2025-11-24

バイアグラがもたらす女性への「見えづらい」被害

日本は、女性の健康維持にも使用されるピルの承認に44年掛かったにも拘わらず、男性の不能を改善するバイアグラの承認にはわずか6ヶ月しか要しなかった。
この辺りの話は、岩永直子記者のニュースレターの記事
スピード承認のバイアグラに対し、ピルは44年 「太陽戦略」で突破した日本のジェンダーバイアス に詳しいのだが、この中で
 6ヶ月で承認されたバイアグラ
が、一体どんな
 女性の身体への被害を齎らしたか
が端的に語られている。この女性の受ける被害については、これまでちゃんとメディアは扱ったことがなかったのではないか。

僕はバイアグラによって大変な目にあった女性たちをたくさん診てきました。膣が傷ついて血だらけなんです。
要するに、バイアグラ発売以降、アホな男たちがギンギンになったペニスを中年の女性たちに挿入するわけです。痛むし、傷ついて出血するし、ピル以上に性感染症に感染しやすい状況が広がっていたと思いますよ。
それなのにバイアグラは十分な議論もせずに、6ヶ月で承認された。まさにジェンダーバイアスの最たるものです。

 

バイアグラで
 男の力を取り戻した!
と勘違いし、昂揚した中年以上の男性たちが、相手の状態を考えない、自分本位の性行為で、中年以降の女性の内性器を傷つける。
そもそも中年以降は、男性も女性も、性ホルモンの量が減っていく。女性ホルモンであるエストロゲンの減少は、女性器から潤いを奪い、組織は薄くなり乾燥する。こんな状態であることを顧みずに、バイアグラの威を借りて、男性が性行為をするなら、苦痛でしかなく、怪我もするだろう。傷の深さにもよるが、出血するような怪我なら、なかなか治りにくい。痛かろうが、出血しようが、更に性的接触を続けるようなら、女性の身体的・精神的ダメージは大きい。

 

こうした現場の声を、どうして
 バイアグラの話が大好きなメディアが全く取り上げてこなかった
のか。
男性の自分勝手な性行為を制限するような情報は、オミットしてきたのではないのか。その記事を書く、男性記者で、
 バイアグラの恩恵
と思う者はいても、
 パートナーを傷つけていることの罪深さ
には思いを致すことはなかったのだろう。おそらく、メディアの中年以上の男性記者で、バイアグラ使用歴がある場合は、
 自分とパートナーの間に起きた「軋轢」

 個人的な、どうでもいい事象
として、頭の隅から追いやられていたのではないのか。

 

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2025-07-09

女性の閉経を遅らせる/閉経をなくす研究が進行中 だれのための研究か

25/07/07付ナショナルジオグラフィックの記事。
「閉経は運命ではない」、閉経なくしたり遅らせたりする治験続々 女性の寿命や妊娠期間を延ばせる可能性、常識の見直し迫られるとき

 

動物の中で「閉経」する動物は少ない。ヒトはその1つ。
しかし、その「閉経年齢」は、人類が長生きできなかった時代の設定で、大体50歲前後に訪れる「閉経」の後、更に50年生きることもあるのが現代だ。
だったら、閉経を遅らせたり、閉経そのものをなくしちゃえばいい。
……という発想の元に始まった「閉経を遅らせる」「閉経をなくす」医学的な研究。

 

女性の閉経を遅らせる、あるいは閉経しなくなる可能性を示唆する内容だけど、基本的には
 富んだ人々への医療/選択的な「卵子工場」が生まれる可能性がある
のではないのかな。また
 閉経しないことで獲得できる「若さ」
のためだけに、「閉経を遅らせる/閉経しない」人生を選ぶ人も出てくるだろう。

 

閉経しなければ妊娠可能な時期を延長することになるのだが、排卵するからといって、自分が妊娠し、生む、という話にはならないだろう。
1.延長される「排卵のある生活」が齎す身体への負担に耐えられるのか
2. 「自分の卵子」を獲得できる期間が延長されて利益を得るのは誰か
3. たとえば50、60歲を超えて「自然妊娠」するようになったら、妊娠・出産の医学的管理はどうなるのか(妊娠できるからといって、身体の他の機能が老化しないわけではない)。また誰が育てるのか(50、60歲を超えて、妊娠・出産・育児を自力で乗り切ることは可能なのか)
4. 「卵子の質」の選択を行うことで、母方の遺伝子に関係なく/自分が持たない遺伝特性を持つ子どもがほしい人々のための「卵子工場」が生まれる可能性があるのではないか
5. 「卵子」「妊娠」がより女性個人と切り離されて、卵子マーケットや子宮マーケット(卵子の売買や代理出産はすでにある)が更に産業化するのではないか
等等、考えてしまう。

