2020-01-23

一目瞭然 香港紙「蘋果日報」による新型コロナウィルス肺炎流行状況(中国・台湾)

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武漢肺炎(新型コロナウイルス肺炎)感染状況@1/22

香港の「明報」が伝える1/22現在の
 新型コロナウィルス肺炎(武漢肺炎)
の感染状況。
元記事
【武漢肺炎】湖北確診444宗17死 武漢下令身處公共場所須戴口罩 (22:28)
湖北確診444宗17死 武漢下令身處公共場所須戴口罩

 

1/22現在
10:25 中国国務院インターネット情報事務室による午前の記者会見では、1/22早朝までに全国で
新型コロナウィルス肺炎の確定診断例 440例
死亡 9例
と発表した。
13:24
広東省衛生健康委員会によると、1/22早朝までに、広東省では
 新たな感染 9例
 広州2例 深圳4例 佛山 1例 韶関2例
 内7例では、湖北省に居住するか旅行したことがある
現在のところ広東省では感染は26例で、死者はいない。深圳では確定診断例が14例に増え、省内で最も多い。

 

22:28 湖北省人民政府は記者会見を開き、22日夜8時までに、湖北省では
 新型コロナウィルス肺炎の感染 444例
 死亡 17例
となっている。
また、武漢市政府は、すべての人は市内の公共の場所で必ずマスクを着用するよう指令を出した。違反者には罰則が科される。

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武漢肺炎(新型コロナウイルス肺炎)感染状況@1/21 春節(1/25〜)の大移動に伴い中国国内の感染拡大および世界各地に感染者到達

武漢市で流行が最初に確認されたため、
 武漢肺炎
というありがたくない俗称になっている
 新型コロナウィルス肺炎
だが、春節(1/25〜)の大移動に伴い、感染者が中国国内および世界各地で見つかっている。
ついに中国当局である国家衛生委員会が会見を開いて、
 武漢肺炎の蔓延を認める
ところまで来た。これまでは、
 武漢肺炎の「蔓延」はデマ
として、ネット等での情報拡散に厳しく対応していたが、春節で感染者が世界各地に散らばり、感染が確認されてしまっているので、感染動向を世界に公表しなくてはならない状況に来た。

 

世界各地の医療機関が治療や病態等の解明に当たっているのだが、今のところ、分かっているのは
1. 病原は新型コロナウイルスで塩基配列はWHOに報告済み
2. 新型コロナウイルスの宿主である動物が特定されていない
3. まだ治療法はなく、ワクチンもない
4. 感染様式がよく分かっていないが、これだけ感染が拡大しているところから見ると、ヒトヒト感染しているらしい
という辺りである。

 

香港の「明報」が簡潔にこれまでの感染拡大の状況を報道しているので、それを元にここまでの状況を日本語で。
元記事 1/22付
內地320宗確診 遍四成省市 衛健委專家中招 台現首例 袁國勇警告第三波爆發

 

1/21現在 香港を除く中国国内での新型コロナウィルス肺炎確定診断例の増加数 320例
現在四つの省(湖北省・広東省)と直轄市(北京・上海)で流行中
1/21夜までに初めて感染者が確認された直轄市と省 天津市・重慶市・浙江省・河南省・山東省・四川省・雲南省・湖南省
1/21までに台湾で初めて感染者が確認される

 

医療者への院内感染例 少なくとも21名
湖北省の武漢と黄岡で少なくとも20名の医療関係者に感染
・武漢両間医院では15名が感染 その内1名は脳外科の患者で、そこから14名に院内感染
・黄岡市では医師1名と看護師4名に院内感染
新型コロナウィルス肺炎を調査している国家衛生委員会の委員1名に感染
・武漢で新型コロナウィルス肺炎の感染状況の解明に当たっている国家衛生委員会委員の王広医師(北京大学第1医院呼吸・危重症医学科主任)が感染して治療中。外部が過度に個人の状態に関心を持たないことを希望。なお、今月10日のCCTV(中国中央電視台) の取材では「新型コロナウイルスの毒性は比較的弱く、流行を制御出来る」と話していた。

 

武漢での流行状況
1/21までに60例増加 患者の年齢は15歳から88歳までで、いずれも18日より前に発病
新たな重症者17名 危篤3名 死者2名
死亡者の経過
・48歳女性 糖尿病・脳梗塞・胆石の既往症
 12/10 発病
 12/27 呼吸困難に陥る
 12/31 金銀潭医院に転院
 1/20 多臓器不全により死亡
・66歳男性 慢性閉塞性肺疾患(COPD)・高血圧・II型糖尿病・慢性腎臓病の既往症
 1/11 発熱
 1/16 入院
 1/17 呼吸困難に陥る
 1/20 多臓器不全により死亡
武漢市全体では1/21現在までに 重症51例 危篤12例 死亡6例
 武漢市での重症率は26.7%

 

北京・上海・重慶・浙江等の流行状況
広東省
1/21までに17例増加
その内、武漢に居住または旅行した患者は深圳・珠海・湛江の男性1名女性2名
新たな重症者5名 危篤2名
北京市・上海市・重慶市・浙江省
1/21までに5例増加
これらが湖北省以外で患者数が増加した地域

 

現在流行の第三波が来ている
香港大学微生物学科感染症講座の袁国勇教授は、先日検討のために武漢を訪れ、1/21香港で会見、今回の新型コロナウィルス肺炎の流行状況を三段階に分けて説明した。
1. 最初は武漢で散発的な流行が始まった。大部分は、華南海鮮城と関係している。
2. 第二波の流行では、華南海鮮城付近の2つの狭い地域と武漢のその他の地域に拡がった。
3. 第三波の流行は家庭内感染と院内感染である。
第三波の爆発的な流行を防ぐために、十分な予防措置が必要。新型コロナウィルス肺炎は、SARSより病状は軽いが、ウイルスは変異する可能性があり、それは感染力や重症患者の割合、死亡率に関わる。

