北したのは次の3冊。
 南朝寺考
 北涼譯經論
 敦煌古醫籍考釋
古本に「次」があるかどうか分からないけど、ま、しょうがない。
予算が若干余ったので、手元から消えている(たぶん借りてる倉庫のどこかにある)
 六臣注文選
を代わりに発注する。

しかし、今回の目録、抜き刷りが大量に出てるんだけど、誰か退官されたか、亡くなった先生の蔵書流れかな。

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2007-11-06

『愛ルケ』の渡辺淳一先生より御著書を頂戴する

いや〜。冗談だと思ってたのに。
 『愛の流刑地』など話題作を連発する作家の渡辺淳一
は、母校の先輩である。この間、京都で、渡辺淳一の彼女のお一人のやっているお店に行ったら、ママさんが
 こんど渡辺先生が、新しいご本ださはるんですけど
と言い出した。厳しい批評をしてくれるヒトに読んで欲しい、というご希望なのだという。一緒にいた友人達が
 あ、このヒトに送ってあげて。すげーシビアな批評するから
と推薦してくれたので、ママさんが送り先を教えて欲しいと紙を持ってきた。確かに送り先を書いたんだけど、まさか本当に届くとは。
渡辺淳一先生、これから拝読いたします。

で、なぜ渡辺淳一なのかというと、映画化もされた青春小説
 『阿寒に果つ』
のヒロインは実在の人物で、高校生当時、うちの伯父とつきあっていた過去があるのである。その頃、同じ高校で同学年にいた渡辺淳一少年は、内気だったのか、モデルとなった少女にはあまりもててなかったらしい。
その少女は、わが家にも来たことがあって、同じ高校の1年生だった父も逢ったことがある。
 小説に出てくるような、あんな美人じゃないぞ
というのが、父の言い分だが、恋というスパイスがあれば、どんな相手だろうと、絶世の美女美男子になるのが、世の習いである。
渡辺淳一は、その後、作家になってから、女性にすごくモテてるようで、まあ、世の中、不思議なモノだ。
伯父もそこそこモテているが、伯父の場合は舞台美術の専門家だから、女性だけでなく、いろんなヒトにモテている。表象芸術の人達は、才能があるのは最低条件だが、
 実力者にモテるかどうか
かどうかが、その世界で成功する鍵を握っていると、伯父を見るとつくづく思い知らされるのだ。伯父は、プロの絵描きではないのに、今は亡き月光荘のおじさんにもモテていた。

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2007-09-05

外台秘要方

今年の夏はあまりに暑すぎて、一ヶ月ほどへばっていたので、仕事がちっとも進まない。
ようやく
 外台秘要方(げだいひようほう)
を手に入れた。本屋に注文を出すのも忘れるくらい、暑さでボケていた。
亜東書店から。
注文して一日で届いた。亜東エライ!
書名は『外台秘要方』じゃなくて
 『王燾医学全書』唐宋金元名医全書大成 中国中医薬出版社 8,137円
 張登本主編/B5/1212p/精装 ISBN7801567218 /2006.1
底本は日本で景印版を出した宋版の『外台秘要方』なので、マシな方だと思うんだけど、問題は
 横組簡体字
だってあたり。
 ぐえ〜、縦で組め、古典籍なんだから繁体字にしろ
と言いながら、ネットサーフィンをしていて見つけた、中国人の入力した、文字化けの多い『外台秘要』と照らし合わせながら、仕事を片付けている。もう暑いから、夜中〜早朝くらいしか働けない。横浜にいると、みんな朝型の普通の生活だからなあ。今年の夏は暑すぎて、昼間は勉強できるような気温じゃなかった。
本当は横浜に行ってる間に、東京の中国本屋を回るつもりだったんだけど、上野の博物館にすらたどり着けない情けなさだった。
奈良に帰ってきたら、こんどはコンクリートの躯体がこの暑さですっかり熱を持ってしまって、冷房掛けても南側の部屋は冷えないし、屋上に貯水槽があるものだから、水がぬるま湯になってしまっていて、いくらガスの出力を最低にしても、シャワーからは熱湯が出てくる。9月が終わるまでは暑さに苦しみそうだ。

古典籍の簡体字版の問題は
 元の字が複数存在する可能性がある
ときで、こうなると版本を見るしかない。日本で四半世紀前に出た景印版はたぶん、気が遠くなるほど高価な本なので、図書館に行くしかありませんな。
とりあえず3時間ほどで1/4にあたる十巻までは片付けた。こういう仕事は異常に早いんだよな。

明日(というか今日だけど)は消渇、すなわち現代の
 糖尿病
から。

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2007-09-02

多田千香子『パリ 砂糖漬けの日々 ル・コルドン・ブルーで学んで』文藝春秋社

34歳を機に、朝日新聞を辞めて、好きなお菓子作りを次の目標と決めた女性の半べそ系エッセー。バブル期にはよく
 総合職から自分探しの退職→留学
という女性がいたけど、それともちょっと違う。
最初は、新聞社でキャリアの次が見えなくなった社員の辛さが書かれる。朝日は給料がいいので有名だが、それでも心は満たされない。「自分が必要とされなくなったときの身の置き方」について、まだ30ちょっとの女性があれこれ悩まなければならない、新聞社というアンシャンレジュームの弊害がそれとなく語られる。NHKだともっと逃げ場があるからなあ。そこら辺は私企業である新聞社と特殊法人日本放送協会の違いだ。
肩を怒らせていた男女雇用機会均等法第一世代とも違う、均等法が当たり前になってからの女性の身の振り方だ。均等法以前のキャリアウーマン組から見ると
 なんて頼りない、なんてもったいない
というため息が漏れるだろう。戦って手に入れた権利ではなく
 生得的な権利にたいする、均等法施行後世代の執着心のなさ
に嘆く40代半ば以上の女性キャリアは、たぶんこの本に反感を感じるだろう。
著者の父上は38歳で亡くなっている。その年齢にあと4年となったとき
 あと4年しか生きられないなら、好きなことをする
と飛び込んだのが、フランスはパリのル・コルドン・ブルーだ。バブル期には駐在員の妻が
 お稽古ついでに通う学校の一つ
だった。アパルトマンも、えいやっと買ってしまう。こうした
 度胸のよさ
を、著者は当時を振り返って
 知らなかったからできた
というが、それでもなんとか乗り越えてこられたのだから、それも運だし実力だ。
表紙にはパリで学んだお菓子がカラーでいくつも載っているけど、よくよく見ると
 いわゆるパティシエのお菓子
とは違うのが分かる。著者が認めるとおり
 ぶきっちょさんでも、お菓子は作れる
という実例なのである。その代わり
 暖かみのあるお菓子
が並んでいる。そのお菓子同様に、暖かみのある、ほろほろと口の中で融けるサブレのような文体が、著者の持ち味だ。
フランス人は京都人とよく似ている。それを知ってか知らずか、著者は帰国後の住処を、初めて住む京都に決めた。言ったもん勝ちのフランスと、口には出さないけど「そんなんおやめやす」と目が語る京都は、実に心根がよく似ている。
著者の京都暮らしはまだ始まったところだが、パリで2年暮らせたのだから、なんとかなるだろう。せいだいおきばりやす、とエールを送っておこう。

パリのお菓子の本らしく、装幀も組版も洒落ている。

著者のサイト
 おやつ新報
http://www.oyatsu-shinpo.com/
著者のblog
 おやつ新報blog
http://d.hatena.ne.jp/oyatsu-shinpo/

わたしは菓子屋の5代目(といっても菓子屋はとっくにわが家では廃業しちゃったけど)だけど、甘いものを食べ過ぎると四肢麻痺を起こすという厄介な身体なので、著者のように毎日甘いものを食べ続けられないなあ。

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2007-08-21

新収『撰進一千年記念 醫心方』医心方一千年記念会(順天堂大学医学史研究室) 昭和61年(非売品)

先日、『医心方』研究班で坂出祥伸先生からご教示いただいた資料。
千葉の古書店・草古堂から入手。送料込みで790円と格安。後から見るように、790円でこんな凄い論文が掲載されている書物が手に入ってしまうのだから、ありがたい。

『医心方』は永観2(984)年、丹波康順によって、撰述され、朝廷に献じられた。それから1000年目にあたる昭和59(1984)年、日本医史学会が中心となり、10月10日に京都・今熊野観音寺に
 医心方撰進一千年記念顕彰碑を建立
し、丹波康順の功績をたたえ、併せて記念講演会が開かれた。
その時の記念講演会をまとめたのが
 『撰進一千年記念 医心方』
である。
主な内容は次の通り。
 宗田一 日本医学のあゆみ
 矢数道明 江戸医学における『医心方』の影写と校刻事業の経緯
 三迫初男 中国古代医学と医心方
 馬 継興 『医心方』中的古医学文献初探
最後の馬継興論文がともかく凄い。なにせ、『医心方』を博捜して、
 204種の先行する医学文献から1万880条を引用した
と結論づけている。というわけで、『医心方』のみならず古代中国医学にちょっとでも関心があるなら、必読の論文である。