 

医学が進歩するのは結構なんだけど、この研究には倫理的側面で大きな問題がある。

 

 

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2022-03-19

蘇りの秘薬 『牡丹亭還魂記』第三十四齣 詗藥〜赤松紀彦先生の最終講義より@3/16

3/16に
 赤松紀彦先生の最終講義
がオンライン・対面のハイブリッド形式で行われた。テーマは
 湯顕祖『牡丹亭還魂記』
が中心だったが、その中で
 第三十四齣 詗藥
に出てくる
 死せる杜麗娘を蘇らせる秘薬
に触れられた。赤松先生は
 男性の下着を小さく切って焼いて
と上品に説明されていたが、有り体に言えば、男性の下着とは
 下半身につける褌
のことだ。原文はこんな感じ。
 海上有仙方、這偉男兒深褲襠。……翦裁寸方、燒灰酒娘、敲開齒縫把些兒放。

続きを読む "蘇りの秘薬 『牡丹亭還魂記』第三十四齣 詗藥〜赤松紀彦先生の最終講義より@3/16"

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2020-03-21

新型コロナウイルスパンデミック情報で「金を取る」日本のメディア 世界的危機に対し、多くの海外メディアは「特別に無料公開」

貧すれば鈍す。
そうでなくても
 新聞って存在意義あるの?
と世界中で購読者数を減らしている新聞なのだが、今回の
 新型コロナウイルスパンデミック関連記事
に関しては
 普段は有料アクセスだけど、今回は無料公開ね
というところが多い。Facebook経由で、当該記事に行きつくと、新型コロナウイルスパンデミック記事には
 有料アクセスの壁はない
ため、すぐに読める。普段は
 あんたは今月の無料閲覧記事数を超えたからこれ以上読みたかったらお金払ってね
とか言われるのだが、今はちょっと違う。アメリカの「ワシントン・ポスト」紙などは特定の記事の日本語訳まで配信していた。
もちろん学術界も同様の対応で、
 世界中の衆知を結集して、21世紀のパンデミックに立ち向かう姿勢
で、新型コロナウイルス肺炎関連の医学論文等は
 迅速な査読

 フリーアクセス
になっている。

 

で。
日本の場合は
 朝日・毎日・読売は軒並み新型コロナウイルス関連の記事でも「一部のみ無料」
だ。

 

まあ、
 世界的な公衆衛生上の人類の危機

 日本の新聞社がどう考えているか

 一目瞭然
ですね。あくまでも
 金を稼ぐ「飯の種」
に過ぎないってことで。

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2019-12-17

ワクチン接種中止が齎らす感染による被害者数増大の例

ポイントは
 縦軸は「対数軸」
だということだ。

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2018-08-11

odessaさんが逝った夏

odessaさんこと後藤修一さんが亡くなって初めてのコミケC94。
追悼のために、odessaさんの遺影とodessaさんの愛娘「まりちゃん」が
 C94 2日目(土)西よ46b「すーぱーがーるカンパニー」
 3日目(日)東二18b「TADはるな総研」
にて、友人知人の皆様の御出をお待ちしています。


odessaさんへの追悼tweetまとめ。
追悼 後藤修一さん
https://togetter.com/li/1251311

訃報が伝えられたのは、odessaさんが熱心に参加されていたSF大会の日だった。


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2018-06-10

旧優生保護法に基づく強制不妊手術で熊本の男性に去勢が行われる 国は即刻救済を

怒りに打ち震えるばかりだ。
熊本県で、旧優生保護法に基づく強制不妊手術を受けた70代の男女2人が国に向けて提訴の意向を示したのだが、
 男性は睾丸(精巣)を摘出された
という。これは
 不妊手術ではなく、去勢
だ。
 人権蹂躙
以外の何物でもない。
熊本RKK6/9付ニュースより。