 

現在治療薬はない スーパースプレッダーが出現しないか心配
国家衛生委員会のトップクラスのグループのリーダー鍾南山医師は会見で
 現在、新型コロナウイルスの特効薬はない。(感染を拡大する)スーパースプレッダーが出現しないか心配だ。院内感染の主因は、感染防止対策がうまく行ってないからだ。今のところ、新型コロナウイルスの宿主である動物が特定できていない。これまでの感染症の研究から考えると、(食用にされる)タケネズミから感染した可能性が高いのではないか。
鍾南山医師はタケネズミを宿主と想定しているが、タケネズミが宿主であるか否かは不明。

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2018-03-10

3/5成田空港へAI306便でインドから帰国した30代女性が麻疹に感染 すべての経路で接触した麻疹に免疫のない人(未罹患もしくはワクチン未接種or1回のみ接種)に感染の恐れ@山梨県甲府市

ワクチンが設定されている病気というのは
 根本的な治療法がない病気
だ。もし、ワクチンを接種せずに罹ってしまったら、場合によっては死を覚悟しなくてはならない。そうならないよう、
 転ばぬ先の杖としてワクチンを接種して免疫を作る
のだ。もし、ワクチン接種後に、不幸にしてその病気に罹ったとしても
 軽く済ますことができる
のが、ワクチンの利点である。
もちろん
 ワクチンは弱い毒
である。
 弱い毒を用いて、強い毒の害を軽減する
のが、ワクチンという「智慧」である。

日本が
 麻疹輸入国
になって久しいが、
 3/5にインドの長期滞在から帰国した30代女性が麻疹に感染
していることが明らかになった。麻疹ウイルスは大変感染力が強い。その上、空気(飛沫核)感染、飛沫感染、接触感染などさまざまな経路で感染する。従って、密閉された空間に長時間閉じ込められる場合、たとえば
 同じ飛行機に乗っていた
となると、これは感染する危険が高くなる。
 患者は、症状が出る1日前(発疹が出る3-5日前)からウイルスをばらまく
考えられているが、
 インドからの経路が長く、すでにウイルスを排出している段階(発疹が出る直前)で飛行機に乗って帰国した
ため、
 インドの滞在先から始まり、インディラ・ガンディー空港から自宅に到着するまでの間

 長時間、広範囲にわたって麻疹ウイルスをばらまいている可能性
がある。山梨県は
 途中で接触した可能性のある、麻疹に免疫がない、すなわち麻疹に罹ったことがないもしくはワクチンを接種したことのないか1回しか接種していない人へ注意を呼びかけている
ところだ。この中には
 一般には麻疹ワクチンが接種できない0歳の乳児
も含まれるので、是非ご注意を。
山梨県のサイトより。


【報道提供資料】平成30年3月9日 公表 海外から帰国した麻しん(はしか)患者の発生について

平成30年3月8日、甲府市内の医療機関から中北保健所に麻しん発生(臨床診断 例)の届出があり、行政検査の結果、麻しんウイルスが検出されました。
管轄保健所の調査によると、当該患者は、平成30年3月4日までインドに滞在3月5日(月)に日本に帰国し、その後高速バスを利用しており、飛行機、空港ロビ ー、高速バス等において当該患者と接触した方は、麻しんに感染する可能性がありますので、広く情報提供するものです。

利用便
インディラ・ガンディー国際空港→成田国際空港 3月4日 21:15デリー発 3月5日 8:00成田着

空港滞在時間
3月5日 午前8時~午前8時50分

高速バス
3月5日 8:50成田空港発 12:25甲府駅着

1 利用便同乗者、空港利用者の皆様へ(注意喚起)
麻しん患者と接触(同一空間を共有)した場合は、潜伏期間(発病までの期間 を考慮し、接触後14日間(最長21日間)の健康観察が必要です。
上記の利用便や空港をご利用された方で、発熱、発疹等の症状が現れた場合は 必ず事前に医療機関に「麻しんかもしれない」ことを連絡のうえ、医療機関の指示に従い受診してください。
○ また、受診の際は、周囲の方に感染させないよう公共交通機関等の利用を避けてください。

<麻しん(はしか)について>
原因: 麻しんウイルスの感染
症状: 典型例では、感染の約10日後に発熱や風邪症状、2~3日発熱が続いた後、39℃以上の高熱とともに発疹、咳が出現します。
予防: 予防接種がとても有効です。予防接種を2回された方や過去に麻しんにかかったことがある方は免疫があるとされますので、麻しんにかかったことがない方は予防接種歴を確認いただき、必要に応じて医療機関にご相談ください。
(略)
3 参考情報
ア 患者の概要
甲府市在住 30代 女性(麻しん予防接種歴不明)
発症日 平成30年2月27日(発熱)
確定日 平成30年3月9日
症 状 発熱、咳、鼻汁、結膜充血、発疹
海外渡航歴 有(平成29年8月~平成30年3月4日 インド)
イ 患者確認までの経緯
2月27日 発熱(38℃)
  3月5日 早朝に帰国(飛行機を利用)
高速バスにより甲府市内到着

3月5日 発疹
  3月6日 甲府市内のA医療機関を受診、院外のB薬局で医薬品受取
  3月8日 甲府市内のC医療機関の紹介によりD医療機関を受診
D医療機関において麻しん患者と臨床診断
  3月9日 行政検査(ウイルス検査)で麻しんウイルスを検出
現在は自宅療養中
※ 県内の医療機関等における接触者については、保健所の調査により健康観察対象者を特定して対応しています。
(以下略)

げ〜、
 38℃の発熱があって1週間ほど経過があった後、そのまま飛行機に乗っちゃった
のか。それじゃ
 インド国内から日本に帰る間で麻疹ウイルスをばらまく結果
に。
山梨県の公表したフライトプランに該当するのは
 3/4発エア・インディアAI306便
である。
機上では逃げ場がない。
該当する便に搭乗されていた方で、麻疹の免疫がないor不確実な方、麻疹ワクチンを接種していない赤ちゃんの保護者の方は特にご注意を。