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2007-07-29

そこらにある書物

いや〜、びっくりした。
 加藤純章『経量部の研究』1989 春秋社
って、
 そこらにある書物
だと思っていたら、京大には所蔵がなくてショック。なぜないかという理由は大体分かるが。予算執行が遅いので、買いそびれたというのがたぶん一番真実に近そうだ。
一番近場は、龍谷大学大宮図書館だけど
 禁帯出
なので、直接見に行かなくてはいけない。その前に
 身分証と資料利用依頼書
が必要だ。資料利用依頼書はどこから出してもらうのが一番早いかな。

普通のありふれた書物だと思っていたから、これには驚いた。大学の所蔵一覧を見ても、NIIで18件しか引っかからない。出身大学の東大にもないみたい(単にNIIに登録してないだけかも知れないけど)。ある意味凄い。
東大学内OPACを引いてみても、やっぱり『経量部の研究』はない。『大智度論』の科研報告書は収蔵されてるのに、これは一体何?
だって、『経量部の研究』って、東大で学位を取った後に、学位論文を出版したものじゃないの?
謎すぎる。

続き。
先輩に聞いたら
 あ〜、あれ、オレも持ってないんだ
とのこと。
 評判が良くて、あっという間に売り切れ。部数が少なかったみたいだし、再版してない。
頼むよ、春秋社。再版掛けてよ。
ある程度の年齢以上の研究者だと、たぶん著者から贈呈されているから、別段図書館になくてもいいや、というありがちなパターンで
 東大と京大に収蔵されてない
わけですな。89年だと、ちょうど
 昭和23年組
と呼ばれる
 旧制高校出身、旧制・新制大学ごちゃまぜ
の教官が退官した年で、89年春の図書購入時期はまだ混乱があったはず。この書籍は
 1989年2月20日
に出ているので、88年、すなわち昭和63年度分の図書予算を使い切った研究室が年度末購入を諦め、新年度の始まる4月以降に購入手続きを取ろうとしても、版元品切れ再版なしで売り切れていたんだろうな。
仏教論理学を研究するための基本図書なのに
 大学にあまり所蔵されてない
という、ちょっとかわいそうな書籍だ。

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2007-06-23

中文データベース「中国古籍全録」

明日の『五行大義』班で読みが当たっている。
本文を読んでもよく分からない部分がある。
ググると、
 黄庭内経五臓六府図
という、ちょっと怪しい文献が引っかかってきた。だいたい成立は1000年頃らしいのだが、ぱっと見、『素問』臭いところがあるので、手元の『四庫全書』から影印した『素問』をめくると、
 『素問』の五臓に関する記述をあちこちから引っ張ってきて合成
している部分が多い。
しかし、ググって引っかかったところは、『素問』にはない部分だ。
で、『素問』の繁体字テキストをネットで漁っていたら、
 中国古籍全録
http://guji.artx.cn/
という、これまた底本がよく分からない怪しいデータベースサイトに引っかかった。
とりあえず、『素問』を全文引っ張ってきて、Jeditのtxtに落とした。こうしておけば、検索は楽ちんだ。

「中国古籍全録」の方には、なぜか
 四庫全書総目提要
が入っている。暇なときに全部落として、紀昀に突っ込み入れながら読もうっと。書冊体(要するに普通の本)の『四庫全書総目提要』も余嘉錫の『四庫提要弁証』もあるけど、メモするなら、電子化されたテクストが一番楽だ。
昔は善本主義だったんだけど、最近は京大文学部図書館という心強い援軍から遠い所に住んでいるせいもあり、
 字は直さないとね派
になったので、本が多少ダメでも、せっせと直す。それでも、見落とすから、情けないと言えば情けないのだが、これは肉体的制限から来るモノなので、突っ込まれたら、ありがとうございます、ということにしている。今の体調では、週に一度か二度くらいしか起きられない身体だし(だいたい平均して週に4日以上は寝込んでいる。3月の帯状疱疹の後遺症で、秋まではこの調子が続くらしい)、教えてくれるヒトはみんな先生だ。図書館のごくごく近所に住んでれば、もう少し資料調べができるんだけどな。移動が一番目に来るし、ダメージが大きい。目眩から来てるから、しょうがないんだけどね。

『素問』の方は、やっぱり、当たりで、すごく変なところに用例があった。
う〜ん。一応読んでみたけど、よく分からないから、明日は、『素問』の該当箇所を引いていって、専門家の皆様にお伺いを立てよう。
しかし『五行大義』の「種本」になった部分って、もうほとんどが散逸しちゃってるからな。
何をぶつぶつ言ってるか、専門外の方には今ひとつ理解できないだろうが、悩んでいる箇所は
 亀の甲羅と陰陽五行と五臓六腑の関係
である。今から1400-1000年くらい前の中国人の考えていたことを、もう一度テクストを通じて考えてみるわけだから、いろいろと謎は多いのである。

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2007-06-18

朝鮮文化研究所編『韓国出土木簡の世界』

早稲田の21世紀COEの成果を出版したもの。amazonからさっき到着したところなので、全部は読んでない。
とりあえず、興味を持って一番に目を通したのは以下。
 李基東 東国大学教授 韓国古代木簡の発見による新羅・百済史研究の新たな進展
 橋本繁 早稲田大学助手 金海出土『論語』木簡について
 橋本繁 早稲田大学助手 古代朝鮮における『論語』受容再論
 三上喜孝 山形大学助教授 韓国出土木簡と日本古代木簡 比較研究の可能性をめぐって
 三上喜孝 山形大学助教授 慶州・雁鴨池出土の薬物名木簡について
李基東教授の論文は、韓国における木簡出土の経緯と整理の過程および研究史について、簡略にまとめられていて、今まで外部の人間にはわかりにくかった韓国出土木簡の概略が俯瞰できるようになったのはありがたい。
橋本氏の『論語』に関する二編の論文は、以前金海の『論語』觚について扱ったことがあるので、興味深く読んだ。というか、なぜか拙論を引用していただいて、驚いた。あんな見つかりにくい論文(そもそも掲載されている書籍は簡単に入手できないし、図書館のデータベースでは引っかからない類)をどこから引っ張ってきたのかなと思ったら、このプロジェクトに舘野先生が協力してるのね。たぶん、舘野先生経由だな。それはさておき、金海出土『論語』觚が、公冶長篇のある部分の全文を書写したものであること、また2005年6月にソウル近郊の桂陽山山城から五角柱の『論語』觚が出土し、これも公冶長篇のある部分の全文を書写したものであることを教えていただいた。
気になったのは、童蒙の書(子ども用の教科書)についての感覚だ。『論語』『孝経』が童蒙の書であることは、中国では論を俟たないのであり、古代朝鮮と日本で事情が変わるのは、要するに文字受容の問題だと思う。官僚になるのに必要な文書作成は、古代朝鮮でも日本でも、母語ではない中国語で行うわけだからなあ。で、アスターナ出土の12歳が書写した『論語』鄭氏注については、「ぼく、がんばったね」ではなく、15歳で成人する社会で、なんとか中国の官僚制に身を置こうとした書香の家の子どもの受験勉強だろう。ついでに言うと12歳で『論語』注というのは、そんなに学習の進度としては早くない。まあ、場所がアスターナだからしょうがないって言えばしょうがないのだが。このアスターナの写本に『千字文』冒頭部も合わせて書かれているのは、『千字文』も子どもに中国の文化を教えながら、漢字を習得させる教科書だからで、一緒に書写されているという事実は『論語』が童蒙の書であったことを裏書きする。このあたりの「童蒙の書」に対する感覚は、ベースが中国学にあるか、そうでないかでずいぶん違うのだな、と痛感した。
三上先生の一つめの論文では「椋(くら)」が国字でなく、韓国出土の木簡でも使用されていること、日本の木簡では、「椋(くら)」の文字は8世紀以降は使われなくなることを学んだ。「椋(くら)」の文字には悩んだ時期があったので、これでほぼ解決。ありがたい。
三上先生のもう一つの論文は、雁鴨池出土木簡の薬物名について、簡略にまとめられていて、大変役立つ。来年あたりに日本古代医学について一本論文を書くつもりで準備中なので、雁鴨池出土木簡の薬物名について、インデックスが得られたのは、うれしいな。

これは前に紹介した中国古籍文化研究所編『中国古籍流通学の確立—流通する古籍・流通する文化』と同じシリーズ。早稲田、金あるな〜。

残りはこれからゆっくり読もう。
しかし、朝鮮史って、文字資料がえらく遅い時期のものからしかないから、難しいよね。
あとは、ずーっと懸案の『韓国の古代木簡』が未だに買えてないってことで、もう在庫はないかもしれないなあ。たしか5万円以上するんだよね。ここのところ激しく貧乏なので、1部3万円を越える本を現金で買えないから辛い。だいたい、この手の本屋は現金決済だし。

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2007-06-15

傅芸子(ふうんし)著倉石武四郎識『支那語会話篇』弘文堂1938

大平さんに教えていただいた、
 今は亡き、客と小僧の会話で使用される小僧側の待遇表現が載っている戦前の中国語会話教科書
である。解放以後は
 労働人民はみな平等
だから、こうした身分差による待遇表現はほぼ滅びている。
著者の傅芸子(ふ・うんし)先生は、戦前京大中文で教鞭を執っていた。倉石先生の識語によれば
 旗籍(八旗の一族)
だそうで、満洲族の八旗かしら。清水茂先生が以前おっしゃってたのだが
 北京八旗いいますのは、北京にずっとおったから、いうたら、生粋の北京人で、満洲語より、北京語の本場いう感じですなあ
だそうだ。