強制不妊手術で全国でも例のない睾丸摘出
2018年06月09日 20:59 現在
旧優生保護法に基づく強制不妊手術をめぐり、県内の男性が全国でも例のない睾丸の摘出を強いられていたことが分かりました。
「俺の体は何もかもぐしゃぐしゃになって…」(睾丸を摘出された73歳男性)
この男性は、全国の男女4人が起こしている国賠訴訟や全国一斉電話相談でも例のない、「睾丸摘出」による不妊手術を強いられたと訴えていて、早ければ今月中にも国に対し約3000万円の損害賠償と謝罪を求め提訴する方針です。
男性が不妊手術を受けたという医療機関は既に廃院になっています。
弁護団は睾丸摘出を原因とした骨粗しょう症などの二次被害も訴状に盛り込む考えです。

人間の不妊手術では、
 妊娠できる・妊娠させられる機能を停止
するが、男女の性ホルモンを分泌する
 性腺(精巣・卵巣)除去は行わない
のが原則である。この男性が
 「俺の体は何もかもぐしゃぐしゃになって…」
と仰るのは、当然である。あまりに酷い。

精巣が作り出す男性ホルモンのテストステロンは
 男らしさを形作るホルモン
と言われている。男性の「更年期」では
 テストステロンの減少
がさまざまな問題を引き起こすと考えられている。
 そのテストステロンの生産基地が「強制不妊手術」の名を借りて永遠に失われた
のだ。

一体何故こんな
 人間の尊厳を踏みにじる蛮行が許された
のだろうか。男性が手術を受けた病院は既に廃院しており、カルテもないだろう。

法に名の下に行われたこの人権蹂躙に、国は即刻手を差し伸べるべきである。

それでも、この男性の失われた人生を償うことなどできはしない。

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2018-04-29

阿部幸大氏が盛大にdisった母校釧路湖陵高校は、平成20年度から北海道の地域医療を支える人材育成の「医進類型指定校」になっている件(追記あり)

最近話題沸騰なのは、フルブライト奨学金(大変取るのが難しい奨学金で、これを取れれば、まずその後の研究人生は安泰と言われる)により現在ニューヨーク州立大学ビンガムトン校留学中で東大出身の文学研究者阿部幸大氏が、現代ビジネスに寄稿した4/25付の
 「底辺校」出身の田舎者が、東大に入って絶望した理由
だろう。ここで
 底辺校
と称されているのは、阿部幸大氏のreseachmapの記述によれば
 釧路湖陵高校
で、同氏は2006年、平成18年3月に卒業している。

この頃の道内の進学事情に暗いので、最初は
 釧路湖陵高校が底辺校なのか。世の中いろいろすげーなあ。
とびっくりしてたのだが、やはり
 道内の(札幌以外の)地方進学校の雄の一つ
であることには、変わりなかったようだ。

元釧路湖陵高校の教員という方がtwitterで、阿部氏の見解に突っ込んでいるのが、togetterに纏められていた。
『東大に入って絶望した田舎者』阿部幸大氏のウソを、彼の卒業した高校元教員が指摘

で、FBで友人達といろいろ意見を交換していたのだが、その過程で
 平成20年度から釧路湖陵高校は、北海道の地域医療を支える人材育成のための「医進類型指定校」となっている
ことが分かった。こうした高校の
 どこが「底辺校」なのか
よく分かりませんがね。制度が始まったのは、阿部氏が卒業してから2年後だけどね。
道教委が公表している「医進類型指定校」についてのサイトより。地図も同サイトから。


地域医療を支える人づくりプロジェクト事業のコンセプト
  本道の地域医療を担う医師不足の問題については、道の喫緊の課題となっており、知事部局や道内の医育大学において様々な対策が行われています。道教委としても、長期的な視点に立って、将来の地域医療を支える人材の育成が大変重要であると考え、本事業に取り組むこととしました。(略)
▼医進類型指定校は次の9つの学校です。
  ○北海道岩見沢東高等学校  ○北海道小樽潮陵高等学校  ○北海道室蘭栄高等学校
  ○北海道苫小牧東高等学校  ○北海道函館中部高等学校  ○北海道旭川東高等学校
  ○北海道北見北斗高等学校  ○北海道帯広柏葉高等学校  ○北海道釧路湖陵高等学校