なお
 修飾麻疹
といって、
 不完全な免疫がある人が、麻疹に感染すると本人の症状は軽い

 弱いながらも、麻疹ウイルスをばらまく
ので、今回もし感染して修飾麻疹の状態になると
 自覚しないまま、三次感染を引き起こす
こともある。
麻疹は
 子どもの病気
だと、
 軽視されがち
だが、国立感染症研究所が発表している
 麻疹とは
によれば


ヒトの体内に入った麻疹ウイルスは、免疫を担う全身のリンパ組織を中心に増殖し、一過性に強い免疫機能抑制状態を生じるため、麻疹ウイルスそのものによるものだけでなく、合併した別の細菌やウイルス等による感染症が重症化する可能性もある。麻疹肺炎は比較的多い合併症で麻疹脳炎とともに二大死亡原因といわれている。さらに罹患後平均7年の期間を経て発症する亜急性硬化性全脳炎(subacute sclerosing panencephalitis: SSPE)などの重篤な合併症もある。先進国であっても麻疹患者約1,000人に1人の割合で死亡する可能性がある。わが国においても2000年前後の流行では年間約20~30人が死亡していた。世界での2015年の5歳以下の小児の死亡数推計によれば、麻疹による死亡は全体の1.2%を占めている。

と、重症になると
 合併症である麻疹肺炎・麻疹脳炎で死亡することがある
重い感染症である。また
 罹患後平均7年の期間を経て発症する亜急性硬化性全脳炎(subacute sclerosing panencephalitis: SSPE)
は、 極めて稀な合併症だが、大変に重く、
 1歳未満や免疫機能が低下した場合に感染した麻疹ウイルスがゆっくりと数年〜十数年かけて脳を冒す致死的な病
で、
 元気だった子どもが突然運動や知的活動に支障を生じ、やがて寝たきりになって、最後は死亡する
という悲惨な経過を辿る。現在は
 難病に指定
されている。
残念ながら、新しい治療法が試みられてはいるものの、現在までに治療法は確立されていない。
難病情報センターの上記リンク先記事によれば、この病気は4つの段階があり、

第1期は先にあげたような軽度の知的障害、性格変化、脱力発作、歩行異常などの症状が見られます。
第2期はこれらの症状が更に強くなります。そして体がビクッと動く不随意運動(ミオクローヌス)が周期的に見られるようになります。
第3期では、知能、運動の障害はさらに進行して、歩行は不可能となり、食事の摂取も次第にできなくなってきます。この時期には体温の上昇、唾液、発汗異常などの自律神経の症状が見られるようになります。
第4期では意識は消失し、全身の筋肉の緊張も強く、自発運動もなくなります。


 子どもの様子が突然変わる
ところから
 意識がなく、自発運動もなく、寝たきりになる
という経過を辿る。
亜急性硬化性全脳炎では
 0歳で麻疹に罹患している場合、その麻疹の症状は軽い
のが特徴の1つだ。
 麻疹は赤ちゃんのときに軽く済んだ
と喜んでいると、大変稀ではあるのだが、後にこうした悲惨な病気になることがあるという点でも、麻疹は恐ろしい病だ。

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2016-10-17

咳やくしゃみから容易に感染し、稀な合併症だが、下肢の麻痺との関係が疑われている「エンテロウイルスD68型」 現在ワクチンも抗ウイルス療法もなし

10/14付のイギリスの大衆紙 Daily Mail
 「ポリオに似たウイルス」に感染した2歳児が自分の足で歩けなくなる
という記事が載っていた。


British children are at risk from an outbreak of a killer polio-type virus that can leave its victims paralysed

・Enterovirus D68 can be spread easily through coughs and sneezes(エンテロウイルスD68型は、咳や鼻水を介して容易に拡散する。)
・Previously rare bug is on the rise but has no anti-viral cure or vaccine(以前は珍しい微生物だったが、最近流行し始めており、抗ウイルス療法もワクチンも存在しない。)
・It's linked to cases of very young children being left unable to walk(エンテロウイルスD68型は、極小さい子ども達が歩けなくなってしまう症例と関係している。)
・Paralysis can strike and leaves the worst affected fighting to breathe(麻痺が襲うと、最悪の場合には、呼吸困難が遺ることがある。)
By VICTORIA ALLEN, SCIENCE CORRESPONDENT FOR THE DAILY MAIL
PUBLISHED: 22:54 GMT, 14 October 2016 | UPDATED: 08:35 GMT, 15 October 2016

Daily Mail
 ゴシップ満載のタブロイド紙
ではあるのだが、
 子どもの病気や事故、犯罪の犠牲となった子ども
に対しては、同情を寄せて、多く取り扱う傾向がある。

この2歳の坊やが歩けなくなっている原因を作ったと疑われている
 エンテロウイルスD68型
だが、日本ではまだあまり広く知られたウイルスではないだろう。特徴は、上記記事のリーダーにあるように
 子どもが感染すると、喘息や呼吸困難を引き起こすことがある
上に、ごく稀な合併症ではあるのだが、
 最近では、弛緩性麻痺(筋肉が力を失うタイプの麻痺)との関係が疑われている
点だ。
これまで感染例が少なかった関係で、現在のところ、「エンテロウイルスD68型」には抗ウイルス療法もワクチンもない。

