2023-03-30

超リニューアル済みの CBETA Onlineがとってもエラい件

あらま、びっくり。
https://cbetaonline.dila.edu.tw/zh/ の検索機能は
 さすがに繁体字の地域
だけあって、冷僻字もきちんと取ってある上に、
 検索スピードが爆速
かつ
 訳語の年代までわかる
のが凄い。
また
 翻訳者と訳出年代
もきちんと表示してくれる。
そのまま鵜呑みにできるかどうかは別だが、目安にはなるよね。後から調べ直せばいいんだし。
また、仏典の


 部立て


もきちんとしてくれている。SATは『大正蔵』準拠だから一部グズグズだもんな。
Macだと元々
 Web Archive機能
があるので、検索結果をそのまま保存できる。


 


後は
 底本が何か
明示してくれるともっといいんだけど、さすがにそれは望みすぎかな。

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『大正新脩大蔵経』の文字チェック@Mac

国会図書館デジタルコレクションの
 送信サービス(要登録)
に『大正新脩大蔵経』(大正蔵)が入ったので、
1 SAT 2018で検索
2 CBETAの漢文大蔵経で全体を確認、必要な箇所をコピペ
3 校勘を国会図書館デジタルコレクションで全文検索をかけて、大正蔵の画像で確認
というやり方にした。
Windowsだともっと簡単かもしれないけど、Macなのでいろいろと不便なところはある。
SAT 2018の大正蔵画像はPDFだったと思うけれど、肝腎の校勘の文字が潰れていることがあって、一応データベースでは校勘情報は取れるようになってはいるのだけど、
 現物で確認
できるようになったのは大きい。CBETAの古い方の漢文大蔵経は56〜64巻が抜けているし、国会図書館デジタルコレクションの全文検索機能は大変便利。
ただし
 全文検索データの元になっているOCRからの文字情報が間違っている
こともあるので、そこはやはり
 目で確かめる
ことに。
まあ、国会図書館デジタルコレクションには、『大正蔵』も『南伝大蔵経』も、その他仏典も多数入っているので、
 図書館や研究室に行かなくても現物が見られる
のは大きい。時間の節約にも、紙で複写しないから資源の節約にもなる。
あ、そうそう、仏教関連で言えば、
 織田仏

 仏書解説大辞典

 望月
も入ってますよ。神道関係文献もかなり充実している。

なお、
 欧米のインド学の著作
は、どう考えても売れ筋でなく、学術出版がほとんどなので、出版からある程度時間が経つと
 全文公開
されていることがままある。ありがたいし、たぶん著者も
 世界中の人に簡単に利用してもらえる
方がうれしいだろう。

最近話題のChatGPTは、ウソを吐くかもしれないらしいから、今のところ
 地道にGoogle検索
を掛けている。

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大蔵経の「宋代」は2つある件

年度内締め切りの原稿を書いているのだが、久々に
 宋代
で、げんなりした。
善良な一般市民は
 宋代
というと
 趙宋(960-1279 北宋 960-1127 南宋 1127-1279)
のことなのだが、仏教が絡むと
 南朝の劉宋(420-479)
のこともあり得る。ついでに言えば
 春秋五覇
に宋が入ることもある。今回は仏典だから、趙宋か劉宋かって辺りなのだが、
 宋代
しか書いてないことがあるので、そのたびに不十分な記述を呪いつつ、一応調べることになるのだ。まあ、趙宋だと太平興国寺辺りが震源地なのだけど。
趙宋訳経というと
 訳の精度がよろしくない場合がある
ので、
 法天とか天息災とか施護とか
が訳者だと、眉に唾を付けながら
 おまえ、そんな暢気な訳でいいのか?
と突っ込みつつ、読み進めることになる。