▼協力校は次の6つの学校です。
  ○北海道札幌西高等学校    ○北海道静内高等学校     ○北海道江差高等学校
  ○北海道留萌高等学校     ○北海道稚内高等学校     ○北海道根室高等学校
  Ishinnmap2


御覧頂くと分かるように
 医進類型指定校 札幌以外の地域の公立トップ進学校
 協力校 札幌西以外は、医師不足が深刻な地域の公立高校
である。
釧路湖陵高校のサイトにも、この
 「医進類型指定校」に関するページ
があり、医師を目指す高校生が、地域の旭川医科大学と協力して、さまざまな活動を行っている様子が紹介されている。
「医進類型指定校」~地域を支える人作りプロジェクト事業~

ちなみに、釧路湖陵高校は
 過去3年間の進学実績

 学校のサイトで公表
している。
上級学校等合格者一覧(過去3年間)(PDF)
進学先の国公立大学で主なところは、最近3年で(28/29/30)
 旭川医科大(旧国立二期校) 10/4/5
 北海道大 19/15/10
 札幌医科大学(道立) 4/5/5
 地元 北海道教育大釧路校(旧国立二期校) 4/8/8
 地元 釧路公立大学 13/10/13
 東北大 0/0/3
 東大 0/2/0
 京大 0/0/1
 奈良県立医科大 0/0/1
など。
 こんな立派な進学実績のある高校のどこが「底辺校」なのか
と思うけれどもね。

まあ、
 現代ビジネス編集部の「需め」に応じて「盛大に話を盛った」
ってことですかね。
少なくとも
 地域医療を担う人材を育成する教育機関

 底辺校
と呼ぶのは、
 その地域で現在生活している人達と地域医療に従事する医療関係者への侮蔑に他ならない 
と思いますが、阿部氏ご本人はもう釧路には帰らないってことなのかな。
でもって地元校の
 北海道教育大釧路校もついでにdisってる
のは、
 北海道の教育環境はこれ以上良くならない
って思っているってことですかね。人を育てる教師は道教大釧路校からは出ないとでも?
 医療関係者のみならず、僻地も含めて地道な教育を行う小中の教諭もdisってる
のは、余程、故郷に怨みがあるのかしら。

たとえ釧路に帰らないとしても、都市部以外で自分や身内が医療や公的教育の世話になることはありうるわけで、その時、
 自分が何を馬鹿にしたのか
をよく知ることになると思うよ。

まさかとは思うけど、北海道で東大に行ける程度の学力があれば、まずは
 医者になれ
と言われるのが通常なので、
 医進類型指定校の母校をdisった
のは、
 文学部への進学を反対した進路指導部や親戚等との闘いがトラウマになっている
んじゃなかろうな。

(追記 4/30)
higashiさんからコメントを頂いたので、再掲する。higashiさん、ありがとうございます。


「底辺校」だったのは中学で、高校に入って初めて大学進学という道に気づいた、という記事に読めますが、とくに擁護の気持ちがあるわけではありません。。

わたしも北海道の公立中学・高校で教育を受けたが、
 公立中学は住んでいる場所で行く学校が決まる
わけで、あらゆる階層から生徒が集まる。
所謂
 公立進学高校に多くの生徒を進学させている中学
にいたのだが、同期生は
 最近、学士院賞を取ったエラい研究者
から、
 金バッジにモノを言わせるお仕事に就いた奴
まで、幅広く人材を輩出している。
でもって
 釧路湖陵高校に行くくらいの成績の中学生
ならば、
 ムダに成績が良いといじめられる危険性が高い
ので、
 悪そうなお友達を作って、自分も悪いことをしていじめられないようにする
というのも、これまた
 賢い子どもの処世術の1つ
だろう。
ちなみに東大の某先生も、中学時代は
 危ないお友達と遊んでいた
そうだが、阿部氏同様
 補導されずに済んだ
と言っていた。もっともかの先生は東京出身なので
 賢い子が悪そうな友達と遊ぶパターンは田舎だろうが都会だろうが変わらず存在する
と言えよう。
で、悪そうなお友達にも
 仁義
はあって、
 一緒に遊んでいる「成績の良い奴」は、本当にヤバイ局面には誘わない
ものなのだ。
 あいつがパクられたらそれこそヤバイ
と思いやって、巻き込まれないよう配慮してくれているものだ。
 運が良かった
と阿部氏は思っているように書いてるけれども、それは
 お友達がちゃんと仁義を切ってくれた
のに気が付かないか、無視しているだけなのだと思いますがね。もしも後者なのだとすれば、
 文学研究者としてはどうよ
とは思うよね。
まあ、世の中には、団地で育ったのを怨んでいるのか、
 一戸建てに住んでいる奴は敵だ
と言っていたエラい文学研究者(たぶん、遠からず、勲章とかそんなものを貰うだろう)もいるので、様々なトラウマは思いがけない文脈で噴出するのだろうけど、せっかく文学研究という、何を言ってもほぼ許してもらえる分野の研究者なのだから、是非生産的な方向に昇華して頂きたいものだ。