国立感染症研究所のサイトより。


エンテロウイルスD68(EV-D68)感染症とは
(2015年10月22日掲載)  EV-D68エンテロウイルス属のウイルスの一つである。エンテロウイルス属には、ポリオウイルスや、無菌性髄膜炎の原因となるエコーウイルス手足口病の原因となりうるエンテロウイルス(EV)71型などが含まれる。エンテロウイルス属はさらに分子系統解析によりEnterovirus A~JおよびRhinovirus A〜C (species)に分類され、EV-D68はEnterovirus Dに属する。またEV-D68のウイルス学的性状はエンテロウイルス属に属し、かぜの原因ウイルスとして知られるライノウイルス(Rhinovirus A〜C)に類似している。EV-D68に感染し発症した場合、発熱や鼻汁、咳といった軽度なものから喘息様発作、呼吸困難等の重度の症状を伴う肺炎を含む様々な呼吸器疾患を呈する。なお、弛緩性麻痺を発症した患者の上気道からEV-D68が検出された事例が欧米や日本などから報告されており、弛緩性麻痺患者の一部におけるEV-D68感染との関連が疑われている。 (国立感染症研究所 感染症疫学センター)

昨年も、
 さいたま市と青森県で、下肢の麻痺を伴う感染例
が報告されている。

さいたま市の症例。(IASR Vol. 36 p. 226-227: 2015年11月号)


エンテロウイルスD68型が検出された、急性弛緩性脊髄炎を含む8症例―さいたま市
エンテロウイルスD68型(EV-D68)は、2014年秋に米国で呼吸器疾患1,153例(2014年8月中旬~2015年1月15日)のアウトブレイクへの関与で注目されているウイルスである1)。米国では同時期に急性弛緩性脊髄炎が120例(2014年8月~2015年7月)と多発し、その一部の呼吸器検体からEV-D68が検出され、関連が疑われている2)。2014年秋は欧州でも呼吸器検体からEV-D68を検出した急性弛緩性脊髄炎3例が報告された3)。
日本では2010年に山形で発症した1例(咽頭ぬぐい液検体)4)、2013年に広島で発症した1例(気管内吸引液検体)5)、EV-D68を検出した急性弛緩性脊髄炎の報告があった。急性弛緩性脊髄炎頻度の少ない合併症だが、発症すると麻痺が残存する。(略)
症例1:11か月男児。急性弛緩性脊髄炎で入院
不活化ポリオワクチン1期3回目まで接種済みで、独歩を獲得していた。
9月6日から発熱(39.1℃)、7日からポリオ様の右弛緩性麻痺が出現して同日紹介受診し、原因検索のため入院した。9月9日~10日にかけて左下肢も弛緩性麻痺が進行して対麻痺となった。中枢神経症状・膀胱直腸障害はなかった。(略)9月10日で麻痺の進行が止まったが、改善は緩徐だった。退院時には左下肢の筋力が回復傾向だが、右は完全麻痺が残った。入院時の咽頭ぬぐい液からEV-D68を検出したが、髄液・便からは検出しなかった。随伴症状は下痢(最大1日9回の水様便)のみ。気道症状は皆無。(以下略)

参考文献
1. Enterovirus D68, CDC:
http://www.cdc.gov/non-polio-enterovirus/about/EV-D68.html(参照2015-10-7)
2. Summary of Findings: Investigation of Acute Flaccid Myelitis in U.S. Children, 2014-15 , CDC: http://www.cdc.gov/ncird/investigation/viral/2014-15/investigation.html(参照2015-10-7)
3. Poelman R, et al., European surveillance for enterovirus D68 during the emerging North-American outbreak in 2014, J Clin Virol 71: 1-9, 2015
4. 菊池貴洋ら,エンテロウイルス68感染および末梢神経障害を合併した横断性脊髄炎の1男児例,脳と発達 43:S298,2011
5. 米倉圭二ら,エンテロウイルスD68型が検出された急性呼吸不全と急性弛緩性麻痺を来した1例,日本小児科学会雑誌 119:1380-1385,2015

さいたま市民医療センター小児科
 豊福悦史 益田大幸 谷口留美 小島あきら 越野由紀 野田あんず
 古谷憲孝 西本 創 高見澤 勝


退院時には、左足の麻痺は改善しつつあったが、右足の麻痺が残っている。ポリオワクチンは接種済みで、ポリオによる麻痺でないことは間違いないだろう。

青森県の症例。 (IASR Vol. 37 p. 12-13: 2016年1月号)


エンテロウイルスD68型が検出された麻痺症状を呈する小児症例を含む2症例―青森県
(略)
症例1:10歳7か月齢の男児、Guillain-Barré 症候群疑いで入院
2015年9月3日から咳嗽が出現し、4日から咳嗽・喘鳴・発熱(38.2℃)があり、かかりつけ医を受診した。6日左膝の違和感・腰部痛が出現し、7日にかかりつけ医を再受診し、プロカテロール吸入にて帰宅した。8日から左下肢の痺れ、脱力が出現し、かかりつけ医を再々受診後、紹介された病院を受診し、Guillain-Barré症候群疑いのため入院となった。Hopkins症候群疑い・髄膜炎疑いで10日に髄液・血清、13日に咽頭ぬぐい液・直腸ぬぐい液を採取し、当センターに検査依頼があった。それら検体について、エンテロウイルスとライノウイルスに共通する5’ NCRからVP4/2領域を増幅するプライマーセット(OL68-1、EVP2、EVP4)により遺伝子を増幅し、増幅産物のDNAダイレクトシークエンス法、BLASTによる相同性検索を行った。その結果、咽頭ぬぐい液からEV-D68が検出・同定された。髄液、血清、直腸ぬぐい液はいずれも陰性であった。また、エンテロウイルスのVP1領域を増幅するCODEHOP PCR法6)による遺伝子増幅を行ったが、咽頭ぬぐい液、髄液、血清、直腸ぬぐい液はいずれも陰性であった。4種類の臨床検体について、培養細胞(RD-A、HEp-2、Vero)を用いたウイルス分離を実施したが、いずれも陰性であった。(略)
今回、我々が示した症例1については気管支喘息の既往があり、弛緩性麻痺症状を示した症例であった。日本ではEV-D68の流行像については多くの点が不明であるが、全国から報告されていることや米国国内の流行状況をみると、今後の動向には注意が必要である。
参考文献
6. 国立感染症研究所, 病原体検出マニュアル 無菌性髄膜炎