 ネットにあるよ
というので、探したら、東京の通志堂で売っていた。送料込みで3120円。
美しい紅色の表紙のソフトカバーの教科書で、図版が多数掲載されている。今は滅びてしまった
 戦前の北京の写真
だ。場合によっては薄葉紙を写真の上に置いていて、写真の図版と地名が合致するようになっている。およそ70年前の書物なのだが、そんなに傷んでいない。

で、たとえばこんな北京の文化街である瑠璃廠の本屋での会話文が出ている。途中、日本人の岡田先生は、主人を相手に、明の袁宏道の文集『瀟碧堂集』の明版の線装本を値切る。値切るところだけ、後ろにざっと訳を付けておく。そのまま訳すとつまらないので、「岡田先生」のセリフは関西弁で訳す。(間違ってたらごめんなさい)


第二十四課 廠肆訪書(瑠璃廠の本屋で本を探す)
顧客 掌櫃的櫃上[口那]麼。
夥計 您請裏辺坐。
顧客 喝、劉掌櫃的。
主人 岡田先生[口阿]、少見少見、請坐請坐。您多喒喒従貴国来的。
顧客 前天来的、我在国裏常接倒爾給我寄来的書目、近来有甚麼好書。
主人 不知您這一時想捜集点児甚麼。
顧客 我想找点児晩明人的集子、近来行市給晩明人的集子。、近来行市怎麼様。
主人 行市微一点、以前因為上海有幾家新書店、印了些、甚麼国学珍本庫・中国文学珍本叢書、把晩明人的著作標点排印起来、定価很賎、所以買的人不少、但是真正蔵書家、仍然不要這種東西的。
顧客 実在是的、不過這於爾們売線装書的、多少総也有点影響。
主人 您看這部万暦版的袁中郎集怎麼様。
顧客 這部書日本有翻刻本、我已経有了。
主人 這部瀟碧堂集帯続集、白紙、個頭児寛大、並且有封面、您留這部罷。(この続集がついた『瀟碧堂集』は白紙で、大きめの判型で、そのうえ見返し・扉がついておりますよ)
顧客 多少銭。(なんぼ?)
主人 五十塊銭、優待您、這按書目上的八折算、四十元。(50元ですが、特別にオマケして、この目録にあるものは二割引にいたしますので、40元です)
顧客 貴点、而且裏頭有水湿。(高すぎるなあ。それに中に水で濡れた跡があるで)
主人 水湿不算甚麼大毛病、還有一部竹紙的、有点虫吃、便宜、九塊銭。(水濡れはそんなにひどい傷にはなりませんでしょう。(全部白紙なのではなくて)一部に竹紙(薄黄色の紙)もあるし、ちょっと虫食いもあるので、お引きしましょう、9元)(注 40元から9元引いたなら31元になるのだが。それとも元値を41元に下げた?)
顧客 我不要那個。(それいらんわ)
主人 您還是拿這部罷、老主顧、少算点可以。(やはりこの本をお持ちくださいな。長年のお得意様ですので、もう少しお負けできますが)
顧客 那麼我給爾三十五元罷。(じゃあ35元でどうや)
主人 您帯去罷。(お持ちください)(注 この会話とよく似た会話をやはり瑠璃廠でしたことがある。その時は骨董を値切っていたのだが。このあたりのやりとりは今でもあんまり変わらない)
主人 爾給我做個套、就手写上書根。(帙をつくって、それから本の小口に書名を書いといてや)(注 線装本すなわち唐本は、外側に「帙」と呼ばれる保護用の箱をつけ、積み重ねたときに書名が分かるように、下側の小口に書名を書いておく。それを本屋の主人に命じているセリフ。本の値段にはこの作業の手間賃も入っている)
主人 是是、得了、我就叫夥計給您送去。您還要甚麼。(はい、心得ました。 小僧に言いつけてお客様に送らせましょう。他にご入り用は?)
顧客 我想找一部鍾伯敬的隠秀軒全集、有書没書。(鍾伯敬の『隠秀軒全集』を探してんねやけど、あるやろか)
主人 現在櫃上没書、過一半天找着了、給您送去。(いま手前どもにはございません。今日明日中に探しあてまして、お送りいたします)
顧客 好、改天見。(わかった。またこんど)

上記に出てくる
 夥計
というのが、現在は死語となった
 小僧
の意味である。この会話篇の教科書は、日本人が北京に旅行に行ったときを想定しているので、しょっちゅう小僧が出てきて、用を言いつかっている。

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那波利貞『唐代社会文化史研究』創文社1974

東城書店より。送料込みで5680円。
古典的名著だが、手元にはなかった。1974年当時で7000円の書物がそれより安い値段で買えてしまう。
いいのか悪いのか。

何が起きているかというと
 古典学の崩壊
が起きているのだ。すでに
 衰退
という段階は通り過ぎた。

数年前に、
 公立図書館の除籍本
として、古本屋から
 ジョセフ・ニーダム『中国の科学と文明』の既刊分
をかなり安い値段で購った。すでに公立図書館では
 古典的名著を置くスペースがない
のだ。
ニーダムの『中国の科学と文明』が図書館の棚から消え、市中の古本屋に出回るような国に日本はなってしまった。

その頃から
 一時は古本価格が高騰して、入手困難だった人文系の専門書の価格が低落
した。これは
 高い古本を買ってまで、研究する人たちが減った
からだ。わたしのように、収入のかなりの部分を書籍につぎ込んでも、本屋の借金が減らないという書痴は別として、
 研究費がもらえない人文系研究者は本を買わなくなっている
のである。

常勤の人文系、しかも直球勝負で古典研究という研究者は
 絶滅危惧種
である。いまは
 誰か古典研究者が定年で辞めると、後任補充されない時代
だ。二つあったポストは一つに、一つあったポストはゼロになっていくのだ。
古典研究者は絶滅危惧種であるだけでなく
 社会にほとんど寄与しない
という点でも、
 珍獣化
している。
このままの状態が続けば
 かつては数万円を超えていた人文系専門書の古書価格もどんどん定価や定価以下で販売
されるようになるだろう。古本屋が在庫をいくら抱えていても、高過ぎれば売れないからだ。
去年は
 高田修 『仏像の起源』岩波書店

 わずか8000円
で購入した。この書物のかつての古本価格を考えると、信じられない値段であった。

わたしのように古典研究が専門で、かつ身体的理由で行動に制限のある人間にとっては、古典的名著が適価で買えるのはありがたいのだが、それは、とりもなおさず
 古典研究者が絶滅に向かっている
だけの話だ。
 儲からない上に、成果が上がらず、現代の「成果主義」では全く評価されない
のが、
 古典研究
である。
また、
 資料のオンライン化
によって、
 資料の博捜が、デジタル化された文献については瞬時に行える
ようになったのも
 古典学の地位を押し下げる役割
を果たした。かつては
 博覧強記
が、古典研究者の必要条件だったが、いまや
 外部記憶がどんな初心者にも平等に検索結果を吐きだしてくれる時代
なのだ。

印刷術が発明されるまでは
 記憶術
が必要だった。数少ない写本の内容をいかに覚えるかが、学問のために必要な技術だったのである。
それと同じことがいま起きている。
 博覧強記
が不要になれば、なにが必要か。それは 
 テクストを確実に読む力
だ。残念ながら、オンライン資料は、読む力を養成するには粗雑すぎるのである。ただ、読む力を養うには、時間がかかる。同じ才能があれば、別な世界で仕事に就いた方が、遙かに稼げるだろう。日本は少子化で、優秀な若い労働力は引く手あまたである。

かくして、古典学は滅びていく。
かつての古典研究者同様
 実家もしくは配偶者の家が裕福で、経済的余裕がある研究者が古典研究に残る
だけだろう。
 研究すればするほど、貧乏になるのが古典学
で、わたしの抱える借金もシャレにならない。(育英会の奨学金返済が大きい。このままいくと、再来年からは博士課程の奨学金を全額返済することになるのだが、返済方法を考えると頭が痛い)
借金を返済するには、古典学以外のアルバイトで稼ぐしかないのである。

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2007-06-13

宮本長二郎『出土部材が解く古代建築(日本の美術 490)』 鈴木規夫編『文化財と科学技術 東京文化財研究所のしごと(日本の美術 492)』

今年の3月と5月に出た「日本の美術」シリーズの二冊。

宮本長二郎 『出土部材が解く古代建築(日本の美術 490)』

日本の各地から出土する木材には、器物や木簡だけでなく
 建築部材
も多い。一つの遺跡から大量に建築部材が出たという報道はされるが
 どんな建物のどういう部材か
ということは、報告書でも読まない限り、なかなか分からない。
本書は、古代建築の専門家を得て、これまでに出土した古代の木材と家形埴輪、著者がフィールド調査で撮影した東アジア・東南アジアの稲作文化圏の少数民族の建築例を総合して、
 弥生時代から10世紀までの日本の木造建築とその技術
を復元する試みである。
家形埴輪で
 デフォルメした表現
と考えられていたものが、実は木材が出土して、その通りの部材の加工をした柱の様子を忠実に表したものだった、と分かる例など、
 出土物を丹念に拾い上げて、再構成する緻密な検証
が光る。
現代の東南アジアの少数民族の建築と日本の古代建築や神社建築との関係については、文化人類学的なアプローチで言及したのを読んだことがあるが、ここまで
 考古学で古代木造建築を語る
ことができるようになったとは、すばらしい。
個人的には
 貴州省侗族の刻み梯子
がツボにはまった。まさに
 こざとへんの象形のもとになった梯子の形
だったからだ。