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2018-03-10

3/5成田空港へAI306便でインドから帰国した30代女性が麻疹に感染 すべての経路で接触した麻疹に免疫のない人(未罹患もしくはワクチン未接種or1回のみ接種)に感染の恐れ@山梨県甲府市

ワクチンが設定されている病気というのは
 根本的な治療法がない病気
だ。もし、ワクチンを接種せずに罹ってしまったら、場合によっては死を覚悟しなくてはならない。そうならないよう、
 転ばぬ先の杖としてワクチンを接種して免疫を作る
のだ。もし、ワクチン接種後に、不幸にしてその病気に罹ったとしても
 軽く済ますことができる
のが、ワクチンの利点である。
もちろん
 ワクチンは弱い毒
である。
 弱い毒を用いて、強い毒の害を軽減する
のが、ワクチンという「智慧」である。

日本が
 麻疹輸入国
になって久しいが、
 3/5にインドの長期滞在から帰国した30代女性が麻疹に感染
していることが明らかになった。麻疹ウイルスは大変感染力が強い。その上、空気(飛沫核)感染、飛沫感染、接触感染などさまざまな経路で感染する。従って、密閉された空間に長時間閉じ込められる場合、たとえば
 同じ飛行機に乗っていた
となると、これは感染する危険が高くなる。
 患者は、症状が出る1日前(発疹が出る3-5日前)からウイルスをばらまく
考えられているが、
 インドからの経路が長く、すでにウイルスを排出している段階(発疹が出る直前)で飛行機に乗って帰国した
ため、
 インドの滞在先から始まり、インディラ・ガンディー空港から自宅に到着するまでの間

 長時間、広範囲にわたって麻疹ウイルスをばらまいている可能性
がある。山梨県は
 途中で接触した可能性のある、麻疹に免疫がない、すなわち麻疹に罹ったことがないもしくはワクチンを接種したことのないか1回しか接種していない人へ注意を呼びかけている
ところだ。この中には
 一般には麻疹ワクチンが接種できない0歳の乳児
も含まれるので、是非ご注意を。
山梨県のサイトより。


【報道提供資料】平成30年3月9日 公表 海外から帰国した麻しん(はしか)患者の発生について

平成30年3月8日、甲府市内の医療機関から中北保健所に麻しん発生(臨床診断 例)の届出があり、行政検査の結果、麻しんウイルスが検出されました。
管轄保健所の調査によると、当該患者は、平成30年3月4日までインドに滞在3月5日(月)に日本に帰国し、その後高速バスを利用しており、飛行機、空港ロビ ー、高速バス等において当該患者と接触した方は、麻しんに感染する可能性がありますので、広く情報提供するものです。

利用便
インディラ・ガンディー国際空港→成田国際空港 3月4日 21:15デリー発 3月5日 8:00成田着

空港滞在時間
3月5日 午前8時~午前8時50分

高速バス
3月5日 8:50成田空港発 12:25甲府駅着

1 利用便同乗者、空港利用者の皆様へ(注意喚起)
麻しん患者と接触(同一空間を共有)した場合は、潜伏期間(発病までの期間 を考慮し、接触後14日間(最長21日間)の健康観察が必要です。
上記の利用便や空港をご利用された方で、発熱、発疹等の症状が現れた場合は 必ず事前に医療機関に「麻しんかもしれない」ことを連絡のうえ、医療機関の指示に従い受診してください。
○ また、受診の際は、周囲の方に感染させないよう公共交通機関等の利用を避けてください。

