新型コロナウイルス対策で
不特定多数が近接して集まるのが感染を拡げる
として、多くのイベントや式典等が中止になっている。
そんな中、二つのクラシック音楽の公演が
無観客公演、インターネットを通じた無料配信
という形を取った。どちらも会場の席数は多くない。一つは
ワーグナーの歌劇『神々の黄昏』
で、これは
2017年からワーグナーの『ニーベルングの指環』四部作を毎年1作ずつ2日間上演していた滋賀県の「びわ湖ホール(席数 1844/オーケストラピット使用時は1712+車いす席4)」の企画
だ。今年が最後だったのだが、感染拡大防止のために公演は中止、しかしここまで積み上げてきた「びわ湖リング」の最終公演であり、オペラの場合は出演者が多人数で、他日に延期するのも日程調整が難しいため、3/7と3/8の2公演をYouTubeでLive配信した。2日とも配役が異なる。2日とも試聴したが、2日目の方が、運営側が手慣れたせいか、音も良くなり、熱演が続き、音楽の力に圧倒された。今回の配信を録画して、後日DVDとして発売されるという。
今回の公演には、
びわ湖がんばれ! ワーグナー《神々の黄昏》歌詞対訳あります として、オペラ対訳プロジェクト広報室が
神々の黄昏の対訳
を提供していた。スマホ版だと日本語訳しか見られないが、パソコンで開くと、独日対訳画面になる。
もう一つは
ミューザ川崎シンフォニーホール(席数1997 車いす席10を含む)での東京交響楽団の無観客公演無料配信
だ。今日配信された
3/8 名曲全集 第155回
と今週土曜日に配信される
3/14 モーツァルト・マチネ第40回
の2回だ。
ニコニコ生放送で配信しているのだが、
会員登録不要で無料配信
という太っ腹企画で、音質がすばらしく、映像も
観客席からの固定カメラ 演奏に沿ってカメラを切り替える方式 の2つの映像が用意された。なお、
プレミアム会員登録すると、今回の公演を期間限定で試聴できる
という対応だ。
会場であるミューザ川崎シンフォニーホールの3/7付告知によると、
ライブ配信は、株式会社ドワンゴの協力を得て「ニコニコ生放送」にて収録・生放送いたします。
本放送はミューザ川崎シンフォニーホール&東京交響楽団史上初の、"無観客コンサート"生中継になります。生放送には2つの視聴URLをご用意し、ミューザ川崎シンフォニーホールの一番良い客席から来場した気分で演奏を楽しめる定点生放送と、指揮の大友直人氏はじめ、各楽器セクションを演奏に合わせてスイッチングし映す生放送を行います。この生中継は演奏全編をniconicoの会員登録を必要とせず、どなたでも無料で視聴が可能です
ということで、また
CDは、東京交響楽団のライブCDを数多く手掛けている株式会社オクタヴィア・レコードが録音・制作し、後日一般販売いたします。
と、CD用の録音も同時に行われた。
実際のLive配信は、
映像のスイッチングが秀逸
音質はYouTubeより遥かに良く、各パートの音がクリアに入っている
もので、
無観客で音の「吸収体」となる人がいないため、残響が長く、音がよく聞こえる
状況だった。また、8日のプログラムは「名曲全集」で
指揮=大友直人 ピアノ=黒沼香恋(ミューザ・ソリスト・オーディション2017合格者)
オルガン=大木麻理(ミューザ川崎シンフォニーホールオルガニスト)管弦楽=東京交響楽団
【曲目】
ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲
ラヴェル:ピアノ協奏曲ト長調
ピアノ アンコール ドビュッシー:「ベルガマスク組曲」より「月の光」
サン=サーンス:交響曲第3番「オルガン付き」
と、オールフランスのプログラムで、割と知られていて、聞いていて楽しい曲が集められていた。ニコ生には
コメント機能(オフにも出来る)
があり、初心者の疑問には、すぐに詳しい人が答えてくれる。この特性が今回プラスに働いたようで、ニコ生では最終的に
約10万人の視聴者数
を数えた。いや、凄いよ、この数。
ニコ生には
投げ銭システム
があるのだが、投げ銭の中には音がでるものもあったりするし、非会員でも試聴可能なので、今回は機能させていなかった。
それにしても
短時日でこの完成度
に驚いたのだが、その謎は、公演を見返していて発見した。
ニコ生の運営母体ドワンゴの夏野剛CEOがLiveのコメントに降臨
したのだ。で、夏野剛CEOご自身が
東響の理事
であることを明かしたのである。赤字の
理事です。 が夏野剛CEOのコメントだ。
確かに、東響の財団の
理事に名を連ねている。
そりゃあ、東響の理事がドワンゴのCEOなら、
東響のコンサートの配信に総力を注いで万全を尽くす
よね。
というわけで、14日の配信も楽しみなのだが、この2日の
2000人弱規模の会場でのクラシック演奏会の無観客公演無料配信
は
大成功
と言っても過言ではない。東響は約10万人、「神々の黄昏」も延べ20万人ほどの視聴者を得た。
どちらの公演でも、twitterやニコ生のコメントに
投げ銭はできないのか、お金を出したい
等の発言が散見された。
すばらしい公演をネット配信して収入を得るシステム
が早急に出来上がると
感染防止で中止にしようかと考えている各種公演
や
今後開かれる予定のそれほど大きくない会場でのクラシック公演
がネット配信で収入を得られるようになる。
もちろん
現場に足を運んで、生演奏を聴く機会がない人達
も、すばらしい演奏を居ながらにして楽しめるし、今日の東響のプログラムのように
初心者にも馴染みやすい曲目
であれば、多くの視聴者を引きつけることが出来るのだ。
まあ、夏野剛CEOのこと、今回の成功を
次のステップ
にと考えているだろう。ニコ生を黒字にして、コンテンツを拡充してよね。これは1将棋ファンからのお願いだ。