青森県環境保健センター 筒井理華 武差愛美 坂 恭平  
八戸市立市民病院 藤田真司 鈴木 豊  
国立感染症研究所ウイルス第二部 吉田 弘

青森県の場合は、10歳男児、小学5年生である。風邪だと思っていたら、急に足の具合がおかしくなり、とうとう左足が麻痺してしまったというのは、ご家族にも、患者さんであるこの男の子にも大きなショックだったろう。身体のリハビリと同時に心のリハビリも必要なケースだ。

エンテロウイルスD68型の流行は、これからも続くと思われる。昨年報告されたような、大変気の毒な症例がこれからも出てくるだろう。
まだ、わたしたちには、このウイルスを防ぐワクチンも、やっつける術もない。咳やくしゃみで容易に感染するこのウイルスを防ぐことは出来ず、もし、不幸にして、感染した結果、麻痺が起こってしまっても
 治してあげられない
のである。

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2016-09-23

赤ちゃんと妊婦を守れ 空気感染(飛沫核感染)等で感染する麻疹(はしか)に治療法はない(その15)奈良県でも麻疹の集団感染か 9/2に奈良ロイヤルホテルの会合に出席した3人が感染 県外から麻疹感染者が同席 関空の集団感染とは異なったウイルス型@9/22

9/21、奈良県は
 麻疹の集団感染
を発表した。
NHKより。


会合出席の3人 はしか発症
今月2日、奈良市内のホテルを利用した男女3人が、相次いで、はしかを発症したことがわかりました。
3人以外に、はしかのような症状などは今のところ無いということですが、県は、同じ日にこのホテルを利用した人たちに対し、念のため、注意を呼びかけています。
奈良県などによりますと、はしかと診断されたのは、▼桜井市に住む40代の男性と▼大和高田市の30代の男性、▼それに奈良市の30代の女性の3人です。
3人は、今月11日から18日にかけて、相次いで発熱や発疹などの症状を訴え、医療機関での検査の結果、はしかであることが確認されました。
3人はいずれも、今月2日、奈良市にある「奈良ロイヤルホテル」で開かれた会合に出席していて、奈良県などが調べたところ、この会合の県外からの出席者の中に、はしかに感染していた人がいたことが確認されたということです。
県は、この県外からの出席者から、はしかの感染が広がったと見ています。
県によりますと、今のところ、このほかに、はしかのような症状を訴える人などはいないということですが、念のため、今月2日にこのホテルを利用し、発熱などの症状が現れた場合は、保健所か医療機関に電話で相談するよう、注意を呼びかけています。
はしかは、関西空港で集団感染が起き、問題となっていますが、今回の奈良県でのはしかとは、ウイルスの遺伝子の型が異なるため、県は、別の感染ルートによるはしかの可能性が高いとしています。
09月22日 00時41分

今回は
 9/2に奈良ロイヤルホテルで開かれた会合
に出席した
 県外の麻疹患者から3人に感染
というわけで、感染経路がわかりやすい。また
 関空の集団感染とはウイルスの遺伝子型が異なる
のも分かっており、県の見立通り
 別ルートでの感染
だろう。
奈良県の発表。


平成28年9月21日発表 報道資料(PDF)

麻しん(はしか)の注意喚起〜麻しん患者の発生について〜

報道資料 発表年月日平成28年9月21日
奈良県担当部署名 奈良県医療政策部保健予防諜感染症係
(略)
奈良市担当部署名 奈良市保健所保健予防課感染症係
(略)

麻しん(はしか)の注意喚起~麻しん患者の発生について~
奈良県内で、複数の麻しん(はしか)患者の発生がありましたので、今後の感染拡大を防止し、注意喚起のため報道発表します。
報道に際しては、患者のプライバシー保護及び施設の風評被害にならないよう、十分配慮していただきますようお願いします。

1 発症者
・発症者数(9月21日 15時現在) 3名
・発症者内訳
患者/年代/性別/居住地/発症日/症状/PCR検査陽性判明日/予防接種歴/備考
① 40歳代/男/桜井市/9/11/発熱・発疹・咳/9/16/なし
② 30歳代男/大和高田市/9/15/発熱・発疹・咳/9/16/あり/県外で発症し現在も県外滞在中
③ 30歳代女/奈良市/9/18/発疹・鼻汁/9/20/あり

2 経過
9月16目(金)
・県外の麻しん患者の接触者(健康観察則について発生、届を医療機関から保健所が受理(患者①及び②)
・保健所が、疫学調査及び検査実施
9月18日(日)
・奈良市保健所が、同県外患者の接触者(健康観察中)について医療機関から発生届を受理(患者③)
・保健所が、疫学調査及び検査実施
3 現在の状況
全員自宅療養中であり、入院者はいない。
4 注意喚起の内容
① 麻しん患者と接触した場合は、潜伏期間を考慮し、接触後21日間の健康観察が必要です。
② 上記発症者は、いずれも9月2日に奈良ロイヤルホテルを利用していることから、同日に同ホテルを利用した方で9月23日(金)までに発熱・風邪症状・発疹の症状が出現した場合は、医療機関の受診が必要です。受診する前に最寄りの保健所に連絡するか、必ず事前に医療機関に連絡し、「麻しんかもしれない」ことを伝えたうえで指示に従ってください。連絡なく医療機関を受診することは絶対にやめてください。
③なお、麻しん患者がホテルを利用した9月2日から3週間が経過する9月23日までホテル従業員の健康観察を実施しており、現時点での発病者はいません。
④麻しんは、麻しんウイルスによって引き起こされる病気で、典型的な症状としては、感染の約10日後に発熱や風邪症状が始まり、2~3日発熱が続いた後、39℃以上の高熱とともに発疹が出現します。全身の免疫力が低下するため、肺炎・111耳炎・脳炎などを合併することもあります。予防接種を1回も受けていない乳児や妊婦が発症すると重症化や流産する危険もあります。定期の予防接種は、1歳児と就学前の幼児(年長児)です。対象者はできるだけ早めに受けるようにしましよう。

