1歳未満の赤ちゃんには
蜂蜜は毒
になることがある。まだ、腸内細菌が少ないために、蜂蜜にボツリヌス菌が少量含まれていると、
ボツリヌス菌が作る毒素で神経を冒され、最悪は死亡
することがあるからだ。そのため
お誕生前の赤ちゃんには蜂蜜は与えない
ことが大切なのだが、傷ましい事故が起きた。合掌。
なお、1歳以上では、腸内の環境が整うので、蜂蜜を食べても害にはならない。
NHKより。
乳児ボツリヌス症で全国初の死亡例 蜂蜜が原因か 東京
4月7日 19時54分
東京・足立区の生後6か月の男の子が、離乳食として与えられた蜂蜜が原因と見られる乳児ボツリヌス症で死亡していたことがわかりました。乳児ボツリヌス症の死亡例は全国で初めてで、東京都は1歳未満の乳児には蜂蜜を与えないよう注意を呼びかけています。
死亡したのは東京・足立区の生後6か月の男の子です。
東京都によりますと、ことし2月、都内の医療機関から「入院している男の子に神経症状が出ていて、離乳食として蜂蜜を与えられている」と保健所に連絡がありました。男の子はけいれんや呼吸不全などの症状が見られ、先月30日に死亡しました。
男の子は発症する1か月ほど前から離乳食として蜂蜜を混ぜたジュースを与えられていて、男の子の便と自宅に保管していた蜂蜜からボツリヌス菌が検出されたということです。
保健所は7日、男の子の死因は乳児ボツリヌス症と断定しました。
乳児ボツリヌス症は、腸内の環境が整っていない1歳未満の乳児だけに見られ、東京都は1歳未満の乳児には蜂蜜を与えないよう注意を呼びかけています。
都によりますと、統計がある昭和61年以降、乳児ボツリヌス症の死亡例は全国で初めてだということです。
この事例を受けて、東京都は改めて注意を喚起している。都福祉局のサイトより。
食中毒の発生について~1歳未満の乳児にはちみつを与えないでください。~
平成29年4月7日
福祉保健局
都内において、はちみつの摂取が原因と推定される乳児ボツリヌス症による死亡事例がありました。
乳児ボツリヌス症は1歳未満の乳児に特有の疾病で、経口的に摂取されたボツリヌス菌の芽胞※が腸管内で発芽・増殖し、その際に産生される毒素により発症します。
乳児ボツリヌス症の予防のため、1歳未満の乳児に、はちみつを与えるのは避けてください。
※ 芽胞とは
ボツリヌス菌などの特定の菌は、増殖に適さない環境下において、芽胞を形成します。芽胞は、加熱や乾燥に対し、高い抵抗性を持ちます。
芽胞を死滅させるには120℃4 分以上またはこれと同等の加熱殺菌が必要です。100℃程度では、長い時間加熱しても殺菌できません。
【探知】
2月22日(水)午後3時頃、都内の医療機関から最寄りの保健所に、「5か月の男児が入院しており、神経症状が出ている。離乳食としてはちみつを与えられているとのことである。」旨、連絡があった。
【調査結果】
・ 患者は足立区在住の5か月の男児で、2月16日(木)から、せき、鼻水等の症状を呈していた。
・ 同月20日(月)、けいれん、呼吸不全等の症状を呈し、医療機関に救急搬送され、翌21日(火)に別の医療機関へ転院した。
・ 患者は、発症の約1か月前から離乳食として、市販のジュースにはちみつを混ぜたものを飲んでいた。
・ 検査の結果、患者ふん便及び自宅に保管していたはちみつ(開封品)から、ボツリヌス菌を検出した。
・ 3月15日(水)、足立区足立保健所は、「離乳食として与えられたはちみつ(推定)」を原因とする食中毒と断定した。
・ 3月30日(木)午前5時34分に当該患者が死亡、当該保健所は、発症から死亡に至る経過等を精査した上で、本日、死亡原因はボツリヌス菌によるものと断定した。
※ ボツリヌス菌及び乳児ボツリヌス症に関する詳しい情報は、福祉保健局のホームページをご覧ください。
◇ボツリヌス菌について
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin/micro/boturinu.html
◇乳児ボツリヌス症について
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin/rensai/guide26.html