鈴木規夫編 『文化財と科学技術 東京文化財研究所のしごと(日本の美術 492)』

高松塚・キトラ古墳の保存・修復作業で、何かと話題になった東文研が、
 普段は何をやっているか
という情報宣伝活動のための一冊。てか、大体みんな
 東文研ってなにやってんだっけ?
と悩む。奈文研の場合は
 奈良県内の遺跡の発掘
という、非常にわかりやすい仕事があるから、あんまり
 奈文研って何やってるの
とは聞かれないのだが。

東文研が最近とみに成果を上げている
 顔料の蛍光X線分析
あたりが、まあ、わかりやすい。

ところで、これは余談だけど
 なぜ高松塚古墳の作業日誌がある時期ない、もしくは不十分なのか
という話で、
 修復の人たちは「日報」をつける習慣がなかった
と聞いた。考古学にちょっとでも触れたことがあれば、日報の重要性は、口を酸っぱくして説かれる。作業を終えて、日報を書かないなんてことはあり得ないのだが、美術の人たちには、そういう
 文化がなかった
というオチをちらっと耳にした。
文化財保護の闇は、変なところで深い。

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2007-06-12

新着 『東方宗教』109 日本道教学会

国際シンポから帰ってきたら、届いていた。今号は論文が充実している。
 菊池章太 『女青鬼律』による死霊の救済
 倉本尚徳 北朝造像銘にみる道仏二教の関係 関中における邑義の分析を中心に
 矢羽野隆男 黄遵憲『日本国志』の宗教観 清末外交官の見た神国
軽く目を通しただけだが、どれも面白く、勉強になった。
菊池氏の女青鬼律に関する論考は、昨年の道教学会での発表に基づく。発表も大変に面白かったのだが、論文になると、一段と興味深い。
倉本氏の邑義に関しての論考は、邑義研究の画期になる論文かも知れない。以前、博論で「知識」の問題を扱っただけに、邑義と法社については、また考えてみたいと思った。
矢羽野氏の論考に関しては、黄遵憲の『日本国志』を中心に見ておられるようだが、相補い合う資料として、『人境廬詩草』を使えないのか、という点が気になった。『人境廬詩草箋注』には銭仲聯氏の詳細すぎる注がついているので、さっと読むのには足がすくむのではあるが。
不勉強で知らなかったのだが、最近、横組簡体字版で『黄遵憲全集』(しかも注なし)が出てるのね。一つにまとまっているのは便利だけど、できるだけ横組簡体字の古典書は増やしたくないな〜。

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中国古籍文化研究所編『中国古籍流通学の確立—流通する古籍・流通する文化』

早稲田のCOEプログラムの成果として出版された一つ。
慶應大学斯道文庫の高橋智さんの名前を目次で見つけたので、amazonで探すと、なぜか新本割引の分を発見したので、注文。
基本的には短い論文が集まっている。

まだ、全部読んでないけど、興味を持って通読したのは以下の二編。

高橋智 古籍流通の意義 善本と蔵書史
古屋昭弘 写本時代の書籍の流通と地域言語

高橋さんの論文は、終わりの方の人物年表が大変便利。
古屋氏の論文は、よく使われる書誌学関連の史書等の記載を手短にまとめていてこれも便利。

惜しむらくは、編集に時間が取れなかったのか、組版価格の問題なのか、表などであまり綺麗じゃないのが混じっている点だ。

しかし、早稲田、金があるな。これだけ厚い書誌学の専門書籍に、ぽんと出版助成を出してくれるのね。
書誌学というか、中国学の中心的な書誌学は刊本学だけど、
 文人の基礎教養
の一つで、特に大学では講義はないが、自分で勉強するものの一つだった。わたしの書誌学の先生は、今は亡き尾崎雄二郎先生と、現在は岐阜大にいる坂内栄夫さんだ。坂内さんには、書誌学の書籍をいろいろ教えていただいた。

久々に『書林清話』でも開いてみるかな〜。書誌学の書物の中では、わたしが一番好きな書物だ。

今気がついたけど、『中国思想史研究』の21号
 池田秀三 輯佚の難と校讐の難
は、手元にないかもしれん。あかんやん。中身を読まずに予想すると
 『読書雑志』などの問題点
が書いてあると思われ、なんだけど、違ったりして。
あとで中哲研究室に発注しなくては。池田先生、ごめんなさい。
しかし、京大中哲は、相変わらず開講している授業が充実してますね。このラインナップで学部二年・修士二年鍛えられると、相当足腰が強くなるなあ。
 2007年度の授業
京都にいたら、出席したい授業がいくつもある。

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2007-05-12

電子辞書CASIO EX-Word XD-SW7300 中国語対応

税金がちょっとだけ戻ってきたので、
 CASIO EX-Word XD-SW7300
を買った。小学館の中日・日中辞典(第二版)が入っているので、これが出るのを待っていた。発売は今年の1/26だ。
EX-Wordは三つ目。一つめは、
 宝くじの日で「はずれくじ」が当選した景品
で、いくつかある中から選ぶのだが、電子辞書くらいしか選択肢が無く、送ってきたのを見たらEX-Wordの一般向けだった。
次に買ったのは
 XD-V9000
で、リーダーズを使うために買った。
今回のSW7300は
・液晶が大きく、鮮明かつバックライトつき
・手書き入力対応
・一応音声もついてる
のが売り。あまり期待してなかった
 手書き入力
は、結構使い勝手がよく、気に入った。音声はなくてもいい(てか中国語というか北京語は、発音が身についていれば、ピンイン見れば発音は分かるから、音声は必要ない)んだけどな。その分辞書増やしてよ。SW-7300は、英語や国語辞書は小学館のもので固めているんだが、やっぱり岩波の広辞苑は必要だったりする。
家人が
 前の電子辞書くれ
と言ってきたが、SW-7300には広辞苑もリーダーズもロングマンも入ってないので、
 まだ使うから
と断った。
しかし、中国語に特化した電子辞書つくるなら
 小学館の中日・日中辞典+大修館の中日・日中大辞典+漢語詞典+漢英・英漢辞典
とか、そういうのにすればいいのにな〜。アマゾン価格で8000円ほど高かったGW-7350は
 中日大辞典(第二版) 1987年初版
が入ってるんだが、8000円の価格差に見合うかどうかちょっと躊躇した。87年の辞書だから、ちょっと古いのが難点。あと訳語がこなれてなかったりする。『中日大辞典』引くくらいなら、中中辞典の大きいのを手で引いた方がまし、というのがわたしの感想。紙媒体の辞書の主なものは漢語大詞典などを含めて手元にある。基本的に
 中国語の電子辞書は辞書群の補助ツール
で、軽く調べたいときに使う。web上の新聞読んだり、新着雑誌にざっと目を通す時ね。
 まだ辞書にない語彙or古典語で現代語の辞書には出てこない語彙
は、中国語の場合、結構ある。電子辞書に出せる金額は最大でも3万円までだろう。
現代文に出てきた古典語を調べる場合は
 手抜きで漢和辞典(大漢和辞典を含む)、やる気があるなら辞源
というのが普通だと思うんだけど、どうなんだろ? 大漢和辞典は、
 語彙索引
があるので、ものすごく引きやすくなった。体感速度で10倍以上違う。20秒もあれば、目的の語彙に行き着く。
 語彙索引を調べる(7秒)→語彙索引でわかった、該当の語の掲載されている巻を引き抜いて開く(5秒)→該当の語の載ってるページを開く(2-8秒)

それでも電子辞書の価格はまだまだ高い。
昨日、ヨドバシの電子辞書売り場を通ったら、一回生とおぼしき若者が、店員さん相手に
 ポイントなしだと、いくらまで引いてもらえますか
と質していた。学生はポイントよりも値段だもんね。ヨドバシなどのネット販売もしている大型家電店は
 新入学生割引キャンペーンをもっと大々的にやる
といいんじゃないかな〜。
 アカデミックディスカウントの電子辞書版
だ。

中国語初学者の場合は、
 紙の辞書を手で引いて引いて引き倒す
ことを薦めたい。以前、教科書のオマケでもらって、大変重宝しているのが
 中国語学習辞典 朝日出版社
である。シンプルな辞書で、ちょっとした日中小辞典もついている。初級〜中級までなら、かなり使える辞書だ。語彙の選択も、例文も、いい辞書だと思うし、なにより
 小さくて軽い
のがよい。初学のうちは、いつでも辞書を引けるように、辞書は携帯しやすい大きさ・重さがいいからなあ。

