昨日の18:30過ぎ。
ノーベル生理医学賞のライブストリーミングの音声が最悪
で、わかりにくかったのだが
ヨシノリ
という名前の方は聞こえた。
大隅良典東工大栄誉教授、おめでとうございます。
オートファジー
という、動植物の細胞に共通の
蛋白質を分解処理する自食作用を解明
した、
基礎中の基礎の業績に栄誉
が与えられた。オートファジーに気づかれたのは、東大(助手〜助教授)時代だが、大隅先生は、1996年に岡崎にある
基礎生物学研究所
に転任され、多くの業績を積まれた。
(追記 10/5 7:00)
今回の受賞対象となった論文には
総合研究大学院大学院生が関わった論文
が含まれている。岡田泰伸総合研究大学院大学長のお祝いメッセージより。
今回の受賞のKey Publicationの4論文のうちの1つは、総研大生2名が第一および第二著書となったものであり、総研大としても大きな誇りと感じております。
凄いよね。御自分の中心となる研究の論文で
院生を第一・第二著者にしてくれる
というだけでも、大隅先生の科学へ対する謙虚で厳密な態度が分かる。
(追記終わり)
昨今の研究者界隈では
成果を出せ
それが何の役に立つ
と、お尻をひっぱたかれて、
基礎なんて無意味
と、罵倒されることが多いわけだけれども、1970年代の文科省には
基礎的な学問を支援して伸ばそうという見識
があった。基礎生物学研究所の創立は1971年。そして
1988年に日本初の国立大学院大学の1ブランチ生命科学研究科分子生物機構論専攻誕生
となる。総研大は最初は理系の大学院大学として、文科省の直轄研究所がそれぞれの専攻となって、博士課程の学生を受け入れた。創立時の直轄研は
・生命科学研究科
国立遺伝学研究所
基礎生物学研究所
生理学研究所
・数物科学研究科
統計数理研究所
加速器研究施設・共通基盤研究施設
物質構造科学研究所
分子科学研究所
でいいのかな。総研大は翌89年に国立民族学博物館が文化科学研究科として加わり、文理総合の大学院大学となる。92年には
国立天文台
核融合科学研究所
国際日本文化研究センター
が、93年には
国立極地研究所
が加わる。
現在では
6研究21専攻
となり、理系は
5年一貫博士課程
に変わり、修士課程から博士課程まで5年間、文系は博士課程3年間を
全国19の大学共同利用機関
で学ぶこととなっている。
以前、耳にした話だけれども、20世紀の総研大学理系は恵まれていた。当時は設立10年以内だったので、文科省も育成期間と考えていて、わりと予算が潤沢だった。ある女性教授から聞いたのだが
総研大では、東大・京大の10倍規模の予算
ということだった。理系で、予算規模が10倍なら、当然、論文の出来も違って来たはずだ。
そこに気が付いて、東大や京大から、博士課程は総研大に移る院生もいた。博論を書くのに、
あんな設備やこんな設備が使える
のだったら、そっちの方がいいよね、確かに。例えば、ハワイにはすばるもあるし。
少なくとも、20世紀に総研大理系を修了された諸氏には、今後是非がんばって頂きたい。
ところで、現在、大隅先生は
大隅良典東工大栄誉教授
として、御自分のラボを東工大に持たれているのだが、
東工大の出張規程
が
なかなかとんでもない
らしい。@drinamiさんと@CUEICHIさんのtweetより。