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2022-04-26

梵巴蔵漢文大蔵経の平行句を探してくれるとんでもないデータベースで、日本語は参加できていない件

ちょっと必要があってPāli語の経典
 Majjhima Nikāya(漢訳の中阿含に相当)
を調べていたら、行き当たったのが
 梵巴蔵漢文大蔵経の平行句を吐き出してくれるデータベース
 Buddha Nexus
https://buddhanexus.net
だ。巴(Pāli)梵(Sanskṛt)蔵(Tibetan)中(Chinese)の大蔵経の文章を適当に入れると、ニューロネットを利用して
 梵巴蔵漢文大蔵経の平行句を即座に検索してくれる
のだ。便利すぎて、一瞬なにが起きたかと思った。その上
 既存の現代語訳
も用意している。

 

このように仏教学でオンライン検索が可能になるまでは、
 平行句探し
は、論文作成の作業ではかなりの時間を必要とするもので、梵巴蔵漢の四つの語学に堪能でないと難しかった。語学の実力が足りず、間違って、似ているけど違うフレーズを引用したりすると、学会やメールで、至極丁寧な言い方や書き方で、しかしながら中身は
 おまえはアホか
という強烈なお叱りをいただいても致し方なかった。
コンピュータが探してくる平行句なので、当然ながら
 結果をそのまま使うのではなく、一応、自力で吟味して使う
という昔と変わらない手順は必要だが
 探し出すための、時間が読めない作業の負担
はぐんと減った。いや〜、
 平行句があるなら、必ず提示せよ
ってのが、今の仏教学の水準ですね。

 

ところで
 現代語訳の部分
なのだが、非常に残念ながら
 日本語訳
は採用されていない。採用されていない理由は推測するしかないが
 著作権等の関連でデータが提供されていない
のだろうと思う。
ああ、もったいない。
せめて
 南伝大蔵経の日本語訳(初版は昭和10(1935)〜15(1940)年)
くらいは、提供できないのだろうか。日本の仏教学の成果がこうした世界的に利用されるだろうデータベースで何も貢献できないなんて、残念で仕方がない。

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2022-03-19

蘇りの秘薬 『牡丹亭還魂記』第三十四齣 詗藥〜赤松紀彦先生の最終講義より@3/16

3/16に
 赤松紀彦先生の最終講義
がオンライン・対面のハイブリッド形式で行われた。テーマは
 湯顕祖『牡丹亭還魂記』
が中心だったが、その中で
 第三十四齣 詗藥
に出てくる
 死せる杜麗娘を蘇らせる秘薬
に触れられた。赤松先生は
 男性の下着を小さく切って焼いて
と上品に説明されていたが、有り体に言えば、男性の下着とは
 下半身につける褌
のことだ。原文はこんな感じ。
 海上有仙方、這偉男兒深褲襠。……翦裁寸方、燒灰酒娘、敲開齒縫把些兒放。

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2022-03-03

国会図書館次世代デジタルライブラリーの「全文検索」機能を使ってみる

国会図書館のデジタルコレクションには、常々お世話になっているのだが、
 次世代デジタルライブラリーでは全文検索可能
次世代デジタルライブラリー
https://lab.ndl.go.jp/dl/ と知り、やってみた。

山田崇仁さんの労作「前漢前少帝の諱について」(『立命館東洋史學』40, 63-102, 2017)
https://ci.nii.ac.jp/naid/120006643068 は、
 そもそも不明だったため「某」と記されていた前漢前少帝の諱
が、印刷の加減で
 恭
と誤読され、そのまま
 少帝恭
に訛化し、ついには中国にも飛び火するさまをトレースした論文だが、これが
 次世代デジタルライブラリーの全文検索
では、一発(というか、実際には「少帝某」と「少帝恭」を検索するので二発だけど)で結果が得られる。全文検索畏るべし。