もっとも、
 いきなり新華字典
というスパルタ式に見える辞書使いで中国語を学んだ身としては、
 便利な初学用辞書があるのはいいような悪いような
だ。自分の頭で考えるというプロセスを養うには
 辞書はその言語で書かれた辞書を使うのが一番
だと思うんだけど、どうだろう? 今でも鞄には新華字典が入っているが、最近は
 二色刷でハードカバー
となった。中国へ行くと、本屋でついつい新華字典を買ってしまうが、あまりに小さい辞書なのですぐ見えなくする。そんなわけで、うちには新華字典だけでもかなりの数があるはずだ。
 コンパクトで役に立つ辞書
といえば、やはりこの
 新華字典がこの数十年トップの座を譲ってない
ように思う。

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2007-04-29

拝受@4/28

毛利和雄 『高松塚古墳は守れるか—保存科学の挑戦』NHKブックス

著者の毛利和雄氏からご恵贈頂く。
ありがとうございました。

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2007-04-22

Biblioのない本を読む辛さ 『ベビー・ビジネス』ランダムハウス講談社

Debra L. SPARの"The Baby Business"の抄訳本が
 『ベビー・ビジネス』 椎野淳訳 ランダムハウス講談社
である。読んでいる内に巻末にBiblioのないことに気がつき、手が止まった。
後書きを読むと、抄訳である旨断ってあったので、これは使えない。
早速、amazonで原書を探した。日本のamazonで買った方が安かったので発注した。

データが大量に出てくるこの手の本で、Biblioがついてないのは痛い。読む方は教養書として読み捨てるつもりではなく、日本の不妊治療などとの比較を考えて手にするのが普通だから、参照できない引用だけ並んでいるのではダメなのだ。
文体から言って、翻訳で読むより、原書で読んだ方が早いかも知れない。

雑な翻訳とは言わないが、資料としては不完全すぎて使えない翻訳本である。
2000円を超す本を斜め読みするだけの用途にするのは、ちょっとなあ。

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2006-10-06

同じ本を買う

「ここにあるのは分かっているが、どこにあるかが分からない」
とは京大人文研所長だった尾崎雄二郎先生の名言だ。
いくら整理してあっても、書籍の数が一万冊を超えると、すでに家庭内に収まらなくなってるから、自分が持っているのは確実な本でも探し出せなくなる。ましてや、文庫や新書といった小型本はそうだ。整理できる限界を超えてるので、わが家で文庫や新書を掘り出すのは、なかなか難しい。

もっとも、文庫や新書だと
 見つけたら買っておく本
というのがある。たとえばこんなものだ。
 辻直四郎 インド文明の曙(岩波新書)・リグヴェーダ賛歌・アタルヴァヴェーダ賛歌(共に岩波文庫・赤)
 梶山雄一 般若経-空の世界(旧版は中公新書 新版は中公文庫)・「さとり」と「回向」-大乗仏教の成立(講談社現代新書)
 上村勝彦訳 実利論-古代インドの帝王学(上下)(岩波文庫・青)
 田辺繁子訳 マヌの法典(岩波文庫・青)
 渡瀬信之訳 マヌ法典-サンスクリット原典全訳(中公文庫)
 藤枝晃 文字の文化史(講談社学術文庫)
 西宮一成校注 斎部広成撰 古語拾遺(岩波文庫・黄)
 高田真治・後藤基巳訳 易経(上下)(岩波文庫・青)
 小倉芳彦訳 春秋左氏伝(上中下)(岩波文庫・青)
たぶん、上記の文庫・新書は同じものを複数持っているはずだ。

で、授業の教材に使うので、辻直四郎訳の二冊のヴェーダ本を家中引っかき回して探したのだが、出てこない。
う〜ん、今年の春先に、文庫・新書を一挙に片付けたときに、巨大なKliban Catのぬいぐるみのお尻の下にしまっちゃったかな。授業計画に後期はインド思想史って書いて提出した後だったのに、片付けるときには、花粉症の最盛期でぼけまくっていたような気がする。辻直四郎『インド集』は手に届く範囲にあるから、いざとなったらこれでもしょうがないのだが、やはり文庫があった方がいいので、古本屋のサイトを検索して、発見、先ほど発注した。これでリグヴェーダ・アタルヴァヴェーダは三冊目?
奈良には、
 よそで品切れしていても、なぜか在庫がある謎の本屋
が二軒ほどあるのだが、今回は残念ながらダメだった。

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2006-10-01

故・米山俊直先生の蔵書、奈良県立図書情報館に寄贈される

大学の教養時代、入り浸っていた研究室は
 米山俊直教授の研究室
だった。
 2006-03-20 米山俊直先生ご逝去
http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2006/03/post_45d1.html

米山先生の蔵書が、奈良県立図書情報館に寄贈されたという。
--
#企画展示
□10/3(火)より、2階メインエントランスホールで、「蔵書恵贈記念米山
俊直氏回顧展」を開催します(〜10/15(日))。

  旧都祁村出身の文化人類学者で今年3月に他界された故米山俊直氏(京都大学名誉教授)の蔵書8千冊が、県立図書情報館に寄贈されることになりました。
図書情報館では、地域文化の探究に情熱をかけた米山俊直氏の生涯とその業績を写真や著書により辿ります。

#記念トークショー 「友人・門下生たちが語る文化人類学者 米山俊直氏の世界」開催について
  「蔵書恵贈記念米山俊直氏回顧展」の期間中に、回顧展を記念したトークショーを開催します。お申込み受付中です。

  1 日 時  10月14日(土) 13:30〜15:30
  2 会 場  1階交流ホール
  3 講 師  末原 達郎(京都大学教授)、松田素二(京都大学教授)、
         鵜飼 正樹(京都文教大学助教授)
         司会:高橋 徹(ジャーナリスト)
   4 申込み  往復ハガキ、FAX、メールで
締め切り10/10(当日消印有効)
         申込み専用アドレス koen@library.pref.nara.jp

--
早速、申し込んでおいた。

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2006-09-25

民博に行く

monodoi学兄のblogに啓発されて、民博に出かけた。行きしなに、某大学に寄ったが、月曜日は誰もいなかった。ま、通り道だから寄っただけなので、実害はなかったのだが。

Ms


例によって、行きと帰りは経路を変えた。近鉄奈良→日本橋(大阪地下鉄堺筋線/阪急千里線乗り換え)→山田(大阪モノレール乗り換え)→万博記念公園(大阪モノレール彩都線乗り換え)→公園東口
万博記念公園→千里中央(北千里急行/大阪地下鉄御堂筋線乗り換え)→天王寺(JR大和路線乗り換え)→奈良
民博に行くのは、10年ぶりくらい。97年に博士論文の公聴会を聞きに行ったのが最後かな。
久しぶりに万博記念公園に行くと、有料ゾーンとか無料ゾーンとか、変なことになっていて、東口から入ったら、見えているのに民博に行けない。一度出て、日本庭園側に回る。

目当ては、全盲の民博助手廣瀬浩二郎氏の企画した
 国立民族学博物館|企画展「さわる文字、さわる世界─触文化が創りだすユニバーサル・ミュージアム─」
http://www.minpaku.ac.jp/museum/exhibition/shokubunka/
だ。廣瀬氏とは、京大に戻ったときに、専攻は違ったけれども、何年か文学部で一緒になった。荻窪で飲んでたら、廣瀬氏のご母堂のお友達が隣にいて、いきなりご母堂と電話で話をさせられたことがある。廣瀬氏のすごいところは、荻窪から、目白台の筑波大学付属高等盲学校まで、一人で通っていた点からも伺える。荻窪から電車一本では護国寺には行けない。朝の通勤通学ラッシュ時に、一人で電車に乗り、高校に通った。京大でも、よく一人で大学に通っているのを見かけた。最近、拙blogに時々登場するT助手と廣瀬氏は、国史の同期先輩後輩(T助手の方が下)である。
廣瀬氏を教員として受け入れるに当たって、民博では、いろいろ初めて経験することがあったと聞く。そりゃ、これまで視覚障碍のある教員はいなかったのだから、戸惑うこともあっただろう。もっとも、民博には、他にも障碍をおもちの教員はおいでだし、そもそもがフィールドワークを基本とする集団だから、受け入れには、問題はなかったそうだ。廣瀬氏は、非常に優秀な研究者である。
廣瀬氏の企画展は、力のこもったもので、白杖をもった参観者が、今のシステムが出来る前の点字や、文字を浮き出させるシステム、盲人用算盤などを、実際に触って確かめていた。驚いたのは、明治期に作られた
 金属製の京都の地図
で、その高価なこともさることながら、そうした地図が作られ、販売されるような
 教育のある盲人社会の土壌
が、明治初期にはまだあったのだ、というのを実感した。