<麻しん(はしか)について>
原因: 麻しんウイルスの感染
症状: 典型例では、感染の約10日後に発熱や風邪症状、2~3日発熱が続いた後、39℃以上の高熱とともに発疹、咳が出現します。
予防: 予防接種がとても有効です。予防接種を2回された方や過去に麻しんにかかったことがある方は免疫があるとされますので、麻しんにかかったことがない方は予防接種歴を確認いただき、必要に応じて医療機関にご相談ください。
(略)
3 参考情報
ア 患者の概要
甲府市在住 30代 女性(麻しん予防接種歴不明)
発症日 平成30年2月27日(発熱)
確定日 平成30年3月9日
症 状 発熱、咳、鼻汁、結膜充血、発疹
海外渡航歴 有(平成29年8月~平成30年3月4日 インド)
イ 患者確認までの経緯
2月27日 発熱(38℃)
  3月5日 早朝に帰国(飛行機を利用)
高速バスにより甲府市内到着

3月5日 発疹
  3月6日 甲府市内のA医療機関を受診、院外のB薬局で医薬品受取
  3月8日 甲府市内のC医療機関の紹介によりD医療機関を受診
D医療機関において麻しん患者と臨床診断
  3月9日 行政検査(ウイルス検査)で麻しんウイルスを検出
現在は自宅療養中
※ 県内の医療機関等における接触者については、保健所の調査により健康観察対象者を特定して対応しています。
(以下略)

げ〜、
 38℃の発熱があって1週間ほど経過があった後、そのまま飛行機に乗っちゃった
のか。それじゃ
 インド国内から日本に帰る間で麻疹ウイルスをばらまく結果
に。
山梨県の公表したフライトプランに該当するのは
 3/4発エア・インディアAI306便
である。
機上では逃げ場がない。
該当する便に搭乗されていた方で、麻疹の免疫がないor不確実な方、麻疹ワクチンを接種していない赤ちゃんの保護者の方は特にご注意を。

なお
 修飾麻疹
といって、
 不完全な免疫がある人が、麻疹に感染すると本人の症状は軽い

 弱いながらも、麻疹ウイルスをばらまく
ので、今回もし感染して修飾麻疹の状態になると
 自覚しないまま、三次感染を引き起こす
こともある。
麻疹は
 子どもの病気
だと、
 軽視されがち
だが、国立感染症研究所が発表している
 麻疹とは
によれば


ヒトの体内に入った麻疹ウイルスは、免疫を担う全身のリンパ組織を中心に増殖し、一過性に強い免疫機能抑制状態を生じるため、麻疹ウイルスそのものによるものだけでなく、合併した別の細菌やウイルス等による感染症が重症化する可能性もある。麻疹肺炎は比較的多い合併症で麻疹脳炎とともに二大死亡原因といわれている。さらに罹患後平均7年の期間を経て発症する亜急性硬化性全脳炎(subacute sclerosing panencephalitis: SSPE)などの重篤な合併症もある。先進国であっても麻疹患者約1,000人に1人の割合で死亡する可能性がある。わが国においても2000年前後の流行では年間約20~30人が死亡していた。世界での2015年の5歳以下の小児の死亡数推計によれば、麻疹による死亡は全体の1.2%を占めている。

と、重症になると
 合併症である麻疹肺炎・麻疹脳炎で死亡することがある
重い感染症である。また
 罹患後平均7年の期間を経て発症する亜急性硬化性全脳炎(subacute sclerosing panencephalitis: SSPE)
は、 極めて稀な合併症だが、大変に重く、
 1歳未満や免疫機能が低下した場合に感染した麻疹ウイルスがゆっくりと数年〜十数年かけて脳を冒す致死的な病
で、
 元気だった子どもが突然運動や知的活動に支障を生じ、やがて寝たきりになって、最後は死亡する
という悲惨な経過を辿る。現在は
 難病に指定
されている。
残念ながら、新しい治療法が試みられてはいるものの、現在までに治療法は確立されていない。
難病情報センターの上記リンク先記事によれば、この病気は4つの段階があり、

第1期は先にあげたような軽度の知的障害、性格変化、脱力発作、歩行異常などの症状が見られます。
第2期はこれらの症状が更に強くなります。そして体がビクッと動く不随意運動(ミオクローヌス)が周期的に見られるようになります。
第3期では、知能、運動の障害はさらに進行して、歩行は不可能となり、食事の摂取も次第にできなくなってきます。この時期には体温の上昇、唾液、発汗異常などの自律神経の症状が見られるようになります。
第4期では意識は消失し、全身の筋肉の緊張も強く、自発運動もなくなります。