乳児ボツリヌス症とは(PDF:127KB)
この
乳児ボツリヌス症を知らない世代が、50代以上にいる
ので、時々、祖父母などが
赤ちゃんに蜂蜜を与える
ことがあり、若い両親とトラブルが起きる。
可愛い孫の健康を損なう恐れがある
ので、おじいちゃん、おばあちゃん
1歳未満の赤ちゃんには「蜂蜜は毒」
ですよ、気をつけましょう。
乳児ボツリヌス症は、実に傷ましい病気だ。
それまで元気で、順調に育っていた赤ちゃんが、便秘になる。便秘が数日続いた後、急に身体中から力が抜けてぐったりしてしまう。おっぱいを吸う力が弱まり、泣き声も小さくなる。顔からは、生き生きとした症状が消えて無表情になり、座っていた首も、生まれたての時のようにまただらんとなる。何か、恐ろしいことが起きていると、大人が気が付く時には、体内では、食品に含まれていたボツリヌス菌の芽胞が発芽して増殖を始め、ボツリヌス菌が作る毒素が、赤ちゃんの神経を冒しているのである。赤ちゃんの力が抜けたり、表情がなくなったり、首が垂れてしまうのは、このボツリヌス菌が作る毒素による症状だ。
便秘気味の赤ちゃんは、決して少なくないから、最初に便秘が起きた時にはなかなか気づかない。神経症状が出て初めて、
おかしい
と、病院に駆け込むことになる。
国立感染症研究所のIDWR(感染症発生動向調査週報)2001年第46週(11月12日~18日)より。
乳児ボツリヌス症
1976 年、米国において最初の乳児ボツリヌス症の例が報告された。乳児ボツリヌス症は、食品中に含まれる毒素による一般的なボツリヌス食中毒と異なり、ボツリヌス菌芽胞を生後1 年未満の乳児が経口的に摂取した結果、腸管内で菌が発芽・増殖して産生した毒素により発症する。腸管内での菌の増殖が、便の検査によって確認される。生後2週目以前の乳児における感染報告例は少なく、母乳(初乳)に含まれる成分が菌の定着・増殖を抑制している可能性がある。
疫 学・病原体
国内では、1986 年の千葉県での初発例以来、ハチミツが主要な原因食品として注目されてきた。この初発例では、患者の便から分離されたものと同型のClostridium botulinum A型菌が輸入ハチミツから検出され、原因食品と断定された。この症例を重くみた厚生省(当時)は翌年10月、「1歳未満の乳児にハチミツを与えないように」と各都道府県に通知した。(略)
臨床症状
出生後順調に発育していた乳児が便秘傾向を示す。大半の患者は便秘状態が数日続き、全身の筋力が低下する脱力状態(floppy)になり、ほ乳力が低下し泣き声が小さくなる。特に、顔面は無表情となり、頸部筋肉の弛緩により頭部を支えられなくなる。眼瞼下垂、瞳孔散大、対光反射が緩慢になるなど、ボツリヌス食中毒と同様な症状が認められる。また、頑固な便秘のために、便から長期間(1~2カ月)菌が排泄される例も珍しくない。(略)
治療・予防
ボツリヌス食中毒は毒素そのものを摂取して発症するが、乳児ボツリヌス症の場合は生体内で増殖した菌が毒素を産生して病気を引き起こす。(略)
患者は頑固な便秘を呈するため、発症後長期間にわたり菌および毒素が便より検出され続ける。そのため、入院中の患児の看護・管理においては、医療従事者が二次感染の伝播者となることのないよう十分な注意が必要である。
離乳前の乳児は、離乳後にくらべると腸管内の微生物叢がまだ不安定で、ボツリヌス菌の感染に対する抵抗力が低いと考えられている。そのため、乳児ボツリヌス症の予防には、芽胞による汚染の可能性がある食品(ハチミツ、コーンシロップ、野菜ジュースなど)を避けることが唯一の方法である。(以下略)
ボツリヌス菌は
芽胞
を作る細菌だ。ある種の細菌が、
増殖に適さない環境
のときに
種籾のように固い殻を作って休眠する
のが
芽胞
だ。芽胞のままで、何年も土中に留まり、再び、増殖可能な環境に置かれると
発芽
して、普通の菌の状態(栄養型/増殖型)に戻り、増殖を始める。芽胞を作る細菌で、病原体となるものには他に
炭疽菌・破傷風菌・セレウス菌・ウェルシュ菌
が知られている。
芽胞は、100℃では死なない
ので、
煮沸消毒は、効き目はない
のが厄介である。すなわち
加熱調理では芽胞は死なない
のだ。