廣瀬氏が働いている職場なので、わたしがうろうろして困っていても、みなさん、声を掛けて助けてくださった。これも、廣瀬氏の人徳の御陰であると感謝している。

企画展の後は、インドのヒンドゥー教と仏教の展示を見て、必要なところを撮影、その後、図書室に行った。
民博の図書は、誰でも利用できる。(要身分証)
http://www.minpaku.ac.jp/library/userguide/how.html
民博には、永ノ尾さんや、立川さんが集めた印度学の書籍がある筈なので、それを目当てに行った。もっとも、系統的に集めたわけではないので、同じシリーズでも抜けている物がある。
民博は、書庫に入れてくれるので、本探しが楽なのだが、それでも初めて行く書庫の配列は、わかりにくい。リグヴェーダの文献を探していたのだが、書目による分類ではなく、同じ出版社のシリーズを一つにまとめているので、あちこちに散らばっていて、とうとうBloomfieldのものが見つけ出せなかった。ひょっとしたら、なかったのかも知れないけど。
そもそもが、わたしの覚えてるのは、京大の研究室と今は亡き哲閲の印哲・梵文・仏教学の配列だから、今となっては、まったく役に立たない。ちなみに、探していたのは、四階の研究室の宗教学研究室側の壁の、窓から三番目の本棚のたしか下から四段目の棚の右から七番目くらいにあった本、とかいう、碌でもない覚え方である。(そのあたりにリグヴェーダやアタルヴァヴェーダの祭式関連文献が幾つも並んでいた)
印度学の本棚は、整理の仕方によって、使い勝手が全く変わってしまうのだが、今日は時間が足りず、どこに何があるかを、きちんと見極められなかった。縱になってる背表紙から、横書きのデバナガリを読み取るのは、かなり面倒なのだが、同じシリーズの分類番号が全部一緒なので、結局、きちんと検索してからピンポイントで探しに行かなくてはいけないのがちょっと辛い。あいまい検索で、背表紙をみながら本を抜き取る、というやり方が通用しないのだ。Pali Text Societyのテクストが手前にあったりして、分類の根本思想がわかりにくかった。
家のどこかに沈んでいるはずの、Winternitzのテクストをもう一度コピーして帰ってきた。今更Winternitzでもないのかもしれないけど、基本的な事実関係が、それほどドラスティックに動いてるとも思えなかったので。今年度は、古いバージョンでやってみて、来年度以降、徐々にバージョンアップしていくつもりだ。St

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2006-09-22

奈良県立図書情報館へ行く

中国で歩き回っていたので、歩き馬鹿が治らない。一日一時間以上歩かないと、なんだか調子が悪い。

思い立って
 奈良県立図書情報館
http://www.library.pref.nara.jp/index-j.html
へ歩いていくことにした。利用するのは初めてだ。
できるだけ閲覧手続きを簡素化するために、見たい図書を家で検索して、プリントアウト。

家から行くには、いくつかのルートがあるが、地図で調べてもっとも早く着くだろう経路を選んだ。
もう日が落ちてたので、ちょっと暗かったが、なんとか元の大池を潰して建っている奈良県立図書情報館に到着。思ったより早く着いた。

しかし、
 光熱費は大丈夫なのか
という造りだ。一応
 太陽電池
を一部利用してるみたいだけど、グラスウォールで天井が高い構造だ。2-3階は吹き抜け構造である。明かりの配置も密で、かなり明るくしてるから、果たして
年間メンテナンス費用を算定して建てられてるのか
がとっても疑問だ。

三階には
 拡大読書器
が置いてあったが、使いにくい古いタイプで残念だ。ほとんど利用者がないようで、係のヒトが扱い方がわからなくなって困っていた。今はもっといいタイプの拡大読書器があって、それだと視覚障碍者だけじゃなくて、お年寄りなどでちょっと見にくくなってるヒトにも使いやすいのだが、どうも
 福祉機器納入業者
から、言われるままに機器を入れたようだ。実は、こうした
 福祉機器
は、
 性能が遙かに違っても、なぜか値段が同じ
という不可思議な商取引が行われていて、たぶん
 補助金の関係
だと思うのだけど、どうせ同じ値段なら
 一番使いやすい、最新の拡大読書器
にしてほしかった。あの機種だと、使えるヒトが限られる。去年オープンしたばかりなのだから、選択の余地は大幅にあったはずなのだ。業者に
 不良在庫を押しつけられた
としか思えない。

司書の人達は非常に親切だった。
いろいろ便利な機能があるのだけど、使いこなしてるヒトが少ないように思える。二階には、どうやら、情報関係の学生が新刊講読希望を出してるようなラインナップが並んでいた。ま、コンピュータ関係の簡単な調べ物なら、二階の図書で出来るだろう。

書庫から本を出して貰って、必要な箇所をコピー。コピーと書庫内図書検索は閉館30分前まで受け付けている。コピーはコイン式で一枚10円。A3まで対応している。

帰りは別経路でやはり歩いて帰った。

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2006-09-17

今回買った本@中国東北部と北京

今回の調査旅行では、調査先に資料があれば買ってきた。内部資料もいくつか含まれる。
北京では、内行の北田氏の案内で、瑠璃廠の本屋を徘徊、重い思いをして持って帰ってきた。
あるいは何かの参考になるかも知れないので、以下に書目を載せる。なお再版の別については明示してない。

書名/編著者/出版社/出版年/価格(中国元)
遼寧世界遺産画廊 清福陵/張暁風・何栄偉・佟富貴/瀋陽出版社/2004.1/15.5
遼寧世界遺産画廊 瀋陽故宮/羅麗欣・佟富貴/瀋陽出版社/2005.6/33.8
瀋陽景点民間説/編集委員会/遼寧大学出版社/1998.8/19.8
老北京街巷図志/張洪/山東画報出版社/2004.8/22.8
文苑英華研究/凌朝棟/上海古籍出版社/2005.4/25
銅器辨疑浅説/程長新・王文昶・程瑞秀/文物出版社/2000.1/8.5
高句麗民族文化研究/李殿福/吉林文史出版社/2005.3/28
高句麗考古研究/耿鉄華/吉林文史出版社/2004.12/45
集安旅遊/編集委員会/吉林文史出版社/2005.9/28
渤海上京文集 第一集/渤海上京遺跡博物館/内部資料/2001.1/10
渤海上京地区考古重点収穫ー朝・韓・日・俄渤海考古動向/張慶国・楚福印/内部資料/不明
渤海国史話/黄斌・黄瑞・黄明超/吉林人民出版社/2004.3/25
黒龍江省地図冊//黒龍江省出版社/2006.3/18
金上京歴史文物研究文集/王春雷・楊力/人民文学出版社/2002.6/26.2
阿城金代遺跡簡介/阿城市文物管理局/内部資料/2002+/8
東京夢華録箋注(上下)/孟元老撰・伊永文箋注/中華書局/2006.8/75
歴代宅京記/顧炎武/中華書局/2005.3/25
雍録/程大昌撰・黄永年点校/中華書局/2005.4/20
古籍修復技術/朱賽虹/文物出版社/2001.12/20
唐大詔令集補編(上下)/李希泌主編/上海古籍出版社/2003.12/138
東北史地 2005.6//東北史地雑誌社/2005.6/10
老舎紀念館////30
張家山漢墓竹簡(247号墓)/張家山247号漢墓竹簡整理小組/文物出版社/2006.5/40
郭店楚墓竹簡/荊門博物館/文物出版社/2005.4/360
郭店楚簡校釈/劉釗/福建人民出版社/2005.1/60
西漢礼制建築遺跡/中国社会科学院考古研究所/文物出版社/2003

今回は登山が日程に入ってたので、そのための装備が必要で、スーツケースに余裕がなく、あまり本を買えなかった。

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2006-07-28

『国語と国文学』『女教師ツーウェイ』も買える イオンオンラインショップの定期雑誌購読

しかし、スーパーのオンラインショップの定期購読雑誌リストに
 『国語と国文学』
があるとは。誰の趣味だろう。

もっと気になるのは
N036

明治図書出版 女教師ツーウェイ (9月号〜3月号) 7ヶ月4冊 価格(税込):3480円 配達区分 :別送品 送料(税込)【商品ごと】 0円

商品詳細
女性教師の悩みと問題解決を紹介する教育指導誌。●奇数月27日発売。申込締切日:7月2日まで。

という専門雑誌が存在していて、かつイオンで売っていると言うことだ。 発売元の明治図書からも買えるけどね。
女教師ツーウェイ 2006年9月号

“ここでリセット”二学期に失敗を引きずらない仕事術

巻頭論文 二学期の準備は一学期のシステムを見直し、先手をうつ/師尾 喜代子

“ここでリセット”二学期に失敗を引きずらない仕事術
学力がのびない—何をどのようにリセットするか
 女教師の智恵/伴 佳代・川神 幸
 http://www.tos-land.net/
 男性教師の智恵/善能寺 正美・佐々木 誠
男女仲良くない—何をどのようにリセットするか
 女教師の智恵/田邉 ゆかり・川原 奈津子
 男性教師の智恵/山田 高広・冨山 一美
 http://www.tos-land.net/
学級システムの見直し—何をどのようにリセットするか
 女教師の智恵/藤田 博子・夏目 雅子
 男性教師の智恵/田村 治男・松崎 力
教師の言うことをきかない—何をどのようにリセットするか
 女教師の智恵/越智 鈴穂・佐々木 智穂
 男性教師の智恵/木田 庄継・山中 凛太郎
失敗を引きずらない秘訣
 女教師の智恵/近藤 滋子・守屋 敏江
 男性教師の智恵/八巻 修・国友 靖夫
失敗をチャンスに変える智恵としたたかさ
 女教師の智恵/八和田 広子・本間 尚子
 男性教師の智恵/太田 輝昭・杉本 任士