今年は、このような
 散発的な麻疹の感染例
が、いくつか報告されることになるだろう。問題は
 10月の次の出荷まで、麻疹ワクチンが「足りてない」状況
である点だ。

海外から、あるいは海外へ、人の出入りが盛んになれば
 日本国内には土着の病原体がなくても、海外では流行を続けている感染症
は、いくらでも入ってくる。ともかくも
 ワクチン供給が安定した時点
で、抗体がない、あるいは不十分な人には
 重要な感染症(命に関わる、あるいは後遺症がその後の人生を大きく変える恐れのある感染症)の予防接種
を勧めたい。また
 麻疹に関しては、国内での発生が激減して、麻疹ウイルスに曝露する機会がほぼなくなっている
ことから
 ブースター効果も望めない
状況だ。今回の奈良県の例でも
 感染者の内、2人はこれまでに予防接種を受けている
わけで、
 20歳で麻疹ワクチンの追加接種
を行って、抗体価を上げるようにする方が、
 成人麻疹を今後抑制できる
のではないか。

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2016-09-19

赤ちゃんと妊婦を守れ 空気感染(飛沫核感染)等で感染する麻疹(はしか)に治療法はない(その14)すべての教職員に麻疹・風疹等の抗体を 横浜国立大学 教員1名が麻疹に感染と発表@9/18

首都圏の大学生の間で
 麻疹が流行
したのは、
 2007年
のことだった。その時の話は以下に。
2007-05-12 大人の麻疹で創価・上智が大学休講 明星大でも4人感染で75人出席停止
http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2007/05/475_e272.html
ほぼ同時に大阪でも、専門学校で
 麻疹の集団発生
が確認された。
2007-05-13 成人の麻疹、大阪でも30人の集団発生 大阪狭山市の専門学校休校
http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2007/05/30_0eed.html
この年の麻疹流行の概報、麻疹 2006~2007年(IASR Vol.28 p 239-240:2007年9月号)では、
平成19年7月27日 厚生労働省健康局結核感染症課 麻しん及び成人麻しん施設別発生状況(最終報 全施設合計)に基づいて


2007年には全国各地の学校で、麻疹による休校、学年閉鎖、学級閉鎖が相次いだ。2007年4月1日~7月21日までに厚生労働省に報告された麻疹による休校数は全国で263あり、特に、高校、大学がそれぞれ73、83と多かった。

と述べている。この他に、
 短大8、高等専門学校4
が、麻疹による休校に追い込まれた。この流行の中心となったのは、2006年度麻疹血清疫学調査ならびにワクチン接種率調査-2006年度感染症流行予測調査より(IASR Vol.28 p 241-244:2007年9月号)によれば、

2006年度調査結果の特徴は、2001年の全国流行以降実施された「麻疹ワクチンを1歳のお誕生日プレゼントにしましょう」キャンペーンにより、1歳以上就学前世代の麻疹を含むワクチンの接種率が上昇し、この世代の抗体保有率が2001年度と比較して飛躍的に上昇したことである。
しかし、既に定期予防接種対象年齢を過ぎていた世代では、約10%のワクチン未接種者が存在するとともに、ワクチン1回接種後のprimary vaccine failureが2.3%存在し、ワクチン1回接種者の9.2%は発症予防に十分な抗体を保有していなかったと考えられる。特に、1歳児と10~19歳群ではその割合が高かった。2006年春の茨城県南部、千葉県での地域流行、2007年の全国流行では、これらの世代が流行の中心になったと考えられた。

とある、2007年当時の
 10〜19歳群
である。現在は、
 19〜28歳
になっている世代だ。上記論文では

今回の流行の中心であった2008年度小学校3年生から高校3年生の世代への2回目のワクチン接種の実施

とあるのだが、相変わらず
 2回接種から漏れている年代から、感染者が出る状況
に変わりはない。この年代は
 免疫が不十分
であるため、
 もう1回麻疹(風疹の抗体がなければ、麻疹・風疹混合のMRワクチン)の予防接種が必要
である。

さて、2007年の成人麻疹大流行から9年を経ているところへ
 今回の成人麻疹の流行
である。9/15には
 横浜国立大学で教員の感染が確認
された。幸い、夏休み中なので、学内で感染を広げる事態に至っていない。横浜国立大学の9/18付発表より。


麻しん(はしか)感染者の発生について(PDF)
平成28年9月18日 横浜国立大学

国内で麻しん(はしか)の患者や集団感染が発生し、感染の拡大が危惧されています。
本学においても、今月15日になって教員1名が麻しん(はしか)を発症したことが わかりました。すでに当該教員と接触した可能性のある教職員に連絡を取り、健康状態 などを確認しましたが、これまでのところ感染は確認されておりません。なお、学生は 夏期休業中のため当該教員とは接触しておりません。
本学としては、今月16日付けで保健管理センター所長より教職員及び学生に対して、 麻しん(はしか)の病態、初発症状の対応、予防接種について周知し、麻しん(はしか) 対策を図っております。