 子どもの様子が突然変わる
ところから
 意識がなく、自発運動もなく、寝たきりになる
という経過を辿る。
亜急性硬化性全脳炎では
 0歳で麻疹に罹患している場合、その麻疹の症状は軽い
のが特徴の1つだ。
 麻疹は赤ちゃんのときに軽く済んだ
と喜んでいると、大変稀ではあるのだが、後にこうした悲惨な病気になることがあるという点でも、麻疹は恐ろしい病だ。

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2017-12-05

羅繼祖「跋新修本草」

今となっては、最善本ではないので、再び刊行されることはないだろうけれども、1985年に上海古籍出版社から景印出版された
 森立之手鈔『新修本草』
には、この本を中国に持ち帰った
 羅振玉
の孫である
 羅繼祖の跋
がついている。当時としては丁寧な出版で、平装版だけど、景印は美しいし、朱書や朱印はちゃんと朱で印刷されている。
何故、羅振玉が森立之の手鈔本を持ち帰り、孫の繼祖が跋を書くことになったかは、本文を読むと分かるのだけど、現在はあまり注意されていない文章のように思うので、ここに転写する。
文字の誤りがあるかも知れないので、その点はご寛恕下さい。



《新修本草》影鈔本十卷(十冊) 先祖羅振玉於光緒辛丑(一九〇一)奉兩江、湖廣兩督赴日本視察教育時,得之於東京書肆。每卷後有森氏手跋。越七年,又由先祖題識於卷端。先祖比次去日,買到許多醫書。其中影寫和舊鈔,大都為森氏開萬冊府藏本,有些還有森氏題識。先祖對這些書都曾一一作跋。
 先祖見背,楹書零落,即《大雲書庫藏書題識》所著錄的也已多數易主。惟此《新修本草》殘本和明正統陝西官本《玉機微義》(亦爲森氏舊藏),仍保存在我手裏。一九七九年夏,我讀了吳德鐸同志《從<新修本草>看中日兩國的學術交流》一文(《中華文史論叢》一九七九年第二期),其中說到:
 「在羅振玉所寫這篇書錄(按指書端題識)中,有一個非常重要、値得中日兩國本草學、科學史和版本書志學者注意的問題……日本學術界影印他們所存的天平寫本時,只找到六卷,其它四卷(卷十三、卷十四、卷十六及卷二十)連同小島父子補輯、仿寫的卷三均不知去向。値得重視的是,羅振玉所得的十卷,不僅有這四卷,並且都是據仁和寺本傳寫的,它們恰好正是仁和寺本所藏在日本己亡佚的部分。……」
 呉文還訂正了先祖在題識中把「六」寫成「八」的筆誤。
 這部書從光緖辛丑到現在,在我家整整八十年未見天日,現在經有關方面的努力,由上海古籍出版社影印出版,爲中日兩國的本草工作研究者提供實物資料,實在使我感到欣慰。正如吳文所說,《新修本草》能引起中日兩國學術界普遍的重視,是和日本幾位醫學名家多紀、小島、森、澁江等的辛勤勞動、努力鑽研分不開,而他們的這種精神也是値得兩國人民學習和欽敬的。至於森氏此本與他本的異同,以及吳文指出的各點,需要專家們去深入研究,恕我不在這裏再贅一辭了。我的跋文,也只想明一下這部書能保存在我家直到今天的經過。
 又,先祖《敦煌本本草集注序錄跋》(《永豐鄕人稿》乙下)裏提到藏有一部日本醫家森約之校輯的本草集注手稿。森氏此書曾由我在先祖去世後讓給了日本黑田源次博士,至今可能還藏於遼寧醫科大學圖書館。這是森氏的一家之學,如能就原稿整理印行,也是兩國醫學界的盛事,很希望它能夠實現。
羅繼祖 一九八〇年九月七日於長春吉林大學宿舎之後書鈔閣

1980年代前半というと
 日中友好
は日中両国のスローガンであり、中国は日本からの円借款などで、近代化を推し進めていた時期である。
こうした時期にこんな形で、森立之手鈔『新修本草』が出版されていたことは、覚えておきたい。

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