秋の行事・イベント特集—成功の秘訣を探る
図工展を成功させる/鈴木 恭子
子どもが動くシステムをつくる/小室 亜紀子
実行委員を中心に一体感のある雰囲気作りを/山口 美智子
実行委員のリードで進めるおまつり/牛田 美和子
親も子も感動!!ぼくらの1/2成人式/佐藤 貴子
《賞状がもらえない部分で勝負しよう!》の意味を語る/染谷 幸二
見通しのある計画と個別評定/平田 淳
校外学習・遠足を、学びの共同体とする技術/桑原 和彦
『子供を動かす法則』の通りにすれば間違いなし!!/木村 孝康
相談・企画・運営の力/齊藤 りん
全員主役!生徒に自信を!/坂井 ふき子
一日一ポイント十日で完成 音楽会本番までの道のり/小林 亜津子

連載
すぐ使えるファックスページ 漢字学習ゲーム
 1年用 イラストを見て漢字を書こう/畑屋 好之
 2年用 同じ部分をもつ漢字/守田 のぞみ
 3年用 ちょうせん! 漢字画数めいろ!!/山下 理恵
 4年用 漢字を組み合わせよう/坂本 典子
 5年用 バラバラ漢字を組み合わせて四つの熟語を作ろう/熊谷 博樹
 6年用 チャレンジ!!漢字しりとり/田口 広治
すぐ使えるイラストページ
 二学期に使える季節のカット1/小倉 郁美
 二学期に使える季節のカット2/細羽 瑞穂

連載講座
辛口の応援歌—男先生からみた“女先生の教師修業”
 時間を守れない教師が、すぐれた実践をできるわけがない/向山 洋一
キャリア別・TOSS式教師修業
 若手/一つの授業が全てに波及する/古堅 加恵
 中堅/「憧れ」と「ときめき」が私の原動力/齋藤 光世
 ベテラン/年齢・経験は、関係ない/島 まゆみ
読み聞かせ文庫
 低学年/ぼくはお兄ちゃん/橋本 信介
 高学年/おばあちゃんからの贈り物/田中 由美子
女教師授業修業への道
 見る、そして見てもらうチャンスをとにかく確保する/田中 貴美
女教師のやる気16
 荒れた子どもたちがいっぱいのソフトボールクラブ/東 しのぶ
女教師は見た16
 時間をうみ出す仕事術/赤木 雅美
保健室奮闘記26
 保健室の先生がTOSSデー・女教師三会場の事務局長をやりました!/松島 裕美

グラビア
 若葉マーク先生のドタバタ日記/浅野 美也子
 全国横断サークル訪問/井戸 砂織・福井 三千穂・本間 尚子・西岡 美香・坂上 潤子・佐々木 尚子
巻頭メッセージ
 男教師から見た“…ですよね”女教師論/�山 佳己
巻頭言/師尾 喜代子
女教師喫茶室/石川 裕美
http://www.tos-land.net/
編集後記
表紙、目次イラスト/玉垣 みずほ

刊行: 2006/7/21 対象: 小 中

はあ、小中の女性教諭向け雑誌なのね。惹句はこれ。
1.教師の仕事には男も女もない、と思っている方。
2.女教師なんていういい方は差別的だ、オンナなんていう言葉でなく、女性というべき…と思っている方。
3.オババなんていうのはケシカランと思っている方。
そういう方に読んでほしい雑誌。実践もピカイチ。
なんかトンでもない惹句なんですが。中身は見たことないけど、たぶん、一生目にすることもないだろうし、見たいとは思わないよな。。。

ちなみに専門雑誌は他にも濃ゆいラインナップをずらりと揃えているので、なかなか笑える。
定期購読雑誌予約販売> 専門
 http://www.aeonshop.com/tpshop-bin/tpshop_top.pl?item_sort_key=0&category_lid=2001&category_item_workfile=swww8_20060728041021_27836&page_id=3&category_sid=160&category_mid=110&itemlist_start_index=0&itemlist_max_count=107
しかし、イオンオンラインショップの定期雑誌購読担当って、どういうマーケティングリサーチをしてこのリストを作ってるんだろう? 激しく謎だな。
民主党・岡田克也くんちってだけのことはあるか?イオン。

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2006-07-13

大庭脩先生旧蔵書のお世話になる

古代の船に関する論文を準備しているのだが、なかなか文献が揃わない。
さてさて、と思って、図書館の文献を検索したら、大庭脩先生の旧蔵書が閉架にたくさんはいっていることに気がついた。ところが、
 閉架図書の借り出しは16:30まで
と書いてある。むむ、気がついたのは五時だ。
『歴史評論』2005年12月号が製本されてたので、コピーし終わってから、おそるおそる係の人達に聞いてみた。
 大庭先生の閉架にはいってる書物を拝見したいんですけど、四時半まででしたよね
 まだ、大丈夫ですよ!
おお、これぞ天祐。いそいそと借覧図書を書き出して、お願いした。
やった〜! 大庭先生、ありがとうございます。借りだしたのは、中国書がほとんど。
この手の科学技術関係の書籍は、発行部数が少ないので、二度と手に入らないことがあるのだ。さすがに、日中文化交流史をご専門の一つにされていた大庭先生の旧蔵書だけあって、欲しい本が揃っている。
図書の人達も
 借りてくださる人がいると、こちらも整理のしがいがあります
と言ってくれた。

なぜか、わたしの借り出す本は、そこの図書館では、借り手がわたし以外いなかったりすることが多い。奈文研平城宮発掘調査部の中庭書庫にある宗教関係書籍とか、中国各省別歴史論文集とか。日文研ではたくさん本を買って貰ったけど、敦煌関係書籍など、わたしがいなくなってからはあまり利用されてないものがあるだろうなあ。ああ、たまには本の顔を見に行かなくては。

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2006-06-27

三省堂『全訳 漢辞海』第二版

『五行大義』の研究班で、偶々となりあった宇佐美さんに勧められたのが
 三省堂 『全訳 漢辞海』第二版
だ。今日手元に届いた。宇佐美さんの教え子たちの間で
 角川の『新字源』を駆逐する勢い
なのだという。

特徴は
 字母が『説文解字』『釈名』に掲載されていれば、小篆の字母とともに、現代語訳が載っている
点だ。
http://ja.wikipedia.org/wiki/説文解字
 2000円台で『説文解字』の和訳が手にはいると思えば安い
という指摘に頷く。(定価は2900円)

問題は
 製本がダメなのがある
そうで、
 第二版第一刷なら大丈夫だけど、第二刷以降はダメかも
だというお話。今日届いたのは残念ながら第三刷。
 すぐに壊れたら、速攻で三省堂に送り返して、交換して貰う
ことにしよう。

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2006-06-16

ダン・ブラウン 『ダ・ヴィンチ・コード』上中下 角川文庫

全部で1000万部売れたそうだ。本が売れない、という状況から見ると慶賀すべき話である。

内容に関していうならば、
 ベストセラーはいい本とは限らない
のを体現しているのが『ダ・ヴィンチ・コード』だと思う。確かに、キリストに子孫がいて、いまも血筋を保っている、という設定は衝撃的かも知れないけれども、暗号解読にシオン修道会とオプス・デイの暗闘を絡めた筋立ては、荒っぽさが目立つ。主人公ロバート・ラングドンの人物造型に魅力が感じられないのが一番の問題だろう。ハーヴァードの象徴学者ってこんなしょぼいか?と疑ってしまうわけで、「基づいた資料はすべて真実だ」と断られても、こけおどしに見えてしまう。それとも、宗教学者が英仏独の会話程度ならできると思ってるのが間違い?てか、フランス人が英語が出来ないのと同じ程度にアメリカ人はフランス語が出来ないのか?不思議で堪らない。(というかこういう専門だったら、少なくともかなりの数の言語が読めないと勝負にならないし、現代語であれば最低三つはアクティブだろうし、ハーヴァードに籍を置くなら、三つなんて筈がない)
結局は、
 作者はマーケットが一番大きいと思われる英語圏読者向けに物語を書いている
わけで、いくらなんでも、フランス人が秘密を守るために孫娘に英語を教え込んで、暗号が全部英語で解けて、という設定は
 悪しきグローバリズムの現れ
以外の何者でもない。てか、この場合
 ラテン語で暗号
なら、まだわからないでもないのだが、
 そうすると大多数の読者にはわからない
からな。ま、大衆迎合主義の設定なのである。そもそも、こんなにラテン語の出てこない「象徴」の話って、ヘンすぎる。
謎の構築に力を注ぐあまりに、人物は狂言回し以下におとしめられているし、謎自体も、それほどあっと驚くものでもない。う〜ん、
 ハリウッド映画的張りぼて
というなら、半分くらい当たってるかな?
該博な専門知識をちりばめつつ、人物造型する作品だったら、たとえば、パトリシア・コーンウェルの検屍官シリーズがある。こちらでは、専門知識に溺れずに、人間がそれなりに生きている。
人間が出てくる割に、人物が書き割りでしかないのが『ダ・ヴィンチ・コード』だな。暗殺者に外貌にかかわる先天異常がある、ってのも、安易すぎるし。
まあ、かかえてる謎の割に、謎解きに関わる登場人物があまり賢くなさそうに見えるのが、この小説の一番の欠点だ。全然説得力ないんだもん。

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2006-06-15

末木文美士 『日本宗教史』 岩波新書(古代の部分だけ)