感染した教員の年齢と感染経路が不明だが、
 抗体価が低かった
のは間違いない。

2007年の成人麻疹大流行時には
 60歳男性の「麻疹再罹患」とみられる症例
が報告されている。


麻疹の再罹患と考えられた1例(IASR Vol.28 p 258-258:2007年9月号)
麻疹ワクチン接種後の麻疹の罹患は修飾麻疹として知られているが、一般に、麻疹に罹患した後の再罹患はないと考えられている。しかし、麻疹の罹患後にも麻疹ウイルスの感染が起こり、発症しなくても抗体価の上昇を来すことは知られている。今回、我々は麻疹の再罹患と考えられる1例を経験したので報告する。
症例は60歳男性で職業は医師、母親の弁では3カ月の時に麻疹に罹患している。麻疹ワクチンの接種歴はなし。(略)
本症例では典型的な麻疹と異なり、発熱、発疹が軽度であったが、IgM抗体価およびその変動からみて麻疹と考えられた。生後3カ月における麻疹の既往歴は間違いである可能性もあるが、本症例では既に発病6日後のIgG抗体価が高値であり、発病前に麻疹に対する不十分な抗体を有していて再罹患した可能性が高い。(略)
麻疹に自然罹患することで生ずる免疫は強固なものであり、一生涯続くと考えられている。しかし、罹患後に麻疹ウイルスに曝露されないと、防御免疫は消退していくことも考えられる。また、本症例のように生後間もなく麻疹に罹患した場合には、母親からの移行抗体の影響で不完全な感染となり、通常のように強固な免疫を生じない可能性がある。本症例では臨床像が非典型的であり、通常では麻疹の診断がなされなかった可能性があるが、このように非流行期でも麻疹と認識されずに、麻疹ウイルスが人から人へと感染循環していることも考えられる。今後、今回のような症例を集積・解析することで、麻疹ウイルスの伝播様式の詳細が解明されることが期待される。

(財)結核予防会新山手病院内科 木村幹男
    同 麻酔科/東洋医学科 千坂正毅

こうした症例をも鑑みると、やはり
 20歳で麻疹ワクチンの追加接種
は、成人麻疹の流行を防ぐ上でも有効ではないだろうか。
また、
 2回接種から漏れている世代がすでに教員になっている
わけだが、
 1人でも感染者がいれば、感染が拡大する麻疹の特性
を考えると、
 高等教育機関を含むすべての教職員
では
 麻疹・風疹等重要な感染症に対し十分な抗体価がある
ことを
 就職・転職時の条件
にする必要があるだろう。抗体価が低ければ
 追加接種
を行う。

「麻疹排除」の状況では
 自然に麻疹に曝露する
ことはほとんどなくなる。すると、当然ながら
 麻疹に曝露することで得られていた、ブースター(追加免疫)効果
は望めなくなる。

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2016-09-15

赤ちゃんと妊婦を守れ 空気感染(飛沫核感染)等で感染する麻疹(はしか)に治療法はない(その13)関空の麻疹感染者を診察した大阪市立大学医学部附属病院で院内感染 医師・事務職員3名が感染 看護師1名も感染疑い→いずれも20代女性 医師は麻疹患者を診察した部屋の隣で診察していて感染

集団感染が発生した関空の麻疹患者を診察した大阪市立大学医学部附属病院で
 院内感染が発生
した。
大阪市立大学医学部附属病院のサイトより。


大阪市立大学医学部附属病院における麻しん(はしか)の院内感染について
平成28年9月14日 公立大学法人大阪市立大学 医学部・附属病院運営本部庶務課
 大阪市立大学医学部附属病院において、平成 28 年 8 月下旬に関西国際空港で集団感染した患者さまが受診され、その後 9 月 9 日(金)から当院の医師 1 名が麻しん(はしか)を発症していたことが検査の結果、9 月 12 日(月)に判明いたしました。この発症の判明を受けて、ただち に当院内での調査を実施したところ、9 月 13 日(火)時点で、診療に従事していた医師 1 名(9 月 9 日(金)発症者)9 月 12 日(月)に発症した事務職員 1 名計 2 名の感染看護師 1 名 の感染疑いを確認しました。感染者(疑いを含む)はただちに勤務を自粛し、自宅待機をしてお り、いずれも経過良好で重大な健康被害は生じておりません。なお、8 月下旬に来院された患者さまは受診後すぐに当院へ入院され、軽快退院されております。
発症が判明した医師と接触をした可能性がある患者さまについては個別に連絡をさせていた だいており、9 月 14 日(水)15 時現在、患者さまへの感染はございません
また、発症が判明した事務職員と 9 月 12 日(月)に接触をした可能性がある患者さまについても個別に連絡を続けておりますが、以下に該当する患者さまは感染拡大防止のためにお電話にてご相談いただきますようお願い致します。

【対象者】 平成28年9月12日(月)午前8時30分から午前11時30分の時間内に 当院 3 階の中央臨床検査部で採血検査を受けられた方で、
9 月 17 日(土)から 10 月 2 日(日)(麻しんの潜伏期間を考慮)までに、 37.5 度以上の発熱があり、麻しん(はしか)にかかったことがない方
(以下略)

あらららら。
 医療従事者が麻疹に感染、もしくは感染疑い
ということなんだが、
 今回の院内感染者の麻疹の抗体価はどうなっていたのだろう
という点が謎。普通は、年度初め等に抗体価を見て、
 低ければ追加接種
だと思っていたのだが。途中入職等で、把握できてなかった?

続き。時事より。


市大病院ではしか院内感染=医師と事務員―大阪
時事通信 9月15日(木)0時38分配信

 大阪市立大学付属病院は14日、医師と病院事務員の2人がはしかを発症する院内感染があったと発表した。
 同病院は医師らと接触した患者と連絡を取っているが、同日時点で他に感染者は確認されていないという。
 同病院によると、関西空港(大阪府)ではしかに感染したとみられる患者が8月26日に診察を受けた際、隣の部屋で診察に当たっていた20代の女性医師が、今月9日に発熱。検査の結果、はしかへの感染が確認された。さらに、女性医師が診察した患者や病院関係者らの調査で、20代の女性事務員の感染が確認され、20代の女性看護師も感染の疑いがあることがわかった。全員症状は軽く、回復に向かっているという。
 国立感染症研究所によると、1月から9月4日までのはしかの報告数は全国で82人で、前週までの41人から倍増している。関西空港で職員の集団感染が発生しており、感染拡大の恐れがあるとして、厚生労働省の専門家会議がワクチンの接種や早期の医療機関の受診を呼び掛けている。 