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2022-02-16

Sanskrit入力用にEasyUnicodeを再インストールする

年末に、
 MacBook Air
がお亡くなりになり、2020年製のApple調整品MacBook Proがやってきた。
直前まで書いていた論文はiCloudには残っていなかったので諦めたが、翌日、翌々日の仕事用のKeynoteはiCloudに保存されていた。ありがとうiCloud。
フルチューンしていたマシンだったため、2ヶ月経ってもまだ補完できてない部分がある。
その一つが
 EasyUnicode
だ。ダイヤクリティカルマークばりばりのローマナイズされたSanskrit入力には欠かせないツールだが
 OS12以上
で使えるのかは謎。とにかくマニュアル通りにやってみた。
マニュアルはこちら
How to Type Transliterated Sanskrit with Diacritics in Mac OSX (Video + PDF)
Diacritics Mac Osx Sanskrit Sanskrit For Yogis Sanskrit Tools Sanskrit Typing Tutorial Video Feb 15, 2019
https://www.yogicstudies.com/blog/how-to-type-transliterated-sanskrit-with-diacritics-in-mac-osx
以前インストールしたことがあるのでビデオは飛ばし、さっそく必要なファイルをダウンロード(上記サイトで該当部分をクリックすると必要なファイルがダウンロードできる)、マニュアルに従って、システムにEasyUnicodeのフォントとファイルをインストール、最後に、
 システム環境設定>言語と地域>キーボード環境設定
で、
 EasyUnicode
を加えて終了。
お、一応ちゃんと動く。

マシンが飛んで、一番困るのは
 カリカリにチューンした辞書
がなくなっちゃうことで、新たに入れ直したATOKの辞書は手に馴染んでないため、
 あまり使わないけど、単語登録された変換候補
を出してくる。必要な単語を出すのに時間がかかってしまい、文章を書く速さが1/3くらいになった気がする。飛んだ辞書の中には
 復元不可能だった単語
もあって痛い。大体が
 中国哲学・中国史・中国文学関連
 医学・東洋医学関連
 薬学関連
といった専門辞書だ。年号辞書は元に戻ったけど、専門用語はまた地道に単語登録していくしかないな。

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2021-06-30

朝からお習字 雅頌を読む(その1)

昨日、
 新型コロナウイルス肺炎ワクチン(ファイザー製)
の第1回を接種してきた。掛かり付け医に
 明日はおとなしくしててください
と言われたので、
 お~いお茶杯第62期王位戦七番勝負 第一局2日目 藤井聡太王位 vs. 豊島将之竜王
をBGVにしながら過ごすとして、思いついて
 『詩経』で出てくると鬱陶しい雅頌
を勉強することにした。
そうなんだよな、雅頌。
 小雅
 大雅
 周頌
 魯頌
 商頌
という
 国家儀礼用の音楽についた歌詞
なんだが、出典で出てくると
 またか、雅頌
という感じで、どうも好きになれない。民謡を集めた「国風」はともかく、演奏を聴いて、眠くなること必至といわれる雅頌。
いつまでも嫌っていてもしょうがないので、まずは
 篇名の書き出し
から始める。どのくらい雅頌が嫌いだったかといえば、
 全篇名の内、いくつか単語登録漏れがある
辺りで明白だ。篇名が登録されてないということは
 読んでない
ってことですからね、ええ。