とりあえず、古代の部分だけざっと目を通した。
う〜ん。なんかやっつけ仕事みたいに見えるなあ。もしくは
 授業のシラバス用メモ
って感じかな。たぶん、仏教伝来と日本の「神」との衝突について、末木さんが整理し切れてないんじゃないか、と思う。
あとがきには、「たたき台になれば」という趣旨のことが書いてあるが、古代については、確かにたたき台以外の何者でもない。てか、荒っぽすぎるよね。授業に使えるか、というレベルで考えれば、非常勤の授業ならこれもありだろうけど、東大で同じ内容で授業をしたら、たぶん学生に突っ込まれるだろうな。緩すぎる箇所がいくつもある。

これは岩波の編集部に問題があるのではないか、と感じるのだが。
岩波の編集者は、大学関係者にははなはだ評判がよくない。原稿を依頼したと思ったら、矢の催促。アイデアを練る時間もないままに、本が出てしまう、とは、複数の人から聞いた。

末木さんの『日本宗教史』は、古代に関して言えば、もうあと二回くらい手を入れれば、まだしも全体像が見えたんじゃないかなあ。岩波の新装赤版新書の口切りの企画なのだから、編集部はあまり著者をせかさないことだ。
しかし、古代がこれで通っちゃう編集は、勉強が足りない。

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2006-06-12

違うシリーズになって三作目 パトリシア・コーンウェル『神の手』上下 講談社文庫

毎年年末恒例のパトリシア・コーンウェル検屍官シリーズの14作目なのだが、発売後すぐ入手したのに、車の中に放置してたので、やっと手に取った。
検屍官シリーズは、第12作目の『黒蠅』から、違うシリーズになった、と考えた方がイイ。
その点については、2003年12月に書いた。
 『黒蠅 上・下』 パトリシア・コーンウェル 相原真理子訳 講談社文庫
http://d.hatena.ne.jp/iori3/20031230/p1
ともかくも、初期の設定では
 1980年 ケイ・スカーペッター 40歳 ルーシー 10歳
だったのだ。これで行くと、『神の手』は2005年の事件だから
 ケイ 65歳 ルーシー 35歳
なんだけど、『黒蠅』で年齢変更しちゃったからなあ。
以前の年齢設定については、こちらで確認を。
 *GCB* 検屍官シリーズ年表
http://www.geocities.co.jp/Technopolis-Mars/2221/cornwell/memorial.htm
ベントンは生き返っちゃうし、ケイの一人称から、三人称の叙述に変えちゃうし、
 同じ作者によって書かれているパラレルワールドの『検屍官』シリーズ
ということになる。よほどドル箱を失うのが怖いのだろう。

内容は、まあ、例によってご都合主義だは、整合性は取れてないは、マリーノはいつの間にかハーレー乗りの渋いオヤジに変身してるは、「多重人格の犯人」を持ってくるは、と何でもあり。そもそも
 スーパーハッカーという設定のルーシーが一年もパスワード変更してない
とか
 ハッキングに気づかない
なんてことはあり得ないわけで、要するに
 コーンウェルが自分んとこのマシンのパスワード変更と勘違いしてるんじゃね?
な訳だ。たぶん
 下垂体腫瘍でやる気がなくて
とか、つまらん理屈をつけるのかも知れないが、そんな管理者おかしいってば。だから
 情報がジョーにダダ漏れになってる
ってのは、その話自体成立しないくらい甘い。
多重人格者を犯人にするって、なんか、
 ダニエル・キイスの多重人格もの(『アルジャーノンに花束』は厳密に言えば多重人格とはちょっと違うかも知れないが、類似の設定)
がバカ売れしたので、そっちへ行きたいのかしら。全然こなれてない。多重人格の犯人の「モノローグ」部分は読んでいて、
 お前はメアリー・ウォーカーか!
とか思ってしまった。『凍りつく骨』とか『神の名のもとに』とかね。

ま、科学捜査が世に知られてなかった16年前に始まった検屍官シリーズは、それなりに意義があった。いまや、日本のテレビドラマで、鑑識ネタは当たり前に出てくる時代だ。検屍官シリーズがネタを持たせていた
 目新しい症例
というのも、みんながよく知ってたりするくらい、新鮮味は薄れている。ならばどうするか、というと、パトリシア・コーンウェルは
 脳科学
に行くらしい。って、危ないような気がするな。ということは
 これからはベントンがより重要性を増す
か?

しかし、講談社、どうした? 相原さんの訳がひどい。てか、今回はテクニカルアドバイザーつけてないんじゃないの?くらいひどい。日本語だけ読んでもおかしい、って思うんだから、どうなってんの? 術語の訳はきっちり出す、ってのが検屍官シリーズの良心だったと思うんだけど、担当編集者が変わった? もの凄く投げやり。

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2005-08-15

JAL123便墜落事故関係書籍リスト 群馬県の書店正林堂のサイトから

JAL123便墜落事故から20年の今年、改めて事故を振り返るために、参考になる書籍のリスト。群馬県渋川市の書店「正林堂」が作成し、公開している。
日航機事故「真実のゆくえ」関連書(2005/08/08更新)
http://www2.freejpn.com/~az1156/page039.html
日航機事故 「いのち」のゆくえ、関連書(2005/08/08更新)
http://www2.freejpn.com/~az1156/page063.html

すでに入手困難となっている書籍も少なくない。貴重な図書目録だ。

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2005-07-27

新書のレベルが下がるわけ

必要があって、30年ほど前の高松塚古墳関係の論文を集中的に読んでいる。そして気が付くことは
 いまなら新書一冊になる内容が、30頁ほどの論文になってまとめられている
ということだ。日本人の読む新書の中身はこの30年で限りなく薄くなり、水増しされている。
新書が次々創刊されて、書き手が奪い合いだそうだが、中には
 こんなものを出すのか
という内容もある。しかし、それが売れるということは、読み手自体も、
 簡単に騙されやすくなった
ということだろう。良心的な書き手は、新書を書き飛ばさない。出版社にとって都合の良い書き手とは
 仕事がとにかく速く、中身がわかりやすそうな書き手
である。わかりやすいというのはいいことなのだが、実は
 不正確になっている場合
が往々にしてある。上質の書き手であれば、
 難しいことを易しく書く
のだが、最近は
 間違っていることを、平気で書き散らかしている
ことが少なくない。一見、口当たりのいい新書にはそうした落とし穴がある。

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2005-06-27

萱野茂『ウウェペケレ集大成』再刊

子どもの頃、欲しかったけど高すぎて買えなかった
 萱野茂 『ウウェペケレ集大成』 平凡社
今回、再刊が決まった。
付属のカセットテープはCD化、かつ以前収録されてなかった
 第八話 大まむしがわたしを襲い、蜂の神様に助けられた 話し手 木村きみ 昭和41.1.10
が入る。アイヌ語表記も最新のものに変え、萱野氏本人が訳文に手を入れているという話。
一般書店売りはなし。
定価(税抜き)15000円
平凡社出版販売株式会社 03-3265-5855(営業部直通)

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2005-06-07

中国書の価格に見るインフレ

中国医学の本を古本屋に発注、第一弾が届いた。
捜したのは
 日本の古本屋
http://www.kosho.or.jp/
で、すぐに見つかったのはイイのだが、ここは高いので有名な店なのだった。

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2005-06-05

中国医学の本を買う

昨日は研究会。今は『医心方』を読んでいる。巻一の『黄帝内経太素』の佚文のところから。
どういうわけか、手元には臺灣リプリントの安政の校本がある。これは、まだ学部生だった頃に、中哲の人たちが何人かで『医心方』と『本草経考証』の臺灣リプリントを買うからどうだ、と誘われて購ったものだ。その当時は、まさか『医心方』を勉強するとは思っていなかった。日本で『医心方』というと、医学書というより、房中書の部分に重きを置いているヒトが多いように思う。

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2005-05-22

「マリみて」の薔薇全種撮影敢行

「マリア様がみてる」すなわち略称「マリみて」だが、何巻まで読んだっけなあ。中断して久しい。
それはともかく
 「マリみて」といえば薔薇
である。で、その「本物の」方の薔薇の撮影に友人のstoneさんが成功した。

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図録『飛鳥の奥津城 キトラ カラト マルコ 高松塚。』

なんで「。」で終わるのか謎。これって展覧会の名前なんだぜ〜。誰かモー娘。のファンがいるのか?奈文研。
一冊1000円。カラー図版12ページ、本文47ページ。本文には表・モノクロ図版多数。
執筆担当者は
 石のカラト古墳 奈文研 高橋克壽
 マルコ山古墳 明日香村教育委員会 西光慎治
 その他全部 明日香村教育委員会 相原嘉之
の各氏。巻末に「キトラ古墳・高松塚古墳壁画の保存の歩み」年表と参考文献リストつき。

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2005-05-20

スティーブ・ジョブズの新しい伝記"iCon"到着

発売が一ヶ月早まった、という話だったが、わたしの手元にも今日届いた。割りにさくさく読める感じかな。
感想はその内に。

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2005-05-16

ジョブズの新しい伝記"iCon"近日発売

また出るのか、ジョブズの伝記。てか、元々変人でエピソード満載男だから、いくらでもネタはある、って気がしないでもない。邦訳がどこから出るかは知らないが、きっとその内に出るはず。

Wired News ジョブズCEOの新しい伝記『iCon』
http://hotwired.goo.ne.jp/news/culture/story/20050516201.html

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