う〜ん
 感染したのは全員20代の女性
ということなのだが、
 医療従事者
だから
 普通に考えて、2回の麻疹ワクチン接種は済んでいるはず
だ。やはり、抗体価の問題だろうか。
それにしても
 隣の部屋で診察
していても、
 麻疹に感染する
わけなので、
 いかに麻疹の感染力が強いか
ってことだな。

まかり間違って
 同じ待合室に、麻疹患者と未罹患者が混在
したら、
 ほぼアウト
というのは、今回の感染の事実を以て、頷けることだと思う。

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2016-09-14

赤ちゃんと妊婦を守れ 空気感染(飛沫核感染)等で感染する麻疹(はしか)に治療法はない(その12)2回目の麻疹ワクチン接種の時期はいつが適当か@twitter

関空の
 麻疹集団感染
だが、今回感染した中に
 2回の麻疹の予防接種を終えている人達
が含まれている。
9/11に大阪府が発表した
麻しん(はしか)の発生についてより。
麻疹に直撃されたのは
 2回接種ではなかった世代が中心
20160914_174639_2
だが、
 感染した33人の内、12人は2回接種を済ませていた
20160914_174652
という事実がある。これは
 2回目接種で、獲得したはずの「麻疹に罹らないだけ高い筈の抗体価」が、感染するレベルにまで下がっていた
ことを意味する。

このことについて、io302先生のtweetより。



やはりio302先生の仰るように、
 抗体価が下がっていると考えられる20歳前後でもう一度追加接種
というのが、妥当ではないだろうか。

成人の麻疹は
 重くなりがちである
 妊婦の場合は、流早産を引き起こしやすくなる
 行動範囲が広いので、感染力が最も強く、麻疹と診断される前のカタル期に、他に感染を広げやすい
という問題がある。赤ちゃんや妊婦、免疫の低い人々を守るためにも
 20歳でもう一度追加接種
というのが、現実的な解決策ではないだろうか。

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ワクチンで防げる病気(VPD)が免疫が低下している癌治療中の人などに感染すると

ワクチンで防げる病気を
 VPD(Vaccine Preventable Diseases)
と総称する。日本で接種できるワクチンは、子どもが学齢前に定期接種(無料)できるワクチンとして(生ワクチンは赤、不活化ワクチン・トキソイドは青で)
BCG
麻疹・風疹混合(MR)
麻 疹(はしか)
風 疹
水 痘
百日咳・ジフテリア・破傷風混合(DPT)
ジフテリア・破傷風混合トキソイド(DT)
ポリオ(IPV)
百日咳・ジフテリア・破傷風・不活化ポリオ混合(DPT-IPV)
日本脳炎
インフルエンザ
肺炎球菌(13価結合型)
インフルエンザ菌b型(Hib)
があり、任意接種(有料)では、
ポリオ
流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)
黄 熱
ロタウイルス:1価,5価
B型肝炎
破傷風トキソイド
A型肝炎
狂犬病
髄膜炎菌:4価
がある。Hibや肺炎球菌は最近定期接種に組み入れられたが、このことで
 赤ちゃんの将来に大きな影を落とす、髄膜炎が減る
ので、それだけでも喜ばしいことだ。
任意接種に
 「冬の下痢」の別称で知られる「お腹にくる風邪」の1つロタのワクチン
が入っているが、
 初回接種は生後14週(生後104日)まで
という縛りがある。母親から受け継いだ免疫がなくなるのが、この時期だからで、
 ほとんど誰でも罹るが、初めて感染した時が最も症状が重くなりがち
という特徴と
 合併症に脳炎・脳症がある
ことを考えると、是非、お勧めしたい。重症の場合は、入院することもある。赤ちゃんのウイルス性胃腸炎の酷さを1度経験したことがあれば、
 このワクチンが、子どもが生まれた時にあったら、どんなに親子共々楽だったことか
と思う、年長の子どもを持つお父さんお母さんは多いだろう。赤ちゃんの嘔吐下痢は本当に辛い。
2回もしくは3回の接種で、総額24000円前後の出費になるのだが
 共働きの場合、親が休んで看病する
ことになるのを考えれば、
 共働きの両親にこそ、必要な出費
だろう。もちろん、共働きでなくても、
 子どもも大人も辛く、看病する大人にも感染するロタが防げる
のであれば、親子どちらにもメリットのある予防接種である。(ロタを貰って、大人が寝込んでしまえば、もっと大変になってしまう。)

ところで
 VPDのワクチンが接種できない人
が存在する。
 癌治療などで免疫が低下していたり、免疫不全の患者さん達
だ。そして、こうした人達がVPDに感染すると、命に関わる。
ばりさんと敬愛する看護師のえぼりさんのtweetより。





ALLとは
 Acute Lymphocytic Leukemia 急性リンパ性白血病
である。
最近は
 VPDに関しては、医療系や教育系の学生が実習に入る前、いくつかの重要な感染症については、免疫がない場合、実習できないし、医療従事者は職場で免疫のチェックを受けて、抗体価が低下していれば、追加接種する
ようになっているので、上記のようなことはなくなっていると思うが、この時は
 医療従事者が、免疫が低下している患者さんにVPDを感染させる
という
 あってはならない事態が起きた
のだった。大人の水痘は重くなるので、えぼりさんの上司の方は、辛い最期を迎えられたのではないかと思うと、胸が痛む。

反ワクチン派の親たちは
 こうした免疫が低下していたり、免疫不全の患者さんの脅威
でもあるのだ。
癌患者の毎日は病との闘いだ。医療費も苦痛もかなりのものだ。そうした人達が
 反ワクチン派の親の子どもからVPDに感染
すること自体、
 患者さん本人にも、家族や知人にも耐えられない
ことではないだろうか。

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