一応、だらだら書き写した(not コピペ)した篇名を載せておきますよ。
この後、気が向いたら『毛詩』鄭箋で読んでいく予定。

小雅
鹿鳴之什
鹿鳴
四牡
皇皇者華
常棣
伐木
天保
采薇
出車
杕杜
魚麗
南陔

南有嘉魚之什
南有嘉魚
南山有臺
由庚
蓼蕭
湛露
彤弓
菁菁者莪

鴻鴈之什
鴻鴈
庭燎
沔水
鶴鳴
祈父
白駒
黃鳥
我行其野
斯干
無羊

節南山之什
節南山
正月
十月
雨無正
小旻
小宛
小弁
巧言
何人斯
巷伯

谷風之什
谷風
蓼莪
大東
四月
北山
無將大車

甫田之什
甫田
大田
瞻彼洛矣
裳裳者華
桑扈
鴛鴦
頍弁
車舝
青蠅
賓之初筵

魚藻之什
魚藻
采菽
角弓
菀柳
都人士
采綠
黍苗
隰桑
白華
緜蠻
瓠葉
漸漸之石
苕之華
何華不黃

大雅
文王之什
文王
大明

棫樸
旱麓
思齊
皇矣
靈臺
下武
文王有聲

生民之什
生民
行葦
旣醉
鳧鷺
假樂
公劉

蕩之什


桑柔
雲漢
崧高
烝民
韓奕
江漢
常武
瞻卬
召旻

周頌
清廟之什
清廟
維天之命
維清
烈文
天作
昊天有成命
我將
時邁
執競
思文

臣工之什
臣工
噫嘻
振鷺
豐年
有瞽


載見
有客

閔予小子之什
閔予小子
訪落
敬之
小毖
載芟
良耜
絲衣



魯頌
駉之什

有駜
泮水
閟宮

商頌

烈祖
玄鳥
長發
殷武

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2019-07-04

Wikisourceに『古今圖書集成』が入ってた件

ああ、吃驚。

必要があって、『望氣經』を調べていたら、

 Wikisourceに『古今圖書集成』が入っている

のを発見。どのくらい入ってるのか知らないけど、校正してない翻字付。

テクストの電子化、中国はどんどんぶち込んでくるぜ。

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2019-04-28

機械翻訳「みらい翻訳」試用版が凄い件

21世紀の研究者は
 グローバル化
のかけ声と共に、毎年のように
 国際学会・シンポジウムの開催や参加
がほぼ「義務付」けられるようになっている。
20世紀の恵まれた研究者には
 有能な秘書(書類等作成担当)
がいたり、研究室に
 優秀な留学生(下訳やネイティブチェック担当)
がいたりして、学会への参加申込、発表の題目・梗概・発表本文・スライド/ポスター作成などを手伝ってくれたのだが、昨今の
 大学への予算削減
によって、常勤研究者も研究室のスタッフは減り、非常勤の研究者は増加、それほど予算に恵まれない研究分野では
 ワンオペ研究室/者
の状況かと思う。こうなると、
 国際シンポジウム・学会の参加
においても、
 外国語のフォーマットに不馴れなまま応募
することになったりするわけだ。
 勝負は発表内容
だとしても、人文系では、その前のApplication作成は気が重いと感じる、普段はApplicationの要求する外国語で論文を書いていない研究者は結構いるかも知れない。
そんなあなたに
 救世主
の如く登場したのが
 みらい翻訳の試用版 である。
現段階では
 2000字以内の字数制限あり
だが、web上で
 日本語→英語、中国語
 英語、中国語→日本語
の翻訳が可能。
翻訳精度だが、プレスリリースによれば、英語は

機械翻訳サービス 和文英訳がプロ翻訳者レベルに、 英文和訳 TOEIC960 点レベルを達成 ビジネス文章?和文英訳能力がプロ翻訳者に並び、TOEIC960点日本人ビジネスマンを超える
英文和訳能力 TOEIC960点日本人ビジネスマンと同等レベルを達成

中国語は、

日中翻訳は、プロの翻訳者とバイリンガルビジネスマンの翻訳能力に到達 日中翻訳は、プロの翻訳者とバイリンガルビジネスマンの翻訳能力に到達

という実力とのこと。
実際に、日中翻訳を使ってみたが、
 実務文書の下訳としては十分な出来で、自分で手を入れて使えば大丈夫
というレベルだった。書類作成の一番のボトルネック

 下訳を作る時間が節約できる

のがいいんじゃないかな。もちろん

 手は入れないとダメ

だけど。

スライドやポスター作成の下訳にも使えると思う。

中国語は、ちょっと文章が長くなると、時々おかしな訳を吐き出すので、その辺りは要チェック。

研究者だけでなく、

 外国人との接触がある機関

でも試用してみるといいんじゃないかな。機関によってはネイティブがいないとか、いても実務文書作成には馴れてないとか、そうした問題がある場合は、是非お試しを。もし気に入ったら、製品版を買ってあげて下さい。

twitterには賛辞が。

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